ドル高にならないのは長期金利が原因! 利上げでも米国債が買われる理由は?
2017-06-22
米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
しかし、その後の状況があまり良くありません。私も、米ドルのロングポジション保有をいったん全部やめて、様子を見ることにしました。
【参考記事】
●タカ派印象のFOMCなのに…ドル高ならず! 金利頼みの米ドル/円は、動きにくくなるか(6月15日、今井雅人)
その1番の理由は米国の長期金利です。本日、6月22日(木)現在、米国の10年物国債の利回りは2.15%程度で推移しています。
今年(2017年)に入ってからの、米国の10年物国債の利回りの推移を見てみると、2.45%近辺で始まり、3月中旬にはいったん2.6%を超える水準まで上昇しました。
しかし、そこをピークに長期金利は低下傾向に入りました。5月の頭には、いったん2.4%程度まで回復する局面もありました。しかし、その後はだらだらと、ほぼ一方的に下がり続け、現在は年初来の最低水準にまで低下してきています。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
今年(2017年)は3月と6月に政策金利を2度上げたため、短期金利は上昇傾向になるにもかかわらず、長期金利は低下していくという、非常に不思議な構図になっています。
■雇用環境が改善しても上がらない物価 では、ここまで長期金利が上昇していかないのは、なぜなのでしょうか? 私は、2つのことが原因になっていると思っています。
まず1点目は、米国の物価が思ったように上昇していかないことです。
※米労働省のデータをもとにザイFX!編集部が作成
米国の雇用環境はリーマンショック以来、改善し続けてきて、直近の失業率は4.3%まで低下してきています。
この水準はかつて、超低金利政策が行われる以前の、米国が健全な経済環境にあったときの水準です。
その当時は、政策金利も4~5%程度はあった時代です。通常、雇用環境が改善してくれば賃金に上昇圧力がかかり、物価も上昇傾向に入るのが一般的です。
しかし、現在の米国は、どうもそういう傾向になっていきません。理由ははっきりしないのですが、それが現実です。
2点目は、世界中でだぶついている資金が、米国の…