陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも 米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか? ブログ

日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも 米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?

■中国市場悪化も、日米株のスピード調整は終盤戦突入か 中国株や中国人民元は、昨日(10月18日)、また安値を更新し、市場センチメントを再び悪化させた。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 したがって、昨日(10月18日)の米国株や日経平均の反落を中国市場のセンチメント悪化の一環と見なしても、大した間違いではなかろう。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 ところで、前回のコラムでも指摘したように、そもそも今月(10月)以降の株式市場の大幅調整は、本格的なリスクオフというよりもスピード調整の側面が大きいから、米国株や日本株自体のブル(上昇)基調は、なお維持されている。

【参考記事】

●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)

 NYダウは、10月11日(木)安値をもっていったん底を打ち、また、200日移動平均(200日線)をキープしているところがその最大の証拠となる。そして、中国株の動向に左右されやすい日経平均についても200日線を巡る攻防が続き、2万2000円の大台を守れている限り、「底割れ」の状況ではないと思われるから、スピード調整も終盤戦に入りつつあるかと思う。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 リスクオフかどうかの判断は決して容易ではないが、為替市場との連動性で考える場合は、やはり、円とスイスフランが全面高になったかどうか、また、伝統的なリスク回避先とされる商品の金(ゴールド)が買われるかどうかがひとつのバロメーターだと言える。

 そして、昨日(10月18日)を含め、10月以降、株式市場の波乱があっても、リスク回避先通貨や商品の値動きは限定的だったので、前回のコラムで行った判断が維持されるわけだ。

【参考記事】

●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)

■クロス円の重い動きはリスクオフではなく米ドル全面高の結果 一方、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは頭が重く、続落の市況となっている。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 これをリスクオフの前兆と捉える向きもあるが、詳細に見てみると、リスクオフより米ドル全面高の結果ではないか、という見方が浮上する。

 換言すれば、外貨安による受動的な円高が大きな背景となり、円全面高の状況とはほど遠い。

 ドルインデックスは95後半にトライし、今月(10月)高値の更新を果たしていくだろう。この場合、9月安値を「ヘッド」とした「逆三尊(※)」というフォーメーションの成立につながり、また、同フォーメーションの成立でドルインデックスは2018年年初来高値の更新を果たす見込みだ。

(※編集部注:「逆三尊」はチャートのパターンの1つで、「三尊型」と反対に、底を示す典型的な形とされている)

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

  この見方は米ドルの対極として位置づけされるユーロ/米ドルで…
日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は 一時的、米ドル/円は115円突破も視野に! ブログ

日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は 一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!

■「利上げショック」は一時的で、“戒名”がつかない!? 2018年10月10日(水)から米国株が暴落し、そして、昨日(10月11日)はこれが世界株安に連動して、「利上げショック」の様相を呈している。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 もっとも、「〇〇ショック」という“戒名”がつけられるまで時間がかかり、また“戒名”がつけられるまで、どのくらい深刻なショックかはわからないので、「利上げショック」という言い方が定着していないうちは、株式市場の混乱は現在進行形であることを覚悟すべきであろう。

 一方、今年(2018年)2月、3月あたりにも相場の混乱があったが、特に何らかの“戒名”がつけられたわけでもなかった。ゆえに、今回の混乱も比較的に短期間で終息し、「戒名なし」の一時的な波乱に終わるのではないかと思う。

 そう考えている最大の根拠は、やはり、「本格的なリスクオフを伴わない波乱は本格的なショックにならないのではないか」というロジックにある。詰まるところ、一昨日(10月10日)からの株式市場の急落は、値幅こそ大きかったものの、本格的なリスクオフのムードを引き起こしたかと聞かれると、そうではない可能性が大きいからだ。

■本格的なリスクオフなら円やスイスフランが買われるはず! では、本格的なリスクオフとは何か? それは、あの2008年のリーマンショック時やそれ以降の市況を思い出せば、おわかりいただけるだろう。

 株の暴落に伴い、米国債が買われ、為替市場では円やスイスフランが急伸、金(ゴールド)も継続的に買われていた。

 そして、為替市場における重要なシグナル、すなわち、米ドルは対円、対スイスフランなどの個別通貨を除き、主要外貨に対してほぼ全面高となり、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の暴落をもたらした。

 換言すれば、前回のコラムでも強調したように、リスクオフの有無は、ユーロ/円などクロス円が究極のバロメーターである。

【参考記事】

●ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変(2018年10月5日、陳満咲杜)

 ユーロ/円のチャートをみればわかるように、一昨日(10月10日)は陰線で大引けしたものの、その値幅は限定的だったうえ、昨日(10月11日)は陽線で引けた。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

