パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いについてわかりやすく紹介
インターネットと同じレベルで、世界を変える大発明とされるブロックチェーンですが、その種類にはパブリックチェーンとプライベートチェーンの違いがあります。この記事ではなるべく専門用語を使わずに、パブリックとプライベートの違いを解説し、それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。また、理解しやすいように2つのブロックチェーンを使う代表事例も合わせて紹介します。
パブリックチェーンとプライベートチェーン 2つのブロックチェーンについて専門用語を使わずに解説
パブリックチェーンとプライベートチェーンの違い=誰が使うかによって異なる。パブリックチェーンは原則として誰もが参加できますが、プライベートチェーンは特定の人しか参加できません。
ブロックチェーンは、「パブリックチェーン」と「プライベートチェーン」という2種類に分類されます。
各チェーンは、主に誰が使うかによって種類が決まります。
パブリックチェーンは、世界中の誰でもネットワークに参加でき、ブロックチェーン上に記録されている取引履歴を誰もが確認できるもの。
反対にプライベートチェーンは、ネットワーク参加に条件があり、1つの組織がネットワークを管理します。
こうした違いから、パブリックチェーンは「非中央集権的」であり、プライベートチェーンは「中央集権的」とも言われます。
中央集権は、ブロックチェーンの運営企業などの中央管理者が意思決定権を持っています。
非中央集権の場合、中央管理者がいないため意思決定権が分散されており、多数のユーザーの投票などで意思決定が行われます。
運用、運営の違い=パブリックチェーンとプライベートチェーンでは実際の運営ではどう違うのか
パブリックチェーンとプライベートチェーンは運用、運営の仕方が大きく変わります。
パブリックチェーンの場合は、先述した通り中央管理者がいないため、コミュニティなどでの意思決定が必要です。
また、パブリックチェーン上で行われる取引は、世界中にいるマイナーと呼ばれる人たちが取引承認作業を行っています。これにより、管理者が分散されセキュリティが強くなっています。
プライベートチェーンの場合は、1つの企業や組織が運営しているため、中央管理者での意思決定権が必要です。ブロックチェーンの変更や取引の中止などを運営元が行えるという特徴があります。
技術的な違い=技術的な違いを解説
パブリックチェーンとプライベートチェーンには技術的な違いもあります。
P2P方式と呼ばれる技術が用いられているパブリックチェーンでは、誰もが個人間で自由に取引を行えます。取引履歴の改ざんはとても困難であり、もし不正があった場合にはすぐに発見できる仕組みです。
プライベートチェーンでも、パブリックチェーンと同様でP2P方式を使っていますが、特定の参加者間でのみ取引を行えるという特徴があります。参加が許可制のため秘匿性が高いです。
パブリックチェーンとプライベートチェーンのそれぞれの特徴とメリット・デメリットを解説
パブリックチェーンの特徴とメリット・デメリット
パブリックチェーンのメリットとして、「公共性の高さ」と「取引の透明性の高さ」が挙げられます。
パブリックチェーンは世界中の誰でもネットワークに参加でき、ネットワークの参加者達が協力してブロックチェーンを管理していく体制になっており、中央の管理者が存在しません。
そのため、管理者の不正やハッキング被害、急な仕様変更などで起こりうるリスクを排除しています。
また、取引履歴などの台帳を誰でも確認できるため、とても透明性が高いのがメリットです。
パブリックチェーンのデメリットとしては、データ処理の遅さが挙げられます。
パブリックチェーンの場合、ブロックチェーンを分散的に管理しているため取引の承認作業に時間がかかってしまいます。
また、ビットコインなどでは「PoW」という仕組みで承認作業を行っており、これには膨大な計算や電力が必要です。
処理時間の問題やコストの問題は、PoWの大きなデメリットと言えます。しかし、PoWの問題を解決するために、「PoS」と呼ばれる新しい仕組みも出てきているので今後の改善が期待されています。
プライベートチェーンの特徴とメリット・デメリット
プライベートチェーンのメリットとしては、「ルール変更が可能」、「プライバシー保護性の高さ」、「データ処理、取引承認が早い」、「手数料が安い」などが挙げられます。
