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米6月FOMCレビュー
昨夜の米FOMCは、利上げは想定どおりとはいえ、B/S縮小計画の開示と年内開始宣言を盛り込んだ点がややサプライズ。経済見通しや金利見通しについても目立った下方修正はなく「概ね3月見通しを維持」、さらにはイエレン議長のインフレ鈍化は「ノイズ」発言もあり、市場の目には総じて「ややタカ派的」と映った模様。今回のFOMCの主なポイントは以下のとおり。
1)政策金利であるFF金利誘導目標レンジを0.75%-1.00%から1.00-1.25%に引き上げ・Fed Wacthによると96.8%織り込み済みであった 2)声明で楽観姿勢を維持・「5月FOMC以降に入手した情報は、労働市場が引き締まり続け、経済活動が今年ここまで緩やかに拡大していることを示している」「金融政策の運営姿勢の緩やかな調整により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増すと引き続き予測している」 3)4.5兆ドルに膨らんだB/S(バランスシート)の正常化計画を正式にアナウンス・年内に月100億ドル規模で圧縮を開始、その後3ヵ月ごとに100億ドルずつ上積みし、圧縮額を月500億ドル規模へ
4)経済見通しは大きく変えず・17年見通しで、GDPと失業率を上方修正一方、インフレ率を下方修正、その他は失業率見通しを全期間で上方修正したくらいで概ね3月予想を維持 5)金利見通しもほぼ3月を踏襲・年末時点の予想中央値を1.375%に(1.25-1.50%)据え置いて年内あと1回の追加利上げシナリオ維持 6)イエレン議長「インフレ指標はノイズが付き物」・質疑応答で「一部のインフレ指標に過剰反応しないことが重要であり、指標はノイズ伴う可能性」と述べて、足元のCPIの鈍化などを重視しない考えを示した 米5月消費者物価指数と米5月小売売上高の弱い結果を受けて108.787円まで売られていたドル円は、FOMC後に109.862円まで反発。2.10%近傍まで低下した10年債利回りも2.15%程度まで戻したが、いずれも指標前の水準(110.30円前後、2.22%前後)を回復する事はできなかった。FOMCが年内あと一回の利上げとB/S縮小の方針を示したとはいえ、その「実際の道筋は経済データ次第」としているためだろう。市場は、FOMCの見通しとそれに沿った金融正常化スタンスを懐疑的に見ている事になる。FOMCが市場の信頼を取り戻せるかどうかも「経済データ次第」という事になるのだろう。
1)政策金利であるFF金利誘導目標レンジを0.75%-1.00%から1.00-1.25%に引き上げ・Fed Wacthによると96.8%織り込み済みであった 2)声明で楽観姿勢を維持・「5月FOMC以降に入手した情報は、労働市場が引き締まり続け、経済活動が今年ここまで緩やかに拡大していることを示している」「金融政策の運営姿勢の緩やかな調整により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増すと引き続き予測している」 3)4.5兆ドルに膨らんだB/S(バランスシート)の正常化計画を正式にアナウンス・年内に月100億ドル規模で圧縮を開始、その後3ヵ月ごとに100億ドルずつ上積みし、圧縮額を月500億ドル規模へ
4)経済見通しは大きく変えず・17年見通しで、GDPと失業率を上方修正一方、インフレ率を下方修正、その他は失業率見通しを全期間で上方修正したくらいで概ね3月予想を維持 5)金利見通しもほぼ3月を踏襲・年末時点の予想中央値を1.375%に(1.25-1.50%)据え置いて年内あと1回の追加利上げシナリオ維持 6)イエレン議長「インフレ指標はノイズが付き物」・質疑応答で「一部のインフレ指標に過剰反応しないことが重要であり、指標はノイズ伴う可能性」と述べて、足元のCPIの鈍化などを重視しない考えを示した 米5月消費者物価指数と米5月小売売上高の弱い結果を受けて108.787円まで売られていたドル円は、FOMC後に109.862円まで反発。2.10%近傍まで低下した10年債利回りも2.15%程度まで戻したが、いずれも指標前の水準(110.30円前後、2.22%前後)を回復する事はできなかった。FOMCが年内あと一回の利上げとB/S縮小の方針を示したとはいえ、その「実際の道筋は経済データ次第」としているためだろう。市場は、FOMCの見通しとそれに沿った金融正常化スタンスを懐疑的に見ている事になる。FOMCが市場の信頼を取り戻せるかどうかも「経済データ次第」という事になるのだろう。
FOMCの利上げは間違いとの意見多数! 米国株調整入りなら米ドル/円も下落へ…
■予想どおり、米国株が調整入りしそう… みなさん、こんにちは。
前回のコラムで「米国経済を反映しているのは、米国株か米国債か?」ということがマーケットで話題になっていることをご紹介させていただきました。
【参考記事】
●米国株と米国債、米経済はどちらを反映? レイ・ダリオ氏の警告。米ドル急落に警戒!(6月8日、西原宏一)
