陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

記録的な外人売りの割に日経平均は大して 下がっていない。米ドル/円は現状「割安」!? ブログ

記録的な外人売りの割に日経平均は大して 下がっていない。米ドル/円は現状「割安」!?

■原油、ビットコイン暴落でも“リスクオフの円買い”確認されず 米ドル高のトレンドは続いている。さらに、米ドル/円もリンクした値動きを強め、外貨安に起因してクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは軟調な値動きだが、総じて「底割れ」を回避できるパターンを示しており、リスクオフの円買い云々はやはり適切ではないと思う。

世界の通貨VS円 日足 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足) 

 ここで誤解しないでいただきたいのは、リスクオフかどうかは問題ではなく、“リスクオフの円買いが確認されていない”ということが重要ということだ。

 米国株市場の不振、さらに原油市場やビットコインの暴落に照らして考えれば、本来ならリスクオフの円買いが猛烈に発生してもおかしくないが、円の動きはかなり限定的だったので、円のパフォーマンスに限定すれば、リスクオフの動きとはほど遠いと言える。

NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

WTI原油先物 日足(出所:Bloomberg)

ビットコイン/米ドル 日足 

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米ドル/円 日足

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■米国株に先行して日経平均が反発したのは興味深い値動き 円の値動きと関連しているかどうかは定かではないが、先週末(2018年11月23日)、米国株は一段安の様相を見せたものの、本日(11月26日)、日経平均は先行してリバウンドし、小さい「ダイバージェンス」の様子をうかがわせた。

NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 NYダウも、S&P500も10月末安値に再度迫っている中、日経平均の先行反発は興味深い値動きだ。

■2018年の日本株は海外投資家が記録的な売り越し 日経平均について、今年(2018年)注目される大きな現象は、いわゆる「外国人売り(海外投資家による売り。国内投資家による海外経由も含む)」だ。

 統計によると、2018年年初来、海外投資家の売り越しはすでに11兆円を超えており、これは間違いなく記録的な規模だ。

 ちなみに、先物などデリバティブを含まない売り越しの元最高記録は、1987年の7兆円だったが、当時はデリバティブ取引が限定的だったので、海外投資家によるトータルの売り越し額は今年(2018年)が最大規模になるに違いない。

 問題の焦点は、なぜ「外人売り」がこんなに大規模になるのか…
変動率の低かった2018年の米ドル/円、今後 の市況を占うポイント3点を確認してみると… ブログ

変動率の低かった2018年の米ドル/円、今後 の市況を占うポイント3点を確認してみると…

■2018年の米ドル/円年間変動率は過去約20年の最低タイに!? 2018年も年末に近づき、やはり年間変動率が気になるところである。まず米ドル/円の年間平均変動幅や変動率を見てみたいと思う。

 1995年~2017年のデータでは、米ドル/円の平均年間変動幅は17.71円で、平均変動率は約16.43%だった。

 そのうち、1998年の36.19円は最も値幅が大きく、2015年の10.01円は最も値幅が小さかった。ちなみに、2011年、2012年も11円未満の値幅だったの、変動率は小さかった。

 では、今年(2018年)はどうだろうか。2018年の最安値は3月の104.56円だった。いくら円高派でも2018年年内安値更新の想定は皆無なので、その値から計算すればよい。10月高値114.56円で測ると丁度10円なので、このままだと2015年と並び、最も変動率の低い年になりそうだ(高安値は出所によって多少の差あり)。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 平均年間変動幅は17.71円なので、平均的な値幅なら今年の高値は122.27円という計算も出来るが、筆者のような米ドル高派でも(2018年年内という前提条件の制約があるから)そこまでの米ドル高はないと思う。

 しかし、仮に115円の節目打診があっても、11円未満の値幅なので、2011年、2012年と同じく、変動率が低いという結果は変わらない。

 だからこそ、繰り返し指摘してきたとおり、米ドル/円の2018年年内115円節目トライといった見方は、基本的にはかなり保守的で、バイアスによるものではない。

 米ドル高の予想なら、または米ドル高予想のバイアスが効いた見方なら、最低でも120円以上の目標でないと「説明がつかない」。

 もちろん、相場は変動率のみをもって解釈できるものではなく、上値の予想も変動率のみでは測れないから、あくまで1つの視点として参考程度に留めるべきだが、言いたいのはただ1つ、今の状況は米ドル高ではなく、本格的な米ドル高はむしろこれからのはずだ、ということだ。

