NFTのセカンドコレクションとは?事例をもとにリリースの意図や課題を解説

2021年、世界的人気のNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(以下、BAYC)」の派生コレクション「Mutant Ape Yacht Club(以下、MAYC)」がリリースされ、大きなニュースになりました。
この印象的なイベントは、多くのNFTコレクターを熱狂させるだけでなく、ほかのNFTコレクションにも多大な影響を及ぼすことになります。

本記事では、MAYCのような、メインNFTコレクションの派生シリーズとしてリリースされる、いわゆる「セカンドコレクション」の概要や意図、懸念点を解説します。

NFTコレクターはもちろん、これからご自身でNFTコレクションを販売しようとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

NFTのセカンドコレクションとは何か?

前提として、NFTコレクションの分類をわかりやすくするため、本記事では、最初にリリースされたNFTコレクションを「ファーストコレクション」と記述します。

先述した通り、セカンドコレクションとは、ファーストコレクションから派生した新シリーズであり、映画でいうところの2作目、続編のような位置付けと認識していただいて相違ありません。

「セカンダリーコレクション」と言われるケースもありますが、同義です。

なぜセカンドコレクションをリリースするのか?

一般的にセカンドコレクションは、NFTのホルダー数や資金を増やすために作成されます。
また、ファーストコレクションのホルダーに対して新たなイベントを提供するためにリリースされるケースも多いです。

セカンドコレクションをリリースすることで、既存ホルダーに対して新たなユーティリティを提供しつつ、新規ホルダーを獲得し、コミュニティの拡大を図ります。

ただし、安直にセカンドコレクションを販売すると、大して成果が得られないどころか、ファーストコレクションに悪影響を及ぼす場合があるため、設計は入念かつ慎重に行わなければなりません。

次の項では、セカンドコレクションをリリースするにあたって生じる問題点を解説します。

セカンドコレクションの問題点

セカンドコレクションをリリースする際には、以下3点の問題が起こりえます。

  • ファーストコレクションと差別化ができない
  • 購入者に迷いが生じる
  • 新規ホルダーが増えないと、コレクション全体の価値が希薄化する

これらの問題点を、一つの事例をもとに解説していきます。

BAYCと同じく、世界的に人気の高いNFT「Azuki」からセカンドコレクション「Azuki Elementals」がリリースされたのをご存知でしょうか?

Azuki Elementalsは、2023年6月28日に販売が始まり、わずか15分で10,000点がすべて完売し、約3,742ドル(日本円で54億円相当)を調達したNFTコレクションです。
大成功に見えたAzuki Elementalsですが、リリース後にAzukiを含むプロジェクト全体の価格が下落し、既存ホルダーから批判の声が殺到してしまいました。

価格下落の原因は、Azuki Elementalsの販売方法に起因します。
Azuki Elementalsの優先購入権は、Azukiホルダーを中心に付与されました。
販売方法はダッチオークションが採用されたものの、一般セールに移行するまえに全て売り切れてしまったのです。

つまり、Azuki Elementalsの購入者の大半が、Azukiホルダーということになります。
既存ホルダーを中心にセカンドコレクションを販売したために、Azukiを含む、コレクション全体の価値の希薄化が起きました。

くわえて、Azuki Elementalsの優先購入権の獲得を目当てにAzukiを購入していたホルダーが一斉にNFTを手放したことで、価格が暴落します。

結果的にAzuki運営の新規顧客は増えず、コレクションだけが増えてしまったため、プロジェクト全体の価値が分散し、価格が低下する事態に陥ったのです。

セカンドコレクションのリリースは、このような事態を招くケースがあるため、設計段階から慎重に行わなければなりません。

セカンドコレクションをリリースした注目のNFTプロジェクト

ここからは、セカンドコレクションをリリースした注目のNFTプロジェクトを4つ紹介します。

  • MAYC(Mutant Ape Yacht Club)
  • ROARS
  • Doodles2
  • Azuki Elementals

MAYC(Mutant Ape Yacht Club)

MAYC
引用:OpenSea
プロジェクト名MAYC(Mutant Ape Yacht Club)
リリース日2021.8.23
発行数20,000点
販売価格ダッチオークションのため、価格不定
フロアプライス(2023年12月10日現在)5.5858ETH
公式サイトhttps://boredapeyachtclub.com/#/mayc
Xhttps://twitter.com/BoredApeYC
Discordhttps://discord.gg/bayc

冒頭でも紹介した「Mutant Ape Yacht Club(通称:MAYC)」は「Bored Ape Yacht Club(通称:BAYC)」のセカンドコレクションです。
BAYCを象徴する猿のキャラクターが、突然変異(ミュータント化)したという世界観のNFTプロジェクトです。