そして、米国株ではなく米国債の動向が正確に米国経済を反映していると判断し、米国株は早晩調整に入るのではと結論づけたのですが、実際に米国株は調整に入りそうです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■米国株急落の背景に「FANG」銘柄アリ 6月9日(金)、米国株市場で突如、ナスダック総合指数が急落。
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
新型iPhoneの機能への懸念や、ゴールドマン・サックスのレポートが原因だとも言われていますが、最大の要因は、エヌビディア。
半導体大手のエヌビディアが6%以上も急落。
エヌビディア 日足(出所:Bloomberg)
エヌビディアは、本来、GPU(画像処理半導体)のトップメーカー。ただ昨今ではAIのキーカンパニーとされており、自動運転車用AIにおいては、突出した存在です。
加えて、エヌビディアのGPUは、ビットコインなど暗号通貨のマイニング(採掘)にも使われるため、関連銘柄として物色されたこともあります。
エヌビディア暴落の要因は、空売りファンドのシトロン・リサーチがエヌビディアの株価を割高とするレポートを発表したことがきっかけ。
これに呼応して、「FANG」が急落。
「FANG」はフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もあります。いずれも読み方は「ファング」です。
【参考記事】
●半年サイクルなら、6月のドル/円は安値に到達!? そのカギは「FANG」銘柄が握る?(6月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
米国株高を牽引してきたニューエコノミーの象徴である「FANG」が売り込まれたことにより、米国債が示唆していた米国株の調整がより現実的に。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
今週(6月12日~)の最大の注目は…
前回のコラムで「米国経済を反映しているのは、米国株か米国債か?」ということがマーケットで話題になっていることをご紹介させていただきました。
【参考記事】
●米国株と米国債、米経済はどちらを反映? レイ・ダリオ氏の警告。米ドル急落に警戒!(6月8日、西原宏一)
そして、米国株ではなく米国債の動向が正確に米国経済を反映していると判断し、米国株は早晩調整に入るのではと結論づけたのですが、実際に米国株は調整に入りそうです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■米国株急落の背景に「FANG」銘柄アリ 6月9日(金)、米国株市場で突如、ナスダック総合指数が急落。
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
新型iPhoneの機能への懸念や、ゴールドマン・サックスのレポートが原因だとも言われていますが、最大の要因は、エヌビディア。
半導体大手のエヌビディアが6%以上も急落。
エヌビディア 日足(出所:Bloomberg)
エヌビディアは、本来、GPU(画像処理半導体)のトップメーカー。ただ昨今ではAIのキーカンパニーとされており、自動運転車用AIにおいては、突出した存在です。
加えて、エヌビディアのGPUは、ビットコインなど暗号通貨のマイニング(採掘)にも使われるため、関連銘柄として物色されたこともあります。
エヌビディア暴落の要因は、空売りファンドのシトロン・リサーチがエヌビディアの株価を割高とするレポートを発表したことがきっかけ。
これに呼応して、「FANG」が急落。
「FANG」はフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もあります。いずれも読み方は「ファング」です。
【参考記事】
●半年サイクルなら、6月のドル/円は安値に到達!? そのカギは「FANG」銘柄が握る?(6月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
米国株高を牽引してきたニューエコノミーの象徴である「FANG」が売り込まれたことにより、米国債が示唆していた米国株の調整がより現実的に。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
今週(6月12日~)の最大の注目は…
FOMCの利上げは間違いとの意見多数! 米国株調整入りなら米ドル/円も下落へ…
■予想どおり、米国株が調整入りしそう… みなさん、こんにちは。
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そして、米国株ではなく米国債の動向が正確に米国経済を反映していると判断し、米国株は早晩調整に入るのではと結論づけたのですが、実際に米国株は調整に入りそうです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■米国株急落の背景に「FANG」銘柄アリ 6月9日(金)、米国株市場で突如、ナスダック総合指数が急落。
