今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

英ポンド急落! メイ首相に不信任案も!? 日銀の関係者がマイナス金利撤廃を提言? ブログ

英ポンド急落! メイ首相に不信任案も!? 日銀の関係者がマイナス金利撤廃を提言?

■揺れる英国。メイ英首相には不信任案!? 英国が揺れています。

 現在、英国はEU(欧州連合)離脱に向けた交渉などを続けてきていますが、ここに来て、いよいよ混迷を極めています。

 メイ英首相は11月14日(水)、事務レベルで合意した協定案を、臨時閣議で「了承した」と発表しました。

 これで、離脱交渉は前進するかと思われましたが、ラーブ英・EU離脱担当大臣が、メイ英首相の対応を不満として辞任しました。

 ラーブ氏の辞任後すぐに、マクベイ雇用・年金相も辞任しました。さらに、EU離脱強硬派は、メイ英首相の進めるEUとの妥協案では、英国の自由度が制限されるとして、メイ英首相の不信任案を求める動きを開始しました。

メイ英首相の対応に納得いかず辞任したラーブEU離脱担当大臣(写真左)。その後も主要閣僚が相次いで辞任を表明し、与党議員の強硬派からは不信任案を求める声が聞かれている。協定案を半ば強引にまとめた代償が出てきているというのが今井氏の考え方。いったいこの先、どうなってしまうのか… (C)Thierry Monasse/Getty Images News

 メイ英首相は、閣議での了解を取り付けたものの、実態は反対がある中で、半ば強引にまとめてしまったのかもしれません。その代償が、出てきているということでしょう。

■議会通過も困難…!? しばらくは混迷を続けそう しかし、問題はこれに留まりません。閣議を通したからといって、これで終わりではないからです。

 メイ英首相は、この案を議会で承認してもらう必要があります。英国の下院は定数が650ですが、与党・保守党は過半数を持っておらず、北アイルランドの少数政党との閣外協力で、過半数を保っている状態です。北アイルランドの少数政党が同意しなれば、下院を通過させることは難しくなります。今後も、しばらくは混迷を続けるでしょう。

主要閣僚の辞任が相次ぎ、不信任案が提出されるかもしれないメイ英首相。ようやく閣議で了承を取り付けた協定案の議会通過も、少数政党の同意が得られなければ難しい状況。今後も離脱問題は混迷を続けそうだ (C)Matt Cardy/Getty Images News

■英ポンド/米ドルは年初来安値が視野に! さて、こうした動きを受けて、英ポンドが急落しています。

 対米ドルで見ると、11月に入って一時、1.32ドル台を伺う強さを見せていましたが、一連の混乱で急落。現在は、1.27ドル台となっています。

英ポンド/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 今年(2018年)の年初来安値である、8月15日(水)の1.2662ドルが視野に入ってきています。

 英ポンド/円は、年初来安値までは、まだかなりあるものの、下落傾向は鮮明になってきています。

英ポンド/円 日足(出所:Bloomberg)

 英ポンド相場は、この問題が解決するまで、不安定な動きをするでしょう。

 ユーロ/米ドルですが、これまでなかなか抜けなかった…
米ドル/円の112円台は押し目買いゾーン! 仮想通貨低迷で投資家はトルコリラに殺到!? ブログ

米ドル/円の112円台は押し目買いゾーン! 仮想通貨低迷で投資家はトルコリラに殺到!?

