陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

一本調子のトレンド加速は想定しにくいが、 円高のピークは過ぎた! その根拠とは? ブログ

一本調子のトレンド加速は想定しにくいが、 円高のピークは過ぎた! その根拠とは?

■クロス円の上昇が米ドル/円の切り返しを一段と強化? 米ドル/円は切り返しの高値を更新している。執筆中の現時点の高値は111.78円と確認され、前回本コラムで強調した2点が証左された。

【参考記事】

●米ドル高構造再確認! 米経済指標が悪化しても、なぜ米ドルは大きく売られなかった?(2019年2月22日、陳満咲杜)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 1つは「米ドル全体の高値保ち合いは、米ドル/円にとって『居心地がいい』環境であることを示唆している」こと。

 もう1つは「米ドル/円はいったん200日移動平均線(200日線、≒111.30円)にトライし、また一時にせよ、いったんブレイクを果たす余地がある」ことである。

 一方、米ドル全体は、想定より保ち合いの期間が長くなり、また、英ポンドなど外貨の切り返しが、対米ドルでは想定以上の強さを示しているから、英ポンド/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇は米ドル/円の切り返しを一段と強化する可能性もある。

 この意味では、米ドル/円が200日線以上を維持する期間も想定以上に長くなる、といった可能性を無視できないかと思う。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 というのは、米ドル/円を含め、英ポンド/円、ユーロ/円など主要クロス円は軒並み昨年(2018年)年末高値を更新し、2019年年初のフラッシュ・クラッシュを完全に「否定」したと言える。

 繰り返し指摘してきたように、2019年年初のクラッシュ自体があくまで仕掛けられた結果にすぎないから、「正当化」できない以上、修正されるのも当然の結果とみる。

■円高のピークはすでに過ぎたと、改めて強調しておきたい ところで、2019年年初のフラッシュ・クラッシュが、より重要なサインを点灯したこと、また、ここまで進んできた円反落の本質を理解しないと、これからのメイントレンドを見間違う恐れがあるだろう。

 まず、一貫して強調してきた結論でもあるが、円高のピークはすでに過ぎたことを再度強調しておきたい。

 ロジック的には、最近日銀サイドから発信されている「緩和継続」論はもちろん、2月1日(金)の本コラムで指摘したように、そもそも「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも円高」というロジックは間違っていることが証明されたかと思う。

 換言すれば、米利上げ停止=円高といったロジック自体が短絡的であった。

【参考記事】

●「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも円高」というのはロジック的に矛盾している?(2019年2月1日、陳満咲杜)

■年初のフラッシュ・クラッシュは相場の底打ちを暗示していた テクニカル的な視点では、1月11日(金)の本コラムで強調したように、円高方向への急伸は、あくまで「事故にあった結果」であったが、その「事故」自体が重要なサインを点灯してくれていた。

 それはほかならぬ、同コラムにて指摘したように、2019年年初の急落は、2016年6月のBrexit時と似たような足型を形成し、相場の底打ちを暗示するサインであったということだ。

【参考記事】

●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(2019年1月11日、陳満咲杜)

 より重要で、またよりマクロ的な視点では、1月11日(金)のコラムで強調した、サイクル的な見方だ。

 2月の陽線引けがあったからこそ、1月のローソク足の「スパイクロー」のサインが一段と鮮明化され、また、サイクル的に2015年高値を起点とした大型トライアングル型保ち合いを終焉させた可能性を強化したと言える。

ドルインデックス 月足  (出所:FXブロードネット)

 詳細に関しては、1月11(金)のコラムに開示したレポートをご参照いただきたい。

【参考記事】

●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(2019年1月11日、陳満咲杜)

 次に、やはり最近、強気変動が続いている英ポンドから…
米ドル高構造再確認! 米経済指標が悪化 しても、なぜ米ドルは大きく売られなかった? ブログ

米ドル高構造再確認! 米経済指標が悪化 しても、なぜ米ドルは大きく売られなかった?

