今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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利上げ方針変更のFOMCで米ドル全面安! でも、米ドル安は長く続かないかも…?

■金利据え置きは予想どおり。でも… 注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が、開催されました(1月29日~30日)。
 主要政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標を、これまでの2.25~2.50%に据え置くという決定をしたところまでは従来どおりであったものの、今後の方針に関する部分において、大きな変化がありました。
※FF金利誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
■今年2回の利上げ方針が変更。状況次第で利下げも? まず、第1に、声明文の中に前回まであった、「いくらかの更なる段階的な利上げが適切である」との文言を削除し、代わりに「忍耐強く」経済動向を分析して対応するという表現としました。
 つまり、これまで段階的に利上げをしてきましたが、今後はしばらく様子を見て、金利は据え置く。そして、状況によっては利上げ、利下げどちらの可能性もあるということを示唆しています。
 これまでは、2019年は、あと2回の利上げをすることを想定していましたが、その方針を変えたということです。
2018年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)
 その理由として、米中の貿易交渉やBrexit(英国のEU離脱)の行方が不透明であることなどを挙げています。
【参考記事】
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(2018年12月21日、今井雅人)
●2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目(2018年11月29日、今井雅人)
■保有資産の縮小計画も見直される!? もう1点は、量的緩和についてです。
 FRB(米連邦準備制度理事会)はこれまで、金融危機後に買い込んでいた米国債などの保有資産を段階的に縮小する計画を立てて実行してきました。
 しかし、今回、声明文とは別のペーパー(声明)をわざわざ用意して、この縮小計画を見直す用意があると説明しました。
金融政策の実施とバランスシートの正常化に関する声明(出所:FRB)
 つまり、量的な金融の引き締めに関しても、今後、緩和する可能性があることを示したということです。
■金融市場はオーソドックスな反応 さて、この決定を受けた市場の反応ですが、まず、米国の長期金利は低下。10年物米国債の利回りは、2.67%台まで低下しました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 米ドル相場は、当然のように米ドル安に反応。
米ドルVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
 そして、株式市場は、金利の上昇がストップするということを好感して、上昇しています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 極めて、オーソドックスな反応を見せています。
 ただ、この流れがずっと続くとは限りません。それは…
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今の米ドル/円は下落しにくい状況にある!? 注目材料は3つ。米中合意なら円安ドル高へ

■身動きが取れなくなった金融市場 世界の金融市場は、まったく動かなくなりました。
 年初の混乱に疲れて、相場も方向感をなくし、市場関係者も身動きが取れなくなってきています。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 次のテーマは何か、じっと待っている状態です。もう何週間も、同じことを紹介していますが、当面の材料と言えば、おそらく3つでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?(1月18日、今井雅人)
■対話路線の中国VS強硬姿勢の米国 1つ目は、米中貿易摩擦です。
 中国は、完全対決から対話路線に方向転換し、何とか合意を取り付けようとしていますが、米国側は依然として、かなり強硬姿勢のようです。
 合意ができれば、株価も急伸し、円安と米ドル高の展開になってくるでしょう。そうなれば、米ドル/円も110.00円を、しっかりと上に抜けてくるに違いありません。
【参考記事】
●米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?(1月18日、今井雅人)
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
●金融市場大荒れの背景に3つの要因あり! 米ドル/円は、当面110円~112円程度で推移(2018年12月27日、今井雅人)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■英国のEU離脱問題で再び市場が混乱!? 2つ目は、英国のEU(欧州連合)離脱問題です。
 この問題については、やや先送りになった感はありますが、なにひとつ、方向性が出ているわけではありません。
 そんなに遠くないうちに、再び市場を混乱させる材料になってくる可能性があります。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
 3つ目は、米国の金融政策です。すでに…
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今の米ドル/円は下落しにくい状況にある!? 注目材料は3つ。米中合意なら円安ドル高へ

