今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性 ブログ

ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性

■米国経済に変調。そもそも、株価上昇は買われすぎだった!? 米国経済が、変調をきたしています。

 特に、その動きが顕著なのが、株式市場です。NYダウはこの3週間で、2万5000ドル台後半から2万2000ドル台後半まで、実に3000ドルも下落しています。何が起きているのでしょうか?

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 そもそもの大きな背景としては、これまで、数年間の株価の上昇が、行き過ぎだったということがあります。

 リーマンショックから10年、米国をはじめとして、世界各国の景気は順調に拡大して、株価も堅調に推移しました。NYダウも、史上最高値を更新し続けました。

NYダウ 月足(出所:Bloomberg)

 しかし、一方的な上昇が、永遠に続くわけではありません。どこかで転換はあります。

■FRBの正常化がマーケットに影響を与え始めている 景気拡大が続く中、FRB(米連邦準備制度理事会)はここ2年ほど、金利の正常化を目指して、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標を引き上げ、量的緩和も縮小して、現在はバランスシートの圧縮を進めています。

 今年(2018年)に入って、株価はすでに、頭打ちの傾向を見せていました。どこかで崩れても、おかしくないような相場展開になっていました。

 しかし、それでもFRBは、金融の引き締めペースを落としませんでした。そのことが、いよいよマーケットに影響を与え始めているということです。

■思ったほどハト派ではなかったFOMCに失望 先日(12月18日~19日)、今年(2018年)最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利であるFFレートの誘導目標レンジを0.25%引き上げ、2.25%~2.50%とすることを決定しました。今回で、今年4回目の利上げとなりました。

※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載

※FRBのデータをもとにザイFX!が作成

 それと同時に発表された、FOMCメンバーの金利予想、いわゆる「ドットチャート」では、来年(2019年)の利上げ回数が、前回9月の3回から、今回は2回へと減りました。

2018年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)

 この一連の決定がなされたあとも、株価の下落は止まりません。それは、今回のFOMCに対して、市場はより、ハト派的な決定を期待していたということが背景にあります。

 FOMCが開催される前、市場では今回、利上げをしたあと、来年(2019年)はいったん、利上げを停止するという決定を下すのではないかと予想する人も多くいました。

 しかし、蓋を開けてみると、2019年の利上げは3回から2回への下方修正に留まりました。それに対する失望感から、株価が売られたということでしょう。

【参考記事】

●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)

 もちろん、米中貿易交渉に対する懸念というのも…
メイ首相ピンチ! 次は野党から不信任動議!? 混迷のEU離脱交渉。英ポンドさらに下落か ブログ

メイ首相ピンチ! 次は野党から不信任動議!? 混迷のEU離脱交渉。英ポンドさらに下落か

■EU離脱交渉は難航。英ポンドは急落! 英国のEU(欧州連合)離脱交渉が、益々、暗礁に乗り上げています。

 状況次第では、メイ英首相の退陣にまで事態が悪化する可能性も出てきました。

 そもそも、英国とのEU離脱合意案はEUが正式決定し、12月11日(火)に、英国の下院で承認の採決が行われる予定となっていました。しかし、否決の可能性が非常に高まっていることで、メイ英首相は採決の延期を発表しました。

 これを嫌気して、為替市場では英ポンドが急落する展開となりました。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

■与党の不信任は否決。メイ首相は党首の座を維持 今回の延期を受けて、メイ英首相に対して2つの信任投票が行われる可能性が出てきました。

 まず1つ目は、すでに昨日、12月12日(水)に投票が行われましたが、与党保守党議員による不信任投票です。

【参考記事】

●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)

 保守党の下院議員の15%に相当する、48人が書簡で要求すれば、不信任投票手続きが開始されます。書簡は、下院議員で構成する保守党の1922年委員会宛てに送られ、同委員長だけが集まった書簡の数を把握します。そして、必要な数に達した時点でメイ英首相に伝え、その後、発表するのです。