■目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きなポイント 米ドルの頭を押さえる要素はたくさんあって、今さら枚挙に暇がないが、米ドルの変動率が抑えられているとはいえ、米ドル高・円安のトレンド自体は今年(2018年)のメイントレンドとして観察され、また維持されていることは間違いない。

 米中対立、株式市場の波乱などいろんな出来事もあったが、円はリスク回避先として評価されていない、つまり目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きいなポイントであることを、再度強調しておきたい。

 換言すれば、米ドル高のスピードが抑えられているものの、トレンド自体は維持されており、トレンドの転換を判断するには何か確実なサインが必要で、そのようなサインの点灯なしでは米ドル高の終焉云々は主観的すぎる判断だと思う。

 さらに、米ドル全体の値動きを表すドルインデックスは、先週(11月5日~)にて2018年年初来高値の再更新を果たし、米ドル/円のこれからの追随(すなわち、2018年年初来高値の再更新)を示唆している。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 ところで、ドルインデックスの強気変動自体が…
変動率の低かった2018年の米ドル/円、今後 の市況を占うポイント3点を確認してみると… ブログ

変動率の低かった2018年の米ドル/円、今後 の市況を占うポイント3点を確認してみると…

■2018年の米ドル/円年間変動率は過去約20年の最低タイに!? 2018年も年末に近づき、やはり年間変動率が気になるところである。まず米ドル/円の年間平均変動幅や変動率を見てみたいと思う。

 1995年~2017年のデータでは、米ドル/円の平均年間変動幅は17.71円で、平均変動率は約16.43%だった。

 そのうち、1998年の36.19円は最も値幅が大きく、2015年の10.01円は最も値幅が小さかった。ちなみに、2011年、2012年も11円未満の値幅だったので、変動率は小さかった。

 では、今年(2018年)はどうだろうか。2018年の最安値は3月の104.56円だった。いくら円高派でも2018年年内安値更新の想定は皆無なので、その値から計算すればよい。10月高値114.56円で測るとちょうど10円なので、このままだと2015年と並び、最も変動率の低い年になりそうだ(高安値は出所によって多少の差あり)。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 平均年間変動幅は17.71円なので、平均的な値幅なら今年の高値は122.27円という計算も出来るが、筆者のような米ドル高派でも(2018年年内という前提条件の制約があるから)そこまでの米ドル高はないと思う。

 しかし、仮に115円の節目打診があっても、11円未満の値幅なので、2011年、2012年と同じく、変動率が低いという結果は変わらない。

 だからこそ、繰り返し指摘してきたとおり、米ドル/円の2018年年内115円節目トライといった見方は、基本的にはかなり保守的で、バイアスによるものではない。

 米ドル高の予想なら、または米ドル高予想のバイアスが効いた見方なら、最低でも120円以上の目標でないと「説明がつかない」。

 もちろん、相場は変動率のみをもって解釈できるものではなく、上値の予想も変動率のみでは測れないから、あくまで1つの視点として参考程度に留めるべきだが、言いたいのはただ1つ、今の状況は米ドル高ではなく、本格的な米ドル高はむしろこれからのはずだ、ということだ。

■目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きなポイント 米ドルの頭を押さえる要素はたくさんあって、今さら枚挙に暇がないが、米ドルの変動率が抑えられているとはいえ、米ドル高・円安のトレンド自体は今年(2018年)のメイントレンドとして観察され、また維持されていることは間違いない。

 米中対立、株式市場の波乱などいろんな出来事もあったが、円はリスク回避先として評価されていない、つまり目立つ円買いのニーズが出なかったことも大きいなポイントであることを、再度強調しておきたい。

 換言すれば、米ドル高のスピードが抑えられているものの、トレンド自体は維持されており、トレンドの転換を判断するには何か確実なサインが必要で、そのようなサインの点灯なしでは米ドル高の終焉云々は主観的すぎる判断だと思う。