■米中間選挙が終了。NYダウは大幅上昇 注目の米中間選挙が終わりました。

 結果は、上院は共和党が過半数を維持、下院は民主党が過半数を獲得しました。米国の議会は、ねじれ状態に入りました。

 こうした結果を受けて、市場がどういう反応をするのか注目されましたが、NYダウは、500ドル以上も値を上げるという反応となりました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 材料出尽くし感から、株が買われたということでしょう。

【参考記事】

●111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?(11月1日、今井雅人)

●米中間選挙! 「ねじれ」でも為替動かず!? 米ドル/円より豪ドル/円を買う理由とは?(11月6日、バカラ村)

■2年後に向けてトランプ大統領が強硬化!? しかし、中長期的には、不安材料が残ります。

 今回の結果を受けて、トランプ米大統領がどういう行動に出るかが、不透明だからです。

 ねじれ状態になったことで、今後は議会で、法案などが通りづらくなったということは、間違いありません。

 それに対して、トランプ大統領は、より過激な行動に出て、政策が進まないのは民主党のせいだという主張を始めるかもしれません。

米中間選挙では民主党が下院で過半数の議席を獲得したことによって、議会の「ねじれ」が生じる結果に。これで、トランプ米大統領がどういう行動に出るのか不透明になったというのが今井さんの考え。2年後の大統領選挙に向けて、新たなリスクオフの材料になるかも… (C)Mark Wilson/Getty Images

 2年後の自分の選挙(大統領選挙)に向けて、外国に対しても、より強硬な姿勢で臨んでくるかもしれません。

 貿易戦争が激化するようなことがあると、リスクオフの動きがまた、再発する可能性も否定できません。今後の展開を、よく注視しておく必要があります。

■為替市場では全体的に米ドル高が進行 さて、足元の為替相場の状況を見てみたいと思います。

 先週末(11月2日)に公表された、米国の10月分の雇用統計で、非農業部門就業者数の前月からの変化が25万人の増加となり、事前予想の19万人の増加を大きく上回ったことで、米国の長期金利が上昇しました。

※米労働省労働統計局のデータを基にザイFX!が作成

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 10年物国債の利回りは、3.2%台に達しています。こうした結果を受けて、全体的に米ドル高が進行しています。

 さらには、10月31日(水)に、日銀が従来の物価見通しを引き下げたことで…
米ドル/円の112円台は押し目買いゾーン! 仮想通貨低迷で投資家はトルコリラに殺到!? ブログ

米ドル/円の112円台は押し目買いゾーン! 仮想通貨低迷で投資家はトルコリラに殺到!?

■米中間選挙が終了。NYダウは大幅上昇 注目の米中間選挙が終わりました。

 結果は、上院は共和党が過半数を維持、下院は民主党が過半数を獲得しました。米国の議会は、ねじれ状態に入りました。

 こうした結果を受けて、市場がどういう反応をするのか注目されましたが、NYダウは、500ドル以上も値を上げるという反応となりました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 材料出尽くし感から、株が買われたということでしょう。

【参考記事】

●111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?(11月1日、今井雅人)

●米中間選挙! 「ねじれ」でも為替動かず!? 米ドル/円より豪ドル/円を買う理由とは?(11月6日、バカラ村)

■2年後に向けてトランプ大統領が強硬化!? しかし、中長期的には、不安材料が残ります。

 今回の結果を受けて、トランプ米大統領がどういう行動に出るかが、不透明だからです。

 ねじれ状態になったことで、今後は議会で、法案などが通りづらくなったということは、間違いありません。

 それに対して、トランプ大統領は、より過激な行動に出て、政策が進まないのは民主党のせいだという主張を始めるかもしれません。

米中間選挙では民主党が下院で過半数の議席を獲得したことによって、議会の「ねじれ」が生じる結果に。これで、トランプ米大統領がどういう行動に出るのか不透明になったというのが今井さんの考え。2年後の大統領選挙に向けて、新たなリスクオフの材料になるかも… (C)Mark Wilson/Getty Images

 2年後の自分の選挙(大統領選挙)に向けて、外国に対しても、より強硬な姿勢で臨んでくるかもしれません。

 貿易戦争が激化するようなことがあると、リスクオフの動きがまた、再発する可能性も否定できません。今後の展開を、よく注視しておく必要があります。

■為替市場では全体的に米ドル高が進行 さて、足元の為替相場の状況を見てみたいと思います。

 先週末(11月2日)に公表された、米国の10月分の雇用統計で、非農業部門就業者数の前月からの変化が25万人の増加となり、事前予想の19万人の増加を大きく上回ったことで、米国の長期金利が上昇しました。

※米労働省労働統計局のデータを基にザイFX!が作成

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 10年物国債の利回りは、3.2%台に達しています。こうした結果を受けて、全体的に米ドル高が進行しています。

 さらには、10月31日(水)に、日銀が従来の物価見通しを引き下げたことで…
111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下? ブログ

111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?