 不信任投票は、保守党の下院議員だけが参加する無記名投票で行われ、数日以内に実施が可能です。メイ首相が過半数に信任されれば、今後1年間は、そのような投票は行われません。逆に、過半数が不信任なら、党首を辞任する必要があり、後任を選ぶ党首選にも立候補できないというしくみでした。

 日本時間13日(木)の3時から開始された不信任投票では、信任が200票、不信任が117票という結果になりました。

 とりあえず、メイ英首相の保守党党首の座は、守られたかたちとなりました。

与党・保守党の議員による不信任投票では、信任が過半数を上回り、ひとまず党首の座を維持したメイ英首相。でも、もう1つの信任投票が行われる可能性も… (C)Matt Cardy/Getty Images News

■次は野党から不信任も!? 政権後退の可能性は? 2つ目の可能性は、野党からの不信任動議です。

 最大野党・労働党のコービン党首から、不信任投票の求めがあれば、政府は応じざるを得ません。

 不信任投票は、審議を経て公開で行われる見通しで、すべての下院議員が参加できます。不信任の場合、議会は14日以内に、信任が得られる政権の可能性を、探る必要が出てきます。

 メイ英首相は、必ずしも辞める必要はなく、信任しなかった議員らに働き掛ける、多数派工作が可能です。それが失敗に終われば、下院は解散され、総選挙が実施されます。総選挙の結果次第では、政権が交代する可能性も出てくるということです。

【参考記事】

●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)

●ドル/円は上値を追いかける状況ではない!? 年末に向けて英ポンド主導で乱高下も…?(12月4日、バカラ村)

 これらが、恐らく今後起こりうる、英国政治の大まかなスケジュールとなりますが…
メイ首相ピンチ! 次は野党から不信任動議!? 混迷のEU離脱交渉。英ポンドさらに下落か ブログ

メイ首相ピンチ! 次は野党から不信任動議!? 混迷のEU離脱交渉。英ポンドさらに下落か

■EU離脱交渉は難航。英ポンドは急落! 英国のEU(欧州連合)離脱交渉が、益々、暗礁に乗り上げています。

 状況次第では、メイ英首相の退陣にまで事態が悪化する可能性も出てきました。

 そもそも、英国とのEU離脱合意案はEUが正式決定し、12月11日(火)に、英国の下院で承認の採決が行われる予定となっていました。しかし、否決の可能性が非常に高まっていることで、メイ英首相は採決の延期を発表しました。

 これを嫌気して、為替市場では英ポンドが急落する展開となりました。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

英ポンド/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)

■与党の不信任は否決。メイ首相は党首の座を維持 今回の延期を受けて、メイ英首相に対して2つの信任投票が行われる可能性が出てきました。

 まず1つ目は、すでに昨日、12月12日(水)に投票が行われましたが、与党保守党議員による不信任投票です。

【参考記事】

●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)

 保守党の下院議員の15%に相当する、48人が書簡で要求すれば、不信任投票手続きが開始されます。書簡は、下院議員で構成する保守党の1922年委員会宛てに送られ、同委員長だけが集まった書簡の数を把握します。そして、必要な数に達した時点でメイ英首相に伝え、その後、発表するのです。

 不信任投票は、保守党の下院議員だけが参加する無記名投票で行われ、数日以内に実施が可能です。メイ首相が過半数に信任されれば、今後1年間は、そのような投票は行われません。逆に、過半数が不信任なら、党首を辞任する必要があり、後任を選ぶ党首選にも立候補できないというしくみでした。

 日本時間13日(木)の3時から開始された不信任投票では、信任が200票、不信任が117票という結果になりました。

 とりあえず、メイ英首相の保守党党首の座は、守られたかたちとなりました。

与党・保守党の議員による不信任投票では、信任が過半数を上回り、ひとまず党首の座を維持したメイ英首相。でも、もう1つの信任投票が行われる可能性も… (C)Matt Cardy/Getty Images News

