西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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米国からの圧力で急減速する中国経済! 利下げ予測もある豪ドル/円は70円へ…!?

■中国経済の減速が止まらない… みなさん、こんにちは。
 「令和」に入ってからのマーケットは、リスクオフ環境から抜けられない状態が続いています。
 その背景には、治まることのない米国からの圧力により減速する中国経済が、グローバル経済の不透明感を増していることがあります。
 中国から発表される経済指標も、悪化の一途をたどっています。
4月の中国新車販売14%減、減税でも歯止めかからず
中国汽車工業協会は13日、4月の新車販売台数が前年同月比14.6%減の198万500台だったと発表した。10カ月連続で前年実績を下回った。2ケタの減少は2カ月ぶり。
出所:日経新聞
 米中貿易戦争が深刻化する中、中国経済の減速は予想されていたことです。
【参考記事】
●米中貿易摩擦再燃で米国株は調整入り…。NYダウ続落なら、米ドル/円は105円方向へ(5月9日、西原宏一)
 しかし、4月に関しては新たな減税策により、新車販売台数は急増することが期待されていたにも関わらず、減税でも減速に歯止めかからなかったことがマーケットに衝撃を与えました。
 しかも、トランプ大統領が関税引き上げに言及したのは5月6日(月)であり、4月はどちらかといえば、米中関係は改善傾向にあったはずなのですが、発表された数字は大幅に減少。
【参考記事】
●トランプ砲で米ドル/円は窓開けスタート!米中交渉決裂なら米国株は総崩れに…!?(5月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
 この点からいえば、5月6日(月)にトランプ大統領が「関税引き上げ」について言及してからの中国経済のセンチメントはさらに悪化していると思われ、中国経済はマーケットのコンセンサスを超えて悪化していることが懸念されています。
■米国の関税引き上げに中国は徹底抗戦も分が悪いか 度重なるトランプ大統領の関税引き上げという圧力に対して、中国は報復関税という手段に出ます。つまり、徹底抗戦というスタンスを取っています。
 これは、他国からの圧力には屈しないという、いつもの中国のスタンス。
中国、海外からの圧力に屈することはない=外務省報道官
出所:ロイター
トランプ大統領の関税引き上げに対し、中国は徹底抗戦のスタンスを取っているが、分が悪そうで…。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
 しかし、中国にとっての米国は、多くの中国製品を買ってくれる重要な顧客であるはずです。
 大切な取引先と大きなトラブルを引き起こし、その闘争に勝てるものなのでしょうか?
 一般的には「NO」だと言わざるを得ません。
 ただ、考え方を変えれば、中国は米国からの要求に、おいそれと「YES」と言えない状況にあることも確かです。
 たとえば、中国が企業に出している…
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米中貿易摩擦再燃で米国株は調整入り…。 NYダウ続落なら、米ドル/円は105円方向へ

■トランプ砲炸裂! マーケットはリスクオフに 異例の10連休という長期休暇となった、日本のゴールデンウィーク明けのマーケットは、新元号「令和」のスタートということで「株高・円安」相場が期待されていました。
 本邦機関投資家も、ゴールデンウィークの休暇中であるにも関わらず、米ドル/円での米ドル買いを海外マーケットで手当しているというウワサも流れていました。
 ところが、ゴールデンウィークの最終日、5月6日(月)日本時間未明、トランプ大統領のツイートにより、マーケットは一気にリスクオフ相場に突入しました。
【参考記事】
●トランプ砲で米ドル/円は窓開けスタート! 米中交渉決裂なら米国株は総崩れに…!?(5月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
トランプ氏、対中関税25%に引き上げ表明 貿易戦争激化も
トランプ米大統領は5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。
出所:日経新聞
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 「ブレグジット(英国のEU離脱)」に関しては、金融マーケットを一変させる最重要イベントというヘッドラインが躍るわりには、実際の為替マーケットのボラティリティは高まらずということで、英ポンドは小動き。
英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
