今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを 買えない一番の原因はトランプ大統領だ! ブログ

ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを 買えない一番の原因はトランプ大統領だ!

■米ドルは、よほどのことがない限り上昇しない! この1週間でよりはっきりしたことは、米ドルは、よほどのことがない限り上昇しないということです。

 8月4日(金)に発表された米国の7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が20万人台まで増加したほか、平均時給も高い水準を維持するなど、かなり強い結果となり、一時的に米ドルは上昇。

 米ドル/円は一時、111.053円まで値を上げることとなりましたが、翌週(8月7日~)からすぐに失速しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■北朝鮮問題は、今後も相場に影響を与える材料となりそう… その直接的な原因となったのは、北朝鮮情勢の緊張感が高まったことでした。

 「グアム沖30~40キロメートル地点を弾道ミサイルで攻撃」する北朝鮮の計画が明るみなったほか、トランプ米大統領も挑発的な発言を繰り返すなど、一触即発の状態となりました。

 しかし、北朝鮮側が「米国の出方を見守る」という理由で「ミサイル攻撃」の実施を目先、取り止めたことが伝わると、緊張感がやや緩んだことで影響は急低下しました。

【参考記事】

●北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい(8月10日、今井雅人)

●トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(8月14日、陳満咲杜)

 ただ、この問題は今後もくすぶり続けるので、そのたびに、一時的にせよ相場に影響を与えることになるでしょう。

■一番の原因はトランプ大統領、米ドルは買えない それよりも深刻なのは、やはりトランプ政権に対する不信感です。

【参考記事】

●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

 8月16日(水)、トランプ大統領は大企業幹部らが参加する大統領の諮問機関「米製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」を解散すると発表しました。

 そもそも、会議が積極的に開かれていた形跡もなく、事実上機能していなかったわけで、実際の影響という面では不透明なところはありますが、米製造業評議会のメンバーであった製薬大手メルク、半導体大手インテル、スポーツ衣料品大手アンダーアーマー、複合企業3M(スリーエム)、航空機エンジン・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ、食品大手キャンベル・スープの各CEO(最高経営責任者)らが、トランプ大統領の白人至上主義に反発して相次いで辞任したため、解散に追い込まれたというのが実情です。

米製造業評議会と戦略・政策フォーラムは解散に追い込まれた格好に…。米ドルを買う気になれない一番の原因は、やっぱりトランプ大統領!? (C)Mark Wilson/Getty Images

 コーンNEC(米国家経済会議)委員長も「嫌悪感を覚えるとともに動揺している」とトランプ大統領を痛烈に批判。トランプ大統領の直近の支持率は、36%程度にまで低下してきています。

 これでは、とても米ドルは買えないというのが、投資家の正直な感想でしょう。

 さらに、8月16日(水)に公表された…
北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい ブログ

北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい

■クロス円伸び悩み、ロングポジションをいったん決済 先週(7月31日~)から今週(8月7日~)にかけては、調整相場という流れとなりました。

 私個人としては、ユーロ/円を131円台前半、豪ドル/円を87円台後半で、いったんロングポジションを決済して、ここ数日は様子をみています。

 全体的に「米ドル安、円安、その他の通貨高」が進むという、基本的な考え方は変えていません。

【参考記事】

●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

●進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も(8月3日、今井雅人)

 しかし、ここ1~2週間は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も伸び悩んでウロウロしていたので、何かあると少し調整が入るのではないかと考え、いったん撤退しているということです。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 IMM(国際通貨先物市場)の投機筋のポジション推移を見ても、クロス円のロングが積みあがっていることが確認できていたので、より注意が必要かと考えました。

■北朝鮮の挑発は調整の材料に使われただけ!? 今週(8月7日~)になって、北朝鮮がグアムにミサイルを発射する用意があるという報道を受けて、日経平均が一時、大幅に下落し、為替相場も円高方向に向かいました。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

世界の通貨VS円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 30分足)