■次は野党から不信任も!? 政権後退の可能性は? 2つ目の可能性は、野党からの不信任動議です。

 最大野党・労働党のコービン党首から、不信任投票の求めがあれば、政府は応じざるを得ません。

 不信任投票は、審議を経て公開で行われる見通しで、すべての下院議員が参加できます。不信任の場合、議会は14日以内に、信任が得られる政権の可能性を、探る必要が出てきます。

 メイ英首相は、必ずしも辞める必要はなく、信任しなかった議員らに働き掛ける、多数派工作が可能です。それが失敗に終われば、下院は解散され、総選挙が実施されます。総選挙の結果次第では、政権が交代する可能性も出てくるということです。

【参考記事】

●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)

●ドル/円は上値を追いかける状況ではない!? 年末に向けて英ポンド主導で乱高下も…?(12月4日、バカラ村)

 これらが、恐らく今後起こりうる、英国政治の大まかなスケジュールとなりますが…
逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目! ブログ

逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!

■FRB議長の弱気発言で市場は敏感に… 前回のコラムで、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を紹介しましたが、それ以降、金融市場は米国の金利に、とても敏感になっています。

【参考記事】

●2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目(11月29日、今井雅人)

 そこで、パウエルFRB議長の11月28日(水)の発言をもう一度紹介すると、「FF(フェデラル・ファンド)金利は、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジを、わずかに下回っている」という内容でした。

わずか2カ月弱で金利に対する見解が急に弱気になったと捉えられたパウエルFRB議長。それ以降、金融市場は米金利に敏感になっている (C)Bloomberg/Getty Images News

 ちなみに、パウエルFRB議長は10月3日(水)に、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と発言しており、そのときに比べると、急に弱気になったということです。

■米金利は急低下。逆イールド現象も これに、もっとも敏感に反応したのが、金利市場です。

 米国の10年物国債の利回り(長期金利)は、今年(2018年)の9月中旬に3%を超えて以来、一貫して3%を上回り、一時は3.2%を超えるときもありました。

 しかし、パウエル議長の発言で長期金利は急低下し、現在は、2.9%程度で推移しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 また、2年債の利回りと5年債の利回りが逆転する、いわゆる逆イールドという現象を誘発しました。

米2年債利回りと米5年債利回り 日足(出所:Bloomberg)

■株式市場にも動揺。為替は米ドル安に 一般的に、金利のイールドカーブ(利回り曲線)が逆転(短期の金利よりも長期の金利の方が低くなる)すると、景気後退を示唆するという見方があり、今回の逆イールドを受けて、市場に動揺が走りました。

 株式市場は、パウエルFRB議長の発言があったときは、金利低下→株高という判断をして、一時的に上昇しましたが、その後、今回の動きは景気後退につながるものではないかという見方が広がったことで、12月4日(火)のNY市場では、一転してNYダウが1日で、約800ドルも急落するという展開になっています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 こうした動きに連動する形で、為替市場では米ドル安が進行することとなりました。

【参考記事】

●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 ところで、この逆イールドは本当に…
逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目! ブログ

逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!

■FRB議長の弱気発言で市場は敏感に… 前回のコラムで、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を紹介しましたが、それ以降、金融市場は米国の金利に、とても敏感になっています。

【参考記事】

●2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目(11月29日、今井雅人)

 そこで、パウエルFRB議長の11月28日(水)の発言をもう一度紹介すると、「FF(フェデラル・ファンド)金利は、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジを、わずかに下回っている」という内容でした。

わずか2カ月弱で金利に対する見解が急に弱気になったと捉えられたパウエルFRB議長。それ以降、金融市場は米金利に敏感になっている (C)Bloomberg/Getty Images News

 ちなみに、パウエルFRB議長は10月3日(水)に、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と発言しており、そのときに比べると、急に弱気になったということです。