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
新型iPhoneの機能への懸念や、ゴールドマン・サックスのレポートが原因だとも言われていますが、最大の要因は、エヌビディア。
半導体大手のエヌビディアが6%以上も急落。
エヌビディア 日足(出所:Bloomberg)
エヌビディアは、本来、GPU(画像処理半導体)のトップメーカー。ただ昨今ではAIのキーカンパニーとされており、自動運転車用AIにおいては、突出した存在です。
加えて、エヌビディアのGPUは、ビットコインなど暗号通貨のマイニング(採掘)にも使われるため、関連銘柄として物色されたこともあります。
エヌビディア暴落の要因は、空売りファンドのシトロン・リサーチがエヌビディアの株価を割高とするレポートを発表したことがきっかけ。
これに呼応して、「FANG」が急落。
「FANG」はフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もあります。いずれも読み方は「ファング」です。
【参考記事】
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米国株高を牽引してきたニューエコノミーの象徴である「FANG」が売り込まれたことにより、米国債が示唆していた米国株の調整がより現実的に。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
今週(6月12日~)の最大の注目は…
前回のコラムで「米国経済を反映しているのは、米国株か米国債か?」ということがマーケットで話題になっていることをご紹介させていただきました。
【参考記事】
●米国株と米国債、米経済はどちらを反映? レイ・ダリオ氏の警告。米ドル急落に警戒!(6月8日、西原宏一)
そして、米国株ではなく米国債の動向が正確に米国経済を反映していると判断し、米国株は早晩調整に入るのではと結論づけたのですが、実際に米国株は調整に入りそうです。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
■米国株急落の背景に「FANG」銘柄アリ 6月9日(金)、米国株市場で突如、ナスダック総合指数が急落。
ナスダック総合指数 日足(出所:Bloomberg)
新型iPhoneの機能への懸念や、ゴールドマン・サックスのレポートが原因だとも言われていますが、最大の要因は、エヌビディア。
半導体大手のエヌビディアが6%以上も急落。
エヌビディア 日足(出所:Bloomberg)
エヌビディアは、本来、GPU(画像処理半導体)のトップメーカー。ただ昨今ではAIのキーカンパニーとされており、自動運転車用AIにおいては、突出した存在です。
加えて、エヌビディアのGPUは、ビットコインなど暗号通貨のマイニング(採掘)にも使われるため、関連銘柄として物色されたこともあります。
エヌビディア暴落の要因は、空売りファンドのシトロン・リサーチがエヌビディアの株価を割高とするレポートを発表したことがきっかけ。
これに呼応して、「FANG」が急落。
「FANG」はフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もあります。いずれも読み方は「ファング」です。
【参考記事】
●半年サイクルなら、6月のドル/円は安値に到達!? そのカギは「FANG」銘柄が握る?(6月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
米国株高を牽引してきたニューエコノミーの象徴である「FANG」が売り込まれたことにより、米国債が示唆していた米国株の調整がより現実的に。
NYダウ 日足(出所:Bloomberg)
今週(6月12日~)の最大の注目は…
タカ派印象のFOMCなのに…ドル高ならず! 金利頼みの米ドル/円は、動きにくくなるか
■市場参加者の意表をついた米経済指標 6月8日(木)の3大イベントが終わり、今週(6月12日~)は米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)に注目が集まっていました。
【参考記事】
●6月8日、英欧米の重大イベントの行方は? ECB慎重姿勢でユーロ上昇の可能性低いか(6月8日、今井雅人)
しかし、その前に市場を驚かすような結果が発表されました。
14日(水)に発表された、5月の米消費者物価指数が、前月比でマイナス0.1%になってしまいました。食料品とエネルギーを除く数字のコア指数も前月比+0.1%と、予想値の+0.2%を下回る結果となりました。
米消費者物価指数・コアの推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
また、同時に発表された5月の米小売売上高は前月比マイナス0.3%と、事前予想値を大きく下回りました。
