今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

クリスマスにかけてもう少し調整が続いても 来年以降、ドル高に向かうと考える理由は? ブログ

クリスマスにかけてもう少し調整が続いても 来年以降、ドル高に向かうと考える理由は?

■FOMCは今年3回目の利上げを決定 今年(2017年)も、残すところ2週間余りとなりました。

 昨日、12月13日(水)は、今年(2017年)最後の大きなイベントの1つである、米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)が、前日(12日)に引き続き、開催されました。

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 結果は、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、1.25%~1.50%にするという内容でした。

※FRBのデータを基にザイFX!が作成

 今回の利上げは、今年(2017年)3回目の利上げとなり、年間で0.75%金利が上がったということになります。

■為替市場はセル・ザ・ファクトの反応 FOMCの声明文の内容をよく読んでみましたが、これまでと変ったところは、あまりありませんでした。

 また、同時に公表されたFOMCメンバー全員による「経済・金利見通し」での「ドットチャート」においても、来年(2018年)に関して、今年と同様、3回程度の利上げを想定していることも、これまでと同じでした。

2017年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)

 そういう意味においては、全体的に、事前予想とほぼ同じ内容だったということなのですが、為替市場は「セル・ザ・ファクト」の反応をしてしまっています。

【参考記事】

●過去2年の12月FOMCはセル・ザ・ファクトで相場の転換点に! 今回はどうなる…!?(12月11日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)

 おそらく、それまで米ドル買いのポジションが少し積み上がっていたので、その調整の米ドル売りが入ったということだと考えています。

■税制改正の議会通過にまた一歩前進 もう1つのイベントが、米国の税制改正の行方です。

 12月13日(水)、米国の上院財政委員会のハッチ委員長は、上下両院の共和党指導部が、税制改革法案の一本化で合意したことを明らかにしました。

 どうやら、当初、20%への引き下げを計画していた法人税率を、21%にするという内容のようです。それでも、現在の35%からは大幅な減税ということになります。

 その他、個人所得税の最高税率は39.6%から37%に引き下げるなど、いくつかの税制改正が盛り込まれています。

 トランプ米大統領も早速、この案を支持する意向を示しました。早ければ、週末15日(金)にも正式に決まり、来週(12月18日~)中には、上下両院で採決する方向で調整が進んでいるようです。

トランプ大統領肝いりの税制改革は、早ければ来週中にも議会で成立する可能性が高まっている (C) Chip Somodevilla/Getty images

 しかし、この報道に対しても、為替市場は、あまり大きな反応を…
日本の機関投資家は米ドル/円で なぜ、為替ヘッジをしなくなっているのか? ブログ

日本の機関投資家は米ドル/円で なぜ、為替ヘッジをしなくなっているのか?

■方向感がない中、下がれば買い、上がれば売る戦略を継続 外国為替市場では、トレンドを形成するような大きな材料がないため、方向感のない相場展開が続いています。

 そういう中で、私自身は、米ドル/円が下がったところで買って、それを基本的にキープしつつ上がったところで売り、また買うチャンスを狙うという戦略を続けています。

【参考記事】

●米ドル/円下抜けの動きはダマシかも…! ドル安材料見当たらず。押し目買い継続!(11月24日、今井雅人)

●米ドル/円、下落なら断続的に買い下がり! 112円半ば~112円割れは絶好の買い場に(11月16日、今井雅人)

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■日本の機関投資家はなぜ為替ヘッジをしなくなっている? そうした戦略をとる背景となっているのが、日本の機関投資家による米ドル買い注文。当コラムでも何度か紹介していますが、改めて、その内容を確認してみたいと思います。

 日本の大手生命保険会社9社の2017年度の下期資産運用計画を見ると、第一生命保険を除く8社が、利回りが高い外国債券への資金配分を増やす方針を示しています。

 その中でも、為替ヘッジをしないオープン外債への意欲が高まっています。

【参考記事】

●テイラー氏がFRB議長でもドル高は一時的!? 米大統領の訪日迫る。ポジション整理へ!(10月27日、今井雅人)

●ドル/円を取巻く環境はサンドイッチ状態!? トランプ大統領来日へ。北朝鮮の動向注意(11月2日、今井雅人)