■米金利は急低下。逆イールド現象も これに、もっとも敏感に反応したのが、金利市場です。

 米国の10年物国債の利回り(長期金利)は、今年(2018年)の9月中旬に3%を超えて以来、一貫して3%を上回り、一時は3.2%を超えるときもありました。

 しかし、パウエル議長の発言で長期金利は急低下し、現在は、2.9%程度で推移しています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 また、2年債の利回りと5年債の利回りが逆転する、いわゆる逆イールドという現象を誘発しました。

米2年債利回りと米5年債利回り 日足(出所:Bloomberg)

■株式市場にも動揺。為替は米ドル安に 一般的に、金利のイールドカーブ(利回り曲線)が逆転(短期の金利よりも長期の金利の方が低くなる)すると、景気後退を示唆するという見方があり、今回の逆イールドを受けて、市場に動揺が走りました。

 株式市場は、パウエルFRB議長の発言があったときは、金利低下→株高という判断をして、一時的に上昇しましたが、その後、今回の動きは景気後退につながるものではないかという見方が広がったことで、12月4日(火)のNY市場では、一転してNYダウが1日で、約800ドルも急落するという展開になっています。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 こうした動きに連動する形で、為替市場では米ドル安が進行することとなりました。

【参考記事】

●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 ところで、この逆イールドは本当に…
2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目 ブログ

2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目

■米利上げは2019年で終了!? FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策の行方に、市場の関心が集まっています。

 11月27日(火)に、FRBのクラリダ副議長が、「引き続き緩やかな利上げを継続する必要がある」と表明しましたが、市場関係者はこの発言を、今後も利上げは続けるというメッセージと捉えました。

 ところが、翌日の28日(水)、パウエルFRB議長はニューヨークでの講演の中で、「FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、米経済成長を加速も減速もさせない、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジをわずかに下回っている」と発言しました。

11月28日(水)の講演で、現在のFF金利の誘導目標は中立水準をわずかに下回っていると発言したパウエルFRB議長。市場では2019年に1回程度の利上げで、米国の利上げサイクルが終わるとの見方が広がった。写真は2018年9月のFOMC終了後に行われた記者会見時のもの (C)Bloomberg/Getty Images News

 この発言を受けて、市場では来年(2019年)1回程度で、利上げが停止されるのではないかという観測が広がりました。

【参考記事】

●米ドル/円は12月中旬に下がりやすい傾向!? ユーロ/ドルは1.13ドル割れ見据え、戻り売り(11月27日、バカラ村)

■パウエルFRB議長の真意は…? パウエルFRB議長は10月3日(水)に、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と発言しており、そのときに比べると、急に弱気の発言をしたと捉えられました。

 この中立という金利水準は、政策金利の3%という水準であると考えて良いでしょう。その上で、FRBは、中立金利に幅を持たせて考えるということを、パウエルFRB議長は言いかったようです。

 幅をプラスマイナス0.5%と考えると、中立のレベルは2.5%~3.5%ということになります。10月の時点で中立を超えるという話をしていたときは、3%を超えるかもしれないという趣旨の話ではなかったかと思います。

※FF金利誘導目標レンジの上限を掲載

※FRBのデータをもとにザイFX!が作成

 しかし、今回は、中立の幅の下限である2.5%に対して、現在の政策金利の目標レンジ上限が2.25%なので、推定レンジを「わずかに下回っているだけだ」と言っているのだと思います。

■12月のFOMCがより重要に これだけの内容を見ると、たしかにパウエルFRB議長は利上げに対して、若干、トーンダウンしているように聞こえます。一部からは、「トランプ米大統領からの圧力に屈したのではないか」という観測さえ聞こえてきています。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)

 ただ、まだ本心はよくわかりません。

 仮に、利上げのペースを以前より弱めるということであれば、米ドル高シナリオを見直す必要も出てきますが、現段階では、断定的なことは言えません。

 12月18日(火)~19日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)が、今後を占うにあたって、より重要になってきたことだけは間違いありません。

 当面はFOMCに向けて、さまざまな憶測が市場を駆け巡るのではないかと思います。当面、為替相場は、より方向感を失ってくるのではないかと考えています。

 さて、それ以外に関して、今週(11月26日~)の注目は…
2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目 ブログ

