米下院、FRBによる「中銀デジタル通貨」発行禁じる法案を可決

CBDC Anti-Surveillance State Actが下院で可決

米下院で「中央銀行デジタル通貨(CBDC)反監視国家法(CBDC Anti-Surveillance State Act):H.R. 5403」が5月23日可決された。

同法案はトム・エマー(Tom Emmer)下院議員(共和党・ミネソタ州)によって昨年9月に提出されたもので、米連邦準備制度理事会(FRB)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行を阻止するものだ。

エマー氏は「(CBDCは)政府が管理するプログラム可能なお金であり、現金を模倣するように設計されていなければ、連邦政府はアメリカ人の取引を監視・制限し、日常生活のあらゆる面を監視する能力を持つことになる」と主張している。

なお今回の投票では、賛成216票、反対192票が投じられた。それぞれの票の内訳は、共和党議員213名、民主党議員3名が賛成票を投じ、民主党議員192名が反対した。

下院金融サービス委員会(HFSC)のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長は声明にて、「私たちはすでに、政府が自国民に対して金融システムを武器化する例を見てきた」とし、「中国共産党はCBDCを使って国民の消費習慣を追跡しており」、同データは「人々の行動に基づいて報酬や罰を与える社会的信用システムを構築するために使用されている」と、マクヘンリー委員長は指摘。「このような金融監視は、米国にはふさわしくない」と述べた。

なおHFSCの民主党トップのマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)下院議員は、反対声明の中で「中国のCBDCは政府による監視が組み込まれているのに対し、米国のCBDCは消費者のプライバシーやその他深く根付いた米国の価値観を保護するように設計されていることを考えると、これは特に問題だといえる」と述べている。

資産がトークン化でき、クロスボーダー取引などで有用性が認められるCBDCは、世界各国で実証実験が行われ、導入に対して積極的な向きの国もある。

一方米国ではここ数年、CBDCがドルの中央集権化を引き起こし、デジタルウォレットを通じて米国人をコントロールするために使われる可能性があるとの批判の声も上がっていた。

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参考:金融サービス委員会
images:iStocks/vitacopS

参照元:ニュース – あたらしい経済

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