 英ポンド/円も豪ドル/円も同じパターンで、豪ドルの方は上海株(10月11日に一時、5%超の下げ)との連動性があるから、やや値幅が拡大していたが、それでもリスクオフの値動きになったかと聞かれると、そうとは言い切れない。

英ポンド/円 日足 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足) 

豪ドル/円 日足 

 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足) 

 ドルインデックスは反落の様子を見せ、金(ゴールド、米ドル建て直物)の方も一昨日(10月10日)こそ値幅がやや拡大して反騰してきたものの、昨日(10月11日)の値幅は極めて限定的なうえ、それ以前の下落幅を考えれば、大した反騰になっていないのがわかる。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

金(ゴールド) 日足(出所:Bloomberg)

 肝心の米ドル/円も然り。一時、112円の節目を割り込んだが、それ自体、米国株や日経平均の急落に比べると、もはや「物足りない」と思われるぐらいだし、足元では112円の節目をキープして、落ち着いた値動きを見せている。

米ドル/円 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足) 

 米ドル/スイスフランに至っては、一昨日(10月10日)、小陰線で大引けしたものの、昨日(10月11日)は陽線引けで終わったほど「余裕」たっぷりの様子を示している。

米ドル/スイスフラン 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/スイスフラン 日足) 

 米ドル/円も米ドル/スイスフランも、その前に急上昇していたから、その途中のスピード調整と見なした場合は、仮に株の急落がなくても、この程度の反落は許容範囲だと思う。

 したがって、リスクオフの円全面高、また、リスクオフのスイスフラン高が確認されていない以上、本格的なリスクオフにならないかと思う。

 マーケットが異なるから、「これから円の全面高をもって…
日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は 一時的、米ドル/円は115円突破も視野に! ブログ

日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は 一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!

■「利上げショック」は一時的で、“戒名”がつかない!? 2018年10月10日(水)から米国株が暴落し、そして、昨日(10月11日)はこれが世界株安に連動して、「利上げショック」の様相を呈している。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 もっとも、「〇〇ショック」という“戒名”がつけられるまで時間がかかり、また“戒名”がつけられるまで、どのくらい深刻なショックかはわからないので、「利上げショック」という言い方が定着していないうちは、株式市場の混乱は現在進行形であることを覚悟すべきであろう。

 一方、今年(2018年)2月、3月あたりにも相場の混乱があったが、特に何らかの“戒名”がつけられたわけでもなかった。ゆえに、今回の混乱も比較的に短期間で終息し、「戒名なし」の一時的な波乱に終わるのではないかと思う。

 そう考えている最大の根拠は、やはり、「本格的なリスクオフを伴わない波乱は本格的なショックにならないのではないか」というロジックにある。詰まるところ、一昨日(10月10日)からの株式市場の急落は、値幅こそ大きかったものの、本格的なリスクオフのムードを引き起こしたかと聞かれると、そうではない可能性が大きいからだ。

■本格的なリスクオフなら円やスイスフランが買われるはず! では、本格的なリスクオフとは何か? それは、あの2008年のリーマンショック時やそれ以降の市況を思い出せば、おわかりいただけるだろう。

 株の暴落に伴い、米国債が買われ、為替市場では円やスイスフランが急伸、金(ゴールド)も継続的に買われていた。

 そして、為替市場における重要なシグナル、すなわち、米ドルは対円、対スイスフランなどの個別通貨を除き、主要外貨に対してほぼ全面高となり、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の暴落をもたらした。

 換言すれば、前回のコラムでも強調したように、リスクオフの有無は、ユーロ/円などクロス円が究極のバロメーターである。

【参考記事】

●ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変(2018年10月5日、陳満咲杜)

 ユーロ/円のチャートをみればわかるように、一昨日(10月10日)は陰線で大引けしたものの、その値幅は限定的だったうえ、昨日(10月11日)は陽線で引けた。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

 英ポンド/円も豪ドル/円も同じパターンで、豪ドルの方は上海株(10月11日に一時、5%超の下げ)との連動性があるから、やや値幅が拡大していたが、それでもリスクオフの値動きになったかと聞かれると、そうとは言い切れない。

英ポンド/円 日足 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足) 

豪ドル/円 日足 

 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足) 

 ドルインデックスは反落の様子を見せ、金(ゴールド、米ドル建て直物)の方も一昨日(10月10日)こそ値幅がやや拡大して反騰してきたものの、昨日(10月11日)の値幅は極めて限定的なうえ、それ以前の下落幅を考えれば、大した反騰になっていないのがわかる。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

金(ゴールド) 日足(出所:Bloomberg)

