西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

原油上昇と金反落が米ドル/円をサポート。 105円突破すれば109円台へ上昇濃厚! ブログ

原油上昇と金反落が米ドル/円をサポート。 105円突破すれば109円台へ上昇濃厚!

■驚愕の英ポンドのフラッシュクラッシュ! まず、今週(10月10日~)の為替市場での話題は、先週末、10月7日(金)の英ポンドのフラッシュ・クラッシュ。つまり、英ポンド/米ドルの瞬間での暴落です。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 僕も知らなかったのですが、先週、10月7日(金)の英ポンド/米ドルの安値は800pipsもの差があります。

【参考記事】

●ポンド殺人事件の謎を追う!暴落の真相は? スプレッドが狭いままだったFX会社発見!

 某FX会社2社の英ポンド/米ドルの安値が1.1400レベル???

 一方、安値が1.22ドル台??のFX会社もあります。

 この差が、約800pips。

 加えて、FX会社によって安値を付けにいっている時間も違います。

 そして、銀行間の安値は1.1841ドル(ブルームバーグ)。

 これで資金管理をしろというほうが無理な話…。

■FXはリスク管理上「流動性の確保」が重要 もちろん、英ポンド/米ドルをショートにして買い注文さえ置いていれば、収益性の高いトレードができた可能性もありますが、FX会社によっては1.22ドル以下で買い戻すことはできません。

 一方、FX会社によっては、ストップロスが1.14ドル台で約定される可能性もあるわけです。

 つまり、為替トレードにとって一番重要な資金管理ができず、先週、10月7日(金)からの英ポンド/米ドルのトレードはギャンブルに近いものになっています。

英ポンド/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 10月12日(月)早朝も、ニュースもない中、英ポンド/米ドルは1.2284ドルまで瞬間で吹き上がりました。

英ポンド/米ドル 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 30分足)

 英ポンドが急騰した要因は、英国のメイ首相が議会に譲歩との報道ですが、急騰したあとの解説なので、トレードする立場としては、ニュースのない中で吹き上がったとしか見えません。

 たとえば、これも1.2200ドルでストップロスを置いていたら、どのくらいのレートで約定するか不明…。

 ハードBrexit(英国のEU離脱)懸念で、まだ英ポンドの底がどこにあるかわからないため、英ポンド/米ドルの方向性は続落なのかもしれませんが、強烈な相場感があることと、100~200pips以上のスリッページも覚悟してのトレードスタンスでなければ、当面、英ポンドに関してのトレードは控えたほうが良さそうです。

 それは、FXはレバレッジをかけるため、リスク管理上、「流動性を確保する」ことが重要な要素のひとつとして挙げられるからです。

 一方、英ポンド/米ドル同様、対円でも米ドル高が進行…
米ドル/円は「陰の極」形成後に反発! 重要なレジスタンスを突破し、次は107円へ ブログ

米ドル/円は「陰の極」形成後に反発! 重要なレジスタンスを突破し、次は107円へ

■悪材料満載の中、米ドル/円は「陰の極」形成後に反発 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムでご紹介しましたが、米ドル/円を取り巻く環境は変わらず悪材料が満載。

 ドイツ銀行株急落、米大統領選でのトランプリスク、日銀決定は「テーパリングへの道」であるという批判など…。

【参考記事】

●日銀決定はテーパリングへの道?それともヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ(9月29日、西原宏一)

 個人的な意見としては、日銀の決定は、「テーパリングへの道」ではなく、「ヘリマネへの道」と考えていますが…(過去コラム参照)。

【参考記事】

●日銀決定はテーパリングへの道?それともヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ(9月29日、西原宏一)

 しかし、今週(10月3日~)の米ドル/円は大きく反発しています。100.00円すら割り込めず、本稿執筆時点では103.50円と急反発しています。 

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 では上記のような悪材料が霧散して米ドル/円は反発したのかというと、悪材料自体はあまり変わっていません。

