西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

トランプ大統領が米大使館のエルサレム 移転を決断! 中東リスク危惧で相場は…!? ブログ

トランプ大統領が米大使館のエルサレム 移転を決断! 中東リスク危惧で相場は…!?

■ビットコインは一時170万円近くまで急騰 みなさん、こんにちは。

 まず最初の話題は驚愕のビットコインから。

 先週(11月27日~)、100万円が130万円に急騰してマーケットの話題になっていたビットコインですが、一時170万円近くまで急騰しています(一部では190万円を超えたところも?)。

【参考記事】

●Brexitの清算金大筋合意で進展に期待! 英ポンド上昇で重要な節目突破なるか?(11月30日、西原宏一)

●ビットコインがついに100万円を突破!! CME上場とハードフォーク期待が背景に!?

ビットコイン/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足)

 さすがにバブルの様相を呈してきました。

 ボラティリティが極端に高いので、取引は慎重に。

■米大使館のエルサレム移転決定でマーケットは? 12月6日(水)の日経平均は、445円もの急落を演じ、2万2177円でクローズ。

 一時、500円安に…。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 この急落の背景は、12月8日(金)のSQ(※)を控えてということになるのですが、直接のきっかけとなったのは、下記のトランプ大統領の決断。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと)

「エルサレムを首都に認定」トランプ氏が正式表明

トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館を現在のテルアビブから移転する準備に着手するよう国務省に指示したと発表した。これらの決定は「米国の国益」であり、イスラエルとパレスチナの中東和平の進展につながるとの認識を示した。一方、アラブ・イスラム諸国は一斉に反発し、抗議デモも広がっている。

ティラーソン国務長官はこれを踏まえ、「直ちに移転の準備を始める」との声明を出した。具体的な移転時期は明示していないが、米政府高官は数年かかるとの見通しを示している。エルサレムを首都として認めていないアラブ諸国は反発を強めており、中東情勢は緊迫の度を増してきた。

出所:日経新聞

エルサレムをイスラエルの首都と認定し署名入りの書類を掲げるトランプ大統領

(C)Chip Somodevilla/Getty Images

 この米大使館のエルサレム移転については、唐突に決まったわけではありません。

 そのため、12月6日(水)のNY市場の米国株は、日経平均の急落には追随しませんでした。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 しかし、この問題は…
Brexitの清算金大筋合意で進展に期待! 英ポンド上昇で重要な節目突破なるか? ブログ

Brexitの清算金大筋合意で進展に期待! 英ポンド上昇で重要な節目突破なるか?

■ビットコイン急騰に金融市場は驚愕 みなさん、こんにちは。

 FXとは違いますが、金融市場を驚愕させたのがビットコインの急騰。

 11月27日(月)の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でビットコイン/円が100万円に到達したことをご紹介したのですが、その後、数日で120万円まで暴騰しました。

【参考記事】

●もしも黒田さんが日銀総裁を辞めたら…!? 生保買いがあっても米ドル/円は戻り売り!(11月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

ビットコイン/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足)

 ビットコインは、早ければ12月にもCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)への先物上場が控えていること。

 そして、先週末(11月24日)にはビットコインから分裂した「ビットコインダイヤモンド」が誕生するなど、12月以降も5つ以上のフォーク(分裂)が予定されていることなどを受けて、フォークコインをもらいたい人がビットコインをロングにしている模様。

 その後は急反落、急反発を挟んで高値圏で乱高下の状態。

ビットコイン/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 4時間足)

 当面、ビットコインの動向にも注目ですね。

■米税制改革法案に市場は注目 為替マーケットの注目は、まず、米税制改革法案の行方。

 本日(11月30日)にも、上院本会議で米税制改革法案が可決される見込み。

 上下両院の法案一本化の一大作業が控えているものの、可決に向けて今週(11月27日~)のNYダウは、底堅い動き。

NYダウ 4時間足(出所:Bloomberg)

 連れて、米ドル/円も調整で112.00円レベルまで反発しています。

米ドル/円 4時間足(出所:Bloomberg)