■為替市場は総じて米ドル高の基調を維持 為替市場は保ち合いを繰り返しながら、総じて米ドル高の基調を保っている。

 テクニカルの視点で見ると、ドルインデックスが96付近のサポートゾーンを維持しているところは大きく、ブル(上昇)基調の継続が有力視される。

ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)

 ドルインデックスは昨年(2018年)年末高値に迫る状況にあった。ドルインデックスは2月15日(金)高値97.23からすでに調整してきているが、こういった調整自体をブルトレンドにおけるスピード調整の一環と見なせば、むしろ、この調整はこれから昨年(2018年)高値にトライする値動きを、より健全化させる側面が大きい。

 米ドル高の内部構造を検証するイベントとして、2019年1月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)は最も重要であった。

 既述のとおり、FRB(米連邦準備制度理事会)のハト派スタンス表明があったにもかかわらず、ドルインデックスが200日移動平均線(200日線)のサポートを再確認してから上昇してきたのが、大きなヒントであった。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 1月24日(木)高値96.37が、それ以前の戻り高値だったが、そのレベルのブレイクも確認されたことが、米ドル高の基調をより鮮明化させたとみる。

■FOMC議事録は「思ったほどハト派ではない」? 同じ理屈で2月20日(水)に公表された1月29日(火)~30日(水)のFOMC議事録も、重要なヒントをくれたと思う。

 前述のように、ドルインデックスは96の節目を守り、昨日(21日)陽線で大引けしたから、上昇途中の調整はすでに完了した公算が高い。

 なぜなら、同議事録をもってFRBはバランスシート縮小終了に関する計画を近いうちに公表する方針を示し、「忍耐強い」とされる金利水準のキープ期間に関する論議が行われたことを明らかにしており、同議事録はFRBのハト派スタンスを証左する内容ではあったが、市場の値動きに照らして考えると、どちらかというと、「FRBは​思ったほどハト派ではない」といった認識が市場では形成されつつあると思うからだ。このような反応パターンは1月末のFOMC後と似ているようにみえる。

 いつものように、市場関係者の同議事録に関する見方はわかれるところだ。全方位型のハトであることが繰り返されたとみる向きもあれば、不透明な期間を通過すれば、次は利上げだとみる向きもある。総合的にみれば、「思ったほどハト派ではない」といった思惑が強くなり、一時浮上した「次は利下げ」という思惑が後退したと思う。

■経済指標の悪化も米ドル売りにはつながらなかった ゆえに、米経済指標の結果が芳しくなくても、米ドル全体が一段と反落することはなかった。耐久財受注、中古住宅販売件数など指標は軒並み市場予想に届かず、特に2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数はマイナス4.1と、2016年5月以来のマイナス圏に沈み、また、市場予想のプラス14の数値と大きく開きがあったが、それは米ドル売りにはつながらなかった。

 あとを追う形での米経済指標の悪化は、FRBの慎重姿勢を証左する内容としてむしろ受け入れやすいといった解釈もあるが、大事なのは相場の反応だ。前述のように、ドルインデックスは96の節目や96前半を守り、持ち直しているところが最大のヒントであるとみれば、やはり米ドル高の基調は崩れず、これからも継続される公算は高い。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 ところで、前回の本コラムにおいても強調したように…
米ドル高は新たなステージに入りそうだが、 ドルインデックスの強気で米ドル/円頭打ち!? ブログ

米ドル高は新たなステージに入りそうだが、 ドルインデックスの強気で米ドル/円頭打ち!?

■米ドル/円の頭打ちはシナリオどおり? 昨日(2月14日)、米ドル/円は111.13円の高値にトライしてから反落した。日足では一昨日(13日)の値幅をほぼ帳消しし、切り返しの頭打ちを暗示していると取れる。

米ドル/円 日足(出所:Bloombeg)

 昨日(2月14日)の200日移動平均線(200日線)は、約111.28円を示していたから、仮にここから反落が続く場合でも前回指摘したシナリオの許容範囲内ではないかと思う。

【参考記事】

●「ダマシ」の本質を理解して、「理外の理」を利用せよ! より確実なトレードができる!(2019年2月12日、陳満咲杜)

 というのは、前回のコラムでも強調したように、「米ドル/円は早晩頭打ちとなり、また、再度反落して『二番底』を形成していく」というメインシナリオにはある程度の修正があるものの、基本的にはこのシナリオがなお維持されると考えていたため、ここから反落していくのはむしろシナリオの想定どおりと言える。

■ドルインデックスの値動きを確認 もっとも、米ドル/円の頭打ちは、ドルインデックスの強気変動と高い関連性を有するから、米ドル全体の状況をまず確認しておきたい。

 米ドル全体は強い。その理屈に関して、後解釈が氾濫する中、FRB(米連邦準備制度理事会)の軌道修正があったにもかかわらず、米ドル高であること自体がいわゆる「理外の理」なので、それ自体が立派な理由であり、また、相場の内部構造の表れである。

 前回の本コラムで述べたとおり、トレーダーなら理屈云々より、相場が発した真のシグナルを見逃さず、徹底的にフォローしていくべきだ。

【参考記事】

●「ダマシ」の本質を理解して、「理外の理」を利用せよ! より確実なトレードができる!(2019年2月12日、陳満咲杜)