米小売売上高の推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
こうした弱い経済指標を受け、米国の長期金利が急低下し、10年物国債の利回りは2.1%前半と、今年(2017年)に入って、もっとも低い水準まで低下しました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル全面安となり、米/ドル円も一時、108円台まで米ドル安・円高が進行しました。
米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
FOMCの結果をじっと待っていた市場関係者は完全に意表をつかれ、一気に相場が崩れてしまいました。
■FOMC、本当だったら米ドル高イベントだったのに… その後、数時間して、FOMCの結果が発表されました。
予想どおり、政策金利を0.25%引き上げ、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、1.00%~1.25%としました。
それと同時に「政策正常化の原則と計画」、つまり、バランスシートの縮小プランを発表しました。
また、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は定例記者会見で、消費者物価指数がマイナスになったことに対して、一時的なものであるとの見解を示し、全体的にはタカ派のイメージが残る結果となりました。
【参考記事】
●インフレ鈍化でFOMCは先行きに慎重か。利上げに向け、ドル/円上昇なら売りを狙う(6月13日、バカラ村)
●過去2回の米利上げ後は米ドル安に…。でも今回は違うとみる! それはなぜか?(6月9日、陳満咲杜)
本来であれば、こうした結果を受けて、米ドルが上昇するはずでしたが、やはりその前の経済指標のショックが大きすぎて、市場はうまく回復せず、米長期金利も低迷したままで終わってしまいました。
米ドル/円 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
米長期金利(米10年債利回り) 15分足(出所:Bloomberg)
私自身も、FOMCをきっかけに米ドル高になると予想していただけに、この経済指標の結果にはかなり落胆しました。おそらく、多くの市場関係者が同じ思いでいるのではないでしょうか。
さて、こうした状況を受けて、市場はますます混沌と…
【参考記事】
●6月8日、英欧米の重大イベントの行方は? ECB慎重姿勢でユーロ上昇の可能性低いか(6月8日、今井雅人)
しかし、その前に市場を驚かすような結果が発表されました。
14日(水)に発表された、5月の米消費者物価指数が、前月比でマイナス0.1%になってしまいました。食料品とエネルギーを除く数字のコア指数も前月比+0.1%と、予想値の+0.2%を下回る結果となりました。
米消費者物価指数・コアの推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
また、同時に発表された5月の米小売売上高は前月比マイナス0.3%と、事前予想値を大きく下回りました。
米小売売上高の推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
こうした弱い経済指標を受け、米国の長期金利が急低下し、10年物国債の利回りは2.1%前半と、今年(2017年)に入って、もっとも低い水準まで低下しました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル全面安となり、米/ドル円も一時、108円台まで米ドル安・円高が進行しました。
米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
FOMCの結果をじっと待っていた市場関係者は完全に意表をつかれ、一気に相場が崩れてしまいました。
■FOMC、本当だったら米ドル高イベントだったのに… その後、数時間して、FOMCの結果が発表されました。
予想どおり、政策金利を0.25%引き上げ、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、1.00%~1.25%としました。
それと同時に「政策正常化の原則と計画」、つまり、バランスシートの縮小プランを発表しました。
また、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は定例記者会見で、消費者物価指数がマイナスになったことに対して、一時的なものであるとの見解を示し、全体的にはタカ派のイメージが残る結果となりました。
【参考記事】
●インフレ鈍化でFOMCは先行きに慎重か。利上げに向け、ドル/円上昇なら売りを狙う(6月13日、バカラ村)
●過去2回の米利上げ後は米ドル安に…。でも今回は違うとみる! それはなぜか?(6月9日、陳満咲杜)
本来であれば、こうした結果を受けて、米ドルが上昇するはずでしたが、やはりその前の経済指標のショックが大きすぎて、市場はうまく回復せず、米長期金利も低迷したままで終わってしまいました。