2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目

■米利上げは2019年で終了!? FRB(米連邦準備制度理事会)の今後の金融政策の行方に、市場の関心が集まっています。

 11月27日(火)に、FRBのクラリダ副議長が、「引き続き緩やかな利上げを継続する必要がある」と表明しましたが、市場関係者はこの発言を、今後も利上げは続けるというメッセージと捉えました。

 ところが、翌日の28日(水)、パウエルFRB議長はニューヨークでの講演の中で、「FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は、米経済成長を加速も減速もさせない、経済にとって中立となる水準の幅広い推定レンジをわずかに下回っている」と発言しました。

11月28日(水)の講演で、現在のFF金利の誘導目標は中立水準をわずかに下回っていると発言したパウエルFRB議長。市場では2019年に1回程度の利上げで、米国の利上げサイクルが終わるとの見方が広がった。写真は2018年9月のFOMC終了後に行われた記者会見時のもの (C)Bloomberg/Getty Images News

 この発言を受けて、市場では来年(2019年)1回程度で、利上げが停止されるのではないかという観測が広がりました。

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●米ドル/円は12月中旬に下がりやすい傾向!? ユーロ/ドルは1.13ドル割れ見据え、戻り売り(11月27日、バカラ村)

■パウエルFRB議長の真意は…? パウエルFRB議長は10月3日(水)に、「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく、中立金利まで長い道のりがある」と発言しており、そのときに比べると、急に弱気の発言をしたと捉えられました。

 この中立という金利水準は、政策金利の3%という水準であると考えて良いでしょう。その上で、FRBは、中立金利に幅を持たせて考えるということを、パウエルFRB議長は言いかったようです。

 幅をプラスマイナス0.5%と考えると、中立のレベルは2.5%~3.5%ということになります。10月の時点で中立を超えるという話をしていたときは、3%を超えるかもしれないという趣旨の話ではなかったかと思います。

※FF金利誘導目標レンジの上限を掲載

※FRBのデータをもとにザイFX!が作成

 しかし、今回は、中立の幅の下限である2.5%に対して、現在の政策金利の目標レンジ上限が2.25%なので、推定レンジを「わずかに下回っているだけだ」と言っているのだと思います。

■12月のFOMCがより重要に これだけの内容を見ると、たしかにパウエルFRB議長は利上げに対して、若干、トーンダウンしているように聞こえます。一部からは、「トランプ米大統領からの圧力に屈したのではないか」という観測さえ聞こえてきています。

米ドル/円 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)

米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)

 ただ、まだ本心はよくわかりません。

 仮に、利上げのペースを以前より弱めるということであれば、米ドル高シナリオを見直す必要も出てきますが、現段階では、断定的なことは言えません。

 12月18日(火)~19日(水)に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)が、今後を占うにあたって、より重要になってきたことだけは間違いありません。

 当面はFOMCに向けて、さまざまな憶測が市場を駆け巡るのではないかと思います。当面、為替相場は、より方向感を失ってくるのではないかと考えています。

 さて、それ以外に関して、今週(11月26日~)の注目は…
景気の先行きに不透明感が広がってきたが 米ドル/円は112円台まで下押しなら買い ブログ

景気の先行きに不透明感が広がってきたが 米ドル/円は112円台まで下押しなら買い

■世界経済の成長は今がピーク!? 米経済に弱気な見方も 先週(11月12日~)から金融市場を取り巻く環境に、特段、変化はありません。

 若干、変化があるとすれば、世界経済や米国経済に対する見方が、やや厳しくなってきたという点でしょう。

 今週(11月19日~)、OECD(経済協力開発機構)が世界の経済見通しを若干ではありますが、下方修正しました。OECDによれば、「世界経済の成長は今がピーク」で、「今後成長は鈍化する可能性が高い」ということです。