 ドルインデックスの日足に照らして考えると、米ドル高の進行が一段と強化されたことに気づくだろう。

 1月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、200日線の支えを確認してから、ドルインデックスは2月11日(月)まで「8連陽」を達成し、かつ1月24日(木)高値をブレイクした。

ドルインデックス 日足

(出所:TradingViewによるDXY指数チャート)

 1月24日(木)は、それ以前の戻り高値だった上、翌日1月25日(金)の大陰線の形成で「ダマシ」的なサインを点灯していたから、同日高値の再更新自体が新たな強気のサインと読みとれる。

 一方、「8連陽」だったので、まずスピード調整があっても当然とみられ、2月12日(火)の反落や陰線引けも当然の成り行きと思われ、調整が一段と進んでもおかしくなかった。

 しかし、13日(水)にて、いったん12日(火)の安値を割り込んでから大きく反騰し、大陽線をもって切り返しの高値を再更新、「強気リバーサル」のサインを点灯、1月24日(木)高値が示した元のレジスタンスラインは一転して重要なサポートの役割を果たしたことを証左した。

 この見方が正しければ、米ドル高は新たなステージに入り、ここから昨年(2018年)高値のトライまたブレイクにつながるだろう。

 何回も強調してきたように、米ドル高の進行は、巷の常識に反し、いわゆる「理外の理」を示しているからこそ、その値動きや構造はホンモノである公算が高いと思われるわけだ。

 ところで、ドルインデックスが強気構造だからこそ…
「ダマシ」の本質を理解して、「理外の理」を 利用せよ! より確実なトレードができる! ブログ

「ダマシ」の本質を理解して、「理外の理」を 利用せよ! より確実なトレードができる!

■米ドル/円はフラッシュ・クラッシュから切り返して高値更新 相場は理外の理。2019年1月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、米ドル全体はむしろ一貫して買われ、ユーロなど主要外貨に対してはもちろん、対円でさえ2019年年初のフラッシュ・クラッシュから切り返して高値を更新し、110円台後半を打診しようとしている。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 1月のFOMCでは、FRB(米連邦準備制度理事会)の軌道修正が表明されたと思われ、米ドル高派の筆者でさえ、米ドルは円に対していったん反落してくるだろうと思っていた。

 その上、日本の連休があった場合は仕掛け的な円高になりやすい、といった思惑も多かった。ところが、昨日(2月11日)の建国記念日においては、むしろ円安が加速し、市場関係者の多くは見事に意表を突かれた。

 ドルインデックスの日足に照らして考えると、1月末のFOMCを受け、一時、200日移動平均線を下回ったものの、たちまち回復して右肩上がりの転換が続き、昨日(2月11日)までほぼ「八連陽」を達成した。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 1月24日(木)高値のブレイクもあって、すっかりブル(上昇)基調に復帰し、目先ややオーバーボート感があるものの、これから昨年(2018年)高値を再打診、またブレイクしていく様相を呈していると受けとめられる。

■消去法で米ドル買いという見方が主流だが… ハト派スタンスに転換したとされるFRBの政策修正があったにもかかわらず、なぜ米ドル全面高が継続してきたかについて、いろいろな解釈が行われている。米経済指標の好調がなお確認されている中、諸外貨の方が「内部事情」が芳しくなく、消去法で米ドルが買われているという見方が、目先主流のようだ。

 ドイツも含め、ユーロ圏は成長率の低下、英国はEU(欧州連合)離脱問題、豪州は利上げの見送り、ニュージーランドは利下げの可能性、そして日本に至っては日銀追加緩和のうわさ、といった材料が持ち上がり、米ドル高の理由として語られているが、正解かどうかと関係なく、そのすべては後解釈であることを指摘しておきたい。

■FOMC声明について重要なポイント2点をおさらい もっとも、前回のコラムでも指摘させていただいたように、FRBのスタンスやFOMC声明について、以下の2点は重要なポイントであった。

 まず、声明文は非常にあいまいな文言で書かれ、市場との認識ギャップが今後浮上してもおかしくないこと。

 次に、相場のことは相場に聞くべきで、解釈者の見方や市場のコンセンサスも相場の進行によって変わってくる可能性が大きいということである。

【引用元の記事】

●「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも円高」というのはロジック的に矛盾している?(2019年2月1日、陳満咲杜)

 足元豹変した市場の見方や解釈は、見事にこの2つのポイントを証左しているのではないだろうか。詰まるところ、FOMC後に米ドル高になったから、後解釈が行われただけの話で、そのロジックについて突っ込んで考える必要性はさほどないと思う。

 ところで、相場の理は常に「理外の理」とは…
「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも 円高」というのはロジック的に矛盾している? ブログ

「米利上げ継続でも円高、米利上げ停止でも 円高」というのはロジック的に矛盾している?