 さらに、米ドル全体の値動きを表すドルインデックスは、先週(11月5日~)にて2018年年初来高値の再更新を果たし、米ドル/円のこれからの追随(すなわち、2018年年初来高値の再更新)を示唆している。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 ところで、ドルインデックスの強気変動自体が…
米金利上昇→株下落→円高の可能性小。 今後は利上げで株高。ドル/円に上昇余地 ブログ

米金利上昇→株下落→円高の可能性小。 今後は利上げで株高。ドル/円に上昇余地

■市場は米ドル高、円安、株価回復と、本来の基調に 米中間選挙が終わり、マーケットは本来の基調に戻ってきた。本来の基調とは、筆者が繰り返し指摘してきたとおり、米ドル高、円安、そして株価回復の道であるが、少なくとも目先の相場の値動きが、その可能性を証左しているように見える。

 米中間選挙について、事前にいろいろな予測が出ていたが、正直、筆者はあまり信用していなかった。トランプ氏が選挙に出て以来、米政治情勢に関する予測の多くがハズレだった経緯もあって、トランプ氏の大統領選出を予測できなかった大半の専門家は、今回もうまく予測できないのではないかと思っていたからだ。

■10月の株大調整は、米中間選挙のリスクを織り込んでいた!? さらに、相場のことは相場に聞くべきというか、相場は常に将来の予測や思惑を事前に織り込む形で価格を形成していくから、同選挙の結果がどうであれ、ある程度の高い確率ですでに織り込み済みのはずだった。

 ゆえに、確かに米中間選挙自体が1つのリスク要素ではあるが、10月の株式市場の大調整は、同リスク要素をすでに織り込んでいたとみるのが適切ではないかと思った。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 案の定、共和党が下院において民主党に負けた形(過半数を確保できなかった)で米中間選挙は終わったが、マーケットの反応は前述のように、基本的には株高のほうへ進んだ。それに関していろいろ事後的な解釈が行われたが、的を射ていない論調が多かったと思う。

 米議会のねじれ構造があってもトランプ政権の運営に大した支障はもたらさないから、マーケットがそれを好感して反騰を続けた云々は、典型的な後解釈の言い方だろう。

 当然のように、仮に米国株が反騰ではなく反落していたら、今度は、「市場は米ねじれ政治を懸念、リスクオフで株が売られた」といった解釈が行われたと、容易に推測される。

 いずれにせよ、肝心なのは米政治も含め、諸リスク要素ほぼすべてを織り込んでいたからこそ、この前の株の大調整があったわけだから、よほどサプライズでショッキングな出来事がない限り、マーケットは今さら反応してくるはずがない。

 だから、米国株をはじめ、世界株式市場の回復がその後、鮮明になってきたのも理にかなう。

 もう1つ注目すべきポイントは、米利上げ見通し…
米金利上昇→株下落→円高の可能性小。 今後は利上げで株高。ドル/円に上昇余地 ブログ

米金利上昇→株下落→円高の可能性小。 今後は利上げで株高。ドル/円に上昇余地

■市場は米ドル高、円安、株価回復と、本来の基調に 米中間選挙が終わり、マーケットは本来の基調に戻ってきた。本来の基調とは、筆者が繰り返し指摘してきたとおり、米ドル高、円安、そして株価回復の道であるが、少なくとも目先の相場の値動きが、その可能性を証左しているように見える。

 米中間選挙について、事前にいろいろな予測が出ていたが、正直、筆者はあまり信用していなかった。トランプ氏が選挙に出て以来、米政治情勢に関する予測の多くがハズレだった経緯もあって、トランプ氏の大統領選出を予測できなかった大半の専門家は、今回もうまく予測できないのではないかと思っていたからだ。

■10月の株大調整は、米中間選挙のリスクを織り込んでいた!? さらに、相場のことは相場に聞くべきというか、相場は常に将来の予測や思惑を事前に織り込む形で価格を形成していくから、同選挙の結果がどうであれ、ある程度の高い確率ですでに織り込み済みのはずだった。