 北朝鮮のミサイル発射による威嚇は、このところずっと続いており、今回の報道も想定の範囲内ではありましたが、ポジションが偏りすぎていた状況の中で、調整の材料に使われたということだったのだろうと思います。

 一般論として、ある方向にトレンドができたあと、しばらくもみあいの状況に入ると、いったん、ポジションの調整が起きるというのはよくあることです。今回も、そういう展開となっているのではないでしょうか。

 さて、今後の展開でありますが、まだ調整相場が…
北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい ブログ

北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい

■クロス円伸び悩み、ロングポジションをいったん決済 先週(7月31日~)から今週(8月7日~)にかけては、調整相場という流れとなりました。

 私個人としては、ユーロ/円を131円台前半、豪ドル/円を87円台後半で、いったんロングポジションを決済して、ここ数日は様子をみています。

 全体的に「米ドル安、円安、その他の通貨高」が進むという、基本的な考え方は変えていません。

【参考記事】

●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

●進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も(8月3日、今井雅人)

 しかし、ここ1~2週間は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も伸び悩んでウロウロしていたので、何かあると少し調整が入るのではないかと考え、いったん撤退しているということです。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 IMM(国際通貨先物市場)の投機筋のポジション推移を見ても、クロス円のロングが積みあがっていることが確認できていたので、より注意が必要かと考えました。

■北朝鮮の挑発は調整の材料に使われただけ!? 今週(8月7日~)になって、北朝鮮がグアムにミサイルを発射する用意があるという報道を受けて、日経平均が一時、大幅に下落し、為替相場も円高方向に向かいました。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

世界の通貨VS円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 30分足)

 北朝鮮のミサイル発射による威嚇は、このところずっと続いており、今回の報道も想定の範囲内ではありましたが、ポジションが偏りすぎていた状況の中で、調整の材料に使われたということだったのだろうと思います。

 一般論として、ある方向にトレンドができたあと、しばらくもみあいの状況に入ると、いったん、ポジションの調整が起きるというのはよくあることです。今回も、そういう展開となっているのではないでしょうか。

 さて、今後の展開でありますが、まだ調整相場が…
進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も ブログ

進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も

■米ドル安見通しに確信を得た1週間 為替市場の状況は、前回のコラムでお伝えしたところから変化していません。むしろ、前回申し上げたことに対して、ますます確信を得る1週間となりました。

【参考記事】

●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

 今の為替相場の流れを非常に簡単に申し上げれば、米ドル安、円安、それ以外の通貨高という流れになっています。特に、米ドル安はますます進んできています。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 たとえば、ユーロ/米ドルは前回のコラムで、「テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきた」と申し上げました。今週(7月31日~)、ユーロ/米ドルは一時そのレベルを超え、1.19ドル台まで米ドル安が進む場面がありました。

ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)

■FRB高官からハト派発言、利上げ期待は後退 直近の米ドル安の直接的な原因は、FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言でした。

 セントルイス連銀のブラード総裁は、「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない。インフレ見通しは2017年に悪化した」と発言。

 また、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「インフレの弱さが続いているため、インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」と述べています。

 こうした米経済に対するやや悲観的な見方、そして、利上げ期待の後退が米ドルの重しとなっています。

【参考記事】

●米ドル/円が下がりやすい8月が到来! まずは108円台を目指す動きを想定(8月1日、バカラ村)

■トランプ政権は末期症状、米ドルは買えない しかし、それ以上に米ドルに下落圧力をかけているのは、何といってもトランプ政権に対する不信感でしょう。

 今週(7月31日~)、トランプ大統領は新しく任命した広報部長を、なんと、わずか10日間で解任してしまいました。驚愕です。

 これまで、トランプ政権では、人事に関して様々なトラブルがありました。今回が何度目になるのかすらわかりませんが、大統領就任から半年も経って、新しく任命した広報部長を10日間で解任するというのは、もはや末期症状と思えなくもありません。

発足から半年が経過しても、人事に関するトラブルが続くトランプ政権。末期症状とも思える状態に市場の不信感は高まっているようだ (C) Chip Somodevilla/Getty images

