【はじめての分散型取引所】ゼロから始める流動性提供(Pancake Swap編)
暗号資産の購入・保有はしてみたものの、暗号資産について調べていくとネットやツイッター上に「分散型金融(DeFi)」や「分散型取引所(DEX)」「ファーミング」「流動性提供」という業界固有の言葉が溢れていて困惑したことはないでしょうか?
今回は暗号資産をただ保有しているだけでなく、もう少し運用を試してみたいもののどんな運用方法があるのか、何から手をつければ良いの分からないといった方を対象にバイナンススマートチェーン上のDeFiプロジェクトである「パンケーキ・スワップ(Pancake Swap)」を使って「流動性提供」と「ファーミング」の基本的な説明と使い方を解説します。
分散型取引所「Pancake Swap」
一口に分散型取引所と言っても、数多くの取引所が存在しています。今回はその中でも、バイナンススマートチェーン上で存在感を高めている分散型取引所「Pancake Swap」を例に解説していきます。
「Pancake Swap」は、ユーザーから集めてロックしている資金量が16億ドル(約1,700億円)を超える人気のDeFiプロジェクトです。分散型取引所・分散型金融が初めてという方にも比較的触りやすいプロジェクトです。
またPancake Swapは取引手数料の安いバイナンススマートチェーン上のプロジェクトなのでイーサリアムよりも安い手数料を理由に多くのユーザーが流れ込んできています。
本稿では実際の利用画面を見ながら、Pancake Swapへの流動性提供とファーミング方法を解説致します。
流動性提供とは?
流動性提供とは、ある取引所でユーザーがトークンAとトークンBを取引できるようにするためにトークンA・Bを市場に提供する行為です。例えばトークンAを保有しているユーザーが、それをトークンBと交換するにはトークンAをもっている誰かを市場で見つけて直接交換しなければなりません。このような物々交換も現実的には可能ですが、交換したい時に交換できないというのは非効率であり、適正価格も分かりづらくなります。
この課題を解消するために交換市場は作られており、一般的には資本を多く持つ一握りの組織がサービスとして取引所を開設し、トークンの流動性を提供して交換市場を構築しています。Pancakeのような分散型取引所では、このような交換市場を特定の組織ではなく、不特定多数のユーザーが保有するトークンA・Bを交換市場に集めて、誰もがAとBを取引できる市場を構築しています。このトークンA・Bを交換市場に提供する行為を流動性提供と呼びます。
流動性提供することのメリットは、提供したトークンが取引に利用されると取引手数料を徴収できることにあります。つまり暗号資産を売却して得るキャピタルゲインではなく、不動産のように保有する資産を用いてインカムゲインを一般のユーザーが得られるようになったという点が流動性提供という行為の新しい点であり、利点です。
また各分散型取引所には多くの利用者からの流動性提供を促すためのファーミングという仕組みを採用していることが多々あります。Pancakeもその例外に漏れず、ファーミングの仕組みのある分散型取引所です。
今回はPancake Swapで流動性を提供する方法と、その証として貰えるLPトークンをステーキングして、ファーミングに参加する方法を解説します。
実際に流動性提供をしてみよう
最初に「Pancake Swap」のページに移動し、右上のボタンよりウォレットをコネクトします。
※MetaMask(メタマスク)をまだ使ったことが無いという方は下記の記事をご覧ください。
関連:今さら聞けないメタマスク(MetaMask)の使い方
上画像に表記されているウォレットからお使いのものを選択し接続してください。
無事にウォレットの接続が済んだら、次は流動性を提供するプールを選択します。事前にファーミングの対象となる流動性プールを確認するために、以下の画面よりまずは「Farms」を選択しましょう。
執筆時点(2021年5月)では130以上のプールがファーミングの対象となります。APR(年率)、Earned(稼得)でソートすることができます。
中には非常にリスクの高いアセットも存在するため、ただAPRで選択するのではなく、よく理解しているプロジェクトのアセットを対象にしたプールを慎重に選びましょう。特に初心者の方は聞いたことのないアセットを避けて利用するようにしましょう。
今回は上画面にあるBUSD-BNBプールを選択して、流動性提供方法を解説していきます。まずはペアとなるBUSDとBNBを入手する必要があります。片方のBNBのみを保有しているのであれば、下画面の「トレード(Trade)」タブから「エクスチェンジ(Exchange)」を選択して、BNBをBUSDに交換しましょう。下画像、赤枠の部分を選択するとトレード機能を利用できます。
上画像ページが表示されたのちに上端にある「SWAP(交換の意です)」タブを選択し、「from」にBNB、「To」にBUSDを選択して、任意の量を入力し「Swap」を選択するとBNBからBUSDに交換することができます。
流動性提供用に用意するトークンA・B、今回の場合ですとBUSDとBNBの価値は同等量必要であることに注意しましょう。少し難しい話になりますので細かい説明は省きますがここでは「流動性プールのペアは50:50の比率で提供しなければならないというルールがある」ということだけ覚えておきましょう。例えばBUSD5,000円、BNB5,000円と同等の価値のペアを作って流動性を提供する必要があります。
またもう一つの注意点としてBNBはトランザクション(取引など)を起こす際の手数料として用いられますので、流動性提供する分とは分けて手数料分のBNBは必ずウォレットに保有しておきましょう。BNBの残高が少ないと取引を実行できなくなります。
両方のアセットを入手したら、隣の「Liquidity(流動性の意)」を選択します。
上記にて任意額のアセット(今回の例ではBUSDとBNB)を流動性提供してください。ここで流動性提供を行うことで流動性提供を行った証であるLPトークンを獲得します。LPトークンを入手した時点で流動性提供は完了です。ここまででも流動性提供している対象プールで取引が生じると相当分の取引手数料を徴収できます。
さて、ここからはもう一歩進んでファーミングに挑戦していきます。先程獲得したLPトークンをファーミングプールにステーキングして、独自トークン「Cake」を報酬として取得します。
流動性提供する際に確認をした「Farms」タブをもう一度開き、LPトークンを持つ「BUSD-BNB」プールの「Details」をクリックします。(下画像赤枠参照)
赤枠選択後にBUSD-BNBのLPトークンを任意量入力し「Confirm(確定の意)」します。
ファーミングは以上で完了です。ファーミングは農耕の意です。特にユーザーが労働するわけではありませんが、あえて託けるならばLPトークンはタネであり、その収穫物がCAKEトークンです。CAKEトークンはPancake Swapプラットフォーム上にある宝くじなどの各サービス支払いに利用できるユーティリティトークンであり、ファーミングにより収穫できます。
少し時間をあけて改めてトップページを開くとCakeトークンが配布されていることを確認できます。
最後に
分散型金融でも初心者から一歩進んだ利用方法、「流動性提供」と「ファーミング」の解説を行いました。
今回紹介したPancake Swapの中にはファーミングの対象となる多くの選択肢が存在しており、中には非常に利率の高いプールも存在しています。一見すると魅力的な流動性プールであったとしても、流動性提供には「インパーマネントロス」というリスクも存在します。簡単に言えば、提供しているトークンA・Bの価値が変動することで、そのトークンによって価値を裏付けされているLPトークンそのものの価値が変動するというリスクです。そのため、ファーミングによる収益よりも、LPトークンの値下がりの方が大きければ損失も生じるということは十分に認識しておく必要はあります。
ハードルの高い分散型金融の中でも比較的取り組みやすい「流動性提供」から分散型金融デビューする方も多いので是非一度、試しに触ってみてはいかがでしょうか。
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参照元:CoinChoice