 ゆえに、確かに米中間選挙自体が1つのリスク要素ではあるが、10月の株式市場の大調整は、同リスク要素をすでに織り込んでいたとみるのが適切ではないかと思った。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 案の定、共和党が下院において民主党に負けた形(過半数を確保できなかった)で米中間選挙は終わったが、マーケットの反応は前述のように、基本的には株高のほうへ進んだ。それに関していろいろ事後的な解釈が行われたが、的を射ていない論調が多かったと思う。

 米議会のねじれ構造があってもトランプ政権の運営に大した支障はもたらさないから、マーケットがそれを好感して反騰を続けた云々は、典型的な後解釈の言い方だろう。

 当然のように、仮に米国株が反騰ではなく反落していたら、今度は、「市場は米ねじれ政治を懸念、リスクオフで株が売られた」といった解釈が行われたと、容易に推測される。

 いずれにせよ、肝心なのは米政治も含め、諸リスク要素ほぼすべてを織り込んでいたからこそ、この前の株の大調整があったわけだから、よほどサプライズでショッキングな出来事がない限り、マーケットは今さら反応してくるはずがない。

 だから、米国株をはじめ、世界株式市場の回復がその後、鮮明になってきたのも理にかなう。

 もう1つ注目すべきポイントは、米利上げ見通し…
日米株はもう最悪の市況をすぎた。 ドル/円は2018年年内に115円超えの上昇も ブログ

日米株はもう最悪の市況をすぎた。 ドル/円は2018年年内に115円超えの上昇も

■スピード調整はあるものの、米ドル高トレンドはまだ続く 筆者が繰り返し指摘してきたとおり、ドルインデックスは昨日(11月1日)大幅反落したものの、いったん2018年8月高値をブレイクし、2018年年初来高値を更新した。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル高のトレンドは、昨日(11月1日)の反落のように、途中のスピード調整は避けられないものの、基本的にはこれからも維持され、メインシナリオである2016年の高値更新をめざしていくだろう。

■ユーロ/米ドルは2019年にパリティも!? 同じ視点では、ユーロ/米ドルは昨日(11月1日)反騰し、いったんは2018年年初来安値更新を回避したものの、早晩安値を割りこみ、1.1ドルの節目にトライしていくだろう。

ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 前述のドルインデックスのメインシナリオが正しければ、来年(2019年)はユーロ/米ドルのパリティ達成も視野に入る。

■ポンド/ドルのリバウンドの陰にユーロ/ポンドの大幅反落あり ユーロ以外の主要外貨は、やはり米ドルのみでなく、ユーロとの関係も重要になってくる。

 英ポンドはその典型で、英ポンド/米ドルの値動きは、ユーロ/英ポンドの影響をかなり受けて形成されると言っても過言ではないから、一昨日(10月31日)からのユーロ/英ポンドの大幅反落があったからこそ、英ポンド/米ドルも大きくリバウンドしてきたわけだ。

ユーロ/英ポンド 日足  

(出所:Bloomberg)

英ポンド/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 ここで注意していただきたいのは、EU(欧州連合)離脱に関するゴタゴタや報道の二転三転が、かなり市況を左右してきたので、完全に決着するまで油断できない上、また大きな波乱を覚悟すべきである、ということだ。

 ゆえに、米ドル全面高のメイントレンドが想定される以上、英ポンドの大きな切り返しがあっても、対ユーロの強気変動があっても、対米ドルのブル(上昇)トレンドは想定されにくく、途中大きなリバウンドがあっても早晩、再度頭打ちとなり、またベア(下落)トレンドへ復帰するだろう。

 ユーロ/米ドルにだいぶ遅れる可能性が大きいものの、英ポンド/米ドルも早晩、2018年年内安値を更新していくだろう。

■豪ドル/米ドルが底打ちしたという判断は性急 豪ドル/米ドルも然り。今年(2018年)2月から、豪ドルは対ユーロでは一貫したベアトレンドを維持してきたが、先月(10月)半ばから売られすぎの反動で対ユーロでの反発がみられ、今週(10月29日~)は大きく反騰してきた。