 これはもう、不信感がなかなか回復するような事態ではないと考えるようになってきました。

 「米ドルは買えない」。ますます、その思いが強くなってきています。

 米ドル安と同時に円安も進んでいるので、米ドル/円は…
進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も ブログ

進む米ドル安。でも、ドル/円はレンジ継続? ここからは上昇狙った買いを避けたい通貨も

■米ドル安見通しに確信を得た1週間 為替市場の状況は、前回のコラムでお伝えしたところから変化していません。むしろ、前回申し上げたことに対して、ますます確信を得る1週間となりました。

【参考記事】

●米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?(7月27日、今井雅人)

 今の為替相場の流れを非常に簡単に申し上げれば、米ドル安、円安、それ以外の通貨高という流れになっています。特に、米ドル安はますます進んできています。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 たとえば、ユーロ/米ドルは前回のコラムで、「テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきた」と申し上げました。今週(7月31日~)、ユーロ/米ドルは一時そのレベルを超え、1.19ドル台まで米ドル安が進む場面がありました。

ユーロ/米ドル 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)

■FRB高官からハト派発言、利上げ期待は後退 直近の米ドル安の直接的な原因は、FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言でした。

 セントルイス連銀のブラード総裁は、「インフレ見通しを考慮すれば、私は近い時期のさらなる行動は支持しない。インフレ見通しは2017年に悪化した」と発言。

 また、クリーブランド連銀のメスター総裁は、「インフレの弱さが続いているため、インフレを誘発する失業率の想定値を引き下げた」と述べています。

 こうした米経済に対するやや悲観的な見方、そして、利上げ期待の後退が米ドルの重しとなっています。

【参考記事】

●米ドル/円が下がりやすい8月が到来! まずは108円台を目指す動きを想定(8月1日、バカラ村)

■トランプ政権は末期症状、米ドルは買えない しかし、それ以上に米ドルに下落圧力をかけているのは、何といってもトランプ政権に対する不信感でしょう。

 今週(7月31日~)、トランプ大統領は新しく任命した広報部長を、なんと、わずか10日間で解任してしまいました。驚愕です。

 これまで、トランプ政権では、人事に関して様々なトラブルがありました。今回が何度目になるのかすらわかりませんが、大統領就任から半年も経って、新しく任命した広報部長を10日間で解任するというのは、もはや末期症状と思えなくもありません。

発足から半年が経過しても、人事に関するトラブルが続くトランプ政権。末期症状とも思える状態に市場の不信感は高まっているようだ (C) Chip Somodevilla/Getty images

 これはもう、不信感がなかなか回復するような事態ではないと考えるようになってきました。

 「米ドルは買えない」。ますます、その思いが強くなってきています。

 米ドル安と同時に円安も進んでいるので、米ドル/円は…
米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!? ブログ

米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?

■米ドル安が進行、ユーロは2010年6月安値が視野に! 先週(7月17日~)から今週(7月24日~)にかけては、全体的に米ドル安が進んでいます。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 ユーロ/米ドルも、1.17ドル台までは上昇する可能性を指摘していたところ、あっさりと達成してしまいました。

【参考記事】

●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)

 昨日、7月26日(水)のNY市場で、当面の上値メドとして非常に重要視されていた2015年8月24日(月)の高値1.1714ドルも上抜けて、一時1.17476ドルまで値を上げています。

(※編集部注:本記事の寄稿後、7月27日(木)の東京時間にユーロ/米ドルは一時、1.1777ドル付近まで上昇した)

ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)

 テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきたといえます。

ユーロ/米ドル 月足(出所:Bloomberg)

【参考記事】

●ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

●ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る! 今後、豪ドルが買われるとみる理由とは?(7月21日、陳満咲杜)

●日本がゼロ金利固定の間に欧州や米国は金利正常化へ! ユーロに優位性あり!(7月20日、西原宏一)