 その背景には、米国の短期金利が上昇し、ヘッジコストが増加していることがあります。

米短期金利(米2年債利回り)(出所:Bloomberg)

 日米の金利差が広がり、先物での米ドル売り・円買い予約のヘッジコストが増加してきていることが運用益を圧迫してきています。そうした状況の中で、オープン外債の検討が進んでいるということです。

 たとえば、最大手の日本生命は、8400億円のうち、大半をオープン外債に振り向ける方針を示しています。その他の会社は、そこまでではないものの、円高局面では米ドルを買う方針を検討しています。

 こうした傾向を背景に、私も米ドル/円の押し目買いを続けているということです。ただ、レンジなので上値も重い。当面は、113円台半ば程度が天井ではないかと考えています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 その他の気になるニュースについて…
米ドル/円は、113円台を目指して反騰か! 背景に4つの好材料と売られ過ぎのサイン ブログ

米ドル/円は、113円台を目指して反騰か! 背景に4つの好材料と売られ過ぎのサイン

■好調な経済指標。12月FOMCでの利上げは、ほぼ確実 この1週間は、米国でいくつかの注目材料が出てきたので、それを1つずつ紹介していきたいと思います。

 まず、経済指標です。

 11月29日(水)に発表された、2017年7~9月期の米GDP(国内総生産)・改定値は、実質の伸び率が前期と比べて年率で+3.3%と、速報値の+3.0%から上方修正され、米国経済の好調さを印象づけるものとなりました。

米GDPの推移(前期比年率)(出所:Bloomberg)

 さらに同日、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が議会証言で、「健全な労働市場を維持し、物価上昇率を目標とする年2%に安定させるためには、緩やかな利上げが適切だ」と述べ、12月12日(火)~13日(水)に行われる予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%の利上げが、ほぼ確実になりました。

(FRBのデータを基にザイFX!が作成)

■パウエル次期FRB議長は、金融引締め継続へ イエレンFRB議長は今回の任期(~2018年2月)で退任し、後任はジェローム・パウエル現FRB理事に決定しました。

 パウエル氏は、米上院での公聴会で次のように述べています。

 「金利と保有資産の規模を正常化させるときだ。4.1%という失業率と力強い経済成長を踏まえると、極めて低い金利は適切ではない。徐々に引き上げていく。緩やかな利上げは米経済の回復を維持する最良の方法だ。12月に利上げする条件は整った。保有資産は現在の約4.5兆ドルから小さくなるが、金融危機前の水準よりは大きくなる。試算の規模が安定するには3~4年かかり、2.5兆ドル~3.0兆ドルになると考えている」

 この発言を受けて、来年(2018年)以降も金利、量ともに、金融引締めが継続されるという方針がはっきりしました。

【参考記事】

●次期FRB議長は誰? そしてドル/円は…!? 雇用の最大化をめざすとなぜ通貨安になる?(10月30日、西原宏一&大橋ひろこ)

■税制改正の審議は、いよいよ佳境。成立は目前 最後は、税制改正です。トランプ政権と共和党が実現を目指している税制改正について、下院と上院でそれぞれ法案が発表されました。それぞれに若干の違いはあるものの、基本的なポイントは同様となっています。

 その中でも、特に法人税の引き下げと、現在、海外に滞留している利益への税率引き下げが大きなポイントです。

 特に、海外に滞留している利益への税率引き下げが実現すると、大量の米ドル買いが発生して、米国に資金が流れ込む可能性が出てくるので、米ドルにとっては好材料です。

【参考記事】

●ドル/円はポジション調整狙った戻り売り。でも、感謝祭後はドル高と考える理由は?(11月14日、バカラ村)

 下院では、すでに本会議で法案が決議されているほか、上院では、現在、まさに本会議の審議に入っています。今の米国の議会の状況を見ると、成立する可能性がかなり高まってきています。

 以上、4点指摘しましたが、いずれも米ドルにとっては好材料…
米ドル/円下抜けの動きはダマシかも…! ドル安材料見当たらず。押し目買い継続! ブログ

米ドル/円下抜けの動きはダマシかも…! ドル安材料見当たらず。押し目買い継続!