■身動きが取れなくなった金融市場 世界の金融市場は、まったく動かなくなりました。
 年初の混乱に疲れて、相場も方向感をなくし、市場関係者も身動きが取れなくなってきています。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 次のテーマは何か、じっと待っている状態です。もう何週間も、同じことを紹介していますが、当面の材料と言えば、おそらく3つでしょう。
【参考記事】
●米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?(1月18日、今井雅人)
■対話路線の中国VS強硬姿勢の米国 1つ目は、米中貿易摩擦です。
 中国は、完全対決から対話路線に方向転換し、何とか合意を取り付けようとしていますが、米国側は依然として、かなり強硬姿勢のようです。
 合意ができれば、株価も急伸し、円安と米ドル高の展開になってくるでしょう。そうなれば、米ドル/円も110.00円を、しっかりと上に抜けてくるに違いありません。
【参考記事】
●米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?(1月18日、今井雅人)
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
●金融市場大荒れの背景に3つの要因あり! 米ドル/円は、当面110円~112円程度で推移(2018年12月27日、今井雅人)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■英国のEU離脱問題で再び市場が混乱!? 2つ目は、英国のEU(欧州連合)離脱問題です。
 この問題については、やや先送りになった感はありますが、なにひとつ、方向性が出ているわけではありません。
 そんなに遠くないうちに、再び市場を混乱させる材料になってくる可能性があります。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
 3つ目は、米国の金融政策です。すでに…
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米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?

■年初はやりすぎ! 一転して落ち着いた動きに 市場は、年初に大荒れの展開となって以降は一転して、落ち着いた動きとなってきています。結局、年初はやりすぎだったと言うことです。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 年初の取引が薄いところを狙って、ストップロスの注文を付けさせようと、仕手筋が仕掛けたことに過剰反応をしてしまったということでしょう。今後は、それぞれの材料を見ながら、冷静に市場も判断していくでしょう。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(1月11日、陳満咲杜)
●米ドル/円暴落は「上海ショック」と似ている!? 円高リスク緩和。目先は110円台へ反発か(1月8日、バカラ村)
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
■米ドル/円は110円あたりが当面の上限か? 市場が落ち着いてくると、金利差が効果を発揮してくるのが一般的なので、米国の金利水準が先進国の中ではもっとも高いという点を材料に、ゆっくりとした米ドル高になりやすいでしょう。
 実際に、現在はそういう動きを見せています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 ただ、米国の長期金利も、再び上昇していくような気配は、今のところないので、動きはゆっくりで、かつ、限定的なものになってくると思っています。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 米ドル/円は、109.00円のところに売りがあって、いったんは壁になりましたが、売りをこなしてからは109円台にしっかり乗ってきています。今回は、110.00円あたりが、当面の上限ではないかと考えています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■英ポンドはまだ予断を許さない状況 目先の材料としては、英国のEU(欧州連合)離脱問題があります。
 現在、市場では合意なき離脱(※)は、回避できるのではないかという見方が広がってきています。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
 また、ここに来て、離脱の是非を問う2回目の国民投票が実施されるのではないかという観測も高まっています。
 そういう観測を好感して、英ポンドがやや、強くなってきていますが、最終的にどうなるか、まだまだ予断を許さない状況です。
【参考記事】
●採決間近! 英首相は離脱延期を選択へ!? 米ドル/円は売り目線だが、当面は横ばい(1月15日、バカラ村)
英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
 もう1つ注目しているのは…
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米ドル/円は110円あたりが当面の上限か!? 落ち着いた相場で取るべき投資戦略は…?

■年初はやりすぎ! 一転して落ち着いた動きに 市場は、年初に大荒れの展開となって以降は一転して、落ち着いた動きとなってきています。結局、年初はやりすぎだったと言うことです。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 年初の取引が薄いところを狙って、ストップロスの注文を付けさせようと、仕手筋が仕掛けたことに過剰反応をしてしまったということでしょう。今後は、それぞれの材料を見ながら、冷静に市場も判断していくでしょう。
【参考記事】
●2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!(1月11日、今井雅人)
●度肝を抜かれた4円超の急落! ドル/円のシナリオを再考、考えに考え抜いた結論は?(1月11日、陳満咲杜)
●米ドル/円暴落は「上海ショック」と似ている!? 円高リスク緩和。目先は110円台へ反発か(1月8日、バカラ村)
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
■米ドル/円は110円あたりが当面の上限か? 市場が落ち着いてくると、金利差が効果を発揮してくるのが一般的なので、米国の金利水準が先進国の中ではもっとも高いという点を材料に、ゆっくりとした米ドル高になりやすいでしょう。
 実際に、現在はそういう動きを見せています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 ただ、米国の長期金利も、再び上昇していくような気配は、今のところないので、動きはゆっくりで、かつ、限定的なものになってくると思っています。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
 米ドル/円は、109.00円のところに売りがあって、いったんは壁になりましたが、売りをこなしてからは109円台にしっかり乗ってきています。今回は、110.00円あたりが、当面の上限ではないかと考えています。
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■英ポンドはまだ予断を許さない状況 目先の材料としては、英国のEU(欧州連合)離脱問題があります。
 現在、市場では合意なき離脱(※)は、回避できるのではないかという見方が広がってきています。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
 また、ここに来て、離脱の是非を問う2回目の国民投票が実施されるのではないかという観測も高まっています。
 そういう観測を好感して、英ポンドがやや、強くなってきていますが、最終的にどうなるか、まだまだ予断を許さない状況です。
【参考記事】
●採決間近! 英首相は離脱延期を選択へ!? 米ドル/円は売り目線だが、当面は横ばい(1月15日、バカラ村)
英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
 もう1つ注目しているのは…
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2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。 米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!