 肝心の米ドル/円も然り。一時、112円の節目を割り込んだが、それ自体、米国株や日経平均の急落に比べると、もはや「物足りない」と思われるぐらいだし、足元では112円の節目をキープして、落ち着いた値動きを見せている。

米ドル/円 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足) 

 米ドル/スイスフランに至っては、一昨日(10月10日)、小陰線で大引けしたものの、昨日(10月11日)は陽線引けで終わったほど「余裕」たっぷりの様子を示している。

米ドル/スイスフラン 日足 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/スイスフラン 日足) 

 米ドル/円も米ドル/スイスフランも、その前に急上昇していたから、その途中のスピード調整と見なした場合は、仮に株の急落がなくても、この程度の反落は許容範囲だと思う。

 したがって、リスクオフの円全面高、また、リスクオフのスイスフラン高が確認されていない以上、本格的なリスクオフにならないかと思う。

 マーケットが異なるから、「これから円の全面高をもって…
ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変 ブログ

ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変

■ドルインデックスは調整終了、上昇トレンド復帰か 前回のコラムにおいて、「ドルインデックスが9月安値をもって調整変動を完成」という可能性に言及した。今週以降(10月1日~)、米ドルの急伸でその可能性は一段と強まったと言える。

【参考記事】

●日経平均は年内の2万5000円打診が確実! ドル/円は115.65円めざす?一方クロス円は…(2018年9月28日、陳満咲杜)

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 上のチャート上に記しているように、2018年8月高値からの反落波は、典型的なジグザグ変動の構造をもって9月安値で底打ち、昨日(10月4日)の高値につながった。

 重要なのは、いったん9月4日(火)高値(b)を突破したので、前述のジグザグ変動における途中の切り返しの頂点の再打診をもって、調整波の底打ちを証左したわけだ。

 したがって、米ドル全体がまたブル(上昇)基調に復帰し、これから高値トライしやすいのではないかと思われる。

 米ドルの対極として、ユーロの値動きはまったく逆なので、ユーロ/米ドルの構造も然り。

ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券)

 9月までの切り返しで、調整(反騰)波自体のジグザグ変動を完成させ、その後、9月上旬の安値を割り込み、ベア(下落)トレンドへの復帰を示唆している。

 なにしろ、9月4日(火)、10日(月)あたりの安値が、ジグザグ変動における途中の調整だったので、再度割り込んだ以上は、元のトレンド(ベア)に復帰した公算が大きいかと思われる。

■リスクオン・オフと米ドル全体の強弱に因果関係はない ところで、米ドルの上昇に懐疑的な向きがなお多く、その根拠もいろいろあるようだが、もっとも流行っている見方は、「やはり米長期金利の上昇で米国株が調整してくる可能性が大きいから、米国株の調整があれば、米ドル高の基調も弱まるだろう」といった推測や、「トランプ政権が米ドル高を好まないから、牽制してくるのではないか」といった思惑であろう。

 しかし、米国株の反落があれば、一時にせよ、リスクオフになる局面が想定されやすいものの、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフとの関連性は、言うほど単純ではないので、因果関係があるわけではないことを強調しておきたい。

 2008年のリーマンショック後、究極のリスクオフが米ドル高につながった前例は言うまでもないが、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフの関連性はケース・バイ・ケースで、何らかの法則性をもって説明しきれないことは確かだ。

 一方、2008年のリーマンショック時には米ドル/円の急落が見られたように、米ドルは対円でのみ、リスクオン・オフの関連性が高いと言える。

米ドル/円 月足(出所:IG証券)

 リスクオンなら米ドル高・円安、リスクオフなら米ドル安・円高、といった見方はおおむね正解であろう。リスクオフの円高は検証されてきた為替市場の法則であり、これからも機能するだろう。

 となると、米長期金利の上昇が米国株の圧力と化し、米国株の下落でリスクオフの局面になれば、円全面高になる市況が確認されるだろう。

 逆に言えば、円全面高にならない限り、本格的なリスクオフではないから、米国株の上昇基調が崩れる云々が大げさで、また、米長期金利の上昇が米国株の基調を転換させるといった指摘も性急であり、大して確実性はないだろう。

■ユーロ/円の保ち合いが、円全面高の市況でないことを明示 昨日(10月4日)、米国株も高値圏にて波乱となったが、これは米10年国債利回りの上昇を受けた値動きで、ブル基調自体が否定されたわけではない。

 だから、米ドル/円も113円台後半をキープ、ユーロ/円など主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も総じて保ち合いの状況を保っている。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 前述のように、ユーロ/米ドルがすでにベアトレンドへ復帰した状況の中、ユーロ/円の保ち合い自体が1つのサインとして注目されるだろう。それはほかならぬ、円全面高の市況にほど遠く、リスクオフ云々も大袈裟、ということである。