■ハト派だったFOMC声明文について、注意すべき2点 1月30日(日本時間1月31日未明)にリリースされたFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文に驚いた市場関係者は多いだろう。

 なにしろ、利上げ打ち止めの可能性を示唆した上、バランスシートの縮小ペースを落とすどころか、FRB(米連邦準備制度理事会)の資産拡大の可能性すら示唆する内容だったから、相場はたちまちそれに反応した。株高・米ドル安につながったのも、当然の結果と受け止める。

NYダウ 1時間足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 1時間足(出所:Bloomberg)

 「FRB議長はトランプ大統領の意向を『忖度』した」だとか、「市場に降伏した決定だ」とかいろいろ言われ、また、解釈されているが、注意しなければならないのは以下の2点ではないかと思う。

 まず、声明文は非常にあいまいな文言で書かれ、市場との認識ギャップが今後浮上してもおかしくないこと。

 次に、相場のことは相場に聞くべきで、解釈者の見方や市場のコンセンサスも相場の進行によって変わってくる可能性が大きいということである。

 要するに、今回のFOMCのハト派スタンスが、どれぐらい市場の構造に大きな影響を与えるかは、今すぐ判定しにくく、また、今すぐ断定しないほうがよさそうだ。

■米利上げ継続でも停止でも円高というのはロジック的に矛盾 今回の決定で株高・米ドル安が続くと言うなら、株高自体はリスクオンの表れなので、少なくとも円高の根拠としては語れない。

 換言すれば、ロジック的に首尾一貫していなければ、解釈にしても見通しにしても、FRBのスタンスはあくまで後付けの材料として利用される可能性が大きい。

 米ドル/円に限定して言えば、利上げ継続の場合は、株を押し下げるから円高になりやすいと解釈される一方で、利上げ停止の観測が出れば、今度は利上げ停止自体がもっぱら米ドル安、すなわち円高の根拠として語られるというのは、ロジック的に矛盾がある。

■株が上昇相場に復帰すれば、市場の解釈もまた変わる 株の場合も然り。昨年(2018年)、日米株はともに10月にていったん高値更新、その後急落し、また、2019年年初から切り返してきた。その間、FRBの政策やスタンスに関する市場の見方や見通しがいろいろと浮上し、また、市場コンセンサスも二転三転してきた。それらはロジック的に一貫しているとはとても言えず、どちらかというと、相場の後を追う後解釈そのものだった。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 実際、2019年年初から切り返してきた日米株は、現時点でなおブル(上昇)基調を回復していないから、今回、市場関係者にとってかなりサプライズだったFRBの「思い切ったハト派」スタンスの表明があっても、「株高が続く、日米株はこれから高値更新していく」といった強気の声は逆にあまり聞こえてこない。

 むしろ、「世界の景気減速はこれから鮮明になってくるから、FRBのハト派スタンスへの転換は景気減速への対応だろう」というふうに語られることが多い。

 もちろん、こういったロジック自体、間違っているとは言えない。どちらかというと正統派の考え方だと認めるが、重要なポイントは、目下、株式市場自体がブルトレンドに復帰していないということだと忘れないでいただきたい。

 言い換えれば、株式市場がブルトレンドにあるなら、これから高値更新していくだろうという見通しも当然のように多くなり、また、FRBのハト派スタンスも当然のように株高の根拠として解釈されるだろう。

 重要なのは市場自体であり、FRBのスタンスに対する解釈や市場のコンセンサスではないことを認識していただきたい。

 為替市場への影響については、今回のFOMCを受け…
市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか? ブログ

市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか?

■英ポンドの一段高もテクニカル的には当然の結果 先週(1月18日)のコラムで、英ポンド高のワケを市場自体のサインをもって解釈したが、今週(1月21日~)の英ポンドの一段高も想定内で、ロジック的には当然の結果とみる。

 前回(1月18日)のコラムでも指摘したように、プライスアクションの視点では、先週(1月14日~)のチャートは2018年~2019年の年末年始の週足と同様、強気「アウトサイド」または「リバーサル」のサインを点灯していたから、今週(1月21日~)の続伸がもたらされたと解釈できる。

【参考記事】

●EU離脱案が歴史的大差で否決されたのになぜ、英ポンドは上昇しているのか?(2019年1月18日、陳満咲杜)

英ポンド/米ドル 週足(出所:FXブロードネット)