■株式市場は落ち着きを取り戻したが… この1週間を見ると、それまで不安定な動きを見せていた各国の株式市場も、徐々に落ち着いてきました。しかし、先週のコラム(10月26日)でも予想したとおり、急激に回復するという動きにもなってはいません。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

NYダウ&独DAX&日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 当面は、現状の水準近辺での上げ下げが続く、という見方を依然として維持しておきたいと思います。

■米ドル/円の押し目買いはしっかりワークする こうした株式市場の動きに伴って、為替市場も、比較的落ち着いた動きにはなっています。そのなかで、1つだけはっきりしていることは、全体的な米ドル高傾向です。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 その背景については、先週のコラム(10月26日)でお話ししたとおり、米国の金利上昇などが挙げられます。そしてその後、先週(10月22日~)から今週(10月29日~)にかけて、特段変化したことはありません。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

 今後も何か不測の要因が出てこなければ、大きな流れは米ドル高傾向というなかでの動きになっていくでしょう。

 この1週間(10月26日~11月1日)で、米ドル/円は一時、111円台まで米ドル安​・円高が進む局面がありました。しかし、その水準では、日本の機関投資家などからの米ドル買いが大量に出てきています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 こうした買いは、米ドル/円の下値をしっかりと支えます。米ドル/円の押し目買いという戦略は、今後ともしっかりワークすると考えています。

 さらに、日銀の動向にも注目が…
111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下? ブログ

111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?

■株式市場は落ち着きを取り戻したが… この1週間を見ると、それまで不安定な動きを見せていた各国の株式市場も、徐々に落ち着いてきました。しかし、先週のコラム(10月26日)でも予想したとおり、急激に回復するという動きにもなってはいません。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

NYダウ&独DAX&日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 当面は、現状の水準近辺での上げ下げが続く、という見方を依然として維持しておきたいと思います。

■米ドル/円の押し目買いはしっかりワークする こうした株式市場の動きに伴って、為替市場も、比較的落ち着いた動きにはなっています。そのなかで、1つだけはっきりしていることは、全体的な米ドル高傾向です。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 その背景については、先週のコラム(10月26日)でお話ししたとおり、米国の金利上昇などが挙げられます。そしてその後、先週(10月22日~)から今週(10月29日~)にかけて、特段変化したことはありません。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

 今後も何か不測の要因が出てこなければ、大きな流れは米ドル高傾向というなかでの動きになっていくでしょう。

 この1週間(10月26日~11月1日)で、米ドル/円は一時、111円台まで米ドル安​・円高が進む局面がありました。しかし、その水準では、日本の機関投資家などからの米ドル買いが大量に出てきています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 こうした買いは、米ドル/円の下値をしっかりと支えます。米ドル/円の押し目買いという戦略は、今後ともしっかりワークすると考えています。

 さらに、日銀の動向にも注目が…
世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で! ブログ

世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!

