西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

FOMC後のセル・ザ・ファクトを警戒! 米ドル/円が115円を突破するカギは…!? ブログ

FOMC後のセル・ザ・ファクトを警戒! 米ドル/円が115円を突破するカギは…!?

■米利上げ織り込むも、セル・ザ・ファクトは時期尚早 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、3月14日(火)~15日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)に向け、米利上げ織り込み度は急上昇。

【参考記事】

●FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは?(3月2日、西原宏一)

 3月3日(金)に行われた、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の講演が「景気の進展が続けば、今月の利上げを支持する」といったかなりタカ派な考えを示唆したことから、3月15日(水)の米利上げは事実上織り込んだといえます。

3月3日(金)の講演でかなりタカ派な考えを示唆したイエレンFRB議長。これで、3月FOMCでの利上げは事実上織り込んだといえる (C) Bloomberg

 これを受け、今週(3月6日~)初めの米ドル/円は「米利上げは織り込み済み」との流れで小緩む局面もありました。

 しかし、個人的にセル・ザ・ファクトは、実際に「15日に米利上げが行われる」という事実を受けてのセル・ザ・ファクトであり、米ドル/円が反落するのは時期尚早と考えています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■FOMCに向けて、金は下落、米ドル/円は上昇 ほかのプロダクツに目を向けると、米利上げを引き続き織り込む形で反落しているのが金(ゴールド)。

NY金先物 日足(出所:Bloomberg)

 金は米大統領選後の2016年11月9日(水)に1337ドルの高値をつけて反落しています。

 そしてFOMC後の12月16日(金)に1122ドルのボトムをつけて反発。

 次に、2月28日(火)に1263ドルでトップアウトして反落。

 この1263ドルはフィボナッチリトレースメントの61.8%戻しである1255ドルとほぼ同値。この61.8%戻しでトレンドを切り返しています。

NY金先物 日足(出所:Bloomberg)

 加えて、日足のTDシーケンシャル(※)は9-13-9を終了し、ひと相場終了の様相を呈して、反落を開始しています。

(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)

 次のチャートは米ドル/円の…
FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは? ブログ

FRB要人発言で利上げの可能性高まる! それでも今、豪ドルに注目するワケとは?

■FRB理事のタカ派発言で米利上げの可能性高まる みなさん、こんにちは。

 注目されたトランプ米大統領の演説は波乱なく通過。

 ただ、米ドル/円はトランプ米大統領の演説が始まる前から反発を開始しています。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

 それは、3月の米利上げ観測が高まったことが背景。

 2月に入り、マーケットはトランプ政権が掲げる政策の実効性に対して懐疑的になり、 参加者の一部には「3月の米利上げ確率はゼロ」との意見も台頭。

 ただ、そうしたマーケット参加者の思惑とは裏腹に、3月14日(火)~15日(水)に開催されるFOMCでの米利上げ織り込み度は急騰。

 その要因はFRB(米連邦準備制度理事会)理事による一連のコメントでした。

 まずダドリーNY連銀総裁が「利上げの主張は大幅により説得力あるものに」とコメントしました。これにより、米ドル金利は反発し始めます。

ダドリーNY連銀総裁は「利上げの主張は大幅により説得力あるものに」とタカ派的なコメント。これを受けて、3月FOMCでの利上げ予想確率は急騰 (C)Bloomberg/Getty Images

 次は、ブレイナードFRB理事のコメント。

 昨年(2016年)の半ばごろ、フィッシャーFRB副総裁らがタカ派的なコメントを繰り返したことから、米利上げ確率が急速に高まりましたが、ブレイナード理事がハト派的なコメントをしたことから、米早期利上げ観測は霧散。

【参考記事】

●FRB副議長の発言により米金利急騰でドル上昇! 9月利上げは経済指標次第!(2016年8月29日、西原宏一&大橋ひろこ)