 こうした相場は為替に関わらず、相場の教科書に出てくる「陰の極」という展開。

(※編集部注:「陰の極」とは、相場が下落し続けて、これ以上、下落しようがない状態を指す。「陰の極」では、売りが一巡しているので、絶好の買い場とされることが多い)

 今週(10月3日~)の米ドル/円については、「10月に入り、本邦勢の新規投資による米ドル買い」であるとか、「日本企業のM&A」による米ドル買いといった要素ももちろんあります。

損保ジャパンが米エンデュランス買収へ、約65億ドル=関係筋

関係筋によると、SOMPOホールディングス(8630.T)傘下の損害保険ジャパン日本興亜は、米国で事業を展開する企業保険大手エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングス(ENH.N)の買収を発表する。複数の関係筋が明らかにした。買収額は65億ドル前後になる見込み。

出所:ロイター

アサヒが買収提案 英SABの東欧ビール、5000億円超で

 アサヒグループホールディングスは英ビール大手SABミラーの東欧5カ国のビール事業に買収提案する方針だ。買収額は5000億円超に上るとみられる。実現すれば日本企業による海外ビール事業買収で過去最大となり、欧州で一挙に足場固めを狙う。世界のビール市場では大手による事業売買が相次いでおり、今回の再編でその動きがさらに加速しそうだ。

出所:日経新聞

 でも、一番重要なことは、先月(9月)末の悪材料しかないといった環境下で、米ドル/円は95円どころか、100.00円すら割り込めなかったということ。

 これが「陰の極」といった状態を醸成し、米ドル/円は反発する展開となっています。

 今週(10月3日~)の反発により、米ドル/円は今年(2016年)の…
日銀決定はテーパリングへの道?それとも ヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ ブログ

日銀決定はテーパリングへの道?それとも ヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ

■日銀会合での決定はテーパリングへの道なのか? みなさん、こんにちは。

 全世界の注目を集めた日銀の新たな緩和策について、ここで確認します。

 今回の緩和策の名称は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」。

 決定を要約すると、

(1)2%目標実現へ、これを安定的に持続するために必要時点まで継続

(2)マネタリーベースは安定的に物価上昇率が2%超まで拡大

(3)金融市場調節方針は、長短金利の操作について方針示す

(4)長短金利の操作を行うイールドカーブコントロールを導入

(5)平均残存期間の定めは廃止する-長期国債買い入れ

 まず、2%の「物価安定目標」の実現時期を明記することをやめて、「できるだけ早期に実現する」という表現に変更。

 次にイールドカーブコントロールの導入が入っており、金融機関への配慮を示しています。

【参考記事】

●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

●マイナス金利の深堀りはなく相場乱高下! 日銀は金融政策の何を変更したのか?

 この決定に対して、日本の市場参加者の大多数は、明らかに「テーパリング(※)への道である」と認識しています。

 大多数の意見をまとめると、今回の枠組みが日銀版テーパリングへの道を開くものであり、現時点ではマーケットがそれを十分に理解していない。その理解が浸透するにつれて、円高圧力は強まり、米ドル/円の100円割れはもちろん、さらなる円高は避けられないといったところ。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 これまでの日銀のQQE(量的・質的金融緩和)に対して、市場参加者はラフにいってしまえば、「量の拡大=円売り」と反応していたわけですので、今回の決定が「量の縮小」であれば、マーケットの最初のリアクションは「円高」に振れても当然といったところ。

 加えて、ドイツ銀行株急落の悪影響もあり、米ドル/円の100円割れは必至で、95円へと急落するというのがコンセンサスになりつつあります。

ドイツ銀行株価 日足(出所:CQG)

米ドル/円 週足(出所:CQG)

 しかし、これは本当に、多くの市場参加者が指摘するような「テーパリングへの道を開いた?」ことだと言えるのか?