 現在は、投票前の審議中。

 投票が延期されれば可決されない見込みが高い、ということを意味するので米ドル売りへ。

 個人的には逆に可決されても、セル・ザ・ファクトになると想定しています。

米ドル/円 4時間足 (出所:Bloomberg)

 米ドル/円は、前回のコラムでもご紹介させていただいた111.00円(50%戻し=114.73円~107.32円)を終値ベースでブレイクできなかったことで調整入り。

【参考記事】

●米ドル/円は111円割れなら108円へ下落も! 不気味な米ドルの売り手の正体とは!?(11月24日、西原宏一)

 前述の米税制改革法案が可決される見込みであることも、米ドルを底堅くさせています。

 ただ、米税制改革法案に関しては、マーケットではかなり織り込み済みであるため、米ドル/円の上値は限定的だと想定しています。

 29日の外国為替市場で…
米ドル/円は111円割れなら108円へ下落も! 不気味な米ドルの売り手の正体とは!? ブログ

米ドル/円は111円割れなら108円へ下落も! 不気味な米ドルの売り手の正体とは!?

■日経平均トップアウト。米ドル/円は調整局面入り 米国出張から戻ってきました。引き続き、よろしくお願いします。

 11月9日(木)の当コラムでもご紹介させていただきましたが、日経平均と米ドル/円は11月9日(木)でトップアウトし、調整局面入り。

【参考記事】

●日経平均は2万3000円突破で過熱気味?ドル/円は日本株反落による調整に警戒!(11月9日、西原宏一)

 日経平均は、一部マーケット参加者から3万円の声が出るほどの加熱感を伴い、一時2万3000円を超えたところでトップアウト。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 2万3000円は、1989年12月高値と2008年10月安値の50%戻しに位置します。

 日経平均は、一時このラインを突破し、多くのマーケット参加者が極端なブル(強気)に傾いたあと、何の材料もなく急反落しているため、調整局面入りした公算がさらに高まっています。

 米ドル/円も、115.00円に届かず。

 懸念していたように、高値は114.73円止まりで急反落しています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■米ドル/円はレジスタンスに阻まれ、115円突破ならず ここで、米ドル/円の値動きを週足チャートで確認してみましょう。

米ドル/円 週足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円は、2017年年初の118円台から急落して以降、何度も115円レベルにトライしています。

 5月に反発したときの高値が114.37円。7月の反発が114.49円。そして、今月11月の反発が114.73円と、3度、115円ブレイクに向けて上昇するも3度とも失敗。

 加えて、当コラムでも何度かご紹介させていただいている2015年6月の高値125.86円と2016年12月の高値118.66円を結んだレジスタンスである114円台ミドルのブレイクに、今回も失敗しています。

 つまり、過去2年半に渡るレジスタンスを、今回もブレイクできなかったということになります。

【参考記事】

●米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目!株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!?(11月2日、西原宏一)

米ドル/円 週足(再掲載)(出所:Bloomberg)

 特に、今月11月9日(木)の115.00円へのトライは、NYダウの急騰や日経平均の続伸という好材料があったにも関わらず、失敗。

 では、日米の株の急騰というリスクオンでも上がらない米ドル/円は、どういう材料があれば115.00円をブレイクして続伸できるのか?ということがマーケットで疑問視されています。

■米ドル/円が115円をブレイクするために必要な材料は? マーケットで1番に取り上げられている材料の1つが、米長期金利(米10年物国債の利回り)の上昇。

米長期金利(10年物国債の利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 米長期金利さえ上がれば、米ドル/円は115.00円を超えて続伸するという意見もありますが、仮に、米長期金利が3%に向けて高騰すると、米株の調整を誘引します。

 米株が急反落すれば、米ドル/円は躊躇なく追随し、反落すると考えられています。

 結果、米ドル/円が115.00円を超え、120.00円に向けて上値を追うのは、かなり難しいのではないかと、現時点では想定しています。

 話題を短期の話に戻すと…
日経平均は2万3000円突破で過熱気味? ドル/円は日本株反落による調整に警戒! ブログ

日経平均は2万3000円突破で過熱気味? ドル/円は日本株反落による調整に警戒!