 この意味では、強調してきたように、2018年年末~2019年年始のサインを重視すれば、英議会によるメイ英首相のEU(欧州連合)離脱案の否決で、逆に英ポンドが買われたことに大したサプライズを受けずに、流れに乗れただろう。要するに、相場のことは相場に聞くべきである。

■想定外の英ポンド高は「リスクオフムードの行きすぎ」を示唆 テクニカルの意味合いはここまでだが、巷の「常識」、また、市場の「コンセンサス」に反した今回の英ポンド高は、より大きな示唆を与えてくれていると思う。

 それはほかならぬ、「市場におけるリスクオフのムードが行きすぎであった」ということだ。今回の英ポンド高はこれを暗示していたと読みとれるのではないかと思う。

 昨年(2018年)10月以降の株式市場の総崩れは、米中貿易戦争など多くのリスク要素がもたらした結果と解釈されるが、その正誤はともかく、すでに浮上したリスク要素やこれから浮上し得るリスク要素を株価はもう十分織り込んでいたのではないかと思われる。

 過度な弱気は強気の始まりとも言えるから、多くの市場関係者にとって「想定外」の英ポンド高は、こういった市場センチメントの転換の始まりを示唆しているのではないと思う。

 つまるところ、確かにこれからの市況は、英EU離脱や米中貿易戦争の行方によってまた大きく左右される可能性が大きいが、マーケットはすでに最悪の結果を想定して値段を形成していたから、その織り込みで値動き自体は「行きすぎ」だった可能性が大きい。ゆえに、株安・円高のピークは、すでに過ぎたのではないかとみる。

 そもそも、為替市場における2019年年初早々のフラッシュ・クラッシュは、投機筋による仕掛け的な側面が大きかったから、その値動きのすべてをリスクオフの流れとして解釈するのも限界がある。

 日経平均の値動きでおわかりいただけるように、フラッシュ・クラッシュで形成された一時の「超円高」は、日経平均を押し下げたものの、それはかなり限定的なものだった。目先みられる米ドル/円と株価の修正(リバウンド)は、過度な弱気心理自体の修正と言える上に、日経平均の下げが限定的だったことは為替市場の値動き自体があくまで一時の行きすぎだったことを証左していると思う。

■2019年年始の「スパイクロー」が円高のクライマックス このロジックで考えると、米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くで、2019年年始に形成された「スパイクロー」(下ひげ風のローソク足)が円高のクライマックスと考えられ、目先まで続く反騰はむしろ当然の成り行きと受け止める。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 この意味では、リバウンド自体が一気に進み、円安トレンドへ早期回復するとは思わないものの、行きすぎた円高への修正という視点では、目先続く米ドル/円のリバウンド自体は「正当化」できる値動きだと思う。

 当然のように、主要クロス円の中では、英ポンド/円の…
市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか? ブログ

市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか?

■英ポンドの一段高もテクニカル的には当然の結果 先週(1月18日)のコラムで、英ポンド高のワケを市場自体のサインをもって解釈したが、今週(1月21日~)の英ポンドの一段高も想定内で、ロジック的には当然の結果とみる。

 前回(1月18日)のコラムでも指摘したように、プライスアクションの視点では、先週(1月14日~)のチャートは2018年~2019年の年末年始の週足と同様、強気「アウトサイド」または「リバーサル」のサインを点灯していたから、今週(1月21日~)の続伸がもたらされたと解釈できる。

【参考記事】

●EU離脱案が歴史的大差で否決されたのになぜ、英ポンドは上昇しているのか?(2019年1月18日、陳満咲杜)

英ポンド/米ドル 週足(出所:FXブロードネット)

 この意味では、強調してきたように、2018年年末~2019年年始のサインを重視すれば、英議会によるメイ英首相のEU(欧州連合)離脱案の否決で、逆に英ポンドが買われたことに大したサプライズを受けずに、流れに乗れただろう。要するに、相場のことは相場に聞くべきである。

■想定外の英ポンド高は「リスクオフムードの行きすぎ」を示唆 テクニカルの意味合いはここまでだが、巷の「常識」、また、市場の「コンセンサス」に反した今回の英ポンド高は、より大きな示唆を与えてくれていると思う。

 それはほかならぬ、「市場におけるリスクオフのムードが行きすぎであった」ということだ。今回の英ポンド高はこれを暗示していたと読みとれるのではないかと思う。

 昨年(2018年)10月以降の株式市場の総崩れは、米中貿易戦争など多くのリスク要素がもたらした結果と解釈されるが、その正誤はともかく、すでに浮上したリスク要素やこれから浮上し得るリスク要素を株価はもう十分織り込んでいたのではないかと思われる。