■バーナンキ氏は日銀政策を「ヘリマネに似ている」と評価 一方、今回、日銀が導入した策に対して肯定的な意見もみられます。

 前FRB(米連邦準備制度理事会)議長のバーナンキ氏は、日銀の政策を「ヘリマネに似ている」との見方を示していると報じられています(9月26日(月)公開の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を参照)。

【参考記事】

●日銀会合への市場の評価は真っ二つ! 米ドル/円はこのまま反発しそうな感じも…(9月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

日銀政策「ヘリマネに似ている」 前FRB議長が指摘

日本銀行が新たに導入した長期金利を「0%程度」とする目標について、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長がブログで、政府の借金を中央銀行が直接引き受ける「ヘリコプターマネー政策」に似ているとの見方を示した。

バーナンキ氏は、日銀の新たな金融政策の枠組みについて「市場の反応はまちまちだった」としたが、「デフレを終える目標への新たな決意が含まれており、おおむねいいニュース」と評価した。

出所:朝日新聞

 バーナンキ氏の主張が正しければ、米ドル/円相場は早晩、底打ちし、反発に転じる可能性が高まっていることになります。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

  前述のように「日銀の緩和策はテーパリングへの道」ではないとする…
FOMC発表後の米国株の動向に要注意! 米ドル/円は75日線の壁を破れるかに注目 ブログ

FOMC発表後の米国株の動向に要注意! 米ドル/円は75日線の壁を破れるかに注目

■日米の金融政策イベント待ちで神経質な展開 みなさん、こんにちは。

 今週(9月12日~)の為替市場は、9月21日(水)に結果が発表される、日米の金融政策決定会合待ちで、神経質な動きが続いています(日銀の動向については、9月13日(火)に公開した「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」を参照してください)。

【参考記事】

●FOMCと日銀会合のイベント待ち相場へ。米9月利上げの可能性は? 日銀はどう動く?(9月13日、西原宏一&大橋ひろこ)

■これまでの米利上げを織り込む動きを振り返る 今回のコラムのテーマは、米国の利上げについてです。

 8月末にジャクソンホールで開催された経済シンポジウムまで、米国の利上げについて、マーケットではほとんど織り込まれていませんでした。

【参考記事】

●米国が新金融政策を模索!? イエレン講演次第で米利上げシナリオ修正、ドル急落も(8月25日、西原宏一)

 金利の正常化を模索しているFRB(米連邦準備制度理事会)ですが、このところの軟調な米経済指標から少なくとも、12月までは利上げは行われないというのがコンセンサスになっていました。

 そんな環境下、ジャクソンホールでのイエレン議長の講演当日、米ドル/円は一時、100.00円を割り込むレベルまで、売り込まれる展開に。

 ところが、ジャクソンホールでのイエレン議長のコメントに呼応して、フィッシャー副議長が、利上げについて言及。

【参考記事】

●FRB副議長の発言により米金利急騰でドル上昇! 9月利上げは経済指標次第!(8月29日、西原宏一&大橋ひろこ)

 マーケットは一気に米利上げを織り込む形で、米ドル高が進行。米ドル/円は一時、104.32円まで反発しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 その後、各FRB理事が発言をするたびに、利上げの織り込み度は激しく変貌。

 9月12日(月)には、注目のブレイナード理事がハト派のコメントをしたことで、米利上げ観測は大幅に後退。

【参考記事】

●FOMCと日銀会合のイベント待ち相場へ。米9月利上げの可能性は? 日銀はどう動く?(9月13日、西原宏一&大橋ひろこ)

 しかし、彼女のハト派なコメントを受けても、米国株は安定さを取り戻せず、今週(9月12日~)の米国株は続落しています。

NYダウ 日足(出所:CQG)

 NYダウもS&P500もTDシーケンシャル(※)では、反落のサインが点灯したままで、続落の可能性を示唆したままとなっています。

(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)

 そして、FOMCの結果が発表される、9月21日(水)当日の…
Brexitの影響により1年で約67円暴落した ポンド/円が反発! 米ドル/円への影響は? ブログ

Brexitの影響により1年で約67円暴落した ポンド/円が反発! 米ドル/円への影響は?