■株式市場の下落は投資家の漠然とした不安感!? ここにきて、世界中の株式市場が不安定になってきました。その動きを誘発しているのは、米国です。

 NYダウは、10月3日(水)に2万6951.81ドルの史上最高値を更新したあとは、下落基調に入り、直近では、2万4500ドル台にまで下落する局面もありました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 下落の直接的な原因は、特段、見当たりませんでしたが、米国の政策金利が継続的に引き上げられてきたこと、長期金利が上昇してきていること、そして、トランプ米大統領が引き起こしている貿易戦争の影響などが背景にあり、投資家が先行きに漠然とした不安感を抱き始めているという表れだと考えられます。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 実際のところ、キャタピラーや3Mなど、米国の一部企業の業績が悪化してきていることが、一連の貿易戦争によるものではないかという見方も出てきて、株価の下落を誘う場面もありました。

■下落傾向はそろそろ終わり。しばらくは乱高下へ 日経平均をはじめとして、各国の株式市場も、米国の株式市場の下落を受けて、軒並み下落傾向に入っています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 今後、株式市場がどう展開していくか、非常に読みづらくなっていますが、個人的には今回の下落傾向はそろそろ終わり、しばらく乱高下する展開に変っていくのではないかと思います。

【参考記事】

●日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?(10月19日、陳満咲杜)

■米ドル/円がしっかりしている理由は…? ただ、そうした不安定な動きの中でも、米ドル/円はしっかりしています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 これだけ不安定な動きをすれば、リスクオフの流れから、米ドル/円ももっと、円高に振れてもいいところですが、実際は、非常に安定した動きを続けています。

【参考記事】

●NYダウ急落は下落相場の始まりではない!? 想定どおり調整のドル/円は111円台を買い(10月11日、今井雅人)

 昨日(10月25日)も、111円台に突入する場面がありましたが、そこでは日本の実需の米ドル買いが途切れることなく、結局、112円台に押し戻されています。

 米ドル/円に関しては、やはり、円売りの需給が円高になっていくことを、かなり防いでいる面があるのではないかと考えています。

【参考記事】

●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)

●中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?(7月5日、今井雅人)

 一方、米ドルサイドで考えてみると、米ドル高の傾向が…
世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で! ブログ

世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!

■株式市場の下落は投資家の漠然とした不安感!? ここにきて、世界中の株式市場が不安定になってきました。その動きを誘発しているのは、米国です。

 NYダウは、10月3日(水)に2万6951.81ドルの史上最高値を更新したあとは、下落基調に入り、直近では、2万4500ドル台にまで下落する局面もありました。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 下落の直接的な原因は、特段、見当たりませんでしたが、米国の政策金利が継続的に引き上げられてきたこと、長期金利が上昇してきていること、そして、トランプ米大統領が引き起こしている貿易戦争の影響などが背景にあり、投資家が先行きに漠然とした不安感を抱き始めているという表れだと考えられます。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 実際のところ、キャタピラーや3Mなど、米国の一部企業の業績が悪化してきていることが、一連の貿易戦争によるものではないかという見方も出てきて、株価の下落を誘う場面もありました。

■下落傾向はそろそろ終わり。しばらくは乱高下へ 日経平均をはじめとして、各国の株式市場も、米国の株式市場の下落を受けて、軒並み下落傾向に入っています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 今後、株式市場がどう展開していくか、非常に読みづらくなっていますが、個人的には今回の下落傾向はそろそろ終わり、しばらく乱高下する展開に変っていくのではないかと思います。

【参考記事】

●日米株の調整は終盤戦。株が大波乱でも米ドル/円の動きはなぜ、限定的なのか?(10月19日、陳満咲杜)

■米ドル/円がしっかりしている理由は…? ただ、そうした不安定な動きの中でも、米ドル/円はしっかりしています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 これだけ不安定な動きをすれば、リスクオフの流れから、米ドル/円ももっと、円高に振れてもいいところですが、実際は、非常に安定した動きを続けています。

【参考記事】

●NYダウ急落は下落相場の始まりではない!? 想定どおり調整のドル/円は111円台を買い(10月11日、今井雅人)

 昨日(10月25日)も、111円台に突入する場面がありましたが、そこでは日本の実需の米ドル買いが途切れることなく、結局、112円台に押し戻されています。

 米ドル/円に関しては、やはり、円売りの需給が円高になっていくことを、かなり防いでいる面があるのではないかと考えています。

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●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)