 一方、米中貿易協議は楽観視する報道が多く、トランプ大統領自身も「(対中交渉は)早晩合意に至る」などと発言していたわりに、具体的な進展が見えないことを個人的には懸念していましたが、いきなり大統領が豹変するという結末に。
 このトランプ大統領の対中関税引き上げ発言で、市場心理が急速に悪化。
 結果、リスクアセットは一気に売りに転じ、先週(4月29日~)まで高値を追っていた米国株は、いきなり急落。
 リスクオフマーケットで、米ドル/円、そして、オセアニア通貨を中心にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も大幅下落しました。
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 今週の「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でも…
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令和とともに、円高から円安にシフトか? 平成の終焉間近。米ドル/円相場を振り返る

■オセアニア通貨は続落! NZドルに続いて豪ドルも みなさん、こんにちは。
 今週(4月22日~)の為替市場で動意を見せているのがオセアニア通貨です。
 まず、このコラムで何度かピックアップしているNZドルは、今週(4月22日~)も続落。
【参考記事】
●NZ中銀のハト派への転換は何を意味する? 混迷するブレグジットの行方が今後の鍵に(3月28日、西原宏一)
●GW相場が米ドル/円を買う好機になるか!? 利下げ予想のあるNZドルは売り継続で!(4月18日、西原宏一)
 NZドル/米ドルは、0.6582ドルまで、NZドル/円は73.66円まで続落。
NZドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
NZドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 4時間足)
 そして、今週(4月22日~)、下落が鮮明となったのが豪ドルです。
 4月24日(水)に発表された豪州の第1四半期・CPIが予想以上に鈍化したことで、豪州の国債利回りは急低下。
豪長期金利(10年物国債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の利下げ観測も急速に強まり、5月7日(火)に予定されている、RBA理事会の利下げ確率は56.1%まで上昇。
 連れて、続伸していた豪ドル/NZドルも反落。
豪ドル/NZドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/NZドル 日足)
 豪ドル/米ドルは0.7004ドルまで、豪ドル/円は78.39円まで反落しました。
豪ドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
豪ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 4時間足)
 結果、本邦のゴールデンウィーク明けに向けて、オセアニア通貨は要注意。
 前回のコラムの確認になりますが、5月8日(水)にRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が利下げする公算は高いまま。
【参考記事】
●GW相場が米ドル/円を買う好機になるか!? 利下げ予想のあるNZドルは売り継続で!(4月18日、西原宏一)
 その前日(5月7日)に、RBAが利下げに踏み切る思惑も高まったことから、5月初旬に向け、NZドルのみならず、豪ドルの下値余地が拡大していることに注目です。
■平成時代がまもなく終焉…米ドル/円相場を振り返る さて、今回のコラムでは、元号が「令和」に変わることをきっかけに、長期に渡っての米ドル/円の動きを検証してみたいと思います。
 今月(4月)で終わろうとしている、30年にも渡る平成の時代は、1989年から2019年。
 以下の米ドル/円の月足チャートを見るとわかるように、1990年に160円台だったものが、79.75円(1995年4月安値)や、75.35円(2011年10月安値)を経て、現在も112円付近にあるということは、平成は円高の歴史だったとも言えます。
米ドル/円 月足(出所:Bloomberg)
 平成が始まった1989年の日本は、バブル経済のピークであり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられていました。
 日経平均は4万円に手が届きそうになり(最高値は1989年12月29日につけた3万8915円)、5万円以上を予想するエコノミストも多くいました。
日経平均 月足(出所:Bloomberg)
 ただ、そうした好景気は…
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GW相場が米ドル/円を買う好機になるか!? 利下げ予想のあるNZドルは売り継続で!