■米ドル安なのに米株高の不可解な動きが継続 7月26日(火)~27日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、ほぼ予想どおりの結果となり、目新しいものは何もなかったのですが、それでも、発表後は米ドル安になっています。

米ドルVS世界の通貨 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)

 市場の声を聞いてみると、「インフレの現状認識を下方修正したほか、バランスシート正常化プランの開始時期を『比較的早く』と曖昧な表現にとどめたことで、全般ハト派的な印象が強まった」ようです。

【参考記事】

●本日のFOMCの発表は「現状維持」と予想、ドル/円短期チャートは買いシグナルだが…(7月26日、松田哲)

 その一方で、NYダウは史上最高値を更新しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 株はますます上昇するのに、米ドルは下がり続ける。なんとも不可思議な動きのようにみえます。その原因が何かということについては、前回のコラムで紹介しました。

【参考記事】

●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)

 先週(7月17日~)から今週(7月24日~)の動きを見ていて、ますます、その見方に確信を持ってきています。

 やはり、一番の原因となっているのは「トランプリスク」…
米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!? ブログ

米ドルを買う気になれない理由はどこに? ドル/円は引っ張り合いでレンジ長期化!?

■米ドル安が進行、ユーロは2010年6月安値が視野に! 先週(7月17日~)から今週(7月24日~)にかけては、全体的に米ドル安が進んでいます。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 ユーロ/米ドルも、1.17ドル台までは上昇する可能性を指摘していたところ、あっさりと達成してしまいました。

【参考記事】

●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)

 昨日、7月26日(水)のNY市場で、当面の上値メドとして非常に重要視されていた2015年8月24日(月)の高値1.1714ドルも上抜けて、一時1.17476ドルまで値を上げています。

(※編集部注:本記事の寄稿後、7月27日(木)の東京時間にユーロ/米ドルは一時、1.1777ドル付近まで上昇した)

ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)

 テクニカル的には、2010年6月7日(月)の安値、1.1877ドルが視野に入ってきたといえます。

ユーロ/米ドル 月足(出所:Bloomberg)

【参考記事】

●ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

●ユーロ/米ドルは1.2ドル打診もあり得る! 今後、豪ドルが買われるとみる理由とは?(7月21日、陳満咲杜)

●日本がゼロ金利固定の間に欧州や米国は金利正常化へ! ユーロに優位性あり!(7月20日、西原宏一)

■米ドル安なのに米株高の不可解な動きが継続 7月26日(火)~27日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、ほぼ予想どおりの結果となり、目新しいものは何もなかったのですが、それでも、発表後は米ドル安になっています。

米ドルVS世界の通貨 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)

 市場の声を聞いてみると、「インフレの現状認識を下方修正したほか、バランスシート正常化プランの開始時期を『比較的早く』と曖昧な表現にとどめたことで、全般ハト派的な印象が強まった」ようです。

【参考記事】

●本日のFOMCの発表は「現状維持」と予想、ドル/円短期チャートは買いシグナルだが…(7月26日、松田哲)

 その一方で、NYダウは史上最高値を更新しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 株はますます上昇するのに、米ドルは下がり続ける。なんとも不可思議な動きのようにみえます。その原因が何かということについては、前回のコラムで紹介しました。

【参考記事】

●ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か(7月20日、今井雅人)

 先週(7月17日~)から今週(7月24日~)の動きを見ていて、ますます、その見方に確信を持ってきています。

 やはり、一番の原因となっているのは「トランプリスク」…
ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か ブログ

ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か

■米ドル高になりきれず114円台で失速する米ドル/円 ここ最近、為替相場は通貨によって、少しバラつきのある動きをしているので、整理してみたいと思います。

 まず、米ドル/円ですが、5月に一度114円台をつけたあと、失速して110円を割り込みました。その後、7月になって、もう一度114円台に乗せましたが、やはりそこでも失速して、現在は111円台と112円台をウロウロしています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 結局、米ドル高になりきれなかったということなのですが、そこには、どのような背景があるのでしょうか。それを考えるにあたって、まず、米国の状況を考えてみたいと思います。