 また、先週末の11月16日(金)には、クラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長やカプラン米ダラス連銀総裁が揃って、「他国の成長減速が米国経済に影響を与える」などとハト派的な見解を示しました。

【参考記事】

●反発するゴールドと逆相関の米ドル/円は戻り売り方針! 米ドル高相場は終焉へ!?(11月19日、西原宏一&大橋ひろこ)

●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)

 さらに、11月21日(水)の海外市場では、市場参加者から「当局と関係が近い」と認識されている欧州系の情報ベンダーが、「FRBは早ければ来春にも利上げサイクルを一旦休止する可能性ある」との観測を伝えました。

 こうした弱気の見方が広がったことで、米国の長期金利は低下。10年物国債の利回りは3.10%を割り込み、一時3.0337%まで低下しました。こうした金利動向の影響を受けて、米ドルもやや軟調に推移しています。

米10年国債利回り 日足(出所:Bloomberg)

■株も為替も方向感見出しにくいが…米ドルは押し目買いで 株価の方は、これまで予想をしてきたとおり、方向感のない乱高下を繰り返すようになってきました。

 景気の先行きに不透明感が広がることで、今後も株式市場は方向感を見出すことができず、上げ下げを繰り返す可能性がより高くなってきたと考えています。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

●111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?(11月1日、今井雅人)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 そうなると、為替相場も方向感を見出すことが、なかなか難しいのが現状です。

 米ドルに関して言えば、米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルなど主要通貨に対しては、米ドルのロングポジションが溜まっている状況を考えると、若干、米ドルが緩む局面もあるかもしれませんが、それも限定的でしょう。

 今後も方向感が出ない中ではありますが、やはり、基本的には米ドルを買う方向で考えていきたいと思います。米ドルの押し目買いです。

 米ドル/円は112円台まで下押したところは、徐々に買っていっても良いのではないかと考えています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 また、1つ注目しておきたいのは…
景気の先行きに不透明感が広がってきたが 米ドル/円は112円台まで下押しなら買い ブログ

景気の先行きに不透明感が広がってきたが 米ドル/円は112円台まで下押しなら買い

■世界経済の成長は今がピーク!? 米経済に弱気な見方も 先週(11月12日~)から金融市場を取り巻く環境に、特段、変化はありません。

 若干、変化があるとすれば、世界経済や米国経済に対する見方が、やや厳しくなってきたという点でしょう。

 今週(11月19日~)、OECD(経済協力開発機構)が世界の経済見通しを若干ではありますが、下方修正しました。OECDによれば、「世界経済の成長は今がピーク」で、「今後成長は鈍化する可能性が高い」ということです。

 また、先週末の11月16日(金)には、クラリダFRB(米連邦準備制度理事会)副議長やカプラン米ダラス連銀総裁が揃って、「他国の成長減速が米国経済に影響を与える」などとハト派的な見解を示しました。

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●反発するゴールドと逆相関の米ドル/円は戻り売り方針! 米ドル高相場は終焉へ!?(11月19日、西原宏一&大橋ひろこ)

●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)

 さらに、11月21日(水)の海外市場では、市場参加者から「当局と関係が近い」と認識されている欧州系の情報ベンダーが、「FRBは早ければ来春にも利上げサイクルを一旦休止する可能性ある」との観測を伝えました。

 こうした弱気の見方が広がったことで、米国の長期金利は低下。10年物国債の利回りは3.10%を割り込み、一時3.0337%まで低下しました。こうした金利動向の影響を受けて、米ドルもやや軟調に推移しています。

米10年国債利回り 日足(出所:Bloomberg)

■株も為替も方向感見出しにくいが…米ドルは押し目買いで 株価の方は、これまで予想をしてきたとおり、方向感のない乱高下を繰り返すようになってきました。

 景気の先行きに不透明感が広がることで、今後も株式市場は方向感を見出すことができず、上げ下げを繰り返す可能性がより高くなってきたと考えています。

【参考記事】

●世界的株安でも米ドル/円はなぜしっかり? 米ドル高鮮明に。111円台は買い方針で!(10月26日、今井雅人)