 そのため今回、彼女のコメントにマーケットは注目していました。

 結果は、タカ派。

●米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は1日、ハー

バード大学でのイベントでの講演テキストで、「前進が続くと想定

すると、追加的な緩和を解除し、緩やかな道筋をたどり続けること

がすぐに適切になりそうだ」と述べた。

●「われわれは完全雇用に近づいており、インフレはわれわれの目標

に緩やかに向かっている。海外の経済成長は足元が固まりつつあ

り、見通しへのリスクは過去に見られたような均衡に近い」

●「過去数カ月は労働市場に引き続き進展があった」

●「過去のドル高とエネルギー価格低下の影響が弱まりつつある中、

インフレ率はこのところ上昇している」

●「内需への上振れリスク増大がこの数カ月に見られる」

●「米国に対する海外からの短期リスクは減少したと見受けられる」

●「フェデラルファンド(FF)金利が長期的な予想水準へと引き続

き上昇する中で、バランスシート政策の変更も正当化されよう」

出所:Bloomberg


ハト派で知られるFRBのブレイナード理事だが、米国の利上げについて「すぐに適切になりそうだ」とまさかのタカ派的なコメント。これで、さらに3月FOMCでの利上げ予想確率を高めることに… (C)Bloomberg/Getty images

■3月FOMCでの米利上げ予想確率は80%台に急騰 彼女のコメントにより、3月の米利上げ織り込み度はさらに急騰。

 本稿執筆時点での、3月の米利上げ予想確率は84%となっています。

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 呼応して、米ドル/円は続伸。本稿執筆時点では114.00円台を回復しています。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

 前述のように、今週(2月27日~)反発を演じた…
雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか? ブログ

雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか?

■米ドル/円の115円上抜けは時間要する みなさん、こんにちは。

 今月(2月)の米ドル/円は本稿執筆時点(=2月23日)まで大きな動きはなし。

 注目された日米首脳会談はコンセンサスどおり、成功裏に終了し、円高リスクは大きく後退。

【参考記事】

●日米首脳会談成功で円高リスクが後退。「暗黙のドイツマルク」のような存在とは?(2月16日、西原宏一)

 米ドル/円は115円台回復間際まで急反発したのですがブレイクできず。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 この要因は、前回のコラムでもご紹介させていただいた115.00円のオプション。

【参考記事】

●日米首脳会談成功で円高リスクが後退。「暗黙のドイツマルク」のような存在とは?(2月16日、西原宏一)

 先週(2月13日~)の為替市場では、米ドル/円の115.00円に約60~70億ドルとウワサされるオプションが設定されているといわれていました。

 マーケットはこのオプションから供給される米ドル売りを吸収できず反落。

 先週末で、115.00円のオプションの一部は行使期限を迎え、影響は減少すると想定されていましたが、今週(2月20日~)も115.00円のオプションはまだかなり残存している模様で、このレベルを抜くのにもうしばらく時間を要するのかもしれません。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■米3月利上げ織り込み度は、まだ34% 米ドル/円の上昇になかなか弾みがつかないもうひとつの要因が米金利。

 昨年(2016年)末の段階では、「3月の利上げ確率もさらに上昇しており、米金利は堅調、呼応して、米ドルはもっと堅調に推移する」というのがマーケットのコンセンサスでした。

 ところが実際の米金利の上昇は緩慢であり、2月23日(木)現在で、3月の米利上げ織り込み度も、まだ34%までしかいっていない状態。

米長期金利(10年物国債利回り)(出所:Bloomberg)

 これはFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに関して、かなり慎重なスタンスで臨んでいるためなのですが、この影響でマーケット環境はゴルディロックス(※)状態。米国株は続伸中。

(※編集部注:ゴルディロックスとは、過熱もしすぎず、低迷もしていない、居心地のいい状態のこと)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 結果、資金は高金利の通貨に流れ、呼応して豪ドルが堅調な…
日米首脳会談成功で円高リスクが後退。 「暗黙のドイツマルク」のような存在とは? ブログ

日米首脳会談成功で円高リスクが後退。 「暗黙のドイツマルク」のような存在とは?

■日米首脳会談は成功、円高リスク後退 みなさん、こんにちは。

 前回のコラムでご紹介させていただいたように、本邦当局が周到に準備した「お土産=日米成長雇用イニシアチブ」も功を奏し、日米首脳会談は成功裏に終了。

【参考記事】

●トランプ米大統領へのお土産は文句なし!? 日米首脳会談乗り切れば「株高・円安」へ(2月9日、西原宏一)

日米首脳会談を終えて共同で記者会見をするトランプ米大統領と安倍首相。本邦当局が用意した「お土産」も功を奏したか (C)Chip Somodevilla/Getty Images