■株高なのに米ドル安、その原因はトランプ政権!? 現在の米国の金融市場は、非常にねじれた状況になっています。

 NYダウはここ最近、史上最高値を再び更新しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 その一方で、米ドル相場は冴えません。どちらかといえば、米ドルは下落傾向が続いています。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 これを、どう考えればいいかということなのですが、まず、その原因の一番はトランプ政権への不安が底辺にあると思います。

【参考記事】

●トランプ政権への不安がドル/円の重し!? たとえ戻りがあっても、頭は重くなりそう(3月23日、今井雅人)

●ドル高にならないのは長期金利が原因! 利上げでも米国債が買われる理由は?(6月22日、今井雅人)

 本来は、株価もその影響を受けてもおかしくないのですが、企業業績が好調なので、株価は強い状態となっています。

 一方で、為替市場ではトランプ政権の不安定さから、米ドルより他の通貨のほうが好まれているという状況にあります。

 ロシア疑惑に関しては、トランプ大統領の長男が関与していたという報道が出てきたりしており、まだ先がまったく読めません。オバマケアの代替案も議会を通過する見通しが立たない状況が続いており、今後の経済政策も本当に進んでいくのか、大きな疑問符がつけられています。こうした状況が、米ドルへの下落圧力となっています。

■米ドル/円以外をみれば、米ドルの弱さは一目瞭然 また、インフレ傾向が強まらず、米10年物国債の利回りは再び2.2%台へ低下してきています。長期金利が伸び悩んでいることが、株価にとってはプラス、一方、米ドルにとってはマイナスという状況を生み出しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円だけを見ているとわかりませんが、たとえば、豪ドルや加ドルなどの対米ドルでの動きを見ると、米ドルが一方的に下落してきているのがよくわかります。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 ユーロ/米ドルを見ても、豪ドルや加ドルほどではありませんが、米ドル安傾向、つまりユーロ/米ドルは上昇傾向になっています。

【参考記事】

●ユーロ/ドルは心理的節目1.15ドルを突破! 明日のECB理事会で今後のスタンスに注目(7月19日、松田哲)

 チャートだけを見ると、ユーロ/米ドルは2015年8月に1.17ドル台まで上昇したことがあるので、そのあたりまでの上昇は期待できるのではないでしょうか。

ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)

 米/ドル円に関しては、端的に言えば…
ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か ブログ

ドル/円がレンジ相場入りしている理由は? 日本の金融政策だけ別方向。円売り模索か

■米ドル高になりきれず114円台で失速する米ドル/円 ここ最近、為替相場は通貨によって、少しバラつきのある動きをしているので、整理してみたいと思います。

 まず、米ドル/円ですが、5月に一度114円台をつけたあと、失速して110円を割り込みました。その後、7月になって、もう一度114円台に乗せましたが、やはりそこでも失速して、現在は111円台と112円台をウロウロしています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 結局、米ドル高になりきれなかったということなのですが、そこには、どのような背景があるのでしょうか。それを考えるにあたって、まず、米国の状況を考えてみたいと思います。

■株高なのに米ドル安、その原因はトランプ政権!? 現在の米国の金融市場は、非常にねじれた状況になっています。

 NYダウはここ最近、史上最高値を再び更新しました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 その一方で、米ドル相場は冴えません。どちらかといえば、米ドルは下落傾向が続いています。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 これを、どう考えればいいかということなのですが、まず、その原因の一番はトランプ政権への不安が底辺にあると思います。

【参考記事】

●トランプ政権への不安がドル/円の重し!? たとえ戻りがあっても、頭は重くなりそう(3月23日、今井雅人)

●ドル高にならないのは長期金利が原因! 利上げでも米国債が買われる理由は?(6月22日、今井雅人)