 過度な弱気は強気の始まりとも言えるから、多くの市場関係者にとって「想定外」の英ポンド高は、こういった市場センチメントの転換の始まりを示唆しているのではないかと思う。

 つまるところ、確かにこれからの市況は、英EU離脱や米中貿易戦争の行方によってまた大きく左右される可能性が大きいが、マーケットはすでに最悪の結果を想定して値段を形成していたから、その織り込みで値動き自体は「行きすぎ」だった可能性が大きい。ゆえに、株安・円高のピークは、すでに過ぎたのではないかとみる。

 そもそも、為替市場における2019年年初早々のフラッシュ・クラッシュは、投機筋による仕掛け的な側面が大きかったから、その値動きのすべてをリスクオフの流れとして解釈するのも限界がある。

 日経平均の値動きでおわかりいただけるように、フラッシュ・クラッシュで形成された一時の「超円高」は、日経平均を押し下げたものの、それはかなり限定的なものだった。目先みられる米ドル/円と株価の修正(リバウンド)は、過度な弱気心理自体の修正と言える上に、日経平均の下げが限定的だったことは為替市場の値動き自体があくまで一時の行きすぎだったことを証左していると思う。

■2019年年始の「スパイクロー」が円高のクライマックス このロジックで考えると、米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くで、2019年年始に形成された「スパイクロー」(下ひげ風のローソク足)が円高のクライマックスと考えられ、目先まで続く反騰はむしろ当然の成り行きと受け止める。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 この意味では、リバウンド自体が一気に進み、円安トレンドへ早期回復するとは思わないものの、行きすぎた円高への修正という視点では、目先続く米ドル/円のリバウンド自体は「正当化」できる値動きだと思う。

 当然のように、主要クロス円の中では、英ポンド/円の…
EU離脱案が歴史的大差で否決されたのに なぜ、英ポンドは上昇しているのか? ブログ

EU離脱案が歴史的大差で否決されたのに なぜ、英ポンドは上昇しているのか?

■EU離脱案否決にもかかわらず、英ポンドの下落は一時的 マーケットは戦々恐々としながら、2019年1月15日(火)の英議会投票を迎えたが、杞憂に終わった。

 メイ首相のEU(欧州連合)離脱案は、歴史的大差で否決されたにもかかわらず、英ポンドは暴落ではなく上昇してきた。

英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

 また、メイ内閣の不信任案は同じく否定され、メイ首相の続投自体も「サプライズ」と受け止めた方が多いのではないかと思う。

メイ首相のEU離脱案は、歴史的大差で否決されたが、メイ内閣は続投となった

(C)Matt Cardy/Getty Images News

 事前の調査では、ウォール街のコンセンサスは「メイ英首相の離脱案が大差(200票以上)で否決された場合は、英ポンドは10%もの下落あり」とのことで、暴落必至とされていた。

 実際、230票差で否決されたが、英ポンドの下落は一時的なものに留まり、すぐ元のレベルに回復してきたから、このコンセンサスは見事外れたと言える。

 相場は理外の理。今になって「英ポンドがブレグジット混乱でも上昇した理由」といって、この相場を解釈する記事が多数出ているが、相場の理屈であるだけに、たとえ後解釈でも容易ではない。また、すべてを理路整然と解釈できるとは限らず、その解釈が正しいかどうかもまた疑わしい。今回も然り。後解釈ゆえ、その理由やロジックが正しいかどうかは、実際にはわからない側面が大きい。

■市場は事前に英議会投票を織り込んでいた もっとも、「なぜ」に関して事後にうまく解釈できるかどうかはエコノミストやアナリストたちにとっては、その腕を問われるところだとしても、トレーダーには役に立たない。

 トレーダーたる者、「なぜ」を知っていても知らなくても問題ではなく、いかに相場のサインを事前に察知し、また、トレードに生かすかが、本来の務めだと言える。

 換言すれば、英議会の審議がスケジュールどおりに行われ、また、大差で否決される可能性が事前にあった以上(情勢は読み切れないが、少なくともその可能性は小さくないとされた)、マーケットは事前にこのイベントを織り込み、「最悪」の結果を含め、その「下準備」をしていた、とみるべきであろう。

 そうしたロジックを理解できれば、相場が発したサインを見逃さないというか、市場自体のサインを熟考できる上、市場のサインの指示どおりトレードをできたと思う。今回の件もよい例を示してくれたと言える。

 このサインに関する「前解釈」は1月9日(水)のレポートにて配信したが、その原文は以下のとおり。

英ポンド/米ドル 週足(1月9日作成、クリックで拡大)

