■株と為替の乖離が続いているが、今後どうなる? 株と為替の「乖離」が続いている。NYダウやS&P500、日経平均が高値更新し続けているが、米ドル全体(ドルインデックス)にしても、米ドル/円にしても伸びきれず、勢いに欠ける。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
日経平均 日足
(出所:Bloomberg)
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
(※以上のチャート画像は11月9日(木)14時前後にキャプチャしています)
もっとも、米国株と米ドルの関連性はそもそも高くないので、米株高が米ドル高に連動という発想はない。
対照的に、日本株高と円安は連動する傾向が強く、足元の日経平均の強さからすると、米ドル/円の「出遅れ」が一段と目立つと感じる。
そのわけに関しては、前回のコラムで詳説したので、ここでは重複して説明しないが、強調しておきたいのは、株高がホンモノなら、米ドル/円は早晩高値トライし、パフォーマンス上の「乖離」を縮小していく見通しということだ。これはもはや時間の問題だと思う。
【参考記事】
●日経平均2倍以上なのに円安は少しだけ。2002~2007年の市況からヒントが得られる?(2017年11月6日、陳満咲杜)
言い換えれば、株式市場が崩れない限り、米ドル/円もブル(上昇)基調を保ち、あとはスピードの問題。米ドル/円の上昇モメンタムが強くないからといって、円高トレンドに戻るのでは…といった見方は少なくとも目先杞憂である。
ゆえに、米ドル/円に関しては、引き続きロング目線で臨むのが適切であろう。
■米ドル/円が出遅れた理由とは? 米ドル/円の「出遅れ」は、テクニカル要素からみると115円の心理的大台乗せにいったん失敗しているところが大きいが、円のショートポジションが積み上げられ、米ドル/円が上昇するたびに利益確定の売りが出やすい、という側面も大きいだろう。
ファンダメンタルズにおいては、やはり、米税制改革の進捗や米長期金利の水準に影響される。こちらは米ドル/円のみでなく、米ドル全体の頭を押さえ込む要素としてフォローしていく必要がある。
米減税案の中身に関する米与野党の攻防が続いているが、ゴールドマンサックスの予想では来年(2018年)春に成立する確率は65%ほどある。米長期金利(10年国債利回り)は先々週(10月23日~)いったん2.477%まで上昇してからやや反落してきたものの、5月、7月高値のブレイクを果たしただけに、これからも切り返していくと思われる。
したがって、米ドル/円がいったん5月、7月高値を更新したものの、再度反落してきたのは、米長期金利と連動している側面があり、また、米減税案審議のゴタゴタに影響されたことが大きいからと言える。
さらに、トランプ米大統領訪日に伴い、米サイドの円安牽制や北朝鮮挑発の懸念が浮上してきたことも、米ドル/円の頭を押さえ込んでいると言える。
この意味では、米ドル/円が11月6日(月)にいったん5月、7月高値を更新したものの、その後、続かず、軟調な推移に留まっているのも仕方がない。
とはいえ、112円台前半~113円節目前後の…