■ユーロ/円急騰に、M&A絡みの動きアリ みなさん、こんにちは。
 4月10日(水)には、ブレグジット(英国のEU離脱)問題がいったん延長と決まり、マーケットには、この決定を待っていたフローが持ち込まれています。
【参考記事】
●6カ月間延長で、EU離脱日は10月31日に。2度目の国民投票実施はあり得るのか!?(4月15日、松崎美子)
 たとえば、先週(4月8日~)、12日(金)の突然のユーロ/円の急騰。
ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
 一部報道によれば、「三菱UFJフィナンシャル・グループがDZ銀行傘下のDVBバンクから買収する、航空機ファイナンス事業(約56億ユーロ)に関わる手当て」との事。
 彼らは、ブレグジットが一段落するのを待っていて、買いに出たと想定されます。
 実際に、この取引からユーロ/円の買い玉がマーケットに投下されたのでしょうが、56億ユーロの何%が実弾としてキャッシュの買いになったのかは、まったく不明。
 ただ、このフローにより、ユーロ/円は一時、126.81円まで急騰し、本稿執筆時点でもユーロ/円は126円台で推移しています。
ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
■米ドル/円はポジション調整の押し目買いで臨みたい このように、現時点での本邦からのフローは、M&Aを筆頭に円安需要が勝っています。
 この三菱UFJフィナンシャル・グループのユーロ/円トレードのように、ゴールデンウィーク前に外貨買いをマーケットに持ち込む投資家もいますが、外貨を買い遅れた多くの投資家は、ゴールデンウィークでの急落を待っている展開。
 逆にいえば、仮に日本の10連休中に円高局面がなくても、ゴールデンウィーク後に、彼らは円売りのフローをマーケットの投入する必要があります。
 米ドル/円は112.00円レベルで上値を止められていますが、なかなか反落もしない展開。
 米ドル/円に関しては、112円台でのエントリーではなく、ポジション調整での押し目を待って、米ドルロングを構築しようと想定しています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 ブレグジットが、いったん収束し…
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米ドル/円は懸念どおり112円超えならず…。 「セル・イン・メイ」に向けて、調整局面入り

■ご祝儀相場でも、米ドル/円と日経平均は失速気味 みなさん、こんにちは。
 前回のコラムでご紹介させていただいたように、新年度スタートのご祝儀相場にも関わらず、米ドル/円と日経平均は早々に失速気味。
【参考記事】
●112円目前のドル/円、一転反落の可能性!? 事態好転の兆しに英ポンドの上昇余地拡大(4月4日、西原宏一)
 米ドル/円は節目の112.00円にも届かず、反落(高値は4月5日の111.82円)。一時、111.00円を割り込む展開。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 一方、日経平均も続伸できず。
 米国株の続伸を横目に上昇するも、200日移動平均線が位置している2万1895円が上値を押さえている展開です。
日経平均 日足(出所:Bloomberg)
 日経平均の上値を押さえているのが、本邦機関投資家の「期初の益出し」。
 一部の本邦機関投資家は、新年度入りの早い時期に保有株を売却して、当期の利益を一定の度合いで確保する傾向があります。
 これは、「新年度の収益目標達成への気持ちに余裕が出る」効果を狙っての行動のようです。
 そのため、先週(4月1日~)は新年度入りし、「株高・円安」相場となっても、今週(4月8日~)に入ると、一部の機関投資家から「期初の益出し」による株売りが出て、日経平均は上値の重い展開となっています。
 結果、今週(4月8日~)の「日経平均と米ドル/円」は、上値の重い展開となり、調整局面入り。
■IMFが世界経済は「不安定な状況」と警告 一方、4月2日(火)の欧米市場では、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」とコメント。
 このコメントは、現在、多くの中央銀行が緩和に移行しつつあることを裏付けるものであるともいえます。
 つまり、世界経済は不安定な状況に向かっていると認識しているため、主要中銀が緩和スタンスに変更しているということになります。
 そして今週(4月8日~)、IMFは2019年の世界成長率見通しを3.3%とし、金融危機以降で最低の水準に下方修正した模様(1月の予想は3.5%)。
 米国を中心とした関税引き上げが貿易を圧迫していることを、要因のひとつとして挙げています。