■日経平均は2万3000円突破! 過熱気味のマーケットに警戒 みなさん、こんにちは。

 今月(11月)の注目は、なんといっても続伸を続ける日経平均。

 日本の総選挙で与党が大勝して以降、海外勢の日本株の買いがおさまらず、日経平均は、連日急伸しています。

【参考記事】

●日本株は21年ぶり高値突破なら上値拡大! 株高・リスクオンに備えて売りたい通貨は?(11月6日、西原宏一&大橋ひろこ)

●米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目! 株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!?(11月2日、西原宏一)

 ここで、日経平均の上値のめどを確認してみます。

 マーケット参加者の間では、まず、21年前の高値である2万2750円が意識されていました。

 次が、1989年12月高値と2008年10月安値の50%戻しとなる2万3000円。

 特に、50%戻しの2万3000円では、いったんもみ合いになる可能性が高いというのがコンセンサスでした。

日経平均 月足(出所:Bloomberg)

 しかし、SQ(※)前の日経平均は、2万3000円を上抜けると上昇に弾みがつき、一時2万3300円台まで急伸しました。

(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 個人的に、日経平均に関しては強気スタンスを維持していますが、TDシーケンシャル(※)をはじめ、オシレーター系のインディケータは軒並み短期的に買われすぎを示唆。

(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)

 週足のエリオットウェーブでのカウントから分析しても、今回の上昇は5波動となり、上昇が拡張される傾向がありますが、この波動が終わると日経平均は調整に入る可能性も高いため要注意です。

日経平均 週足(出所:Bloomberg)

 日経平均の急伸に周回遅れで米ドル/円も上昇し…
米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目! 株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!? ブログ

米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目! 株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!?

■日経平均の上値余地はさらに拡大中? みなさん、こんにちは。

 年末に向けての日経平均は、誰もが想像しなかった16連騰を記録。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 過去のコラムでご紹介させていただいたとおり、昨年(2016年)に続き、今年(2017年)も北朝鮮問題を筆頭にリスクオフに傾斜する報道が盛りだくさんでしたが、そのリスクオフポジションの反動が加速した展開。

【参考記事】

●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)

 加えて、欧米投資家の動向を大きく変えさせたのが日本の総選挙でした。

 当初、与党の劣勢が伝えられていたため、欧米短期筋は日経平均をショートにしていた模様。

 それが徐々に与党の優勢が伝わり、選挙は与党の圧勝という結果に。

【参考記事】

●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

 欧米勢は国内の機関投資家以上に「アベノミクス」の行方を気にしています。

 今回の総選挙での与党の圧勝により、アベノミクスの継続を確認した欧米勢は投資スタンスを大きく変更。

 つまり、日本株のショートからロングに方針を変更したため、10月は連日、欧米勢からの日本株の買いがマーケットに投入されます。

 これが、驚愕の日経平均の連騰につながります。

 加えて、今月(11月)に入り、新規マネーが入ったのか国内機関投資家の日本株買いも入り、日経平均はあっさり2万2000円台を回復します。

 次の日経平均のターゲットは、2万2750円。

 これは1996年6月、つまり今から21年前につけた高値となります。

 現在、2万2750円のコール(買う権利)オプションの価値は急騰しており、日経平均の上値余地はさらに拡大中。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 一方、米ドル/円は依然、114.50円のレジスタンスに阻まれ、上値を伸ばせないでいます。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 株の急騰は、いわゆるリスクオン、つまり…
ドル/円は118円への上昇過程! 注目は…!? NZドルを反落させたネガティブ材料とは? ブログ

ドル/円は118円への上昇過程! 注目は…!? NZドルを反落させたネガティブ材料とは?