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 一方、米ドルサイドで考えてみると、米ドル高の傾向が…
ムニューシンの刺激的な発言にも反応薄!? 米ドル/円よりユーロ/米ドルに安心感あり ブログ

ムニューシンの刺激的な発言にも反応薄!? 米ドル/円よりユーロ/米ドルに安心感あり

■さらなる株価大幅下落の可能性はかなり低下 米国の株価急落に端を発した金融市場の混乱は、その後、さらに拡大することはなく、米国の株価は、やや値を戻してきています。今後、大幅に下落していく可能性は、かなり低くなったと見ています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 ただ、直近でも、米国の10年物国債の利回りは、3.25%を超えてきており、株価の重しになってくることは、十分に考えられます。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 強気相場への回帰というのも、なかなか難しいのではないでしょうか。

【参考記事】

●NYダウ急落は下落相場の始まりではない!? 想定どおり調整のドル/円は111円台を買い(10月11日、今井雅人)

●日本株は秋のバーゲンセール!? 株安は一時的、米ドル/円は115円突破も視野に!(10月12日、陳満咲杜)

■日本も為替問題の対象に!? 先週末(10月13日)、ムニューシン米財務長官が、かなり刺激的な発言をしました。

 日本との通商交渉において、「為替問題は同交渉の1つである」と明言したのです。

 長官は、「これからの貿易交渉ではどの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」と、日本を特別扱いにはしないことを明らかにしました。

ムニューシン米財務長官は、為替問題で日本を特別扱いしないと明言。日本側は完全に梯子を外された格好となってしまった… (C)Bloomberg/Getty Images

 日本側は、米国との交渉は、主に関税中心であり、それ以外は議論にはならないと発表していただけに、米国側から梯子を外された形です。

 このことに、週明け(10月15日)の金融市場が、どう反応するのかに注目が集まっていました。

■なぜか下がらなかった米ドル/円… ところが、週明け、10月15日(月)の東京市場は、少し不可思議な動きをしました。

 まず、日経平均が、このムニューシン米財務長官の発言を嫌気して、下落しました。円高圧力がかかって、輸出企業にマイナスの影響が出ることを懸念したためです。

日経平均 1時間足(出所:Bloomberg)

 しかし、不思議なことに、米ドル/円はあまり下がらず、全体的にも、若干の円高にしかなりませんでした。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 その後、海外市場に移ってから、やや円高に向かったのですが、それでも値幅は、あまり大きいものではありませんでした。

 これは、何を示唆していると考えればいいのでしょうか? 恐らく…
ムニューシンの刺激的な発言にも反応薄!? 米ドル/円よりユーロ/米ドルに安心感あり ブログ

ムニューシンの刺激的な発言にも反応薄!? 米ドル/円よりユーロ/米ドルに安心感あり

■さらなる株価大幅下落の可能性はかなり低下 米国の株価急落に端を発した金融市場の混乱は、その後、さらに拡大することはなく、米国の株価は、やや値を戻してきています。今後、大幅に下落していく可能性は、かなり低くなったと見ています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 ただ、直近でも、米国の10年物国債の利回りは、3.25%を超えてきており、株価の重しになってくることは、十分に考えられます。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 強気相場への回帰というのも、なかなか難しいのではないでしょうか。

【参考記事】

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■日本も為替問題の対象に!? 先週末(10月13日)、ムニューシン米財務長官が、かなり刺激的な発言をしました。

 日本との通商交渉において、「為替問題は同交渉の1つである」と明言したのです。

 長官は、「これからの貿易交渉ではどの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」と、日本を特別扱いにはしないことを明らかにしました。

ムニューシン米財務長官は、為替問題で日本を特別扱いしないと明言。日本側は完全に梯子を外された格好となってしまった… (C)Bloomberg/Getty Images