 このIMFの発表が、「セル・イン・メイ」の時期を控えた米国株の上値を重くしています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 来週(4月15日~)から…
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112円目前のドル/円、一転反落の可能性!? 事態好転の兆しに英ポンドの上昇余地拡大

■2019年度は「株高、円安」でスタートも、上値は重い? 今週(4月1日~)から新年度入りしました。今年度も、よろしくお願いします。
 新元号は「令和」に決定。今期(4~6月)は、ご祝儀相場期待もあり、期初の日経平均、米ドル/円は堅調。
【参考記事】
●新元号は「令和」! ご祝儀相場に期待!? ブレグジット注意だがドル/円は押し目買い(4月1日、西原宏一&大橋ひろこ)
 米中通商協議が順調に進行しているという報道も加わり、本稿執筆時点での日経平均は一時2万1787円、米ドル/円は111.58円の高値まで上昇しています。
日経平均 4時間足(出所:Bloomberg)
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 新しい期に入るとニューマネーがマーケットに流入し、リスクオンの様相を呈する傾向がありますが、今期もリスクオンでスタート。
 しかし、今期はその流れが長く続かないかもしれません。
 1月3日(木)のフラッシュクラッシュから一転して、反発を演じている米ドル円ですが、3月5日(火)に112.14円まで到達して以降は、調整局面に。
【参考記事】
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
●フラッシュクラッシュのロスカット等未収金は過去3番目の規模! 25%がくりっく365から発生
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 日経平均も、なかなか2万2000円台を回復せず、本稿執筆時点での日足のTDシーケンシャルはカウントダウンを点灯し、早晩の調整を示唆しています。
日経平均 日足(出所:Bloomberg)
 特に米ドル/円は、下押しした局面では本邦機関投資家からまとまった米ドル買いが出てくるものの、112円台が近づくと急速に失速。
【参考記事】
●英ポンドの運命を握る3日間! 採決次第で方向性が決まる!? 米ドル/円は当面底堅そう(3月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
 新年度入りし、リスクオンの状況が継続しているにもかかわらず、112円を目前に、すでに上値が重くなっている米ドル/円は、一転して反落する可能性も高まっています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■IMF専務理事のコメントが早めの「セル・イン・メイ」を示唆!? 加えて、4月2日(火)のマーケットではIMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」とコメント。
 このコメントは、現時点で多くの中央銀行が緩和スタンスに移行していることを裏付けるコメントであるとも言えます。
 ラガルド専務理事が指摘するように、「世界的に成長が鈍化する中、世界経済は不安定な状況にある」のであれば、5月を控え、少し早めの「セル・イン・メイ(Sell in May)」(※)が訪れる可能性も警戒する必要があるのかもしれません。
(※「セル・イン・メイ(Sell in May)」とは、元々は米国株に関する相場格言で「5月に株を売れ」という意味。5月に株が下がりやすい傾向があるためできた言葉。そこから少し意味が転じて、「5月にリスク資産が急落すること自体」を指して使われることがある)
 もうひとつ、米ドル/円の上値を抑えているのが、引き続きブレグジット(BREXIT)に揺れる英ポンドの動向が不安定であることです。
 このところ、為替マーケット全体に膠着状況を作り出しているのが…
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NZ中銀のハト派への転換は何を意味する? 混迷するブレグジットの行方が今後の鍵に

■NZ中銀がハト派に舵を切ったワケとは? みなさん、こんにちは
 過去のコラムでも何度かご紹介させていただいていますが、豪州のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は徐々に緩和方向にシフト。
【参考記事】
●利上げ予測が霧散した豪ドルは反落開始! 呼応して、米ドル/円もじわじわと下落か(2月7日、西原宏一)
 2月21日(木)には、豪州の大手銀行、ウェストパックが「RBAは8月と11月に利下げ予想」と発表したこともあり、RBAの年内の利下げ圧力が高まっています。
 よって、注目が集まっていたのが、お隣の国のニュージーランドの金融政策。