■今年に入って通貨高を演じてきた「円」と「ユーロ」 みなさん、こんにちは。

 過去数年に渡り、為替市場では「通貨安戦争」という言葉が散見されるようになってきました。

 代表的な通貨は「日本円」と「ユーロ」。

 デフレからの脱却を目指し、「アベノミクス」の御旗のもと、黒田日銀が先導する形で通貨安を実現してきた「日本円」。

米ドル/円 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)

 そして、ギリシャ危機などのリスクオフ要因から、景気後退を避けるためにドラギECB(欧州中央銀行)の緩和策のもと、続落してきた「ユーロ」。

ユーロ/米ドル 月足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足)

 これらの通貨は昨年(2015年)までは、中央銀行が先導する形で通貨安(円安・ユーロ安)を実現してきました。

 しかし、今年(2016年)に入り、これらの通貨は「中央銀行の緩和策の限界論」も指摘される中、通貨高(円高・ユーロ高)に。

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

ユーロ/米ドル 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)

 変わって、今年(2016年)、通貨安政策において最も成功したのが「英ポンド」。

英ポンド/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)

■円高が急速に進行した要因は英ポンド/円の下落 今年(2016年)に入り、円高が急速に進行してきた要因は、日銀の追加緩和の限界論や、上海合意など、さまざまな材料が挙げられますが、最も影響を及ぼしたのが今年(2016年)の主役である英ポンドの下落。

【参考記事】

●微妙な米雇用統計でも9月利上げは濃厚? 織り込み度低く米ドル/円に上昇余地アリ!?(9月5日、西原宏一&大橋ひろこ)

 特に対円である「英ポンド/円」の急落です。

 昨年(2015年)6月の英ポンド/円は195.88円の高値まで到達。

 それ以降は急落に次ぐ急落で、今年(2016年)7月には、128.82円という安値まで売られています。

英ポンド/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足)

  多くの国が通貨安を志向している環境下、この英ポンド安は…
“上海合意”は破棄とマーケットは認識。 米利上げ観測&日銀追加緩和観測高まる! ブログ

“上海合意”は破棄とマーケットは認識。 米利上げ観測&日銀追加緩和観測高まる!

■日銀のETF購入で日本株下げ止まるも円高は収まらず みなさん、こんにちは。

 7月の日銀金融政策決定会合での、年間6兆円のETF購入という発表で日本株は下げ止まり。

【参考記事】

●日銀追加緩和決定も主な政策はETF買入れ増額のみ。米ドル/円は発表前から乱高下

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 ただ、円高が収まらず、日本株上昇の足かせとなっていました。

【参考記事】

●株は堅調、ドル/円は上値が重い。弱まる日本株とドル/円の相関、原因は日銀にあり(8月12日、西原宏一)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■米ドル安・円高が止まらなかったのは上海合意の影響か? 8月まで「米ドル安・円高」の流れが止まらなかったのは、マーケットの一部でウワサされている上海合意の影響が挙げられます(過去のコラム参照)。

【参考記事】

●安倍首相が米国に「介入しない」と宣言!? 上海合意で、米ドル/円は100円も視野に!(4月7日、西原宏一)

●上海合意で「株高・資源高・米ドル安」が進行中だが今後の狙いはユーロ/円の上昇(4月21日、西原宏一)

 昨年(2015年)、米国の利上げがウワサされた局面では、以前と相違し、多くの新興国は米国の利上げを受け入れる体制ができていました。

 ただ、中国だけは別。米国の利上げ予測が台頭したことにより、昨年(2015年)夏のチャイナショックを誘引します。

【参考記事】

●人民元ショックの対抗策で浜田節が炸裂!? 日本株高でドル/円は128円へ上昇濃厚!(2015年8月13日、西原宏一)

