イーサリアム上で利用されるビットコイン(BTC)が急増、発行形態とシェアを解説

イーサリアム上で利用されるビットコイン(BTC)が急増、発行形態とシェアを解説

イーサリアム上でビットコイン(BTC)を使用する手法が急速に増えています。結果として分散型金融(DeFi)のエコシステムの中でビットコインを使用するユースケースが多く生まれています。

イーサリアム上のビットコインとは

イーサリアム上でビットコインを使用する代表的な手法は、カストディ型・トラストレス型・合成資産型に別れます。順番に見ていきましょう。

カストディ型

カストディ型は最も単純かつイメージがしやすい手法です。ビットゴー(BitGo)のカストディにビットコインの預け入れをして、同数をWBTCとしてイーサリアム上に発行する手法が一般的です。バイナンス(Binance)がBinance ChainでBTCBを使用するのも同様の手法です。

トラストレス型

カストディ型はBitgoなどの事業者が預け入れをしている中央集権的な手法であるとして、より特定の主体への信用を最小化する形式のビットコインとイーサリアムネットワークのブリッジも提案されています。

ネットワーク間のトラストレスなブリッジは、技術的なブレークスルーが必要な分野で長らく研究開発が行われてきました。しかしながら最近では、RENBTCが存在感を出しており、同プロジェクトではMPC(multi-party computation)と呼ばれる技術で複数のノードによって秘密鍵管理がされています。既にユーザーに利用されていながらもまだ実験的段階にある新しいプロジェクトであるため、利用する際は十分にください。

合成資産型

最後に合成資産型です。ビットコイン自体の裏付けはなく別の担保資産を元にイーサリアム上でビットコインを合成する形式です。これについてはイーサリアム上のメイカーダオ(MakerDAO)のようなものを想像すれば分かりやすいはずです。

MakerDAOでは、ETHをロックアップしてUSD建てのステーブルコインDAIを受け取っていますが、同じ感覚でETHをロックアップして、ビットコインの価格に連動する資産を受け取る仕組みがあります。この合成資産形式の代表例は、Synthetixというプロトコルが発行するsBTCです。

より詳しく知りたい方は下記のレポートをご覧ください。

関連レポート:Bitcoinで実現可能なDeFi・オープンファイナンスを概観する(サイドチェーン、アトミックスワップ、DLC、tBTC等)

8月現在のイーサリアム上のビットコインを数字で概観する

上述した形式のイーサリアム上のビットコインが、2020年8月時点でどの程度イーサリアム上で発行されているか確認してみましょう。

さまざまな発行形式があることは上記で確認した通りですが、全ての合計で38,021BTC、おおよそ400億円がイーサリアム上のビットコインとして存在しています。ビットコインの総供給量に対して、約0.2%がイーサリアム上に移動していることになります。

イーサリアム上のビットコインのデータ

次にシェアですが、最も多いものはWBTC(26161)、続いてRENBTC(7721)、その次がsBTC(1793)です。

イーサリアムはビットコインのユースケースを拡張する

このようにイーサリアムに多くのビットコインが移動している原因は、既に上述したようにDeFi(分散型金融)でのユースケースが存在するからです。

既に多くの分散型取引所ではWBTCと他のトークンの取引ペアが存在しており、レンディングプロトコルのコンパウンド(Compound)での対応も始まっている他、ステーブルコイン発行プロトコルのMkaerDAOではWBTCを担保にしてDAIの発行が可能です。このようなユースケースを本来のビットコインネットワークと別のイーサリアム側で拡張しており、まるでビットコインのネットワークが価値の保存の保存レイヤーで、イーサリアムがレイヤー2として機能しているとも捉えることもできるかもしれません。
ライトニングネットワークのデータ

一方で、ビットコインのレイヤー2として期待されていたライトニングネットワーク(Lightning Network)では1,000BTC程度しか流通しておらず、イーサリアム上で流通するビットコインの規模の約1/40程度に留まっています。

こういった現実を目の当たりにすると、レイヤー2やサイドチェーンといった概念は、数年前に予測されていたのとは別の進化をたどるかもしれません。少なくとも今多くのビットコインがイーサリアム上に移動していることは、よりユーティリティが多いネットワークにアセットが移動するという事実です。もっともこれはビットコイン自体にとっても悪いことではありません。多くのユースケースが増えて、それはビットコイン自体の価値の下支えにもなるからです。今後の動向に目が離せません。

参考
Onchain Data Shows $449M Worth of Bitcoin on ETH Eclipses Offchain Competitors

【こんな記事も読まれています】
ライトニングネットワークのトランザクションボリュームが伸び悩み、WBTCはLNの残高を上回る
分散型金融のレンディングプラットフォームCompoundの独自トークンCOMPとは?
イーサリアム(Ethereum)上のDeFi(分散型金融)プロトコルのCompoundとはなにか


HashHub Researchでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に25本以上の頻度で行なっています。
コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼HashHub Research
https://hashhub-research.com/

参照元:CoinChoice

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です