 その、ニュージーランドのRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の金融政策決定会合が、3月27日(水)に開催されました。
 声明において、RBNZのオア総裁は「次の金融政策は利下げの可能性が高い」と極めてハト派なスタンスに変更。
 呼応して、8月7日(水)に開催される金融政策決定会合の利下げ確率は71.6%まで一気に上昇。
 RBNZが、いきなり金融政策を緩和方向に舵を切ってきたのは、RBAの緩和スタンスが影響しています。以下は、豪ドル/NZドルの週足チャートです。
豪ドル/NZドル 週足(出所:Bloomberg)
 豪ドル/NZドルはRBAの緩和スタンスに呼応して、じり安で推移。
 RBAの緩和スタンスに対して、RBNZが何もアクションを起こさなければ、豪ドル/NZドルは、パリティ(=1.0000NZドル)を目指して続落する可能性が高まっていました。
 それに歯止めをかける意味で、今回、RBNZは緩和スタンスに変更してきたものと思われます。
 RBNZの緩和スタンスにより、NZドルは主要通貨に対して軟調な動きになると想定しています。
■多くの中央銀行がハト派に変更! 景気後退は来る? このところ、多くの中央銀行がハト派スタンスに変更する傾向があります。
 前述のRBA、ECB(欧州中央銀行)、FRB(米連邦準備制度理事会)、そして、今回のRBNZ。
 RBAやRBNZは自国の経済規模が大きいわけではないため、景気後退のサインに敏感に反応する傾向があります。
 特にRBNZは、金融政策の変更に遅れを取ると、経済に致命的な影響を与えるため、そうしたサインに敏感に反応し過ぎる傾向もあります。
 今回、RBNZが金融政策をハト派へと変更したことが、炭鉱のカナリアとなり、リスクオフマーケットに移行するのか?それとも、杞憂で終わるのか?は、Brexit(英国のEU離脱)の行方が鍵を握っていると想定しています。
 昨年(2018年)後半は…
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ブレグジットは長期延期の可能性高まる! 3月期末目前で米ドルの買い遅れが顕著に

■メイ首相の離脱協定案の3度目採決に、待った! みなさん、こんにちは
 先週(3月11日~)は、「英ポンドの運命を握る3日間」がコンセンサスどおりに通過。
【参考記事】
●3度目の採決はどちらに転んでもポジティブ!? 英議会見つつ英ポンド/米ドルを押し目買い(3月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
 3月20日(水)までに、英国のメイ首相のEU(欧州連合)離脱協定案について、3度目の採決を行うことになっていました。
 しかし、今週(3月18日~)に入って事態はまた一転します。
 話題になったのが、英下院のバーコウ議長のコメント。
 英下院のバーコウ議長は、メイ首相のEU離脱案を3度目の議会採決にかけることを事実上、禁止したようです。
 バーコウ議長は3月18日(月)、すでに議会が拒否した案を再び採決に付すには、中身が大幅に異なるものでなくてはならないと指摘。
 これまでと、ほぼ同じであれば採決を許可しないと言明。
 ブルームバーグによれば、メイ首相がEUと取り決めた離脱合意案の採決は、バーコウ下院議長が許可しないと決定したことを受け、今週(3月18日~)は行われない見通しだと、英政府当局者が語った模様。
 その結果として、メイ首相は長期の離脱プロセス延期をEUに要請せざるを得なくなると、匿名を条件に当局者は語ったと報道しています。
■ブレグジットは離脱期限ギリギリまで交渉が続く メイ首相にとって、3月29日(金)のEU離脱期限まで、時間はほとんどありません。
 結果、メイ首相は、今月(3月)29日(金)に設定されているEUの離脱期限を6月末まで延期、そして、EU離脱を最大2年間先送りする選択肢を求める書簡を、3月19日(火)中にEU側に送付したと報じられています。
3月末のEU離脱期限まで時間がほとんどないメイ首相。6月末までの離脱期限延期と最大2年間先送りする選択肢を求める書簡を送ったと報じられているが… (C)Matt Cardy/Getty Images News
 EU離脱が長期延期となる可能性が高まったため、基本的に英ポンドは底堅い展開が続いています。
英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
 ただ、交渉は3月29日(金)ギリギリまで続いており、想定していない材料が飛び出す可能性もあるため、英ポンド絡みのトレードはリスク管理をしっかりしておきたいところ。
 本稿を執筆して…
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英・合意なき離脱の可能性は、ほぼ消滅。 円売り需要を背景に米ドル/円は115円へ!