 したがって、10月26日(金)に豪ドル/米ドルはいったん安値を更新したものの、当日高く大引けし、また昨日(11月1日)、大きく反騰してきたのも整合性を持つ値動きであるとみる。

豪ドル/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 先ほどと同じロジックでは、このような一時的な大きな反騰があっても、底打ちが図られたという判断は性急であろう。

 豪ドル/米ドルのベアトレンドは、4月高値からほぼ一本調子に進んできただけに、近々大きなリバウンドがあってもおかしくないが、それはあくまでスピード調整と見なしたほうが無難だ。

 また、大きなスピード調整があるからこそ、その後は「身軽」になり、早晩2016年安値0.6827ドルの打診につながるだろう。

 一方、ドルインデックスにおけるスピード調整は…
日米株はもう最悪の市況をすぎた。 ドル/円は2018年年内に115円超えの上昇も ブログ

日米株はもう最悪の市況をすぎた。 ドル/円は2018年年内に115円超えの上昇も

■スピード調整はあるものの、米ドル高トレンドはまだ続く 筆者が繰り返し指摘してきたとおり、ドルインデックスは昨日(11月1日)大幅反落したものの、いったん2018年8月高値をブレイクし、2018年年初来高値を更新した。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル高のトレンドは、昨日(11月1日)の反落のように、途中のスピード調整は避けられないものの、基本的にはこれからも維持され、メインシナリオである2016年の高値更新をめざしていくだろう。

■ユーロ/米ドルは2019年にパリティも!? 同じ視点では、ユーロ/米ドルは昨日(11月1日)反騰し、いったんは2018年年初来安値更新を回避したものの、早晩安値を割りこみ、1.1ドルの節目にトライしていくだろう。

ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 前述のドルインデックスのメインシナリオが正しければ、来年(2019年)はユーロ/米ドルのパリティ達成も視野に入る。

■ポンド/ドルのリバウンドの陰にユーロ/ポンドの大幅反落あり ユーロ以外の主要外貨は、やはり米ドルのみでなく、ユーロとの関係も重要になってくる。

 英ポンドはその典型で、英ポンド/米ドルの値動きは、ユーロ/英ポンドの影響をかなり受けて形成されると言っても過言ではないから、一昨日(10月31日)からのユーロ/英ポンドの大幅反落があったからこそ、英ポンド/米ドルも大きくリバウンドしてきたわけだ。

ユーロ/英ポンド 日足  

(出所:Bloomberg)

英ポンド/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 ここで注意していただきたいのは、EU(欧州連合)離脱に関するゴタゴタや報道の二転三転が、かなり市況を左右してきたので、完全に決着するまで油断できない上、また大きな波乱を覚悟すべきである、ということだ。

 ゆえに、米ドル全面高のメイントレンドが想定される以上、英ポンドの大きな切り返しがあっても、対ユーロの強気変動があっても、対米ドルのブル(上昇)トレンドは想定されにくく、途中大きなリバウンドがあっても早晩、再度頭打ちとなり、またベア(下落)トレンドへ復帰するだろう。

 ユーロ/米ドルにだいぶ遅れる可能性が大きいものの、英ポンド/米ドルも早晩、2018年年内安値を更新していくだろう。

■豪ドル/米ドルが底打ちしたという判断は性急 豪ドル/米ドルも然り。今年(2018年)2月から、豪ドルは対ユーロでは一貫したベアトレンドを維持してきたが、先月(10月)半ばから売られすぎの反動で対ユーロでの反発がみられ、今週(10月29日~)は大きく反騰してきた。

 したがって、10月26日(金)に豪ドル/米ドルはいったん安値を更新したものの、当日高く大引けし、また昨日(11月1日)、大きく反騰してきたのも整合性を持つ値動きであるとみる。

豪ドル/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 先ほどと同じロジックでは、このような一時的な大きな反騰があっても、底打ちが図られたという判断は性急であろう。

 豪ドル/米ドルのベアトレンドは、4月高値からほぼ一本調子に進んできただけに、近々大きなリバウンドがあってもおかしくないが、それはあくまでスピード調整と見なしたほうが無難だ。

 また、大きなスピード調整があるからこそ、その後は「身軽」になり、早晩2016年安値0.6827ドルの打診につながるだろう。

 一方、ドルインデックスにおけるスピード調整は…
日経平均の下落に米ドル/円が連動しない 異常事態! 「間違った動き」はどっち? ブログ

日経平均の下落に米ドル/円が連動しない 異常事態! 「間違った動き」はどっち?