●上海株暴落、商品市況悪化でも豪ドル下落が緩慢だった理由判明! 豪ドル下落再開か(8月20日、西原宏一)


 これを受けて、今年(2016年)2月に、米国と中国の間で上海合意が結ばれたのだろう、という展開でした。この合意により、米国の利上げは延期され、米ドルも軟調となりました。米ドル高と中国人民元高は修正、そして、米ドル安・円高に。

■米ドル/円は20%調整、125円から100円台まで急落 この上海合意の真偽はわかりませんが、対円での米ドルは20%ほど調整があるのではないかとマーケットではウワサされていました。

 そして事実として、今年(2016年)の米ドル/円は、昨年(2015年)につけた125円という高値から20%も下落し、100円台までの急落を演じました。

米ドル/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)

■イエレン議長の講演は予想どおりも、伏兵登場! 米国の利上げ観測の後退により、米国株も堅調に推移。

NYダウ 週足(出所:CQG)

 先週(8月22日~)、ジャクソンホールの時点では米国株も最高値を更新、原油も持ち直していました。

【参考記事】

●FRB副議長の発言により米金利急騰でドル上昇! 9月利上げは経済指標次第!(8月30日、西原宏一&大橋ひろこ)


 そして、8月26日(金)にジャクソンホールにおいて、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の講演を迎えます。

 イエレン議長の講演は、マーケットのコンセンサスどおり、米国の利上げに言及するも、時期は明示せず。

 このイエレン議長の講演に呼応して米ドル/円は一時、100.00円を割り込むまで下落。そこに伏兵が現れたのです。

 それはFRBの…
米国が新金融政策を模索!? イエレン講演 次第で米利上げシナリオ修正、ドル急落も ブログ

米国が新金融政策を模索!? イエレン講演 次第で米利上げシナリオ修正、ドル急落も

■ジャクソンホールでのイエレン議長の講演に注目 みなさん、こんにちは。

 今週(8月22日~)の為替相場は小動き。

 ボラティリティが低下している要因として、今週(8月22日~)は、まだ夏季休暇から戻っていない市場参加者が多い、ということがまずひとつ挙げられます。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 しかし、一番の理由は8月25日(木)~27日(土)にジャクソンホールでの経済シンポジウムを控えているため。

【参考記事】

●注目はジャクソンホールでのイエレン発言。米国は次が最後の利上げとなる可能性(8月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

ジャクソンホールは米国のワイオミング州にある地名(建物の名称ではない)。写真をみると、非常にきれいで、豊かな自然が広がっているが、イエレン議長はどこで講演をするのだろうか? (C)ullstein bild/Getty Images

 このジャクソンホールの経済シンポジウムが脚光を浴び始めたのが、2010年8月でした。

 2010年8月の同経済シンポジウムで、当時FRB(米連邦準備制度理事会)議長だったバーナンキ氏が、量的緩和(QE)に言及したことがきっかけになっています。

ジャクソンホールでの経済シンポジウムが脚光を浴びるようになったのは2010年8月。当時FRB議長だったバーナンキ氏が量的緩和に言及したことがきっかけだった (C)Bloomberg/Getty Images

 そして今年(2016年)は、8月26日(金)にFRBのイエレン議長が2年ぶりに講演するため、マーケットの注目が集まっているわけです。

■話題となっているサンフランシスコ連銀総裁の論文とは? 今回のイエレン議長の講演でのポイントは、もちろん米利上げに関してのコメント。

 ただし、今回は金融政策の再考(Rethink)という意見も出ているため、単なる金利の上げ下げだけの問題ではなくなってきています。

 そのきっかけとなったのが、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が8月15日(月)に発表した短い論文でした。