米ドル/円 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
米長期金利(米10年債利回り) 15分足(出所:Bloomberg)
私自身も、FOMCをきっかけに米ドル高になると予想していただけに、この経済指標の結果にはかなり落胆しました。おそらく、多くの市場関係者が同じ思いでいるのではないでしょうか。
さて、こうした状況を受けて、市場はますます混沌と…
タカ派印象のFOMCなのに…ドル高ならず! 金利頼みの米ドル/円は、動きにくくなるか
■市場参加者の意表をついた米経済指標 6月8日(木)の3大イベントが終わり、今週(6月12日~)は米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)に注目が集まっていました。
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しかし、その前に市場を驚かすような結果が発表されました。
14日(水)に発表された、5月の米消費者物価指数が、前月比でマイナス0.1%になってしまいました。食料品とエネルギーを除く数字のコア指数も前月比+0.1%と、予想値の+0.2%を下回る結果となりました。
米消費者物価指数・コアの推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
また、同時に発表された5月の米小売売上高は前月比マイナス0.3%と、事前予想値を大きく下回りました。
米小売売上高の推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
こうした弱い経済指標を受け、米国の長期金利が急低下し、10年物国債の利回りは2.1%前半と、今年(2017年)に入って、もっとも低い水準まで低下しました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル全面安となり、米/ドル円も一時、108円台まで米ドル安・円高が進行しました。
米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
FOMCの結果をじっと待っていた市場関係者は完全に意表をつかれ、一気に相場が崩れてしまいました。
■FOMC、本当だったら米ドル高イベントだったのに… その後、数時間して、FOMCの結果が発表されました。
予想どおり、政策金利を0.25%引き上げ、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、1.00%~1.25%としました。
それと同時に「政策正常化の原則と計画」、つまり、バランスシートの縮小プランを発表しました。
また、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は定例記者会見で、消費者物価指数がマイナスになったことに対して、一時的なものであるとの見解を示し、全体的にはタカ派のイメージが残る結果となりました。
【参考記事】
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●過去2回の米利上げ後は米ドル安に…。でも今回は違うとみる! それはなぜか?(6月9日、陳満咲杜)
本来であれば、こうした結果を受けて、米ドルが上昇するはずでしたが、やはりその前の経済指標のショックが大きすぎて、市場はうまく回復せず、米長期金利も低迷したままで終わってしまいました。
米ドル/円 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
米長期金利(米10年債利回り) 15分足(出所:Bloomberg)
私自身も、FOMCをきっかけに米ドル高になると予想していただけに、この経済指標の結果にはかなり落胆しました。おそらく、多くの市場関係者が同じ思いでいるのではないでしょうか。
さて、こうした状況を受けて、市場はますます混沌と…
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しかし、その前に市場を驚かすような結果が発表されました。
14日(水)に発表された、5月の米消費者物価指数が、前月比でマイナス0.1%になってしまいました。食料品とエネルギーを除く数字のコア指数も前月比+0.1%と、予想値の+0.2%を下回る結果となりました。
米消費者物価指数・コアの推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
また、同時に発表された5月の米小売売上高は前月比マイナス0.3%と、事前予想値を大きく下回りました。
米小売売上高の推移(対前月比)(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
こうした弱い経済指標を受け、米国の長期金利が急低下し、10年物国債の利回りは2.1%前半と、今年(2017年)に入って、もっとも低い水準まで低下しました。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