 日本側は、米国との交渉は、主に関税中心であり、それ以外は議論にはならないと発表していただけに、米国側から梯子を外された形です。

 このことに、週明け(10月15日)の金融市場が、どう反応するのかに注目が集まっていました。

■なぜか下がらなかった米ドル/円… ところが、週明け、10月15日(月)の東京市場は、少し不可思議な動きをしました。

 まず、日経平均が、このムニューシン米財務長官の発言を嫌気して、下落しました。円高圧力がかかって、輸出企業にマイナスの影響が出ることを懸念したためです。

日経平均 1時間足(出所:Bloomberg)

 しかし、不思議なことに、米ドル/円はあまり下がらず、全体的にも、若干の円高にしかなりませんでした。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 その後、海外市場に移ってから、やや円高に向かったのですが、それでも値幅は、あまり大きいものではありませんでした。

 これは、何を示唆していると考えればいいのでしょうか? 恐らく…
NYダウ急落は下落相場の始まりではない!? 想定どおり調整のドル/円は111円台を買い ブログ

NYダウ急落は下落相場の始まりではない!? 想定どおり調整のドル/円は111円台を買い

■NYダウ急落は一方的な上昇の反動 10月10日(水)、米国の株式市場が総崩れとなりました。

 NYダウは、前日比831.83ドル安の25598.74ドルと、大幅な下落のまま引けを迎えています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 下落を誘引する直接的な材料が、あったわけではありません。端的に言えば、今までの強気相場の調整です。

 NYダウは、7月頃から、ほぼ一方的な上昇を続けてきて、直近では史上最高値を更新していました。その反動が今、出ているということです。

■金利上昇が株の下落要因であることを確認 こうした調整が起きている原因として考えられるのが、米国の長期金利の動向と、トランプ米大統領が進めてきている、他国との関税競争への懸念です。

 米国の10年物国債の利回りは、今年(2018年)のこれまでの高値圏であった3.1%台を、完全に上に抜けてきています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 米国の経済状況が好調であることが、長期金利上昇の要因であることは当然のことであり、金利水準が高くなってきていることで、米ドル高になる効果も、ここのところ出てきていました。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

 しかし、一方で、あまり金利が高くなり過ぎると、企業収益の圧迫要因になってくるという、マイナスの面もあります。

 経済状況が好調なことを背景に、株式市場が好調だったのでありますが、好調な経済を背景にした金利上昇が、逆に株式市場の下落要因になるという両面を持っているということが、今回の株式市場の動きから、改めて確認されました。

■米中貿易摩擦の影響は第4四半期に表面化!? もう1つの原因が、関税問題です。

 トランプ米大統領の通商交渉に関しては、これまで何度も取り上げてきました。本当の影響が出てくるのは、これからです。

【参考記事】

●雲を上抜けた米ドル/円は113円を目指す! 対中関税第3弾発動でも市場はリスクオン?(9月21日、今井雅人)

●市場に影響与えそうな2つの懸念事項とは? 米ドル/円は110~113円程度のレンジ相場に(9月6日、今井雅人)

 トランプ米大統領は、3度にわたって、中国への追加関税措置を講じてきました。

 その第3弾の対象となる輸入品の総額は、2000億ドルという、これまでで最大の金額になっていますが、9月24日(月)から、10%の関税措置がスタートしています。

 その影響が本格的に出てくるのは、今年(2018年)の第4四半期(10月~12月)の企業業績からでしょう。

米国はすでに計2500億ドル相当の中国からの輸入品に関税措置を発動している。その影響が第4四半期の企業業績に出てきそうだというのが、今井氏の考えだ。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images

 株式アナリストの中にも、第4四半期の業績悪化を懸念する声が、これから出てくるかもしれないので、今後、注意しておきたいと思います。

 ところで、今回の急落が、今後の下落相場の始まりの端緒となるとは…