■株と米ドル/円の連動性がまったくみられない異常事態 株は最悪で、為替は知らん顔、冗談ではないかと言いたくなるような相場が続いている。なにしろ、米国株は2018年年初来上昇幅をすべて帳消し、日経平均は一時、2万1000円の大台割れまで来ているが、米ドル/円は執筆中の現時点で、なお112円の節目をキープしている。

日経平均(ローソク足)VS米ドル/円(ライン) 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均は10月2日(火)に2万4448円の高値を付けてから、すでに3400円以上の下落幅を記録。これは、2018年1月23日(火)~2月14日(水)の下落幅を超えている。

 同時期(1月23日~2月14日前後)における米ドル/円の下落幅を見てみると、6円近かったので、その時は連動性があったと言える。しかし、今回の米ドル/円は10月4日(木)高値114.56円から10月15日(月)安値111.62円までの値幅が約3円足らずだ。

 そして、日経平均は10月15日(月)終値2万2271円から、さらに1300円の下落を達成したのに対して、米ドル/円は執筆中の現時点において、10月15日(月)終値の111.78円より高い水準をキープしている。

 米株安に追随する形の日経平均の下落は「規則正しい」とされるが、米ドル/円と日経平均の連動性がまったくみられなくなってきたことは「異常」としか言えない。

■伝統的なリスク回避先通貨、スイスフランの異常さは円以上 「異常」とまで言い切れるのは、米ドル/円だけでなく、同じく伝統的なリスク回避先として評価されてきたスイスフランも然り。

 米ドル/スイスフランの日足を見ればわかるように、世界株式市場の大幅下落が続いているにもかかわらず、スイスフランは9月21日(金)安値からほぼ一貫して売られ、現在、2018年7月安値に逆戻りしようとしているかに見える。

米ドル/スイスフラン 日足(出所:Bloomberg)

 世界の株式の大幅安でリスクオフなら、スイスフランは円と同じく買われるはずだったが、足元を含め、完全に「逆行」しているように見える。この意味では、スイスフランの「異常さ」は円以上と言える。

 前回のコラムでも強調したように、株式市場と為替市場のパフォーマンスの乖離は、まったく意味がない、もしくは偶然ではないなら(基本的には偶然と言うことはあり得ない)、株か為替のどちらかが「間違った」動きであるはずだ。

【参考記事】

●日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?(2018年10月26日、陳満咲杜)

 株式市場で大幅安の進行があったにもかかわらず、為替市場にリスクオフの動きがもたらされていないなら、そもそも株式市場の方が「異常」なのではないかと疑われる。

 アルゴリズムやら、AIやら、機関投資家の…
日経平均の下落に米ドル/円が連動しない 異常事態! 「間違った動き」はどっち? ブログ

日経平均の下落に米ドル/円が連動しない 異常事態! 「間違った動き」はどっち?

■株と米ドル/円の連動性がまったくみられない異常事態 株は最悪で、為替は知らん顔、冗談ではないかと言いたくなるような相場が続いている。なにしろ、米国株は2018年年初来上昇幅をすべて帳消し、日経平均は一時、2万1000円の大台割れまで来ているが、米ドル/円は執筆中の現時点で、なお112円の節目をキープしている。

日経平均(ローソク足)VS米ドル/円(ライン) 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均は10月2日(火)に2万4448円の高値を付けてから、すでに3400円以上の下落幅を記録。これは、2018年1月23日(火)~2月14日(水)の下落幅を超えている。

 同時期(1月23日~2月14日前後)における米ドル/円の下落幅を見てみると、6円近かったので、その時は連動性があったと言える。しかし、今回の米ドル/円は10月4日(木)高値114.56円から10月15日(月)安値111.62円までの値幅が約3円足らずだ。