■日本の総選挙は与党大勝 みなさん、こんにちは。

 注目の日本の総選挙は、与党大勝という結果に。

【参考記事】

●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

 この結果はコンセンサスどおりであり、米ドル/円は一時、セル・ザ・ファクトによる利益確定の売りに押される局面もありましたが、円安の流れは変わらず、本稿執筆時点での米ドル/円は113円台ミドルで底堅く推移しています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 この「米ドル高・円安」の背景には、ひさしぶりに本邦機関投資家からの米ドル買いがマーケットに投入されたことが大きな要因となっているようです。

■総選挙後の市場で注目を集めた「オープン外債」 日本の総選挙明けとなった今週(10月23日~)の米ドル/円相場で、マーケット参加者の注目を集めたのが、「オープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)の増加」という報道でした。

日生:新規資金の大半をオープン外債に、国債抑制継続-下期計画

日本生命保険は今年度下期(2017年10月-18年3月)の運用計画で、上半期と同程度と見込む新規資金の大半を、為替リスクを回避しないで投資するオープン外国債券に振り向ける方針だ。分散投資の推進や中長期的な視点での収益向上に取り組む。

24日記者説明した秋山直紀財務企画部長によると、下期の新規資金は上期の約8400億円と同程度を見込んでおり、「国内債券は少なくとも増やせる状況ではない。増加資金で増えるところは外国債券と株が少し」と述べた。

国内金利が低位で推移する中、下期の国内債券は、引き続き国債への投資は抑制。社債などクレジット投資は積み増し、全体の残高は横ばいとなる見通し。上期は残高が400億円減った。運用の中心となる超長期国債の利回りはやや上昇したが、国債投資の積み増し再開の水準については「20年-30年債で1%が引き続きの目線」と述べた。

外国債券の残高は増加を見込む。為替リスクを回避(ヘッジ)した形で投資する外国債券と、ヘッジせずにオープンで投資する外債を、為替や金利水準に応じて機動的に為替リスクのコントロールしながら配分する。

ヘッジ外債の残高は減少を計画。ヘッジコストの上昇が見込まれる中、上期に前倒しで5100億円積み増した。オープン外債の残高は積み増す。積み増す為替水準について、秋山氏は「金利がより高ければ多少、為替水準は幅が広くなる。金利が低ければたとえ円高でも投資するのはどうか」と述べた。上期は2300億円増となった。保有する外貨建て資産全体の通貨配分は米ドル6割、ユーロが2割。

出所:Bloomberg

 マーケットでは、本邦機関投資家が下半期にオープン外債を増やすのではないか? という見方が増えていましたが、この「日本生命」の記事により、その信憑性が高まったといえます。

 加えて「日本生命」だけではなく、他の生保も同様のコメントをしています。

住友生命:ヘッジ外債を増加

為替ヘッジしないオープン外債は、円高・ドル安が進んだ局面で「少し拡大」する。今年度末の円相場は1ドル=115円と予想。米国の金融正常化と日本銀行の金融緩和継続を背景とした日米金利差の拡大で円安基調が続き、110円がドル安の限界になってくる可能性があると読む。

上期も外債の残高を6400億円増やしたが、ヘッジ付きが中心だった。外株等は500億円積み増した。「外債投資はドル安局面でのオープン外債を検討、USDJPYの110円にかけて押し目での投資を検討」等の運用計画を発表した。

出所:Bloomberg

 つまり、「住友生命」はオープン外債は少し拡大するも、米ドル/円が110円への下落時に検討するといったところ。

 どちらにせよ、これまでと変わらず円高局面では、彼らからの米ドル需要が出るといったところ。

 この一連の「オープン外債」の報道により、米ドル/円の上値余地はさらに拡大。

 節目の114~115円レベルを抜くには一定の時間を要するのでしょうが、中期の米ドル/円の目標は変わらず118円。

【参考記事】

●円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目(9月28日、西原宏一)

●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 この米ドル/円に加え、今週(10月23日~)のマーケット参加者が…
米大型減税の行方がマーケットの関心事。 米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!? ブログ

米大型減税の行方がマーケットの関心事。 米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?