プライベートチェーンは、パブリックチェーンに比べてルール変更がしやすいです。
パブリックチェーンでルール変更する場合、世界中のネットワーク管理者に承認を得る必要があります。それに比べプライベートチェーンでは、企業や組織の決定権を持つ少数の承認を得られればルール変更が可能です。
また、プライベートチェーンでは限られた参加者でブロックチェーンを管理しているため、プライバシーの保護性が高く、取引に関わる手数料を安く抑えられます。
その他には、データ処理や取引承認が早いこともメリットと言えます。プライベートチェーンは、限られた人しか参加できないため、ネットワークが比較的混雑しにくく処理速度が早くなります。
一方で、プライベートチェーンには、「データが改ざんされやすい」、「公共性が低い」といったデメリットもあります。
メリットとして挙げたルール変更が容易にできるということは、管理者による悪質なデータの改ざんやルール変更ができるというデメリットでもあります。
また、限られた参加者でブロックチェーンを管理しているため公共性が低いこともデメリットです。
パブリックチェーンとプライベートチェーン それぞれの代表事例とどちらが優位になるのかを紹介
パブリックチェーンの代表事例=暗号資産(ビットコイン、イーサリアム)、ゲーム(CyptoGames)、身分証明、食品流通etc
パブリックチェーンの代表事例としてまず挙げられるのが、「ビットコイン」や「イーサリアム」などの暗号資産です。暗号資産は非中央集権的に運用されています。
また、ゲームでの活用事例も豊富にあります。例えば、CyptoGamesでは「CryptoSpells」というブロックチェーンゲームをリリースし、初日で600ETH(当時のレートで2,000万円程)を売り上げる人気になりました。
パブリックチェーンは、身分証明にも活用されています。ブロックチェーン上に本人情報を登録することで本人確認が容易になり、確認に掛かるコストの削減が可能です。
パブリックチェーンを食品流通に活用する動きも増えています。食品が消費者に届くまでには、原材料の調達や配送など多くの人が関わり、様々な取引が行われています。これらの取引履歴をブロックチェーンで一括管理することで、取引の効率化やコスト削減などが期待できます。
プライベートチェーンの代表事例=開発基盤(Hyperledger Fabric、Orb1、Iroha)
プライベートチェーンは、「Hyperledger Fabric」などのアプリケーションやサービスの開発基盤として活用されています。
ブロックチェーンの開発基盤として、有名な「イーサリアム」は世界中の誰でも使用できるパブリックチェーンの開発基盤です。イーサリアムはブロックチェーンが世界中に公開されているため、競合企業に重要な取引情報にアクセスされてしまうリスクがあります。
このような課題を解決するために、「Hyperledger Fabric」などのプライベートチェーンを使った開発基盤が活用されています。
Hyperledger Fabricへの参加には、許可が必要となっておりプライバシー保護性が高いです。また、データの処理速度がイーサリアムなどに比べて早いという特徴もあります。
プライベートチェーンの開発基盤は、BtoB(企業間での活用)向けとして活用される傾向があります。
パブリックチェーンとプライベートチェーンではどちらが主流になるのか?
パブリックチェーンとプライベートチェーンは、お互いに異なるメリット・デメリットがあり、利用目的によって選択されているため、現段階ではどちらかが主流になるとは判断できません。
暗号資産やブロックチェーンゲームなどは、より透明性が高く利用者が主体となって運営していくことが求められているため、パブリックチェーンが主流になるでしょう。
金融機関や企業間での利用では、取引情報や個人情報の漏えいを避けるためにプライベートチェーンの利用が主流になる可能性が高いです。
しかし、パブリックチェーンでは、セキュリティの強化やデータ処理速度の高速化が進んでおり、これからもその傾向は高まっていきます。パブリックチェーンのデメリットが改善されるにつれて、プライベートチェーンの需要は落ちていくかもしれません。
ですが、プライバシー保護性に関してはプライベートチェーンが有意なことに変わりはないため、どちらのチェーンを利用するかは利用者の目的や使い方によって選択されていくでしょう。
参照元:NFT Media