 もっとも、米長期金利の上昇は当然…
ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変 ブログ

ユーロ/円の値動きで今後の市況がわかる!? リスクオン継続で株高・円安の見通しは不変

■ドルインデックスは調整終了、上昇トレンド復帰か 前回のコラムにおいて、「ドルインデックスが9月安値をもって調整変動を完成」という可能性に言及した。今週以降(10月1日~)、米ドルの急伸でその可能性は一段と強まったと言える。

【参考記事】

●日経平均は年内の2万5000円打診が確実! ドル/円は115.65円めざす?一方クロス円は…(2018年9月28日、陳満咲杜)

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 上のチャート上に記しているように、2018年8月高値からの反落波は、典型的なジグザグ変動の構造をもって9月安値で底打ち、昨日(10月4日)の高値につながった。

 重要なのは、いったん9月4日(火)高値(b)を突破したので、前述のジグザグ変動における途中の切り返しの頂点の再打診をもって、調整波の底打ちを証左したわけだ。

 したがって、米ドル全体がまたブル(上昇)基調に復帰し、これから高値トライしやすいのではないかと思われる。

 米ドルの対極として、ユーロの値動きはまったく逆なので、ユーロ/米ドルの構造も然り。

ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券)

 9月までの切り返しで、調整(反騰)波自体のジグザグ変動を完成させ、その後、9月上旬の安値を割り込み、ベア(下落)トレンドへの復帰を示唆している。

 なにしろ、9月4日(火)、10日(月)あたりの安値が、ジグザグ変動における途中の調整だったので、再度割り込んだ以上は、元のトレンド(ベア)に復帰した公算が大きいかと思われる。

■リスクオン・オフと米ドル全体の強弱に因果関係はない ところで、米ドルの上昇に懐疑的な向きがなお多く、その根拠もいろいろあるようだが、もっとも流行っている見方は、「やはり米長期金利の上昇で米国株が調整してくる可能性が大きいから、米国株の調整があれば、米ドル高の基調も弱まるだろう」といった推測や、「トランプ政権が米ドル高を好まないから、牽制してくるのではないか」といった思惑であろう。

 しかし、米国株の反落があれば、一時にせよ、リスクオフになる局面が想定されやすいものの、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフとの関連性は、言うほど単純ではないので、因果関係があるわけではないことを強調しておきたい。

 2008年のリーマンショック後、究極のリスクオフが米ドル高につながった前例は言うまでもないが、米ドル全体の強弱とリスクオン・オフの関連性はケース・バイ・ケースで、何らかの法則性をもって説明しきれないことは確かだ。

 一方、2008年のリーマンショック時には米ドル/円の急落が見られたように、米ドルは対円でのみ、リスクオン・オフの関連性が高いと言える。

米ドル/円 月足(出所:IG証券)

 リスクオンなら米ドル高・円安、リスクオフなら米ドル安・円高、といった見方はおおむね正解であろう。リスクオフの円高は検証されてきた為替市場の法則であり、これからも機能するだろう。

 となると、米長期金利の上昇が米国株の圧力と化し、米国株の下落でリスクオフの局面になれば、円全面高になる市況が確認されるだろう。

 逆に言えば、円全面高にならない限り、本格的なリスクオフではないから、米国株の上昇基調が崩れる云々が大げさで、また、米長期金利の上昇が米国株の基調を転換させるといった指摘も性急であり、大して確実性はないだろう。

■ユーロ/円の保ち合いが、円全面高の市況でないことを明示 昨日(10月4日)、米国株も高値圏にて波乱となったが、これは米10年国債利回りの上昇を受けた値動きで、ブル基調自体が否定されたわけではない。

 だから、米ドル/円も113円台後半をキープ、ユーロ/円など主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も総じて保ち合いの状況を保っている。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 前述のように、ユーロ/米ドルがすでにベアトレンドへ復帰した状況の中、ユーロ/円の保ち合い自体が1つのサインとして注目されるだろう。それはほかならぬ、円全面高の市況にほど遠く、リスクオフ云々も大袈裟、ということである。

 もっとも、米長期金利の上昇は当然…
日経平均は年内の2万5000円打診が確実! ドル/円は115.65円めざす?一方クロス円は… ブログ

日経平均は年内の2万5000円打診が確実! ドル/円は115.65円めざす?一方クロス円は…

■米ドル/円、日経平均が高値更新! 筆者の予想どおり、米ドル/円も日経平均も高値を更新している。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均は1991年以来の高値、実に27年ぶりの新高値である。高値更新を予想すること自体は大したことではなく、本来、誰にでもできるものであったが、懐疑的な論調が多かっただけに、巷ではサプライズと感じる向きもあったかもしれない。しかし、それだからこそ、足元の相場が正常であることを物語る。