 安倍総理はトランプ大統領と2日間を過ごし、ゴルフをプレーするだけでなく、追加の9ホールを2人だけで回るほどの親密ぶり。

 安倍首相の姿勢を「土下座外交」と揶揄する報道もありますが、トランプ米大統領との関係づくりには各国とも苦戦する中、短期間で親交を深めた安倍首相には各国のトップから会談の申込みが殺到しているとの報道も。

【参考記事】

●カギはNYタイムズと朝日新聞にあり!? トランプ大統領と安倍首相の共通点とは?(2月13日、西原宏一&大橋ひろこ)

 日米首脳会談を終えて、円高リスクは後退。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 一方、NYダウを筆頭に米国株は続伸。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 株の堅調さに加え、鉄鉱石価格の上昇も加わり豪ドル/円も高騰。

鉄鉱石価格 日足(出所:Bloomberg)

豪ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)

■米ドル/円は高値追いはできないが、押し目買い継続 本邦勢は依然、トランプ政権に対する不透明感を払拭できない状況が続いていますが、グローバルな環境はリスクオン。

 米ドル/円は6ビリオン(60億ドル)ともウワサされる115.00円のオプションに阻まれ、いったん上値を抑えられていますが、マーケット関係者によれば、このオプションは今週(2月13日~)末で徐々に行使期限を迎え、影響力が落ちてきます。

 本稿執筆時点での米ドル/円は、依然、日足・一目均衡表の雲の中で乱高下している状態であるため高値追いはできませんが、引き続き、下値は限定的で押し目買い継続。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 今回の日米首脳会談を経て、徐々に明らかになってきたのが…
トランプ米大統領へのお土産は文句なし!? 日米首脳会談乗り切れば「株高・円安」へ ブログ

トランプ米大統領へのお土産は文句なし!? 日米首脳会談乗り切れば「株高・円安」へ

■トランプ大統領への日本からのお土産は文句なし! みなさん、こんにちは。

 今月(2月)のマーケットの焦点は、なんといっても2月10日(金)に予定されている日米首脳会談。

 今回の首脳会談には麻生財務相も同行する模様。

 この報道により、会談では「為替が協議される」ことが連想され、今週(2月6日~)じわじわと円高が進行。

 一時、トランプラリーの38.2%戻しとなる112.00円を割り込んでいます。

【参考記事】

●日米首脳は友好ムードも会談は予測不能! 相場の乱高下に巻き込まれないよう要注意(2月6日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 ただ、そうしたマーケット参加者の懸念とは裏腹に、漏れ伝えられる報道は、ポジティブなものが多数。

 まず大型のインフラ投資について。

4500億ドルの市場・70万人の雇用創出効果、米に表明へ

政府が日米首脳会談に向けて作成を進めている「日米成長雇用イニシアチブ」の中に、米国内におけるインフラ投資で4500億ドル(約51兆円)の市場創出効果があり、70万人の雇用を生み出すと明記されることがわかった。政府筋が明らかにした。

同イニシアチブは、日米首脳会談でトランプ米大統領に示される。巨額投資を進める資金に関しては「日本のファイナンス(資金)力を最大限に活用する」と明記される。

この部分に関しては、口頭で外国為替資金特別会計の資金活用も念頭にあることを説明する。

出所:ロイター

 雇用を重視するトランプ米大統領にとって、文句のない日本からのお土産です。

 マーケット関係者によれば、本邦当局はかなりトランプ米大統領に配慮してお土産(?)を慎重に作成しているようですが、ゴルフも含めて長時間に渡って会談することが必ずしも友好的な結果に終わるとは限りません。

 先日、トランプ米大統領に電話を切られたターンブル豪首相のことも話題になりました。

 そのため、今回ばかりは安倍首相の外交手腕にかなりの比重が置かれている模様。

■日米首脳会談を経て、早晩「株高・円安」回帰へ そして、これらの一連の報道に対して「日本のお金で米国の雇用を作り出すというのはおかしい」という批判がありますが、これは、マーケット参加者の誤解だと考えています。

 本邦機関投資家が米国にインフラ投資をするのは急遽決まったわけではなく、運用先に困っている担当者にとって、老朽化が進んでいるジョン・F・ケネディ空港などの米国の空港や刑務所などを筆頭としたインフラ投資は魅力的な運用先。