 皆様、明けましておめでとうございます。今年も1年、どうぞ、よろしくお願いします。
■波乱の幕開け。2019年はどんな展開に…? 昨年(2018年)の後半から、米国を中心に世界中で株価が急落し、今年(2019年)も波乱の幕開けとなっています。今年は、どういう展開になっていくのでしょうか?
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■景気が世界的に減速。米ドル高になりにくい まず、さまざまなシンクタンクなどが、今年(2019年)の世界経済見通しを発表していますが、共通しているのは、全体的に景気は減速するということです。
 リーマンショック以降、各国の大規模な金融緩和と積極的な財政出動に助けられ、この10年間、安定した景気拡大がありました。しかし、ここに来て、その拡大にも限界が来ています。
 FRB(米連邦準備制度理事会)が、ここ2~3年、金利の正常化を目指して量的緩和の終了、政策金利の引き上げをしてきたことの影響も、ここに来て、顕在化してきているようです。
 すでに、FRBは、ドットチャートによると今年(2019年)2回を予定している利上げに関しても、状況によっては中止するというニュアンスのコメントを出しはじめました。
【参考記事】
●2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目(2018年11月29日、今井雅人)
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(2018年12月21日、今井雅人)
 長期金利も、昨年(2018年)ピークをつけて、今年(2019年)は上昇しない可能性のほうが、高くなってきています。
米長期金利(米10年債利回り) 週足(出所:Bloomberg)
 昨年(2018年)は、長期金利の上昇に伴って米ドル高になっていきましたので、今年(2019年)は、米ドル高になりにくい1年、ということになってくると考えています。
ドルインデックス(左)と米長期金利(右)日足(出所:Bloomberg)
■円安にもなりにく1年か 世界銀行が直近に出した経済見通しでは、サブタイトルは「ダークニングスカイズ」と、先行きに暗雲が立ち込めていることを示唆したものとなっています。
 報告書の中で、世界全体で2019年は2.9%の成長と、2018年を下回るものになると予想しています。
 こうした状況を考慮すると、今年(2019年)は、先進国の株価は上昇しにくい1年になる可能性が高いということがわかります。
 株価が上昇しないということになると、リスクオンの円安という展開も、起きにくくなるということです。
 そういう意味においては、米ドル/円だけではなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)においても、円安になりにくい1年になるのではないかと予想しています。
世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
 加えて、今年(2019年)は、さまざまなリスク要因があります。まず…
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2019年は米ドル高にも円安にもなりにくい。 米ドル/円は100円割れまで下落の可能性!

 皆様、明けましておめでとうございます。今年も1年、どうぞ、よろしくお願いします。
■波乱の幕開け。2019年はどんな展開に…? 昨年(2018年)の後半から、米国を中心に世界中で株価が急落し、今年(2019年)も波乱の幕開けとなっています。今年は、どういう展開になっていくのでしょうか?
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
■景気が世界的に減速。米ドル高になりにくい まず、さまざまなシンクタンクなどが、今年(2019年)の世界経済見通しを発表していますが、共通しているのは、全体的に景気は減速するということです。
 リーマンショック以降、各国の大規模な金融緩和と積極的な財政出動に助けられ、この10年間、安定した景気拡大がありました。しかし、ここに来て、その拡大にも限界が来ています。
 FRB(米連邦準備制度理事会)が、ここ2~3年、金利の正常化を目指して量的緩和の終了、政策金利の引き上げをしてきたことの影響も、ここに来て、顕在化してきているようです。
 すでに、FRBは、ドットチャートによると今年(2019年)2回を予定している利上げに関しても、状況によっては中止するというニュアンスのコメントを出しはじめました。
【参考記事】
●2019年の米利上げは1回程度で終了かも!? 12月FOMCに加えて米中首脳会談にも注目(2018年11月29日、今井雅人)
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 長期金利も、昨年(2018年)ピークをつけて、今年(2019年)は上昇しない可能性のほうが、高くなってきています。
米長期金利(米10年債利回り) 週足(出所:Bloomberg)
 昨年(2018年)は、長期金利の上昇に伴って米ドル高になっていきましたので、今年(2019年)は、米ドル高になりにくい1年、ということになってくると考えています。
ドルインデックス(左)と米長期金利(右)日足(出所:Bloomberg)
■円安にもなりにく1年か 世界銀行が直近に出した経済見通しでは、サブタイトルは「ダークニングスカイズ」と、先行きに暗雲が立ち込めていることを示唆したものとなっています。
 報告書の中で、世界全体で2019年は2.9%の成長と、2018年を下回るものになると予想しています。
 こうした状況を考慮すると、今年(2019年)は、先進国の株価は上昇しにくい1年になる可能性が高いということがわかります。
 株価が上昇しないということになると、リスクオンの円安という展開も、起きにくくなるということです。
 そういう意味においては、米ドル/円だけではなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)においても、円安になりにくい1年になるのではないかと予想しています。
世界の通貨VS円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
 加えて、今年(2019年)は、さまざまなリスク要因があります。まず…
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金融市場大荒れの背景に3つの要因あり! 米ドル/円は、当面110円~112円程度で推移