■相場の本質を一言で言うなら「不確実性」 相場の本質を1つのキーワードで表すなら、間違いなく「不確実性」という言葉が最もふさわしいだろう。相場は常に変化し、また、常に市場参加者の判断や思惑を織り込んでいくから、常に不確実性を伴うものだ。

 しかし、個人投資家の多くは確実性を求める傾向が強いから、意見が分かれる時や、いわゆるファンダメンタルズ上の材料に惑わされる時などは、往々にして素直にトレンド・フォローに徹しきれず、また、トレンドに懐疑的になりがちだ。

 米中貿易戦争の激化や日米通商交渉懸念など、ファンダメンタルズ上の材料ばかりに気を取られていると、水準的な判断(高値前後で逆張りを仕掛ける)になりがちであり、ある意味では理解しやすい行動パターンだった。

■高値更新は逆張りのショート筋が踏みあげられた結果 ここで重要なのは、こういった逆張りの行動が、実はトレンドを加速させていく土台を作ったということだ。米ドル/円や日経平均の高値更新は、決してロング筋のみではなく、逆張りのショート筋の多くが踏み上げられた結果であることを理解していただきたい。

 だからこそ、前回のコラムにおいて、「米ドル/円に強気な筆者にとって、こういった見方や動きは大歓迎だ。なぜなら、トレンド自体に疑心暗鬼な者、また、逆張り派が多い時に限って、トレンド・フォローに徹すべきであり、トレンド・フォローのスタンスさえ間違っていなければ、自分のポジションと逆の見通しが多く語られる局面はむしろ安心できると思うからだ」と強調したのだ。

【参考記事】

●マスコミが「次回の大暴落は必至」と断言している間は安泰。円安・株高はまだ進む!(2018年9月21日、陳満咲杜)

 マスコミの論調も然り。「次回の大暴落は必至」と断言している間は安泰であり、円安・株高は逆に進みやすい、と判断したわけだ。相場の不確実性を理解できれば、これはもはや自明の理で、スタンスを維持する大きな根拠になることも言うまでもない。

 実際、FOMC(米連邦公開市場委員会)の無風通過があって、材料出尽くしで米ドル/円と日経平均の「セル・ザ・ファクト」の市況も一時的にあったが、それはたちまち修正され、また、高値更新したのもそのためである。

 FOMC前は日経平均も米ドル/円も売りが増加傾向にあり、FOMC後に一時的な下落があったため、さらなるショート筋の参入を誘ったに違いないが、結果的にはそれは典型的な「ダマシ」だった。

 要するに、「セル・ザ・ファクト」自体がダマシで、「セル・ザ・ファクト」の出尽くしを見込んだ「バイ・ザ・ファクト」こそ、正解であった。

 こういった説明がマクロ的で大きすぎるなら…
マスコミが「次回の大暴落は必至」と断言 している間は安泰。円安・株高はまだ進む! ブログ

マスコミが「次回の大暴落は必至」と断言 している間は安泰。円安・株高はまだ進む!

■米ドル安、円安のトレンド継続、日本株高も一段と強まる 米ドル安・円安のトレンドは続いている。また米株高に追随する形の日本株高も一段と強まり、総じてリスクオンの環境にあることが示唆されている。

 リスクオンの環境にあることは重要だ。というのも、本コラムが繰り返し指摘してきたスタンス、すなわち日本株買い・円売りの戦略は、リスクオンの環境に依存しているからだ。が、こうした見方についてはこれまで懐疑的な意見が多かったし、現在でも半信半疑の方が多いのではないかと思われる。

【参考記事】

●米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)

●トランプならやりかねない。米政府がドル売りの為替介入!? その時はドル買いの好機だ!(2018年8月31日、陳満咲杜)

 それにはいろいろな理由があるが、一番よく語られているのは米中対立や米中貿易戦争のリスクであろう。確かに、米中貿易戦争は緩和するどころか、一段と激化している。

 しかし、皮肉にもトランプ米大統領が2000億ドルの追加課税を表明した途端(18日)、本家の上海株さえ反発し、日経平均は大きく上昇してきた。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足 

(出所:Bloomberg)

■市場の解釈はいろいろ出ているが、要は株価次第 相場は理外の理、事前どころか、事後でもすべてを究明し、また完全に説明できるとは限らないから、逆に事後にて理屈を立てて説明しまくる者は、信用できないと思う。が、世の中には事後説明を生業とする者がかなり多いのも事実である。これはほかならぬ、事後説明を聞きたいニーズが強いからだ。