■「英ポンドの運命を決める3日間」の行方はどうなった みなさん、こんにちは。
 今週(3月11日~)の注目は、なんといってもブレグジット(英国のEU離脱)に絡む英ポンドの動向。
 なぜなら、「英ポンドの運命を握る3日間」を控えていたためです。
【参考記事】
●英ポンドの運命を握る3日間! 採決次第で方向性が決まる!? 米ドル/円は当面底堅そう(3月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
 まず、3月12日(火)にメイ英首相のEU(欧州連合)離脱修正案の採決。
 これはすでに否決されましたので、3月13日(水)にノーディールブレグジット(合意なきEU離脱)の是非を問う採決へと進みます。
■ノーディールブレグジットは否決されるも… そして、本稿を執筆している日本時間3月14日(木)未明、ノーディールブレグジットが否決されました。
 ここでは、超党派による修正案での採決が行われ、どのような状況においても「ノーディールブレグジット」は拒否するということで、312対308で否決。
 ギリギリですが、これでノーディールブレグジットの可能性は、ほぼ消滅しました。
 よって、英ポンドの暴落の可能性は、かなり低くなったことになります。
 しかし、メイ首相が自身のEU離脱案の3回目の採決を準備していると、英紙タイムズが報道。
 これに、反応してマーケットでは、一度急落していたユーロ/英ポンドの買い戻しが活発化。逆に、英ポンド/米ドルは反落しました。
ユーロ/英ポンド 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 30分足)
英ポンド/米ドル 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 30分足)
 「ノーディールブレグジット」は否決されたので、次は「離脱延期をEUに申請したいか?」について、3月14日(木)に採決が行われる予定です。
 ある意味、ボールはEUの手に。
 引き続き、ブレグジットの行方が混沌としている、英ポンドの動向には注目。
 一方、米ドル/円は…
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3月期末絡みの本邦勢の米ドル買い旺盛!? 米ドル/円は、じりじり115円を目指す展開へ

■米ドル/円は一時112円台前半まで反発 みなさん、こんにちは。
 前回のコラムでご紹介させていただいたとおり、米ドル/円は110円台前半が妙に底堅く、結局、111円台を回復。
【参考記事】
●EU離脱を巡る再国民投票の可能性浮上! 英ポンド/円は節目の150円突破も視野に!?(2月28日、西原宏一)
 3月5日(火)のNY市場では、一時112円台前半まで反発(高値は112.14円)しました。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
 この米ドル/円の堅調さの背景には、英ポンド/円を筆頭にしたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇があります。
■米ドル/円の底堅さのカギを握る通貨ペアとは? このコラムで何度かご紹介させていただきましたが、クロス円、特に英ポンド/円の動向は、米ドル/円の行方に多大な影響を与えます。
【参考記事】
●EU離脱を巡る再国民投票の可能性浮上! 英ポンド/円は節目の150円突破も視野に!?(2月28日、西原宏一)
 2015年から2016年にかけて、Brexit(英国のEU離脱)懸念を背景に、英ポンド/円は195円から121円へと74円も暴落。
英ポンド/円 週足(出所:Bloomberg)
 この英ポンド/円の暴落に誘引される形で、米ドル/円は125円台から99円台まで急落したのは記憶に新しいところです。
米ドル/円 週足(出所:Bloomberg)
 そして、今年(2019年)の米ドル/円相場も同様。
 1月3日(木)のフラッシュ・クラッシュで、英ポンド/円は一時131.70円まで急落。
 その後、「合意なきEU離脱」懸念の大幅後退で、わずか2カ月で16円も大きく反発。
 3月1日(金)には、148.57円の高値に到達しています。
英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
 一方、米ドル/円のフラッシュ・クラッシュ時の安値は104.87円。
 英ポンド/円の上昇につれ、米ドル/円も反発。3月5日(火)のNY市場では、一時112.14円まで反発しています。
米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
 このように、引き続き米ドル/円の動向は、相関性の高い英ポンド/円の動向に大きく左右されそうです。
 ただ、3月期末も間近に迫った…