■為替市場は全体的な米ドル安 この1週間、為替市場では全体的に米ドル安が進行しました。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 特に、一時、114円台まで上昇していた米ドル/円は、111円台前半まで下落しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■米ドル/円が下落した2つの要因とは? その原因の1つとなっているのが、日本株の伸び悩みです。日経平均は一時、2万3000円を上回る展開となった後、上昇トレンドが終わり、現在は2万2000円台半ばの推移となっています。

【参考記事】

●上抜けたはずのドル/円が失速した理由は? 難しい局面はポジティブキャリーで対処を!(11月9日、今井雅人)

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均が高値圏で乱高下したことを嫌気して、米ドル/円も反落したという面がありました。

 さらにもう1つの理由は、米国の長期金利がなかなか上昇しないことです。米国債の10年物利回りも、2.3%台で膠着してしまいました。

【参考記事】

●米ドル安は投機的な動き?構造的な問題? 米ドルの運命を左右するものとは…!?(11月24日、陳満咲杜)

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

■来年の米利上げペースはかなり緩慢になるかも… そんな中、11月22日(水)に、10月31日(火)~11月1日(水)開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が発表されました。

 その議事録の中では、「今後入手する情報で中期的な見通しがおおむね変らなければ、FF(フェデラル・ファンド)金利誘導目標レンジのもう一段の引き上げが近い将来に正当化される可能性が高いと、多くの参加者は判断した」と書かれており、12月の利上げはほぼ確実なことが確認されました。

 しかし、それ自体は、ほぼ市場に織り込み済みであったために、市場への影響は、ほとんどなかったといってよいと考えています。

 一方、議事録の中にあった「多くの参加者は低インフレについて一過性の要因だけではなく、より持続性のある状況の影響を反映している可能性がある」という表現は、来年以降の利上げのペースがかなり緩慢になるのではないかという印象を市場関係者に与えました。

 ほぼ時期を同じくして、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演の中で同様の発言をしたことが、より印象を強くさせる要因となりました。

 その結果、市場は米ドル安という反応をし、米ドル/円は直近のサポートレベルを下に抜けて、一気に111円台前半まで下落。ユーロ/米ドルは、一気に1.18ドル台に上昇し、ユーロ高・米ドル安が進行しました。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

ユーロ/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)

 実は、米ドル/円に関しては、112.00円から…
米ドル/円、下落なら断続的に買い下がり! 112円半ば~112円割れは絶好の買い場に ブログ

米ドル/円、下落なら断続的に買い下がり! 112円半ば~112円割れは絶好の買い場に

■日経平均に相場の転換を示唆するローソク足が発生 日経平均は、9月からほぼ一方的な上昇トレンドに入り、2カ月あまりで4000円を超える上昇をしてきました。

 11月9日(木)の日中には大幅に上昇し、2万3000円台の大台を超えて、一時、2万3382.15円まで上昇したものの、後場に入ってからすぐに急落。

 結局、その日はかなり乱高下して、日足チャート上では、高値圏で上下に大きなヒゲをつけたローソク足が発生しました。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 通常、高値圏でこうした形が発生した場合、相場の転換を示唆するということが、よく言われています。

【参考記事】

●日経平均は2万3000円突破で過熱気味? ドル/円は日本株反落による調整に警戒!(11月9日、西原宏一)

 実際に、翌日10日(金)から日経平均は下落を続け、一時、2万2000円を割り込んで下落。本日、16日(木)の東京市場では、寄り付き直後に一時、2万1972.34円まで値を下げました。

 ここまでの動きは、外国人投資家の売りが、主たる下落要因だったようです。

■米ドル/円には日本の機関投資家による断続的な買い こうした株式市場での混乱を受けて、市場全体がリスクオフの形となり、米ドル相場も急落。

 米ドル/円も一時、112.485円まで、米ドル安・円高が進みました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 対ユーロでも米ドル安となり、ユーロ/米ドルは一時、1.18606ドルまで上昇しました。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 その後の動きですが、米ドル/円に関しては、断続的に日本の機関投資家の米ドル買い注文が入っていたために、落ち着いた動きとなってきて、それに合わせるような形で、株式市場も落ち着きを見せています。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 16日(木)の東京市場では、日経平均は安値を付けた後から買い戻しが入り、前日比で320円以上、上昇して引けています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 私自身も、今回の乱高下の中で、少し気持ちが悪かったので、米ドル/円のロング(=買い)ポジションを、すべて決済してしまいました。

 さて、ここからの展開ですが…
上抜けたはずのドル/円が失速した理由は? 難しい局面はポジティブキャリーで対処を! ブログ

上抜けたはずのドル/円が失速した理由は? 難しい局面はポジティブキャリーで対処を!

