【取材】Web3コミュニケーションインフラ「DMTP」、East VenturesやArriba Studio、DJTらから資金調達
Web3コミュニケーションインフラ「DMTP」が資金調達
シンガポール拠点でWeb3コミュニケーションインフラ「Decentralized Message Transfer Protocol (DMTP)」を開発するハイフン社が、シードラウンドで資金調達をしたことを9月20日に発表した。
今回の調達ラウンドに参加した投資家は、East Ventures、Arriba Studio、double jump.tokyo、エンジェル投資家の絢斗 優氏とのこと。なお調達金額は非公開だ。
発表によると「DMTP」は、Web3のコミュニケーションのインフラを整える」というコンセプトの元、暗号資産のウォレットアドレスベースでメッセージのやり取りができるプロトコルだという。ユーザー同士でメッセージの送受信をすることはもちろん、Dapps(分散型アプリ)がユーザーに対して通知やメッセージを送信することも可能になるとしている。
さらに「Communicate to Earn」や「Chat Sticker NFT」を実装することでユーザー体験(UX)の向上と共に、ユーザーが楽しくコミュニケーションを取ることを予定しているとのことだ。
なお調達資金の主な使途は、プロトコルなどDMTP主機能の開発、グローバルマーケティング、採用の強化と説明されている。
Arriba StudioのDirectorである宮坂友大氏は「DMTPは、Web3領域でも求められるべき匿名で直接的で自由なコミュニケーションを担うメッセージングプロトコルがない課題に対して、Wallet Addressを軸に解決を試みるプロジェクトと理解しています。このタイミングで開始するからこそ価値があり、また日本初でグローバルスケールする可能性があるプロジェクトと考えています。Arriba Studioでもその可能性を信じて伴走させて頂きます。Go DMTP!!」とリリースで述べている。
double jump.tokyoのCTOである満足亮氏は「Web3業界においてWallet Addressがわかるがメッセージを送ることができない、というのは今明確な課題です。特にゲーム領域において『テキストチャット』は切り離せない機能であり、分散的な人格がデファクトとなってくるWeb3の時代においてメッセージングは必要なパーツでしょう。DMTPがそれを担ってくれることを期待しています!」と説明している。
エンジェル投資家の絢斗優氏は「Web3時代では、数多くの取引履歴やNFTの詰まったウォレットアドレスこそがアイデンティティとなり、コミュニケーションの中心となります。今後IRLイベントやNFTに紐づいた契約等が増えてくると、やりとりしている相手が本当にNFTを保有しているか判別するのが困難な既存のアプリでは対応しきれなくなります。よりシンプルに、より確実にアドレス保有者とコミュニケーションできるツールの需要が今後急速に増えるのは時代の必然です。そんなウォレットネイティブな時代のコミュニケーションに一早く注目したDMTPの挑戦は、全てのWeb3コミュニティを加速させるでしょう」とコメントしている。
ハイフン共同代表佐々木亜留氏へ取材
あたらしい経済編集部はハイフン社共同代表の佐々木亜留氏へ取材を行なった。
––対応するブロックチェーンは、なんでしょうか?
まずはPolygonで対応します。ですが、EVMで開発を進めており、EVMのウォレットアドレスであれば チェーンを問わずメッセージのやり取りが出来るようにしていく予定です。
––「Communication to Earn」において、現状事例はあるのでしょうか?ありましたら、そのビジネスモデルについて詳しく教えていただけますと幸いです。
私たちが調査した中では まだ「Communicate to Earn」の事例はございません。私たちのプロジェクトでは、基本的に相互フォロー(友達)同士では無料、相互フォロー外のユーザーに対してメッセージを送信する場合は有料(トークン)という形を取っております。
––また人間にとってコミュニケーションとはどういうもので、今後どうなっていくと考えていますか?
現在のインターネットのコミュニケーションは、LINE,TikTok, Instagram, Twitter, Facebookなど、いくつものサービスのチャットを使い回している人がほとんどです。
また、昔から今でも使われている方法としてメールがあります。
メールはdocomoなどのキャリアメールで作ったメールアドレスであっても、Gmailなど別のメールサービスを使っている相手にメールを送ることができます。
これは全てのメールサービスが共通のプロトコルを利用しているから、運営元が異なってもメールを送ることができる仕組みになっています。
一方、TwitterからFacebookの相手にDMを送ることはできません。
これはそれぞれのサービスの運営元が独自の規格を持っていて、共通のプロトコルを利用していないためです。
DMTPはプロトコルを開発しており、パートナーと一緒にDMTPを利用したコミュニケーションサービスを構築していきます。
将来的にDMTP上にWeb3版Twitterや、Web3版Facebookが出来たとすると、メッセージを送りたい相手が同じサービスを使っていなくてもウォレットアドレスでメッセージを送ることができるようになります。
そして、複数のサービスを使っていても、全てのメッセージはウォレットアドレスに届くようになり、今までのようにあちこちメッセージを確認しにいく必要がなくなります。
デザイン:一本寿和
images:iStocks/ChrisGorgio
参照元:ニュース – あたらしい経済