 つまり、本邦機関投資家は、政府から指示されたため急遽、米国に投資を決めたわけではありませんので、前述の批判は当てはまらないわけです。

 ただ、トレードの観点から考えれば、こうしたインフラ投資は、長期に渡った投資であるため、即為替に影響を及ぼすものではないことも事実です。


 一方、日米首脳会談に向けての交渉という意味においては、たとえば米ドル/円が120円を超えて円安が進行しているといった相場で会談に入るより、今週(2月6日~)のように111円台という円高気味で首脳会談を迎えたほうが、会談はいいムードで進行します。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 これが、米当局からの圧力をかわすために、本邦当局が考えたシナリオの一部だとするとすごいと言わざるを得ませんが…。

 どちらにせよ、日米首脳会談は、友好的かつ建設的に進行し、マーケットは早晩「株高・円安」トレンドに戻ると想定しています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 ただ、想定以上に今回の日米首脳会談はマーケットの注目を集めているため、首脳会談前はリスクを抑える必要があるでしょう。

 日米首脳会談を迎えて、方向感なく膠着している主要通貨を…
<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>世界の為替市場参加者を震撼させる報道が</i> 出ても米ドル/円下落が限定的なワケは? ブログ

<i style=”font-style:normal;font-size: 97%;”>世界の為替市場参加者を震撼させる報道が</i> 出ても米ドル/円下落が限定的なワケは?

■トランプ米大統領が日本の為替政策を批判 みなさん、こんにちは。

 今週(1月30日~)、世界中の為替市場参加者を一時震撼させる報道がありました。

 それはまず、トランプ米大統領の下記のコメント。

トランプ大統領が日本の為替政策を批判

アメリカのトランプ大統領は、31日、製薬メーカーの経営トップを集めた会合で、為替について言及し、「中国が何をしているかそして日本が何年も何をしてきたか見てみろ。かれらは、為替を操作して、通貨安に誘導している」と述べ日本を名指しして批判しました。トランプ大統領が、就任後、日本の為替政策に直接、言及したのは初めてです。

出所:NHK News Web

 このコメントにより一時、米ドル/円が112.08円まで急落。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

■米国家通商会議のトップに就任したナバロ氏とは? 次は米国家通商会議のトップ、ピーター・ナバロ氏のコメント。

トランプ政権幹部、ユーロ安を批判 FT報道

トランプ米政権が新設した国家通商会議のトップのピーター・ナバロ氏が、米国と欧州連合(EU)で協議してきた環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉を巡り「暗黙のドイツ通貨・マルク安が貿易交渉の障害になっている」とユーロ安相場を批判していることが31日分かった。

 ナバロ氏の発言を英紙フィナンシャル・タイムズが31日報じた。国家通商会議は政権の貿易政策の司令塔を担う。ナバロ氏は米中貿易を専門とする経済学者で選挙戦中はトランプ氏の経済政策の立案を担った。

 ナバロ氏はTTIPについて米国が巨額の貿易赤字を抱えるドイツが「大きな障壁になる」と指摘し、通貨安を理由に挙げた。ユーロ圏はギリシャなど南欧諸国の債務不安で通貨が下落。ドイツはユーロ安で輸出を増やし、対米貿易の不均衡につながっている。

出所:日経新聞

 ナバロ氏のコメントにより一時、ユーロは米ドルに対して急騰。

ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)

 両米当局者からのコメントはどちらも米ドル高抑制コメントだったことがマーケットを震撼とさせたわけです。

 まず、ナバロ氏のコメントですが、彼は国家通商会議のトップ。対中通商、外交、防衛においてかなりのタカ派です。

 そして、著書は『米中もし戦わば 戦争の地政学』という過激なもの。

 彼はこれからもいろいろと過激なコメントをすることが想定され、そのたびにマーケットはボラタイルに動くことが想定されます。

 逆にいえば、彼の過激なコメントは徐々にマーケットに織り込まれつつあるともいえます。

そして、注目は前述のように、トランプ米大統領の…
NYダウはついに2万ドルの大台達成! 米ドル/円反発のカギは金価格が握る? ブログ

NYダウはついに2万ドルの大台達成! 米ドル/円反発のカギは金価格が握る?