(出所:FXブロードネット)

 先週ポンドは安値を更新してから一転して高く大引け、「スパイクロー」の足型をもっていくつかのサインを点灯した。同サインに鑑み、短期スパンにおけるポンドの上値余地が一段拓けるかと思われる。

 まず、その前三週間の罫線、典型的な「インサイド」のサインを点灯、先週の安値更新をって同下放れを果たしたから、本来更なる安値の打診があってもおかしくなかった。しかし、先週の切り返し、また高く大引けがあって、「スパイクロー」のみではなく、その前の三週間に対して、強気「アウトサイド」や強気「リバーサル」のサインを点灯していたことが確認できる。

 更に、総合的にみる場合は、強気「フェイクセットアップ」のサインとして読み取る。この場合、安値トライ自体が「ダマシ」だったからこそ、またこの前の数週間の高値をブレイクしたからこそ、一転して上の方向にトライする向きが「セットアップ」され、先週高値のブレイクをもって上値余地を拓く見通し。

 従って、先週高値の更新があれば、基本的には同サインの効き目が果たしたとみるべきで、しばらく上値余地を拓くでしょう。相場の値動きが往々にしてファンダメンタルズより先行される可能性があるから、同サインが効いてくれば、EU離脱問題のソフトランディングなど材料の出現も想定される。

 1月18日(金)現在の週足は…
EU離脱案が歴史的大差で否決されたのに なぜ、英ポンドは上昇しているのか? ブログ

EU離脱案が歴史的大差で否決されたのに なぜ、英ポンドは上昇しているのか?

■EU離脱案否決にもかかわらず、英ポンドの下落は一時的 マーケットは戦々恐々としながら、2019年1月15日(火)の英議会投票を迎えたが、杞憂に終わった。

 メイ首相のEU(欧州連合)離脱案は、歴史的大差で否決されたにもかかわらず、英ポンドは暴落ではなく上昇してきた。

英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

 また、メイ内閣の不信任案は同じく否定され、メイ首相の続投自体も「サプライズ」と受け止めた方が多いのではないかと思う。

メイ首相のEU離脱案は、歴史的大差で否決されたが、メイ内閣は続投となった

(C)Matt Cardy/Getty Images News

 事前の調査では、ウォール街のコンセンサスは「メイ英首相の離脱案が大差(200票以上)で否決された場合は、英ポンドは10%もの下落あり」とのことで、暴落必至とされていた。

 実際、230票差で否決されたが、英ポンドの下落は一時的なものに留まり、すぐ元のレベルに回復してきたから、このコンセンサスは見事外れたと言える。

 相場は理外の理。今になって「英ポンドがブレグジット混乱でも上昇した理由」といって、この相場を解釈する記事が多数出ているが、相場の理屈であるだけに、たとえ後解釈でも容易ではない。また、すべてを理路整然と解釈できるとは限らず、その解釈が正しいかどうかもまた疑わしい。今回も然り。後解釈ゆえ、その理由やロジックが正しいかどうかは、実際にはわからない側面が大きい。

■市場は事前に英議会投票を織り込んでいた もっとも、「なぜ」に関して事後にうまく解釈できるかどうかはエコノミストやアナリストたちにとっては、その腕を問われるところだとしても、トレーダーには役に立たない。

 トレーダーたる者、「なぜ」を知っていても知らなくても問題ではなく、いかに相場のサインを事前に察知し、また、トレードに生かすかが、本来の務めだと言える。

 換言すれば、英議会の審議がスケジュールどおりに行われ、また、大差で否決される可能性が事前にあった以上(情勢は読み切れないが、少なくともその可能性は小さくないとされた)、マーケットは事前にこのイベントを織り込み、「最悪」の結果を含め、その「下準備」をしていた、とみるべきであろう。

 そうしたロジックを理解できれば、相場が発したサインを見逃さないというか、市場自体のサインを熟考できる上、市場のサインの指示どおりトレードをできたと思う。今回の件もよい例を示してくれたと言える。

 このサインに関する「前解釈」は1月9日(水)のレポートにて配信したが、その原文は以下のとおり。

英ポンド/米ドル 週足(1月9日作成、クリックで拡大)

(出所:FXブロードネット)

 先週ポンドは安値を更新してから一転して高く大引け、「スパイクロー」の足型をもっていくつかのサインを点灯した。同サインに鑑み、短期スパンにおけるポンドの上値余地が一段拓けるかと思われる。