 本来は、株価もその影響を受けてもおかしくないのですが、企業業績が好調なので、株価は強い状態となっています。

 一方で、為替市場ではトランプ政権の不安定さから、米ドルより他の通貨のほうが好まれているという状況にあります。

 ロシア疑惑に関しては、トランプ大統領の長男が関与していたという報道が出てきたりしており、まだ先がまったく読めません。オバマケアの代替案も議会を通過する見通しが立たない状況が続いており、今後の経済政策も本当に進んでいくのか、大きな疑問符がつけられています。こうした状況が、米ドルへの下落圧力となっています。

■米ドル/円以外をみれば、米ドルの弱さは一目瞭然 また、インフレ傾向が強まらず、米10年物国債の利回りは再び2.2%台へ低下してきています。長期金利が伸び悩んでいることが、株価にとってはプラス、一方、米ドルにとってはマイナスという状況を生み出しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円だけを見ているとわかりませんが、たとえば、豪ドルや加ドルなどの対米ドルでの動きを見ると、米ドルが一方的に下落してきているのがよくわかります。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 ユーロ/米ドルを見ても、豪ドルや加ドルほどではありませんが、米ドル安傾向、つまりユーロ/米ドルは上昇傾向になっています。

【参考記事】

●ユーロ/ドルは心理的節目1.15ドルを突破! 明日のECB理事会で今後のスタンスに注目(7月19日、松田哲)

 チャートだけを見ると、ユーロ/米ドルは2015年8月に1.17ドル台まで上昇したことがあるので、そのあたりまでの上昇は期待できるのではないでしょうか。

ユーロ/米ドル 週足(出所:Bloomberg)

 米/ドル円に関しては、端的に言えば…
円キャリートレード継続! 金利先高感が 強まった通貨を中心にクロス円チェック! ブログ

円キャリートレード継続! 金利先高感が 強まった通貨を中心にクロス円チェック!

■イエレン議長、最後(?)の議会証言はハト派 昨日、7月12日(水)に、注目されていたイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われました。

 この、慣例となっている米上下両院におけるFRB議長の金融政策に関する証言ですが、イエレン議長にとって「おそらく最後になるだろう」ということもあってか、いつも以上に市場の注目が集まったといえます。

イエレンFRB議長の任期は2018年2月3日まで。最後の議会証言になりそうで、市場の注目度は高かったが… (C) Bloomberg/Getty Images

 議会証言に先立って、FRBが日本時間21時30分に公表した証言原稿には、「向こう数年にわたって政策金利の段階的な引き上げを継続する必要がある」との見方を示した一方、「インフレは目標を下回っており、最近は低下傾向」、「経済に対するインフレの反応が重要な不確実性」との見解が示されました。

 また、「金利は中立水準に達するまで大きく上昇する必要ない」と考えていることが判明したほか、「米財政政策も不確実性をもたらしている」と、全般的にハト派な内容となりました。

■タカ派な期待が裏目に… 米ドル/円はポジション調整 その後、日本時間23時から開始された米下院金融サービス委員会における証言では、「バランスシートの縮小を年内の比較的早期に開始する」ことが確認できたものの、具体的な計画はそれ以上、明らかになりませんでした。

【参考記事】

●米バランスシート縮小開始は9月が濃厚!? ユーロ中心の円キャリートレード戦略維持(7月6日、今井雅人)

 市場は、それまでに、かなりタカ派的な内容を期待していたこともあってか、米ドル売りで反応しました。

 特に、米ドル/円は議会証言の前日7月11日(火)に114.495円と、目先の重要なレジスタンスレベルとして意識されていた5月11日(木)の高値114.37円を上抜けて、買いに勢いがついていた後だっただけに、短期筋を中心としたポジション調整の売りに押されることとなりました。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 米長期金利も、2.30%台まで低下しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 7月11日(火)のNY市場に、ブレイナードFRB理事も「最近のインフレ軟化を踏まえて金利軌道を検証する必要がある」との見解を示していましたが、全般的に前のめりに傾いてしまっていた市場のセンチメントを「少々冷やす」きっかけになったのかもしれません。

 為替市場を見てみると、米長期金利の動向が…