BAYCのホルダーに対して「Mutant Serum(血清)」NFTが配布され、それを保有するBAYCに投与することで、MAYCがエアドロップされるという設計がとられました。

なお、MAYCのホルダーに対し、コミュニティ内のガバナンストークン「エイプコイン(APE)」を2,042枚配布するイベントが実施されました。
当時のレートで150万円以上の価値があるエアドロップだったため、ホルダーはMAYCをきっかけに大きな利益を得ることになったのです。

設計が難しいとされるセカンドコレクションのなかでも、成功を収めた稀有な事例といってよいのではないでしょうか。

ROARS

ROARS
引用:OpenSea
プロジェクト名ROARS
リリース日2023.4.28
発行数12,345点
販売価格0.01ETH~
フロアプライス(2023年12月10日現在)0.006ETH
公式サイトhttps://opensea.io/ja/collection/roars-by-ntp
Xhttps://twitter.com/fukusta343
Discordhttps://discord.gg/sjBmEKjgCz

ROARS(ロアーズ)は、日本のNFTプロジェクト「NEO TOKYO PUNKS(通称:NTP)」のセカンドコレクションとしてリリースされました。

「絶滅したニホンオオカミのDNAデータから人工的につくられたキャラクター」であり、NTPの相棒的存在という位置付けです。

国内NFTプロジェクトのなかでも、とりわけ人気の高いNTPのセカンドコレクションという触れ込みで、リリース前から多くの注目を集めました。

ファウンダーのNIKO24氏がこれまでに輩出してきたNFTコレクションの保有者を中心に優先購入権が配布され、瞬く間に完売した人気ぶりです。

Doodles2

Doodles2
引用:flow
プロジェクト名Doodles2
リリース日2023.1.31
発行数不明
販売価格不明
フロアプライス(2023年12月10日現在)9ドル
公式サイトhttps://www.doodles.app/
Xhttps://twitter.com/doodles
Discordhttps://discord.gg/doodles

カラフルでポップなデザインが特徴的な人気プロジェクト「Doodles」の派生コレクションが「Doodles2」です。

Doodlesは、2021年10月17日に販売を開始し、わずか5分で10,000点を売り切ったほどの人気プロジェクトです。
高いフロアプライスや取引高を保持するNFTの総称「ブルーチップNFT」に分類され、確固たるポジションを獲得しています。

その派生プロジェクトにあたるDoodles2が注目を集めるのも無理はありません。

Doodles2は、Doodlesのデザインの特徴をそのまま受け継ぎつつ、着せ替えを楽しめる使用になっています。
ウェアラブル(着せ替えパーツ)NFTを購入し、キャラクター作成ツールによって自分好みのDoodlesを作れるのです。

なお、Doodles2は、「Flow」というブロックチェーンを使用しており、取り引きはNFTマーケットプレイス「Gaia」で行われます。

Azuki Elementals

Azuki Elentals
引用:OpenSea
プロジェクト名Azuki Elementals
リリース日2023.6.28
発行数20,000点
販売価格ダッチオークションのため価格不定
フロアプライス(2023年12月10日現在)0.648ETH
公式サイトhttps://www.azuki.com/
Xhttps://twitter.com/Azuki
Discordhttps://discord.gg/azuki

前項の事例でも紹介した「Azuki Elementals」は、ブルーチップNFTの一角「Azuki」のセカンドコレクションです。

日本のアニメキャラクターを彷彿させるデザインが特徴的で、2022年1月12日のリリース以降、根強い人気を獲得しています。
Azuki Elementalsは、地・火・雷・水と4つのエレメントがモチーフに取り入れられており、全部で20,000点が発行されました。

Azuki Elementalsのホルダーは、特典としてAzukiホルダー限定のコミュニティ「The Garden」に参加可能です。

ファーストコレクションとの類似性が高く、差別化が図れていなかったものの、公式から「オリジナル(Azuki)との差別化を図る」と声明があり、価格を持ち直しました。
セカンドコレクションをリリースした後の価格下落と炎上が印象強いですが、今後の活動や発展に期待したいNFTプロジェクトといえるでしょう。

NFTのセカンドコレクションのまとめ

セカンドコレクションは、ファーストコレクションから派生した第2弾的な位置付けのNFTコレクションです。

BAYCやAzukiなど、多くのプロジェクトがセカンドコレクションをリリースしており、その都度、大きなニュースになりました。
とはいえ、セカンドコレクションは、設計を誤るとファーストコレクションに悪影響を及ぼすことがあるため、リリースする際は、綿密な計画のもと慎重に行わなければなりません。

本記事内では、セカンドコレクションをリリースした人気NFTプロジェクトの事例を紹介しましたので、今後NFTを購入する際や、ご自身でNFTプロジェクトと立ち上げる際の参考にしてください。

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参照元:NFT Media

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