■円相場は混沌状態。米ドル/円はレンジ相場に ここ1~2週間の動きを見ると、円相場は混沌とした状態に入り込んできてしまっています。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 直近の動きで言えば、11月6日(月)に海外の短期投機筋が、114.50円にあった米ドル/円のストップロスの買い注文を狙って買いを仕掛け、その影響で一時114.736円まで上昇しました。

 しかし、その後、買いについてくる者が現れず、買い上げた短期筋もあっけなく売り戻してしまい、結局、一気に元の水準まで巻き返してしまいました。

米ドル/円 1時間足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円は直近高値であった7月11日(火)の114.495円を一瞬だけ上に抜いて、ここで一気に上昇かと市場関係者の期待は高まったものの、その流れが数時間と持たなかったことで、逆に失望感が市場に広がってしまいました。

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 その後は、113円台から114円台の中でのレンジ相場に入り込んでしまっています。私自身も上に抜けるかと少し期待をしていたのですが、どうも当面、その可能性は低そうだと考えざるを得ない状況になってきました。

【参考記事】

●ドル/円を取巻く環境はサンドイッチ状態!? トランプ大統領来日へ。北朝鮮の動向注意(11月2日、今井雅人)

■米ドル/円は大きく崩れる可能性は低そうだけど… 米国の長期金利も伸び悩んでいます。

 直近の米国債の10年物利回りは2.3%程度で、一時は2.5%を上に抜けていくかと思われましたが、失速してしまっています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 こうした状況も、米ドル/円の頭を押さえ込んでしまっている要因です。

 ただ、米ドル/円は113円台半ばより下がってくると、日本の機関投資家のドル買い注文がある程度並んでいるようなので、大きく崩れることも可能性としては低いのではないかと考えています。

【参考記事】

●日経平均2倍以上なのに円安は少しだけ。2002~2007年の市況からヒントが得られる?(11月6日、陳満咲杜)

 結局は、方向感のないレンジ相場に入り込んでしまう公算が高まってきてしまったということでしょう。

 そんな中、注目は米国の税制改正…
ドル/円を取巻く環境はサンドイッチ状態!? トランプ大統領来日へ。北朝鮮の動向注意 ブログ

ドル/円を取巻く環境はサンドイッチ状態!? トランプ大統領来日へ。北朝鮮の動向注意

■日経平均は絶好調。でも円安にならないのはなぜ? 日経平均が連日、年初来高値を更新していて絶好調です。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 ところが、今までの動きでは、株高と円安はセットでしたが、今回はそういう動きになってきていません。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 こうした状況の原因はいろいろ考えられますが、私は、その大きな原因の1つは、日銀によるETF(上場投資信託)の購入ではないかと考えています。

 つまり、日銀が断続的にETFを購入していることで、株式市場の需給をタイトにしていることが、株価の上昇に寄与しているということです。これが続く限り、日経平均は下落トレンドに向かうことはないのではないかと考えています。

 株式市場は、このような特殊事情があって上昇を続けていますが、残念ながら為替市場には断続的な円売りをするような要因がなかったために、株式市場と円相場の間で、かい離が生じるようになってきたということでしょう。

【参考記事】

●米ドル/円は重要レジスタンス突破に注目! 株急騰にいち早く反応した通貨ペアとは…!?(11月2日、西原宏一)

●今からでも遅くない! 米ドルは買い!! 日経平均の上げっぷりにドル/円も追いつく(10月27日、陳満咲杜)

■米ドル/円は買いと売りに挟まれたサンドイッチ状態 さて、現在、米ドル/円を取り巻く環境は、いわばサンドイッチ状態です。

 日本の機関投資家、特に生命保険会社はこの下半期から、オープン型の外債投資を積極化する方針を打ち出しています。

【参考記事】

●ドル/円は118円への上昇過程! 注目は…!? NZドルを反落させたネガティブ材料とは?(10月26日、西原宏一)

