高騰を続けるビットコイン(BTC)と株式市場、先行きにリスクはあるのか?

高騰を続けるビットコイン(BTC)と株式市場、先行きにリスクはあるのか?

ビットコイン(BTC)をはじめとした暗号資産市場や株式市場の高騰が続いています。中国からコロナウイルスが世界に広がった警戒感で3月には金融市場は大きな暴落を見せたものの、各国は未曾有の金融緩和を行っており、金融市場は落ち込むどころから盛り上がりを見せているのが実態です。

高騰続くビットコイン(BTC)に史上最高値を更新する株価指数

S&P500もナスダックも2020年8月には史上最高値を更新しました。また金融緩和による法定通貨のシステムを不暗視して、ゴールドとビットコインにも買いが集まっています。ゴールドは史上最高値を更新して、ビットコインは執筆時点で120-130万円で推移しており史上最高値には及ばないものの、もう一段階高騰をすると史上最高値が意識されるはずです。

また、ビットコイン以外の暗号資産市場もDeFI(分散型金融)のテーマが相場を牽引して、最高値を更新している銘柄も多いです。これについては2017年のバブルを彷彿させる面もありますが、当時と比べて技術やプロジェクトの成長が見られる部分もあり当時と比べればファンダメンタルがある側面もあります。これについては下記のコラムで解説しています。

【関連】・トークン投資の分析手法:ビットコイン(BTC)以上の投資リターンを得るには?

新型コロナウイルス感染による不況の特殊性と金融市場

一方でこの金融市場にリスクはどこにあるでしょうか。新型コロナウイルスによって実態経済の流動性は押さえつけられており、金融市場だけが伸び続けることは不自然です。リスクがどこにあるかは考えなくてはいけません。

2020年8月の直近に発表されている各先進国のGDPを見れば、現在は世界的な大不況であると表現できます。しかしながら、これまで経験してきた不況と異なる点がいくつかあります。

第一に、一般的な不況においては、ほとんど全ての企業にとって向かい風が発生しますが、今回の新型コロナウイルスの不況においては、明らかに向かい風が発生しているセグメントがあることです。特に業務をデジタルに移行することを迫られた企業を支援するSaaS企業や、イネーブラー企業は最高益を発表している例が世界的に多く、向かい風どころか神風が吹いている状態とも言えます。国内においては、元から使われていたDX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が、さらに注目されています。また、このようなDX関連以外でも、内需に支えられたゲームや家具・食品スーパー・ドラッグストアなどの企業は業績が好調です。そして、それ以外の企業についてはやはり打撃を受けており、特に外食産業や航空、ホテルについては前年比売上90%台減少が珍しくないという決算が浮かび上がっています。

第二に、通常の不況と異なる点は、さまざまな角度での資金供給が豊富な点です。普通の不況では金融機関が貸し渋りをして企業は運転資金の確保に奔走します。しかし、今回においてはさまざまな利子補給制度などの支援パッケージがあり、潤沢な補助金と給付金によって少なくともこの半年間、大きな連鎖倒産などは回避されています。

そして株式市場を通じての中央銀行による資金供給です。日本においては、4~6月期の実質GDPは前期比年率27.8%と戦後最大の落ち込みであったにもかかわらず、日経平均価格は新型コロナウイルス到来前とさほど変わりありません。他の先進国も多少の差はあれど大きくは変わらず、経済状況と株式市場はほとんど完全にデカップリングしています。

こういったことを背景に、現在の金融市場は常に新型コロナウイルスの第二派などのリスク要因を気にしながらも買い続けて、結果としてジリジリと値を上げています。恐らく市場参加者の心理としては、新型コロナウイルスの第二派がきてもどうせ政府が金融緩和で株高を維持するだろうという期待があるのでしょう。そして、実際に世界中の国が金融緩和を行っている以上、その可能性は極めて高いだろうと筆者も個人的に思います。

そのように考えると、現在の金融相場の出口がどこにあるかと問うならば、それは新型コロナウイルス第二波などではなくむしろコロナが収まる頃ではないかとも言えます。新型コロナウイルスが収まり、中央銀行が過度に市場を下支えする必要性がなくなり、金融緩和の出口を探し始める時期のほうが株式市場の悪化の可能性があるかもしれません。現在の官製相場はその名の通り官の支えがなければ正当化しづらい株高が常態化しており、中央銀行が出口を探し始めていると市場が感じれば、投資家は利益確定に急ぐでしょう。

永遠に続くバブルも相場テーマもない

現在の金融市場がバブルかどうかの判断は人によるところでしょう。しかしながら、バブルであってもなくとも、金融相場に永遠に続く相場テーマはありません。この点では現在の相場テーマは「金融緩和」です。

「中央銀行がどうせお金を刷るだろう」という考えのもと、多くの市場参加者がリスクエクスポージャーを引き上げています。つまりは、賢い市場参加者から順番に「中央銀行がそろそろお金を刷るのやめるかもな?」と警戒を強めたら、上値が重くなります。

そしてその警戒感が最も賢い市場参加者から、次に賢い投資家に広まる頃に市場は下落を始めるというシナリオはあり得るでしょう。こういったシナリオが現実になる場合、金融緩和をテーマに買われていたビットコインからも資金の逆流はあり得るはずです。

このようにバブルに乗る場合は、さまざまなシナリオを考えることが大切です。バブルで利益を得ながらも、リスクを考慮して出口はどこかを意識することが重要です。

【こんな記事も読まれています】
インフレのヘッジとして買われるビットコインとゴールド、リスクシナリオは?
ビットコイン(BTC)はリスク資産との汚名返上か?
デジタルゴールドとも呼ばれるビットコイン(BTC)が金より優れている3つのポイント


HashHub Researchでは、ブロックチェーン業界の動向解説から、更に深いビジネス分析、技術解説、その他多くの考察やレポート配信を月に25本以上の頻度で行なっています。コミュニティでは議論も行えるようにしており、ブロックチェーン領域に積極的な大企業・スタートアップ、個人の多くに利用頂いています。
▼HashHub Research
https://hashhub-research.com/

参照元:CoinChoice

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です