 問題はその事後説明、また解釈が役に立つかどうかであるが、その前提条件である解釈自体が正しいかどうかについて、実はよくわからない場合も多い。

 たとえば、9月18日(火)の上海株の反転について、よく聞かれた解釈は「米中貿易摩擦懸念が重石となったものの、景気刺激策への期待から中国中鉄や中国交通建設などインフラ関連が大幅高…」というようなものだった。

 また、日本株の上昇については「米の対中追加関税発動が経済に配慮した点を好感した」と説明され、同日の米国株の反発は「米中が相互に追加関税発動を発表する中、材料出尽くしとの解釈から幅広いセクターが買戻された」と理由づけられた。

 こういった説明や解釈自体、正しいかどうかはもはや問題ではない。強調したいのは、これらはすべては後解釈であるということ。要は株価次第だ。

 仮に株価が下落していくと、当然のように、米中貿易戦争リスク云々が大きく語られ、また正当化されるだろう。マーケットに関するコメントの大半はそういう性質のものと悟るべきだ。

■「リスクオフの環境ではない」ことが大前提だった しかし、同じファンダメンタルズ分析でも、本質的な部分を見つめれば、事前にこういった市場の反応をある程度、予測可能だった。

 本コラムで繰り返し指摘してきたように、基本的には米利上げサイクルが当面続き、また2018年内に2回もの利上げの予測が正当化される中では、米国株の値崩れはないはずだ。

【参考記事】

●米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)

●トランプならやりかねない。米政府がドル売りの為替介入!? その時はドル買いの好機だ!(2018年8月31日、陳満咲杜)

●米国株の強気相場史上最長がリスクオンを裏付け! 「8月の円高」はもう終わったか(2018年8月24日、陳満咲杜)

 そして、米国株が崩れない限り、リスクオフの環境ではないから、いずれリスクオンのムードが高まり、外部諸要素の影響があっても、それは限定的なはずだった。

 前述のような解釈の中、「材料出尽くし」がもっとも本質に迫る理由であれば、その前提条件は間違いなく「リスクオフの環境ではない」ことに尽きる。

■テクニカル的に見れば日経平均上昇の予測は簡単だった さらに、より大事なアプローチはやはりテクニカルの視点である。

 上海株の反転にはそれなりの根拠があったが、本コラムではこれまで提示していなかったので、今さら持ち出すと、やはり後解釈と疑われる恐れが大きいから、日本株のみを例として挙げよう。

 日経平均のチャートは以下のとおりである。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 日本株の上昇は、明らかに上方ブレイクしてから加速した。上方ブレイクという言い方自体、その前に保ち合いがあったことを指している。

 フォーメーション的には、日経平均は明らかに「複合型三尊底」を形成していたので、いったん上放れを果たすと、大きく上昇し、また値幅が拡大したのも納得できるわけだ。

 実際、日経平均は9月19日(水)まで4連陽で、4取引日で1000ポイントの上昇幅を達成し、テクニカルアナリシスの教科書の範例になれるほど「きれいな」チャートを形成していた。

 ゆえに、日本株の上昇は見込みが高く、また相場の理に合っているから、前回の本コラムで指摘した「煮詰まりつつある日経平均もそろそろ本格的な上放れを果たすだろう」という推測が当たったとしても、別に大したことではないはずだ。

【参考記事】

●米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?(2018年9月14日、陳満咲杜)

 しかし、相場というものは、大きく上昇、また大きく下落する時、必ずと言っていいほど勝者のみでなく、それに比例する敗者がいることを忘れてはいけない。日経平均の急伸は、必然的にショートカバーが伴ったと推測され、また、ショートカバーがこれからも発生するだろう。

 なにしろ、米中貿易戦争や、これから行われる日米通商交渉などのリスク要素を理由にして、トレンドに疑心暗鬼な者、また逆張り派が多い時に限って、実はトレンドはよく推進するものだからである。

 執筆中の現時点で米国の株価指数、S&P500はまた史上最高値を更新…
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米ドル/円の押し目買いスタンスは不変! ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライも!?