■米国株と日本株の連騰は止まらず みなさん、こんにちは。

 今月(10月)に入って、米国株と日本株の連騰は止まらず。

 特に、日経平均は(本稿執筆時点で)13日連続の上昇。

 これはバブル期の1988年2月10日~27日の13連騰に並ぶ高騰です。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 しかし、米ドル/円はまだ113.00円レベルで出遅れ気味。

 多くのマーケット参加者が疑問視しているのが、米ドル/円が日経平均の上昇に大きく出遅れていること。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 これは、米10年債利回りの低下が要因となっています。

 このところの米ドル/円相場は、「リスクオンでの株高」につれるのではなく、米10年債利回りとの相関性が高くなっています。

米ドル/円&米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 過去数カ月、米10年債利回りは一時2.00%近くまで落ち込むなど低迷していたことが米ドル/円の上値をおさえていました。

 しかし、その米10年債利回りも9月8日(金)で底打ちとなり、反発に向かっています。

■米10年債利回りは反発。米ドル/円のサポートに 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、9月8日(金)に「米ドル/円と金(ゴールド)」は大きくトレンドを切り返しています。それは、ユーロ/米ドルも同様です。

【参考記事】

●北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?(10月12日、西原宏一)

 以下は、米10年債利回りの日足チャートです。

米長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 9月8日(金)に2.014%をつけてから反発しています。

 これは、前述の米ドル/円、金(ゴールド)の変化日と同様。

 この米10年債利回りの反発が遅ればせながら、米ドル/円の上昇をサポートすると想定しています。

 マーケット関係者によると…
北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は? ブログ

北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?

■北朝鮮の建国記念日がマーケットの転換点だった みなさん、こんにちは。

 今週(10月9日~)、もっとも懸念されていた「朝鮮労働党創建記念日」であった10月10日(火)は無事通過。

【参考記事】

●今週は北朝鮮情勢に絡むリスクに警戒! でも、無風で通過すれば米ドル買い再開か(10月9日、西原宏一&大橋ひろこ)

 過去には、この「朝鮮労働党創建記念日」の前後に核実験やミサイル発射などの挑発行動を行なっており、今年(2017年)も何かやるのではと警戒されていたわけです。

 ただ、北朝鮮の話題はアジアでは緊張感が走りますが、欧州、そして米国ですら関心は極めて薄い状態。

 グアムへの攻撃が話題になったときは、さすがに米国でも大きく報道されましたが、それ以降は、あまり大きく取り上げられていません。

 それにも関わらず、グローバルにマーケット参加者が「朝鮮労働党創建記念日」を気にしていたのは、9月8日(金)のマーケットの動きが相場の転換点となったためです。

 9月9日(土)は、北朝鮮の建国記念日でした。

 それを控えて、前日(9月8日)の金融市場では緊張感が高まります。米ドル/円は、節目の108.00円を抜けて、一時107.32円まで急落。

 そして、9月8日(金)を無事通過したことで、その翌週(9月11日~)から米ドル/円は108円台を回復し、1カ月強で6円暴騰したのは記憶に新しいところ。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 米ドル/円だけであれば、アジア市場での話題であり、欧米市場の関心は極めて低いことになりますが、北朝鮮の報道に対する関心を高めたのが金(ゴールド)の動き。

 米ドル/円が安値をつけたのが9月8日(金)ですが、同時に金(ゴールド)も1357ドルと高値をつけています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

NY金先物 日足(出所:Bloomberg)

 そして、欧州が注目したのがユーロ/米ドル。

 ユーロ/米ドルが1.2092ドルの高値に到達したのが、同日の9月8日(金)になります。

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

 つまり、9月8日(金)という日を境に相場の流れが反転し、米ドル/円は反発、ユーロ/米ドルは反落、そして金は反落という流れに、明確に切り替わっています。

 このマーケットの動きにより、一般紙はともかく、金融関係のメディアにおいては、北朝鮮の話題はローカルなものではなく、市場参加者の注目を集めることになります。

 前述のように、注目の「朝鮮労働党創建記念日」を…
米ドル/円は「陰の極」達成から約6円急騰! バイオマス発電に絡んだ米ドル買いって…!? ブログ

米ドル/円は「陰の極」達成から約6円急騰! バイオマス発電に絡んだ米ドル買いって…!?