 そして、日経平均は10月15日(月)終値2万2271円から、さらに1300円の下落を達成したのに対して、米ドル/円は執筆中の現時点において、10月15日(月)終値の111.78円より高い水準をキープしている。

 米株安に追随する形の日経平均の下落は「規則正しい」とされるが、米ドル/円と日経平均の連動性がまったくみられなくなってきたことは「異常」としか言えない。

■伝統的なリスク回避先通貨、スイスフランの異常さは円以上 「異常」とまで言い切れるのは、米ドル/円だけでなく、同じく伝統的なリスク回避先として評価されてきたスイスフランも然り。

 米ドル/スイスフランの日足を見ればわかるように、世界株式市場の大幅下落が続いているにもかかわらず、スイスフランは9月21日(金)安値からほぼ一貫して売られ、現在、2018年7月安値に逆戻りしようとしているかに見える。

米ドル/スイスフラン 日足(出所:Bloomberg)

 世界の株式の大幅安でリスクオフなら、スイスフランは円と同じく買われるはずだったが、足元を含め、完全に「逆行」しているように見える。この意味では、スイスフランの「異常さ」は円以上と言える。

 前回のコラムでも強調したように、株式市場と為替市場のパフォーマンスの乖離は、まったく意味がない、もしくは偶然ではないなら(基本的には偶然と言うことはあり得ない)、株か為替のどちらかが「間違った」動きであるはずだ。

【参考記事】

●日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?(2018年10月26日、陳満咲杜)

 株式市場で大幅安の進行があったにもかかわらず、為替市場にリスクオフの動きがもたらされていないなら、そもそも株式市場の方が「異常」なのではないかと疑われる。

 アルゴリズムやら、AIやら、機関投資家の…
日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも 米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか? ブログ

日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも 米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?

■中国市場悪化も、日米株のスピード調整は終盤戦突入か 中国株や中国人民元は、昨日(10月18日)、また安値を更新し、市場センチメントを再び悪化させた。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 したがって、昨日(10月18日)の米国株や日経平均の反落を中国市場のセンチメント悪化の一環と見なしても、大した間違いではなかろう。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 ところで、前回のコラムでも指摘したように、そもそも今月(10月)以降の株式市場の大幅調整は、本格的なリスクオフというよりもスピード調整の側面が大きいから、米国株や日本株自体のブル(上昇)基調は、なお維持されている。

【参考記事】

●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)

 NYダウは、10月11日(木)安値をもっていったん底を打ち、また、200日移動平均(200日線)をキープしているところがその最大の証拠となる。そして、中国株の動向に左右されやすい日経平均についても200日線を巡る攻防が続き、2万2000円の大台を守れている限り、「底割れ」の状況ではないと思われるから、スピード調整も終盤戦に入りつつあるかと思う。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 リスクオフかどうかの判断は決して容易ではないが、為替市場との連動性で考える場合は、やはり、円とスイスフランが全面高になったかどうか、また、伝統的なリスク回避先とされる商品の金(ゴールド)が買われるかどうかがひとつのバロメーターだと言える。

 そして、昨日(10月18日)を含め、10月以降、株式市場の波乱があっても、リスク回避先通貨や商品の値動きは限定的だったので、前回のコラムで行った判断が維持されるわけだ。

【参考記事】

●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(2018年10月12日、陳満咲杜)

■クロス円の重い動きはリスクオフではなく米ドル全面高の結果 一方、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは頭が重く、続落の市況となっている。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 これをリスクオフの前兆と捉える向きもあるが、詳細に見てみると、リスクオフより米ドル全面高の結果ではないか、という見方が浮上する。

 換言すれば、外貨安による受動的な円高が大きな背景となり、円全面高の状況とはほど遠い。

 ドルインデックスは95後半にトライし、今月(10月)高値の更新を果たしていくだろう。この場合、9月安値を「ヘッド」とした「逆三尊(※)」というフォーメーションの成立につながり、また、同フォーメーションの成立でドルインデックスは2018年年初来高値の更新を果たす見込みだ。

(※編集部注:「逆三尊」はチャートのパターンの1つで、「三尊型」と反対に、底を示す典型的な形とされている)

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

  この見方は米ドルの対極として位置づけされるユーロ/米ドルで…