●テイラー氏がFRB議長でもドル高は一時的!?米大統領の訪日迫る。ポジション整理へ!(10月27日、今井雅人)

 すでに、113円台半ばから下の水準には、断続的な買い注文も出てきているようです。

 一方、直近では自動車を中心とした大手輸出企業が、米ドル売り・円買いをしています。特に、114円台になると、そういう動きが、より活発になっているようです。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 こうしたフローが、米ドル/円をレンジの中に押し込んでしまっているのかもしれません。

 さらに、チャートを見てみると、米ドル/円は114円台半ばの…
テイラー氏がFRB議長でもドル高は一時的!? 米大統領の訪日迫る。ポジション整理へ! ブログ

テイラー氏がFRB議長でもドル高は一時的!? 米大統領の訪日迫る。ポジション整理へ!

 個人的なことではありますが、衆議院選挙が無事終わり、何とか当選することができました。

 選挙期間中は、金融市場のことを細かくみる余裕があまりありませんでしたが、今週(10月23日~)から、また本格的にやっていきたいと考えています。

【参考記事】

●FXで5000万円超儲けたザイFX!連載陣の今井雅人さんが衆院選で4回目の当選!

■堅調な状態を保ちながら、ゆっくりした動きへ ここ3週間ほど、日経平均は連騰を続けてきましたが、さすがに高値警戒感と買い疲れが交じり合いもみあいに入ってきました。

【参考記事】

●衆院選後の株価上昇は長くは続かない!? 米ドル/円は114円台半ばにレジスタンス(10月25日、松田哲)

 ただ、大きく反落するようなことは、北朝鮮関連で危機的な状況に入ってこない限り、起きそうもないと考えています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 金融市場全体は堅調な状態を保ちながら、ゆっくりとした動きになってくるのではないかと予想しています。

■日本の機関投資家が米ドル/円やクロス円を下支え このように金融市場が活況な状況下で、日本の生保(生命保険会社)を中心とする機関投資家は、かなり積極的な投資姿勢を見せるようになってきました。

 ここ数年、日本の生保は外債投資をする場合、為替リスクを避けるため、為替ヘッジ付きの外債に投資する傾向がありました。しかし、今週(10月23日~)明らかになってきている平成29年度下半期の運用方針では、為替ヘッジをつけない、いわゆるオープン外債への投資を積極化する方針を打ち出しています。

【参考記事】

●ドル/円は118円への上昇過程! 注目は…!? NZドルを反落させたネガティブ材料とは?(10月26日、西原宏一)

●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

 オープン外債投資では、外貨買い・円売りが起きるので、円安を誘発する効果があるのは言うまでもありません。

 すでに、市場では米ドル/円の113円台に、日本の生保の米ドル買い注文が散見されるようになってきています。

 こういう環境を考慮すれば、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ともに、円高にはなりにくいと考えられます。

 米ドル/円、ユーロ円での円売り方針は、依然として有効ではないかと考えています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

 では、あえて円高リスクを考えるとすれば…
「13日の金曜日」に混乱なし。ドル/円は 調整完了! 選挙結果がどうあれ上値試しへ ブログ

「13日の金曜日」に混乱なし。ドル/円は 調整完了! 選挙結果がどうあれ上値試しへ

■まとまったフローなし、衆院選の状況を見極め!? 前回のコラムで、「東京市場では、10月10日(火)に公示された衆議院総選挙の状況を見極めたいとする向きが増えてきており、市場参加者に話を聞いてみても、『東京時間は本邦勢のフローがまったく出てこなくなっている』状況のようです。」と市場の様子をお伝えしました。

【参考記事】

●衝撃的な米雇用者数減少はイレギュラー。ドル/円の上値重いが、基本方針変わらず!(10月12日、今井雅人)

 やはり、今週(10月16日~)も、日本の機関投資家を中心とした、まとまったフローが直接持ち込まれるということはなかったようです。

■「13日の金曜日」、弱いCPIでも荒れ相場回避 市場では、「13日の金曜日」という欧米の参加者にとってはかなり「不吉」な10月13日(金)に、9月米CPI(消費者物価指数)が総合・コアともに予想を下回る弱い数字となったことを受けて、米ドル/円が一時、111.688円まで売り込まれる場面も見られました。