■今年の米ドル/円の値幅は、11円強と狭い… みなさん、こんにちは。

 早いもので、今年(2017年)もあと3カ月ですね。

 振り返ってみれば、今年(2017年)の米ドル/円は、ここまでわずか11円強という狭いレンジに終始。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 今年(2017年)の米ドル/円のレンジは、11.28円。高値は1月3日(火)につけた118.60円、安値は9月8日(金)につけた107.32円となっています。

 ただ昨年(2016年)も、11月のトランプラリーまでの米ドル/円は、Brexit(英国のEU離脱)を筆頭とした不透明感がマーケットに横たわっており、総じて円高気味でスローな展開でした。

 それが11月のトランプラリーで、一気に一方的な円安相場に。

【参考記事】

●2017年のドル/円は調整あっても130円へ! リスクオフの円高が継続しないワケとは?(2016年12月22日、西原宏一)

 今年(2017年)も残る3カ月でダイレクショナルな相場を期待したいところですね。

■米ドル/円は「陰の極」から約6円急騰 その米ドル/円ですが、107.32円の安値に到達したのが9月8日(金)。

 北朝鮮の建国記念日(9月9日)の前日に、「陰の極」に達したわけです。

 それが、9月27日(水)には、一時113.26円まで反発。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 9月の北朝鮮の地政学的リスクの高まりで、一時急落した米ドル/円ですが、その後、北朝鮮絡みの情勢は、まったく好転したわけではないものの1カ月弱で約6円急騰。

 以下は、米ドル/円の日足チャートですが、113円台前半には118.60円からのレジスタンスも控えています。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 一気に今年(2017年)のレンジの半分を戻しているわけですので、今年の低いボラティリティの米ドル/円の相場環境であれば、113円台前半をトップとして、数円反落してもおかしくないのですが、本稿執筆時点での米ドル/円は112円台後半で底堅く推移。

 その背景は、過去のコラムでもご紹介させていただいたように、多くの本邦機関投資家が米ドルを買い遅れていること。

【参考記事】

●円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目(9月28日、西原宏一)

 多くの本邦機関投資家が米ドルを買い遅れている背景は…
円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目 ブログ

円安トレンド回帰で米ドル/円は118円へ! 続落サイン点灯!? ユーロ/英ポンドに注目

■米ドル買い遅れ組多数で、米ドル/円の下値は限定的 みなさん、こんにちは。

 米ドル/円に関しては、このコラムでのスタンスは変わらず、「米ドル高・円安」トレンド継続との見方。

【参考記事】

●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月21日、西原宏一)

●ドル/円下げ止まりを示唆するサインとは? ユーロ/円は中期的に140円を目指す動きに(9月14日、西原宏一)

 リスク資産は、依然として北朝鮮からの軍事的な報道には敏感に反応します。

 先週、9月22日(金)も、「北朝鮮の対抗処置として、太平洋での水爆実験の可能性」との報道で「株安・円高」へ。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円は、一時111.65円に下落。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 しかし、「北朝鮮の建国記念日」というビッグイベントを直前に控えた9月8日(金)でさえ、米ドル/円の安値は107.32円止まりでした。

 その後も、北朝鮮からの軍事的な緊張感を高める報道が幾度となく流れるのですが、円高に傾くのは一時的。

 本邦機関投資家を筆頭に米ドルを買い遅れている投資家が、まだ多数残存しているとみられ、米ドル/円の下落は限定的となっています。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円は過去数カ月、108円~115円のレンジで推移。

 つまり、米ドル/円の続伸には、115円をブレイクするような円安材料が、もうひとつ必要ということになります。

■英ポンド/円が米ドル/円続伸のカギを握る 前回のコラムでは、その材料のひとつとしてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇を挙げています。

 そして具体的には、ユーロ/円ではなく、英ポンド/円が米ドル/円の上昇を牽引すると想定しています。

【参考記事】

●円高終焉でドル/円急反発! 続伸のカギを握るのは160円に向けて上昇するポンド/円(9月21日、西原宏一)

 この意味は、欧州通貨においての資金の流れが、ユーロから英ポンドに移行するということになります。つまり、ユーロ/英ポンドの下落。

【参考記事】

●本邦解散総選挙と北朝鮮情勢の綱引き!? 英ポンド/円買いに妙味がある理由とは?(9月25日、西原宏一&大橋ひろこ)

ユーロ/英ポンド 日足(出所:Bloomberg)

 前回のコラムでご紹介させていただいたように…