 まず、その前三週間の罫線、典型的な「インサイド」のサインを点灯、先週の安値更新をって同下放れを果たしたから、本来更なる安値の打診があってもおかしくなかった。しかし、先週の切り返し、また高く大引けがあって、「スパイクロー」のみではなく、その前の三週間に対して、強気「アウトサイド」や強気「リバーサル」のサインを点灯していたことが確認できる。

 更に、総合的にみる場合は、強気「フェイクセットアップ」のサインとして読み取る。この場合、安値トライ自体が「ダマシ」だったからこそ、またこの前の数週間の高値をブレイクしたからこそ、一転して上の方向にトライする向きが「セットアップ」され、先週高値のブレイクをもって上値余地を拓く見通し。

 従って、先週高値の更新があれば、基本的には同サインの効き目が果たしたとみるべきで、しばらく上値余地を拓くでしょう。相場の値動きが往々にしてファンダメンタルズより先行される可能性があるから、同サインが効いてくれば、EU離脱問題のソフトランディングなど材料の出現も想定される。

 1月18日(金)現在の週足は…
度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円の シナリオを再考、考えに考え抜いた結論は? ブログ

度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円の シナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?

■数分間で米ドル/円が4円超の急落! 今後のシナリオは? 新年早々、為替相場ではフラッシュ・クラッシュが発生した。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 2019年1月3日(木)未明、数分間で米ドル/円が4円超の急落を演じ、一気に105円の節目割れを果たしたことで、市場関係者は度肝を抜かれた。もちろん、筆者もそのうちの1人であった。

 となると、正月からずっと考えざるを得なかったのは、米ドル/円のシナリオだ。

 2019年は米ドル高・円安と考えた方向性は果たして間違いだったのだろうか。今年(2019年)はやはり、円高トレンドを形成していくのだろうか。

【参考記事】

●2019年、ドル/円は125円超への上昇期待!株価は歴史的な安値圏にあり。反発は近い(2018年12月21日、陳満咲杜)

■円高方向への急伸は、あくまで「事故にあった結果」 相場を再度点検し、また、だいぶ悩んだ後の結論として、2019年年初のクラッシュがあったからこそ、変動レンジ自体は下方修正せざるを得ないものの、基本的な方向性、すなわち、「米ドル高・円安という方向性についての見方は不変」とまず申し上げる。

 もっとも、2019年年初の急落は、ウェリントン市場における薄商いの時間帯を狙った意図的な仕掛けであったことは間違いない。

 一部報道では、トルコリラ/円のストップを狙った大物投機筋の仕掛けだったと言われるが、その真相はどうであれ、円の急伸自体、その値動きのすべてを「正当化」できるかどうか、疑問視されるのは確かだ。

 だから、米ドル/円にしても、ユーロ/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場にしても、1月3日(木)において共通した日足が形成され、いわゆる「スパイクロー」(安値と終値の距離が長く、長い足でまた、ひげがつく足型)のサインが点灯していた。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

【スパイクローについての参考記事】

●陳満咲杜氏監修、欧米流プライスアクションがMT4チャート上へ表示できるように!

 同足型は、先週(2018年12月31日~)の週足でも確認されたから、相場自体の構造を暗示していたのではないかと思う。

世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)

 要するに、円高方向への急伸自体が「正当化」できる値動きなら、1月3日(木)の米ドル/円やクロス円の急落後でも、円高方向へ続伸でき、週足における「足」あるいは「ひげ」の部分を埋めていたのではないかと推測される。

 実際、米ドル/円の週足に照らして考えると、その「足」あるいは「ひげ」部分の値幅は実に4円超を記録したから、円高方向への急伸は、あくまで「事故にあった結果」と考えるべきではないかと思う。

■今回の急落の値動きは、Brexit時のチャートに似ている!? 仮にこのような考え方が正しければ、今回の値動きは、あのBrexitショック時の足型を彷彿とさせ、また、その後の行方から大きな示唆を得られるのではないかと思う。

 2016年6月24日(金)に発生したBrexitショックによって円高方向への急伸が見られたが、結果的に同週において米ドル/円は3.56円程度の「下ひげ」を形成、その足型はその後の米ドル/円相場の反転をもたらした。

米ドル/円 週足 言ってみれば、「スパイクロー」は往々にして円急騰(円高)のクライマックス的な段階に出現し、また、その出現によって急激な円高が一気に達成されたからこそ、その後は逆に円安に振られやすいのではないかと推測される。

 実際、2019年年初の急落で、積み上げられてきた円売りポジションが一掃されたことは、ほぼ間違いなく、ここからの円高余地は、2016年夏場と同様、逆に限定されるのではないかとみる。

 もちろん、米ドル/円は急落してきた以上、たちまちV字回復する…