 論文の内容は「景気後退に備え、金融政策の枠組みを再考すべきだ」と主張。

 インフレ目標値(2%)の引き上げのほか、物価水準や名目国内総生産(GDP)目標の採用を選択肢に掲げました。

サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が発表した論文を受けて、米国の金融政策を再考すべきとの意見が出てきた (C)Rob Kim/Getty Images Entertainment

 注目すべきは、自然利子率が低い環境下では、新しい金融政策を考えるべきと主張していること。

(※執筆者注:「自然利子率」とはインフレを加速も減速もさせない景気に中立的な均衡実質利子率のこと)

 新しい金融政策を模索しているということは、米金利の上げ下げだけが、今回の講演の焦点ではないということになります。

 つまり、マーケットが描いている米利上げシナリオに不透明感が増すことになります。

 今年(2016年)のジャクソンホールでの経済シンポジウムの…
長期もみ合いのユーロに反発の兆しアリ! 米利上げ観測後退による米ドル安がカギに ブログ

長期もみ合いのユーロに反発の兆しアリ! 米利上げ観測後退による米ドル安がカギに

■流動性不足気味の中、ドル/円は一時99.50円台へ下落 みなさん、こんにちは。

 先月(7月)の日銀金融政策決定会合でヘリマネ期待が霧散した米ドル/円の下落トレンドは変わらず、今週(8月15日~)も続落。

【参考記事】

●株高に反応薄も悪材料に敏感なドル/円。政府・日銀も為替はもう手立てなしかも!?(8月16日、西原宏一&大橋ひろこ)

 今週(8月15日~)は、本邦勢がお盆休暇、欧米勢がサマーホリデーに入っていることもあり、為替市場の流動性は不足気味。

 このようなマーケット環境下、8月15日(月)の米国債償還の影響もあり、米ドル売り需要が増加しました。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 流動性が枯渇する中、米ドル/円は節目の100.00円をブレイク。一時、99.50円台と久しぶりに2ケタに突入しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■日銀の追加緩和も効果は半減…。円高トレンド変えられず 9月の日銀金融政策決定会合での追加緩和期待も残っていますが、日銀の追加緩和も回を重ねるうちに徐々に賞味期限切れで効果は半減しており、なかなか円高トレンドを変えられず。

世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)

 過去のコラムで何度かご紹介させていただいていますが、100.60円はアベノミクス相場の50%戻し。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

●ドル/円のボラティリティがリーマン以来の高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意(7月28日、西原宏一)

 ザラ場では何度かブレイクしていますが、仮に週足ベースでこの50%戻し水準を明確に割り込んでくると、米ドル/円は2ケタに回帰していく公算が高まってきます。

 ただ、米ドル/円は高値の125円から、すでに20%調整しています(過去のコラム参照)。

【参考記事】

●日銀ゼロ回答&初の為替監視リスト入り! 米ドル/円は106円台到達で目標は100円に(5月2日、西原宏一)

 対円での米ドル安はトレンドこそ変わりませんが、そのスピードは徐々に緩慢になる可能性も。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 米ドル安は、対円ではなく、他通貨にその場を移行していくのかもしれません。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

  中央銀行の追加緩和効果が薄れているという意味では…
株は堅調、ドル/円は上値が重い。弱まる <i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>日本株とドル/円の相関、原因は日銀にあり</i> ブログ

株は堅調、ドル/円は上値が重い。弱まる <i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>日本株とドル/円の相関、原因は日銀にあり</i>

 先週は夏季休暇をいただいておりました。

 今週からまたよろしくお願いします。

■7月日銀会合以降の日本株は底堅い。でも、米ドル/円は… 7月28日(木)~29日(金)に開催された日銀の金融政策決定会合では、ETF買入れ増額を決定。

 ETF保有残高が現行の約3.3兆円からほぼ倍増するペースで買い入れすることとなります。つまり、年間約6兆円に相当するペース。

【参考記事】

●日銀追加緩和決定も主な政策はETF買入れ増額のみ。米ドル/円は発表前から乱高下

●日銀会合後から米ドル安の流れが鮮明に。利下げ見込む、豪・英中銀の発表に注目!(8月1日、西原宏一&大橋ひろこ)