●111円台に機関投資家の大量の買いが!? 日銀展望レポートでなぜ円高懸念は低下?(11月1日、今井雅人)

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 そうなると、為替相場も方向感を見出すことが、なかなか難しいのが現状です。

 米ドルに関して言えば、米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルなど主要通貨に対しては、米ドルのロングポジションが溜まっている状況を考えると、若干、米ドルが緩む局面もあるかもしれませんが、それも限定的でしょう。

 今後も方向感が出ない中ではありますが、やはり、基本的には米ドルを買う方向で考えていきたいと思います。米ドルの押し目買いです。

 米ドル/円は112円台まで下押したところは、徐々に買っていっても良いのではないかと考えています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 また、1つ注目しておきたいのは…
英ポンド急落! メイ首相に不信任案も!? 日銀の関係者がマイナス金利撤廃を提言? ブログ

英ポンド急落! メイ首相に不信任案も!? 日銀の関係者がマイナス金利撤廃を提言?

■揺れる英国。メイ英首相には不信任案!? 英国が揺れています。

 現在、英国はEU(欧州連合)離脱に向けた交渉などを続けてきていますが、ここに来て、いよいよ混迷を極めています。

 メイ英首相は11月14日(水)、事務レベルで合意した協定案を、臨時閣議で「了承した」と発表しました。

 これで、離脱交渉は前進するかと思われましたが、ラーブ英・EU離脱担当大臣が、メイ英首相の対応を不満として辞任しました。

 ラーブ氏の辞任後すぐに、マクベイ雇用・年金相も辞任しました。さらに、EU離脱強硬派は、メイ英首相の進めるEUとの妥協案では、英国の自由度が制限されるとして、メイ英首相の不信任案を求める動きを開始しました。

メイ英首相の対応に納得いかず辞任したラーブEU離脱担当大臣(写真左)。その後も主要閣僚が相次いで辞任を表明し、与党議員の強硬派からは不信任案を求める声が聞かれている。協定案を半ば強引にまとめた代償が出てきているというのが今井氏の考え方。いったいこの先、どうなってしまうのか… (C)Thierry Monasse/Getty Images News

 メイ英首相は、閣議での了解を取り付けたものの、実態は反対がある中で、半ば強引にまとめてしまったのかもしれません。その代償が、出てきているということでしょう。

■議会通過も困難…!? しばらくは混迷を続けそう しかし、問題はこれに留まりません。閣議を通したからといって、これで終わりではないからです。

 メイ英首相は、この案を議会で承認してもらう必要があります。英国の下院は定数が650ですが、与党・保守党は過半数を持っておらず、北アイルランドの少数政党との閣外協力で、過半数を保っている状態です。北アイルランドの少数政党が同意しなれば、下院を通過させることは難しくなります。今後も、しばらくは混迷を続けるでしょう。

主要閣僚の辞任が相次ぎ、不信任案が提出されるかもしれないメイ英首相。ようやく閣議で了承を取り付けた協定案の議会通過も、少数政党の同意が得られなければ難しい状況。今後も離脱問題は混迷を続けそうだ (C)Matt Cardy/Getty Images News

■英ポンド/米ドルは年初来安値が視野に! さて、こうした動きを受けて、英ポンドが急落しています。

 対米ドルで見ると、11月に入って一時、1.32ドル台を伺う強さを見せていましたが、一連の混乱で急落。現在は、1.27ドル台となっています。

英ポンド/米ドル 日足(出所:Bloomberg)

 今年(2018年)の年初来安値である、8月15日(水)の1.2662ドルが視野に入ってきています。

 英ポンド/円は、年初来安値までは、まだかなりあるものの、下落傾向は鮮明になってきています。

英ポンド/円 日足(出所:Bloomberg)

 英ポンド相場は、この問題が解決するまで、不安定な動きをするでしょう。

 ユーロ/米ドルですが、これまでなかなか抜けなかった…