■NYダウが2万ドルに到達 1月25日(水)のNY市場では、ついにNYダウが2万ドルに到達。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 トランプ米大統領が就任後、次々と公約達成に向けて動き出していることを好感しているともいえます。

NYダウがついに2万ドルを突破。トランプ米大統領が就任後、次々と公約達成に向けて動き出していることを好感した動きか (C)Drew Angerer/Getty Images

 マーケットではトランプ米大統領の就任式前後に「株高・米ドル高」の調整が起きるのではないかというのがコンセンサスとなっており、今月(1月)は「米ドル/円や株式」がもたついている流れが続いていたのですが、NYダウはいち早く調整を終えて、上昇に転じたといえます。

【参考記事】

●トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来(1月12日、西原宏一)

■米ドル/円反発のカギは金が握る? NYダウが上昇トレンドに回帰したと想定すると、次は米ドル/円の調整がいつ終わって上昇トレンドに回帰するかが問題。

 その答えを金(ゴールド)の動きから見てみましょう。

 以下は、金と米ドル/円の日足チャートになります。

 米ドル/円は2016年11月9日(水)に安値101.20円から急騰し、12月15日(木)に高値の118.66円まで到達。

【参考記事】

●ついに今週は米大統領就任式。ドル/円は112円がトランプラリー継続の分水嶺(1月16日、西原宏一&大橋ひろこ)

 その後は調整に入り、現在、38.2%まで戻らず、112~116円で推移しています。

米ドル/円(上)&金価格(下) 日足(出所:Bloomberg)

 一方、金の動きはどうでしょうか。

 2016年11月9日(水)、米ドル/円が安値をつけた同日に金は高値1337ドルに到達。

 そして、12月15日(木)、米ドル/円が高値をつけたのと同日に、金は安値1122ドルでボトムアウトして調整局面入りしました。

 金は米ドル/円と同じタイミングで相場が反転していることがわかります。そして、以下のチャートのとおり、金は高値と安値の値幅の38.2%戻しのラインは超えたのですが、50%までは戻らず反落。1月25日(水)にはMACDもクロスし、トップアウトしました。

金価格 日足(出所:Bloomberg)

 つまり、NYダウと歩調を合わせて、金も調整完了を…
米ドルが魅力的な高金利通貨に変身!? 浜田参与も注目する「シムズ理論」とは? ブログ

米ドルが魅力的な高金利通貨に変身!? 浜田参与も注目する「シムズ理論」とは?

■米ドル/円は112円台まで下落後は反発 みなさん、こんにちは。

 先週のコラムでご紹介したとおり、今週(1月16日~)は20日(金)に予定されている米大統領就任式に向けての調整に終始する展開。

【参考記事】

●トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来(1月12日、西原宏一)

 英国のメイ首相による「EU単一市場からの離脱表明」の演説へ向けて、リスクオフの流れとなり、米ドル/円は一時、112.55円まで下落しました。

 しかし、下記のとおり、日本時間本日(1月19日)未明に行われた、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長の講演がきわめてタカ派だったことから、米ドル/円は一気に115円近くまで反発しました。

昨年12月の利上げについては、景気の回復が継続するとの確信を反映していたと指摘

自身を含めたFRB当局者は、主要短期金利をFRBが2019年にかけて「毎年数回」引き上げていくと予想しているとし、金利水準は長期的に持続可能な金利である3%に近づくとの見通しを示した。

出所:ロイター

米ドル/円 1時間足 (出所:Bloomberg)

■米ドルは立派な高金利通貨に? 実際に米国の政策金利が3.00%に向かうとすれば、米ドルは金利面からも極めて魅力的な通貨となります。

 一時、高金利通貨と称された豪ドルも現在の政策金利はわずか1.50%。NZドルですら現在1.75%しかありません。

豪州政策金利(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)

NZ政策金利(詳しくはこちら → 経済指標/金利:各国政策金利の推移)

 このように主要国が低金利に張り付いていることと比較すると、米ドルは立派な(?)高金利通貨に変わりつつあります。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 とくに日本の金利は日銀によりピン止めされていますので、日米金利差は急速に拡大。

 金利面からも米ドル/円は上昇という流れは変わらず。

■今月の米ドル/円の調整はほぼ完了 米ドル/円の調整メドは38.2%である112.00円(38.2%の意味については前回のコラム参照)。

【参考記事】

●トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来(1月12日、西原宏一)

 1月18日(水)に112.55円まで下落し、その後、反発していることから、今月(1月)の米ドル/円の調整は、ほぼ38.2%まで到達し、完了しつつあると言えます。

 このあとは、今月(1月)最大のイベントである20日(金)の米大統領就任式を待つのみとなります。

 直近のマーケットの話題はトランプ政権の動向に集中していますが…
トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、 国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来 ブログ