■ドルインデックスの調整とドル/円の押し目買いについて検証 前回の本コラムでは、2つの見方を提示していた。1つはドルインデックスの調整が続くこと、もう1つは米ドル/円は押し目買いのスタンスを維持することだ。今回は引き続き、その検証を行いたい。

【参考記事】

●米ドル全体が大きく反落しても米ドル/円は例外!? 押し目買いのスタンスを維持せよ!(2018年9月14日、陳満咲杜)

 まずドルインデックスだが、昨日(9月13日)続落、目先も94台前半で軟調に推移と、前回の見方を証左する値動きになっていると思う。

 前回は主にエリオット波動論の視点で見ていたが、今回はプライスアクションの視点でチェックしておきたい。

 前回のコラムでも指摘したように、9月4日(火)の高値(B)が重要であった。この高値を早期突破できない限り、ドルインデックスの調整が続く見通しだった。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 その後、9月7日(金)の陽線(矢印)に注目していただきたい。同線は強気「アウトサイド」(※)、また「リバーサル」(※)のサインを点灯したものの、やはり一時的なものに留まり、9月4日(火)高値のブレイクにはつながらなかった。そして、逆に9月12日(水)に、9月7日(金)安値の割り込みが確認されたから、一段と軟調な値動きを強化したとみる。

 さらに細かいプライスアクション上の視点もあるが、ここでは省略し、大まかな判断の提示に留めたい。

 要するに、ドルインデックスの調整波は、8月15日(水)の値からスタートし、8月28日(火)安値をもっていったん下げ一服を果たしたが、前述のシグナルが確認され、再度調整(下落)に復帰したとみるべきだ。

 戻りの高値は9月4日(火)の95.68前後なので、同じ値幅で測ると、これから93の節目近くまで下落余地が想定されるかと思う。

(執筆者注:すべてプライスアクション用語。詳細は筆者の新刊『パターンを覚えるだけで勝率7割超! FXチャートの読み方~欧米投資家が好んで使うプライスアクションの教科書』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))をご参照)

【ドルインデックスの参考記事】

●米ドル全体に賭けろ! FX界の日経平均=ドルインデックスを取引する方法があった!

■ユーロ/米ドルは1.18ドル台後半にトライの可能性も ドルインデックスの対極はユーロなので、ユーロ/米ドルの切り返しの継続もわかりやすかったかと思う。

 8月15日(水)安値~8月28日(火)高値までの上昇途中、8月23日(木)のみ陰線引けだったので、当然のように、同安値のチャートポイントとしての意味合いは大きかった。

ユーロ/米ドル 日足 

(出所:FXブロードネット)

 その後の反落で、9月4日(火)の「スパイクロー」をもって8月23日(木)安値の水準を確認したことで、同水準(1.1530ドル前後)のサポートの意味合いを強化したことがわかる。

 9月10日(月)の陽線(B)が、同水準をいったん下回ったものの、一転して陽線で大引けしたことで、事実上「フォールス・ブレイクアウト」、すなわちサポートに対する打診や一時の下放れが「ダマシ」であったことを暗示した。

 となると、ユーロは続伸し、また、9月6日(木)高値のブレイクをもって8月高値の突破につながる公算が高まるだろう。同じジグザグ変動の見方を取れば、これから1.18ドル台後半の上値トライがあってもおかしくなかろう。

 そして、米ドル/円の押し目買いのスタンスだが…
米ドル全体が大きく反落しても米ドル/円は 例外!? 押し目買いのスタンスを維持せよ! ブログ

米ドル全体が大きく反落しても米ドル/円は 例外!? 押し目買いのスタンスを維持せよ!

 米ドル全体の頭が再び重くなってきた。ただし、いつものように、ここで言う米ドル全体とは、ユーロをメインとした主要外貨に対する全体的な米ドルのパフォーマンスを指し、米ドルの対円での動き、すなわち米ドル/円とは「別物」であることに注意が必要だ。

 米ドル全体のパフォーマンスは、ドルインデックスをもって確認できるが、ドルインデックスとの連動性は、米ドル/円のパフォーマンスにおいては「伝統的」に鮮明ではなかった。したがって、分けて考える必要があるので、まず対円を除く米ドル全体の状況を確認しておきたい。

■8月23日の陽線はどのような意味を持っている? ドルインデックスの日足を見るとわかるように、先月(8月)末からの切り返しは、9月4日(火)高値をもって、いったん終了の気配が示されている。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 同日のローソク足は、プライスアクションの視点では「スパイクハイ」になりかねないが、より重要なのは、同日高値がいったん8月23日(木)高値をブレイクしていたという点である。これはより大きなサインの点灯となりかねない。

 8月23日(木)は陽線であったが、これは8月高値を起点とした、その前の反落波動における唯一の陽線であったことに注意すれば、同日高値が持つ意味がわかる。つまり、ここがレジスタンスゾーンになっていたということだ。

 したがって、9月4日(火)高値を早期にブレイクできない限り、同レジスタンスゾーンの再確認で続落の可能性が浮上し、8月末安値を割り込み、8月高値を起点とした反落波の拡大や延長をもたらす、というシナリオも想定されるわけだ。

 この場合、9月4日(火)のローソク足は、「スパイクハイ」のみでなく、「フォールス・ブレイクアウト」にも該当する。すなわち、「重要なレジスタンスゾーンに対する打診や一時のブレイクが『ダマシ』だった」というサインが点灯するということだ。ここから反落相場が一段と加速する市況が暗示される。