■2018年末にかけて金融市場は大荒れ! 今年(2018年)も残すところ、あとわずかとなりましたが、ここにきて、株式市場を中心に、金融市場は大荒れの展開となっています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
日経平均 日足(出所:Bloomberg)
 大荒れとなっている原因は1つではなく、さまざまな要因が重なり合って、今回の展開となっています。
■FOMCが株式市場にマイナスの影響 まず、1つ目はFOMC(米連邦公開市場委員会)です。先週、12月18日(火)~19日(水)に実施されたFOMCでは、0.25%の利上げは確実視されていた一方で、多くの市場関係者が、来年(2019年)以降の利上げが、今回のFOMCでいったん、ペンディング(保留)になるのではないかという予測をしていました。
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
 しかし、現実には、これまで2019年は年3回の利上げという見込みであったものが、年2回の利上げとなったという程度に留まったことが、株式市場にマイナスの影響を与えてしまいました。
【参考記事】
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(12月21日、今井雅人)
2018年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)
■米中貿易交渉は経済に影響を及ぼし始めている 2つ目は、今まさに火花を散らしている、米中貿易交渉です。
 一部では、来年(2019年)1月には、合意文章が交わされるのではないかという観測もありましたが、米国の政府関係者の方から、合意はかなり困難であるという見通しが示されたことで、先行きが、かなり怪しくなってきたということです。
 今回の関税措置は、米中両国の経済に、実際に影響を及ぼし始めているということが顕在化してきているため、余計に不安感が強まっています。
■FRB議長と米財務長官が解任される!? 3つ目は、トランプ政権の人事です。
 軍事の要であったマティス国防長官が、イランからの軍撤退問題で、トランプ米大統領と対立し、辞任することになりました。
 安定感のあったマティス長官の辞任を受けて、国際社会では米国の今後の安全保障政策に対して、かなり不安感が広がっています。
トランプ米大統領と対立したマティス国防長官が辞任を表明。パウエルFRB議長やムニューシン米財務長官の解任も噂されるなど、トランプ政権の人事は混迷を極めている (C)Chip Somodevilla/Getty Images
 また、トランプ米大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げへの不満から、パウエルFRB議長を解任する意向であるという報道が出ると、市場へのマイナスの影響は、さらに拡大しました。
 ムニューシン米財務長官も解任されるのでは、という話さえ出てきています。
【参考記事】
●もし、パウエルFRB議長解任なら株高に!? 2019年のテーマは米国経済失速でドル安(12月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
 こうした材料をまとめて簡潔に言えば…
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金融市場大荒れの背景に3つの要因あり! 米ドル/円は、当面110円~112円程度で推移

