米SEC、仮想通貨タスクフォースが取り組む「10項目」ヘスター・ピアース委員が説明
2025-02-06
米国証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は2025年2月4日に公開された声明の中で、米SECで新設された仮想通貨タスクフォースが取り組む10項目について説明を行いました。
今回の声明は”ピアース委員個人の見解”として示されたもので「SEC全体や他の委員の意見を必ずしも反映したものではない」と説明されていますが、声明文ではより明確な仮想通貨規制を定めていく方針が語られています。
ピアース委員はゲイリー・ゲンスラー氏が率いていた以前の米SECが”執行による規制”など不適切な措置を行っていたことを指摘していて、「仮想通貨タスクフォースで他の規制当局とも協力しながら、イノベーションを促進しつつ詐欺行為を防ぐ規制枠組みを目指していく」という方針を示しています。
米SECの仮想通貨タスクフォースが取り組む10項目としては以下のようなものが挙げられています(※これら10項目は網羅的なものではなく、優先順位や完了予定順を提示するものではないとも説明されています)。
- 暗号資産の証券性の判断
証券法における暗号資産の立ち位置は、多くの他の問題を解決するために重要な要素となる。タスクフォースは、さまざまな種類の暗号資産を調査するために懸命に取り組んでいる。 - 管轄範囲の明確化
タスクフォースは委員会の管轄外となる分野を特定するのに協力する。初期のステップとして「No-Action Letter」のリクエストを歓迎する。ノーアクションレターは通常、具体的な状況を記載し、その状況下でスタッフが委員会に執行措置を推奨しない旨を記したスタッフ声明として提供される。この声明は特定の状況に限定されるが、一般の人々にスタッフの考え方を知る手がかりを提供する。 - トークン販売に関する救済措置
タスクフォースは、コインやトークンの販売に対して一時的かつ遡及的な救済措置を提案する可能性を検討している。ただしこれは「発行主体や責任を負う意志のある他の主体が特定の情報を提供してその情報を更新し続けること」を条件とする。この情報が正確かつ最新である限り、これらのトークンは非証券と見なされ、SECに登録されていない二次市場で自由に取引することに関する不確実性が解消される。このアプローチは、より恒久的な規則や立法が完成するまでの橋渡し役となり、既存トークンが進むべき明確な道筋が示され、不透明な状況から脱出する手助けになるだけでなく、より多くの情報開示を促進することが期待される。 - 登録型トークン販売に関する提案
タスクフォースは、スタッフと協力して「Regulation A」や「クラウドファンディング」など既存の登録経路を修正することを提案する可能性を検討する。これにより、トークンオファリングの登録に関心のある人々が登録するための経路が確保される。 - 特定目的ブローカーディーラーのルール改訂
特定目的ブローカーディーラーに関するルール改訂を検討する。初期段階の変更として「証券ではない暗号資産」とともに「証券に該当する暗号資産」を保管するブローカーディーラーもカバーするよう範囲を拡大する。その他の登録に対する障害を特定するため、一般の意見を求める。 - 投資顧問の資産管理に関する規制整備
投資顧問向け保管ソリューション: 投資アドバイザーと協力して、投資顧問がクライアント資産を安全かつ合法的に保管するための規制枠組みを整備する。 - 貸付・ステーキングに関する規制明確化
暗号資産の貸付・ステーキングプログラムが証券法の対象となるかどうか、またその場合どのように適合させるべきかについて明確化が必要。タスクフォースは、これらのプログラムを法的に構造化する方法について支援することを計画している。 - 暗号資産ETFに関する支援
SECはすでに新しい暗号資産ETFに関する規則変更提案を受け取っている。タスクフォースはこれらの申請を承認・拒否する際に使用されるアプローチについて、スタッフが明確な声明を出すための支援を行う。また、既存のETFのステーキングや現物の作成・償還など特定の特徴を変更するためのリクエストを検討する際に、スタッフや委員会を支援する。ただし、これらの変更を実現する前に、保管などの他の問題について進展が必要。 - クリアリング機関および譲渡代理人
タスクフォースは、暗号資産に関連する規則と、クリアリング機関(取引の決済を仲介する機関)や譲渡代理人(証券の所有権移転を管理する機関)の規則との関係について検討を進めている。また、証券をデジタル化(トークン化)したり、従来の金融市場をより効率的にするためにブロックチェーン技術を活用したいと考える市場参加者と引き続き連携する。 - 国際的な実験環境の整備
多くの仮想通貨プロジェクトは国際的な視野でプロジェクトを進めているため、タスクフォースは「より永続的で長期的なアプローチの可能性を考慮しながら、限られた規模と期間で国際的な実験を促進できるようにする方法」を検討している。
以前までの米SECは仮想通貨業界に対して敵対的ともとれる措置を講じていましたが、仮想通貨タスクフォースは規制当局や仮想通貨プロジェクトと協力しながら、規制環境の整備を進めていく方針を示しているため、今後は米国の仮想通貨環境が大きく改善し、業界全体の成長も促進される可能性があると期待されます。
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Souce:米SEC公式サイト
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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