それを受けて、為替市場では米ドル全面安となり、米/ドル円も一時、108円台まで米ドル安・円高が進行しました。
米ドル/円 30分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
FOMCの結果をじっと待っていた市場関係者は完全に意表をつかれ、一気に相場が崩れてしまいました。
■FOMC、本当だったら米ドル高イベントだったのに… その後、数時間して、FOMCの結果が発表されました。
予想どおり、政策金利を0.25%引き上げ、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を、1.00%~1.25%としました。
それと同時に「政策正常化の原則と計画」、つまり、バランスシートの縮小プランを発表しました。
また、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長は定例記者会見で、消費者物価指数がマイナスになったことに対して、一時的なものであるとの見解を示し、全体的にはタカ派のイメージが残る結果となりました。
【参考記事】
●インフレ鈍化でFOMCは先行きに慎重か。利上げに向け、ドル/円上昇なら売りを狙う(6月13日、バカラ村)
●過去2回の米利上げ後は米ドル安に…。でも今回は違うとみる! それはなぜか?(6月9日、陳満咲杜)
本来であれば、こうした結果を受けて、米ドルが上昇するはずでしたが、やはりその前の経済指標のショックが大きすぎて、市場はうまく回復せず、米長期金利も低迷したままで終わってしまいました。
米ドル/円 15分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 15分足)
米長期金利(米10年債利回り) 15分足(出所:Bloomberg)
私自身も、FOMCをきっかけに米ドル高になると予想していただけに、この経済指標の結果にはかなり落胆しました。おそらく、多くの市場関係者が同じ思いでいるのではないでしょうか。
さて、こうした状況を受けて、市場はますます混沌と…
今夜の注目材料は?6/15
東京市場のドル/円は、一時109.20円台まで下落しましたが、時間外取引の米長期金利が持ち直した事などから109.80円台まで反発。もっとも、110円台復帰の壁は厚く、その後は109円台半ばに押し戻されています。欧米市場に入る前に注目イベントを確認しておきましょう。 6/15(木)16:30☆ スイス中銀、政策金利発表17:30☆ 英5月小売売上高18:00 ユーロ圏4月貿易収支20:00☆ トルコ中銀、政策金利発表20:00☆ 英中銀(BOE)金融政策発表20:00☆ BOE議事録21:30 カナダ4月製造業出荷21:30☆ 米6月NY連銀製造業景気指数21:30☆ 米新規失業保険申請件数21:30☆ 米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数21:30 米5月輸入物価指数22:15☆ 米5月鉱工業生産22:15☆ 米5月設備稼働率23:00 米6月NAHB住宅市場指数29:00☆ カーニーBOE総裁、講演29:00 米4月証券投資動向----- ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク) ※☆は特に注目の材料 米FOMCは「ややタカ派的」と市場に受け止められましたが、その前に発表された米5月消費者物価指数と米5月小売売上高の弱さを打ち消す事はできませんでした。FOMCが、今後の利上げやバランスシート縮小の道筋については「経済データ次第」としているため仕方がないのかもしれません。きょうのドル/円の動きも「経済データ次第」となる可能性がありそうです。新規失業保険申請件数や5月鉱工業生産などの米経済指標に注目です。
トルコリラ/円、試される政策スタンス
トルコ中銀は本日、金融政策の発表を行います。事前予想では政策金利の現状維持がコンセンサスとなっており、市場の関心はトルコ中銀の政策スタンスに集まっています。直近のインフレ率は11.72%と中銀目標上限(5%)を大きく上回るなど、トルコ経済がインフレ体質となる中、中銀は金融引き締めスタンスを継続する公算が大きいでしょう。
ただ、トルコ政府からの利下げ圧力が根強い点は懸念材料です。トルコ中銀は、4月にエルドアン大統領の権限強化を問う国民投票実施後に金融引き締め(後期流動性貸出金利の0.50%引き上げ)を行っていることから、本日の会合で利下げに動く可能性は小さいと見ます。とはいえ、大統領への配慮から金融緩和に少しでも前向きな姿勢を示すようならば、中銀の独立性が懸念されてトルコリラ売りが優勢となる事もありえます。
ただ、トルコ政府からの利下げ圧力が根強い点は懸念材料です。トルコ中銀は、4月にエルドアン大統領の権限強化を問う国民投票実施後に金融引き締め(後期流動性貸出金利の0.50%引き上げ)を行っていることから、本日の会合で利下げに動く可能性は小さいと見ます。とはいえ、大統領への配慮から金融緩和に少しでも前向きな姿勢を示すようならば、中銀の独立性が懸念されてトルコリラ売りが優勢となる事もありえます。