 日本株は、この大規模なETFの買い入れ額増額により、底堅い展開。

日経平均 日足(出所:CQG)

 ただ、それ以外はウワサされていたような「サプライズ緩和」はなし。

 最近の黒田日銀は、なぜか「戦力の逐次投入」が目立っています。

 そのため、米ドル/円は日本株に追随せず、相変わらず上値の重い展開が続いており、本稿執筆時点でも102.00円レベルで推移。

 これまでの日本株と米ドル/円の相関関係が弱まっている展開です。

日経平均&米ドル/円 日足(出所:CQG)

■いろいろあった2016年だが、結局、円高の流れは変わらず ヘリマネ論議まで飛び出し、米ドル/円の1週間物のボラティリティが24%まで急騰するなど、英国の国民投票なみに注目を集めた7月の日銀金融政策決定会合ですが、前述のようにサプライズはなし。

【参考記事】

●ドル/円のボラティリティがリーマン以来の高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意(7月28日、西原宏一)

 結果、米ドル/円の上値も引き続き限定的な展開。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 2016年に入って、英国の国民投票や、何度かの日銀金融政策決定会合といった多くのイベントはありましたが、円高の流れは変わらず。

世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)

 現時点の米ドル/円は102.00円レベル。つまり、今年(2016年)の最安値圏内での推移となっています。

 今のところ、アベノミクス相場の50%(=100.60円)でサポートされていますが、105円台が極めて重くなってきています。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

●ドル/円のボラティリティがリーマン以来の高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意(7月28日、西原宏一)

  これに加えて、米ドル/円の上値を重くしている要因のひとつが…
ドル/円のボラティリティがリーマン以来の 高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意 ブログ

ドル/円のボラティリティがリーマン以来の 高水準! 日銀会合後の乱高下に要注意

■日銀会合の結果と政府の経済対策に市場は大注目 みなさん、こんにちは。

 今回の日銀金融政策決定会合はいつも以上に注目が集まっていますが、その注目度が想定以上のものとなっています。

 その背景は、過去のコラムでご紹介したとおり、「ヘリコプターマネー」期待。

【参考記事】

●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(7月14日、西原宏一)

 実際には、ヘリコプターマネーは財政法第5条で禁止されていますので、「擬似ヘリマネ」期待となります。

日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています。

出所:日本銀行ウェブサイト

 加えて、マーケットの注目を集めているのが、8月2日(火)に政府が閣議決定する経済対策で、その事業規模は28兆円。

安倍晋三首相は27日、福岡市で講演し、8月2日に閣議決定する経済対策について「事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策をまとめたい」と表明した。

国と地方の財政支出(真水)や財政投融資を合計した財政措置は13兆円とする方針も示した。「真水」で6兆円超、財政投融資も6兆円超とする方向だ。

出所:日経新聞

 通常、為替マーケットは財政政策に無関心。

 ただ、7月29日(金)に日銀が政府に呼応して追加緩和を発表するとの思惑が強いため、今回、「日銀の追加緩和と政府の経済対策」がマーケットの大きな注目を集めることになっています。

■ドル/円のボラティリティがリーマンショック以来の高水準に ここで驚くのが、米ドル/円の1週間物のボラティリティが24%にまで高騰していること。

米ドル/円 1週間物ボラティリティ 日足(出所:CQG)

米ドル/円 1週間物ボラティリティ 月足(出所:CQG)

 これは、先月(6月)の英国国民投票前の英ポンド/円のボラティリティを連想させるほどの急騰です。

【参考記事】

●ドル/円は105円決壊で100.60円へ下落中! 英ポンド/円は1カ月以内に30%乱高下!?(6月16日、西原宏一)

  では、明日(7月29日)の日銀金融政策決定会合において…