トランプ氏の記者会見は期待はずれだが、 国境税に注目! 中期ドル買いの好機到来

■トランプ氏の記者会見は期待はずれ… みなさん、こんにちは。

 マーケットの注目を集めていたトランプ次期大統領の会見が日本時間の本日、1月12日(木)早朝に行われました。

 オバマ大統領の最終演説がすばらしいものだったため、トランプ次期大統領の会見にも期待が集まったのですが内容は期待はずれ…。

マーケットの注目を集めていたトランプ次期大統領の記者会見だったが、内容は期待はずれ… (C)Spencer Platt/Getty Images

 CNNを筆頭に米メディアを痛烈に批判、自身が半ば恐喝し誘引した自動車産業の米国生産回帰などを絶賛し、マーケット参加者を驚かせました。

■米大統領就任式前に、米ドル/円は短期的に調整入り 米ドル/円の動きをチェックすると、トランプ氏の記者会見前は期待感から一時、116.87円まで急騰。

 ところが、経済対策に関する言及がなかったこともあり、記者会見後のマーケットは一転して、米ドル売りへ。

 巨大なオプションが位置する115.00円をブレイクし、一時114.25円まで急落しました。

米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)

 来週、1月20日(金)の米大統領就任式前後に調整があるというのがマーケットのコンセンサスですので、その文脈に沿って、米ドル/円は短期的に調整入り。

【参考記事】

●トランプ氏は記者会見で何を語るのか? 米ドル高・金高が同時進行する場合は…!?(1月9日、西原宏一&大橋ひろこ)

■市場で話題の国境税とは? 前述のトランプ次期大統領の記者会見で話題になったのが国境税。

 国境税とは、輸入品に課税し、輸出品に税優遇を与えるというもの。

 共和党が上下院を制したことにより、この国境税の可能性が高まっています。

 国境税は当然、輸入を抑制し、輸出を促進します。国内生産が活発化し、成長率を押し上げ、インフレ圧力を高めます。

 これが米国の利上げ圧力となり、同時に米ドル高を誘引します。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 トランプ次期大統領の会見は、酷評しているメディアが多数。一方、マーケット参加者はこの国境税に関する言及に注目しています。

 それは、国境税が中期の米ドル高トレンドを補強することになるためです。

 ただ、前述のように短期的には、米大統領就任式前後に…
2017年もドル/円上昇トレンドに変化なし。 トランプ氏が円安黙認? そのワケとは…!? ブログ

2017年もドル/円上昇トレンドに変化なし。 トランプ氏が円安黙認? そのワケとは…!?

■日経平均は4年ぶりの上昇でスタート あけましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いします。

 振り返ってみれば、2014年から2016年の日経平均は下落でスタート。

 とくに2016年は大発会で日経平均が580円安、そこから6日連続安という歴史的な下げでスタートしました。

2015年11月~2016年3月の日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 それが示唆するように、2016年の秋まで、日本株は総じて軟調な展開でした。

 マーケットでは「アベノミクスの終焉か?」という報道が飛び交っていました。

 そこに日銀が満を持して、2016年9月に追加緩和を導入。これにより日本株の下値は限定的となり、底堅く展開。

【参考記事】

●日銀決定はテーパリングへの道?それともヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ(2016年9月29日、西原宏一)

●マイナス金利の深堀りはなく相場乱高下! 日銀は金融政策の何を変更したのか?

■日銀の追加緩和を為替が台無しにする? ただ、日銀の追加緩和を台無しにしてしまいそうなのが為替。

 いくら日本株が底堅くなっても、米ドル/円が100円を割り込むような円高になれば日本株も反落してしまいます。

【参考記事】

●2017年に起こり得るブラックスワンとは? 日本株の「掉尾の一振」は期待できるのか?(2016年12月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

 結果、アベノミクスにとって最大の課題は「為替政策」ということが金融関係者の間で共通の話題となりました。

 ただ、為替は相手国のあることなので、安倍政権は米国に対してかなり高度な交渉が必要だといわれていました。

 はたして安倍政権は、「米国に対してある程度の円安を容認させることができるのか?」がマーケットの焦点となっていました。

 その答えが、2016年12月27日(火)の菅義偉官房長官の…