米CPI(除く食品&エネルギー)の推移(前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)

 しかし、その後に公表された10月米ミシガン大消費者信頼感指数・速報値が、101.1とかなり強い結果となったこともあり、米ドル/円は懸念されていたほどの乱高下とはならずに、NY市場を終えることができました。

10月13日(金)の米ドル/円 30分足(出所:Bloomberg)

■日米株高で米ドル/円は一気に買い戻し。調整終了!? 週明けとなった10月16日(月)にも、米ドル/円は一時111.654円と、2度目の下値トライとなりましたが、ロシアのインタファクス通信が「米朝外交官が会談する可能性」を報じたほか、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事を巡って関係者から、「スタンフォード大学教授のジョン・テイラー氏が、トランプ米大統領の評価が高い」との話が伝わると、一気に112円台へと買い戻す動きとなりました。

 それからというもの、日経平均の12連騰や、連日にわたるNYダウの史上最高値更新を受けて、米ドル/円は買い戻しの動きが加速。

 本日、10月19日(木)の早朝には、一時113.094円まで値を戻すことになっています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

 米10年債利回りも2.35%付近まで戻すなど、先週(10月9日~)まで続いた米雇用統計後のポジション調整は、いったん終わったものとみなしていいかもしれません。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 米韓軍事演習が始まっていることもあり、為替市場には…
衝撃的な米雇用者数減少はイレギュラー。 ドル/円の上値重いが、基本方針変わらず! ブログ

衝撃的な米雇用者数減少はイレギュラー。 ドル/円の上値重いが、基本方針変わらず!

■米雇用者数の減少、ハリケーンによるイレギュラー 10月6日(金)に発表された9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が、なんと3.3万人の減少と、予想8.0万人の増加を大きく下回る弱い数字となりました。

非農業部門雇用者数の推移(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)

 もともと市場予想自体が、ハリケーン「ハービー」や「イルマ」の影響を考えた上での低めの数字だったわけですが、その数字をはるかに下回る結果となりました。

 ただ、非農業部門雇用者数の内訳を見てみると、レジャー産業や、出勤時間をベースに給料が支払われるレストランやバー従業員などの雇用者数が10万人以上も減少しており、一部の業種でハリケーンの影響が偏って出てしまったことがわかります。

 非農業部門雇用者数の全体としての数字は衝撃的な結果でしたが、「あくまでもハリケーンの一時的な影響」としての認識を強めており、むしろ、同時に公表された平均時給が前月比+0.5%と、予想の+0.3%を大幅に上回る強い数字となったことに市場は反応。

米ドルVS世界の通貨 4時間(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間)

 米10年債利回りも一時、2.4%台まで急上昇することになりました。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

【参考記事】

●市場は次のテーマ待ち。でも、米ドル/円が中長期的に上昇すると考える理由とは?(10月10日、バカラ村)

●今晩の米雇用統計は悲観しなくてよい!? よって、米ドル/円は75%の確率で上昇!?(10月6日、陳満咲杜)

■北朝鮮による挑発リスクには依然、警戒が必要 ただ、前回のコラムでも懸念をお伝えしたとおり、「北朝鮮」による挑発リスクは依然として高いです。

【参考記事】

●11月のトランプ米大統領来日時は要注意!? 2度跳ね返された114円台で、ドル/円利食い(10月5日、今井雅人)

 10月6日(金)も、米雇用統計後に米ドルが全面高となるなか、帰国したロシアの議員訪朝団から、「北朝鮮では米国の西海岸に到達可能なミサイルの発射用意が整っている。すぐにも発射できる」との見解が伝わりました。

 また、今週(10月9日~)に入っても、10日(火)の朝鮮労働党創建72周年記念日に向けて、「何らかの行動があるかもしれない」との思惑が相場に暗い影を落としました。

 幸いにも、具体的な挑発行為は確認されませんでしたが、「スカッドミサイルが移動している」などの状況も報じられており、依然として予断は許されないでしょう。

【参考記事】

●今週は北朝鮮情勢に絡むリスクに警戒! でも、無風で通過すれば米ドル買い再開か(10月9日、西原宏一&大橋ひろこ)

 為替相場ですが、米ドル/円は10月6日(金)の米雇用統計後に…