今日のテクニカル見通し:トルコリラ/円
トルコリラ/円は、4月後半に窓を開けて上昇すると、13週線や26週線を突破。足元でゴールデンクロス目前となっています。もしクロスするようならば、2015年前半に下抜けてから一度も回復していない52週線突破を試す機運が高まりそうです。
(上記トルコリラ/円週足の外貨ネクストネオのチャートは6/15の11:36現在)
(上記トルコリラ/円日足の外貨ネクストネオのチャートは6/15の11:35現在)
○上値目処について
まずは、31.50円レベルを突破できるか注目です。この水準にはボリンジャーバンド+2シグマ(31.512円)や6/2高値(31.596円)があり、抵抗が予想されます。もし超えられれば、32円ちょうどが次のポイントです。同水準が5月の上伸局面で抵抗となった(5/16高値31.997円)ほか、すぐ下に200日線(31.871円)もあり、こちらも上値を抑えそうです。もし32円台に載せられるのならば、冒頭で触れた52週線(32.452円)が意識されると見ます。
○下値目処について
週足の一目均衡表の基準線(31.267円)のほか、75日線(30.838円)もあり、下値は堅そうとの印象です。チャート上の窓(4/21高値30.023円-4/24安値30.267円)が下値支持ゾーンとなっている事もあり、下押し局面入りに持ち込むためには、窓を埋める動きが欲しいところです。もし埋めるようならば、4/14に付けた過去最安値(28.853円)に向けて再び下押す事も考えられます。
○上値目処
31.511円(月足の一目均衡表の転換線)
31.512円(ボリンジャーバンド+2シグマ)
31.596円(6/2高値)
31.664円(2/23高値)
31.871円(200日線)
31.997円(5/16高値)
32.452円(52週線)
33.028円(週足の一目均衡表の雲下限)
33.894円(16年12/8高値)
34.475円(4/14安値28.853円-2/23高値31.664円の下げ幅倍返し)
○下値目処
31.267円(週足の一目均衡表の基準線)
31.251円(6日線)
31.232円(20日線)
31.147円(日足の一目均衡表の転換線)
31.101円(日足の一目均衡表の基準線)
31.005円(26週線)
30.952円(ボリンジャーバンド-2シグマ)
30.946円(日足の一目均衡表の雲の上限)
30.863円(13週線)
30.838円(75日線)
30.607円(週足の一目均衡表の転換線)
30.375円(日足の一目均衡表の雲の下限)
30.199円(3/27安値)
(上記トルコリラ/円週足の外貨ネクストネオのチャートは6/15の11:36現在)
(上記トルコリラ/円日足の外貨ネクストネオのチャートは6/15の11:35現在)
○上値目処について
まずは、31.50円レベルを突破できるか注目です。この水準にはボリンジャーバンド+2シグマ(31.512円)や6/2高値(31.596円)があり、抵抗が予想されます。もし超えられれば、32円ちょうどが次のポイントです。同水準が5月の上伸局面で抵抗となった(5/16高値31.997円)ほか、すぐ下に200日線(31.871円)もあり、こちらも上値を抑えそうです。もし32円台に載せられるのならば、冒頭で触れた52週線(32.452円)が意識されると見ます。
○下値目処について
週足の一目均衡表の基準線(31.267円)のほか、75日線(30.838円)もあり、下値は堅そうとの印象です。チャート上の窓(4/21高値30.023円-4/24安値30.267円)が下値支持ゾーンとなっている事もあり、下押し局面入りに持ち込むためには、窓を埋める動きが欲しいところです。もし埋めるようならば、4/14に付けた過去最安値(28.853円)に向けて再び下押す事も考えられます。
○上値目処
31.511円(月足の一目均衡表の転換線)
31.512円(ボリンジャーバンド+2シグマ)
31.596円(6/2高値)
31.664円(2/23高値)
31.871円(200日線)
31.997円(5/16高値)
32.452円(52週線)
33.028円(週足の一目均衡表の雲下限)
33.894円(16年12/8高値)
34.475円(4/14安値28.853円-2/23高値31.664円の下げ幅倍返し)
○下値目処
31.267円(週足の一目均衡表の基準線)
31.251円(6日線)
31.232円(20日線)
31.147円(日足の一目均衡表の転換線)
31.101円(日足の一目均衡表の基準線)
31.005円(26週線)
30.952円(ボリンジャーバンド-2シグマ)
30.946円(日足の一目均衡表の雲の上限)
30.863円(13週線)
30.838円(75日線)
30.607円(週足の一目均衡表の転換線)
30.375円(日足の一目均衡表の雲の下限)
30.199円(3/27安値)