 こういったプライスアクションの視点では、近々、米ドル全体の頭が重くなることが示唆されていることがわかる。

■大事なのはウワサ程度の材料ではなく、市場の内部構造 では、米ドル全体の頭の重さは、どこに起因するのだろうか。

 前回のコラムで指摘したように、トランプ政権の市場介入の可能性がウワサされ、米ドルの頭を押さえ込んでいるといった論調が多いが、いつものように、こういったウワサ程度の材料は相場を左右するファンダメンタルズにならないから、やはり、市場の内部構造にその答えを求めなければならない。

【参考記事】

●トランプならやりかねない。米政府がドル売りの為替介入!? その時はドル買いの好機だ!(2018年8月31日、陳満咲杜)

 結論から申し上げると、これはほかならぬ、米ドル全体の上昇がすでに一段落し、8月高値から大型調整的波動、すなわち反落の値動きが形成され、足元なお途中にあるからではないかという見方が有力だ。

 この見方を説明するにはエリオット波動論の視点が必要…
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トランプならやりかねない。米政府がドル売り の為替介入!? その時はドル買いの好機だ!

■ユーロ/円10連陽、「8月の円高」終焉を裏付け 本日(8月31日)は8月の最終日となるが、前回のコラムにおいて主張していた「『8月の円高』はすでにピークを過ぎた」という見方も、今週(8月27日~)の値動きによって強化されたと思う。

【参考記事】

●米国株の強気相場史上最長がリスクオンを裏付け! 「8月の円高」はもう終わったか(2018年8月24日、陳満咲杜)

 既述のように、一番重要なのは米国株の動向だ。米国株が堅調なうちはリスクオンの環境が続き、円の大幅上昇もあり得ない。

 「8月の円高」の正体は、アノマリーのほか、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に主導された側面が大きいが、クロス円下落の本質は外貨安であり、円高ではなかった。

 ゆえに、ドルインデックスの反落があれば、クロス円は総じて反騰しやすく、また円高の圧力も弱まってくるだろうという推測であった。

 クロス円の代表格であるユーロ/円をみるとわかるように、8月16日(木)から一昨日(8月29日)まで「10連陽」を達成し、前回の推測を証左してくれたと言える。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

 肝心なのは、クロス円の下落は、円全面高ではなく、外貨安に起因したということで、これがわかれば、「8月の円高」も8月が過ぎるのとともに去っていくことを理解しやすいかと思う。

■ユーロや英ポンドの切り返しで、クロス円も反騰 一般論として、米ドル/円と米ドル全体(ドルインデックス)の連動性が往々にしてあまり鮮明ではなく、誤解されやすいところも多い。

米ドル/円(ローソク足)VSドルインデックス(ライン) 日足(出所:Bloomberg)

 基本的には、円は「翻弄される通貨」の側面が大きいから、自らのファンダメンタルズではなく、米ドルやユーロといったメイン通貨の状況次第で動く、というポイントを押さえておきたい。

 こういった理屈はシンプルだが、結構重要なので、しっかり押さえないと相場の構造をわからなくなるリスクが大きいから、注意が必要だ。

 このポイントを押さえれば、8月半ばまで進行した「8月の円高」の正体も一目瞭然だ。

 8月15日(水)までドルインデックスが大きく上昇、また高値更新していたから、ドルインデックスと連動性(逆相関)の高いユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルなどメイン通貨ペアの下落や安値更新と共に、ユーロ/円や英ポンド/円も大きく下落し、また安値更新していた。

ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券)

ユーロ/円 日足(出所:IG証券)

英ポンド/米ドル 日足(出所:IG証券)

英ポンド/円 日足(出所:IG証券)

 ユーロ安や英ポンド安に起因する円高であったから、ユーロや英ポンドの切り返しがあれば、クロス円も切り返してくるはずだ、という推測も当然成り立つわけだ。

 ドルインデックスの急伸は、本来なら米ドル全体の強さを表すが、前述のように、米ドル/円との連動性は総じて大きくない。そのため、米ドル/円は200日移動平均線(200日線)を割り込まないで一応基調を維持していたものの、8月21日(火)まで反落していた。

 クロス円における外貨安に起因した円高の圧力が米ドル/円にも波及、という視点からみることも可能だが、円全面高ではなく、また「主動的」な円高でないことは明らかであった。

 換言すれば、リスクオフの環境ではないから、受動的な円高があっても限界あり、早晩円安の方向へ戻ってくることが推測されやすかった。

 もっとも、米ドル/円の反落自体、トランプ米大統領が…