■2018年末にかけて金融市場は大荒れ! 今年(2018年)も残すところ、あとわずかとなりましたが、ここにきて、株式市場を中心に、金融市場は大荒れの展開となっています。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
日経平均 日足(出所:Bloomberg)
 大荒れとなっている原因は1つではなく、さまざまな要因が重なり合って、今回の展開となっています。
■FOMCが株式市場にマイナスの影響 まず、1つ目はFOMC(米連邦公開市場委員会)です。先週、12月18日(火)~19日(水)に実施されたFOMCでは、0.25%の利上げは確実視されていた一方で、多くの市場関係者が、来年(2019年)以降の利上げが、今回のFOMCでいったん、ペンディング(保留)になるのではないかという予測をしていました。
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
 しかし、現実には、これまで2019年は年3回の利上げという見込みであったものが、年2回の利上げとなったという程度に留まったことが、株式市場にマイナスの影響を与えてしまいました。
【参考記事】
●ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性(12月21日、今井雅人)
2018年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)
■米中貿易交渉は経済に影響を及ぼし始めている 2つ目は、今まさに火花を散らしている、米中貿易交渉です。
 一部では、来年(2019年)1月には、合意文章が交わされるのではないかという観測もありましたが、米国の政府関係者の方から、合意はかなり困難であるという見通しが示されたことで、先行きが、かなり怪しくなってきたということです。
 今回の関税措置は、米中両国の経済に、実際に影響を及ぼし始めているということが顕在化してきているため、余計に不安感が強まっています。
■FRB議長と米財務長官が解任される!? 3つ目は、トランプ政権の人事です。
 軍事の要であったマティス国防長官が、イランからの軍撤退問題で、トランプ米大統領と対立し、辞任することになりました。
 安定感のあったマティス長官の辞任を受けて、国際社会では米国の今後の安全保障政策に対して、かなり不安感が広がっています。
トランプ米大統領と対立したマティス国防長官が辞任を表明。パウエルFRB議長やムニューシン米財務長官の解任も噂されるなど、トランプ政権の人事は混迷を極めている (C)Chip Somodevilla/Getty Images
 また、トランプ米大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げへの不満から、パウエルFRB議長を解任する意向であるという報道が出ると、市場へのマイナスの影響は、さらに拡大しました。
 ムニューシン米財務長官も解任されるのでは、という話さえ出てきています。
【参考記事】
●もし、パウエルFRB議長解任なら株高に!? 2019年のテーマは米国経済失速でドル安(12月24日、西原宏一&大橋ひろこ)
 こうした材料をまとめて簡潔に言えば…
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ダウ急落。数年間の株価上昇は行き過ぎ! 米ドル/円は110円程度まで下落の可能性

■米国経済に変調。そもそも、株価上昇は買われすぎだった!? 米国経済が、変調をきたしています。
 特に、その動きが顕著なのが、株式市場です。NYダウはこの3週間で、2万5000ドル台後半から2万2000ドル台後半まで、実に3000ドルも下落しています。何が起きているのでしょうか?
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
 そもそもの大きな背景としては、これまで、数年間の株価の上昇が、行き過ぎだったということがあります。
 リーマンショックから10年、米国をはじめとして、世界各国の景気は順調に拡大して、株価も堅調に推移しました。NYダウも、史上最高値を更新し続けました。
NYダウ 月足(出所:Bloomberg)
 しかし、一方的な上昇が、永遠に続くわけではありません。どこかで転換はあります。
■FRBの正常化がマーケットに影響を与え始めている 景気拡大が続く中、FRB(米連邦準備制度理事会)はここ2年ほど、金利の正常化を目指して、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標を引き上げ、量的緩和も縮小して、現在はバランスシートの圧縮を進めています。
 今年(2018年)に入って、株価はすでに、頭打ちの傾向を見せていました。どこかで崩れても、おかしくないような相場展開になっていました。
 しかし、それでもFRBは、金融の引き締めペースを落としませんでした。そのことが、いよいよマーケットに影響を与え始めているということです。
■思ったほどハト派ではなかったFOMCに失望 先日(12月18日~19日)、今年(2018年)最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利であるFFレートの誘導目標レンジを0.25%引き上げ、2.25%~2.50%とすることを決定しました。今回で、今年4回目の利上げとなりました。
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
 それと同時に発表された、FOMCメンバーの金利予想、いわゆる「ドットチャート」では、来年(2019年)の利上げ回数が、前回9月の3回から、今回は2回へと減りました。
2018年12月FOMCで示されたドットチャート(出所:FRB)
 この一連の決定がなされたあとも、株価の下落は止まりません。それは、今回のFOMCに対して、市場はより、ハト派的な決定を期待していたということが背景にあります。
 FOMCが開催される前、市場では今回、利上げをしたあと、来年(2019年)はいったん、利上げを停止するという決定を下すのではないかと予想する人も多くいました。
 しかし、蓋を開けてみると、2019年の利上げは3回から2回への下方修正に留まりました。それに対する失望感から、株価が売られたということでしょう。
【参考記事】
●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)
 もちろん、米中貿易交渉に対する懸念というのも…