米財務省:仮想通貨の税金関連で新ルール提案「ウォレット・DEXのKYC必須化」を懸念する声も

「暗号資産の販売・交換に関する新規則案」を発表

米財務省と内国歳入庁(IRS)は2023年8月25日に、仮想通貨の脱税などに対処することを目的とした「暗号資産の販売・交換に関する新しい規則案」を発表しました。

この規則案は、仮想通貨ブローカーが従来の金融商品ブローカーと同じように報告を行うようにするものとなっており、仮想通貨取引を行う納税者の損益計算や確定申告の手間を省きつつ、仮想通貨関連の脱税リスクに対処できると期待されています。

仮想通貨取引の損益計算は複雑で、損益計算や確定申告をサポートするサービスも高額なものが多いのが現状となっていますが、新しいルールを導入することによってそれらの作業を簡素化し、適切に税金を徴収することができるようになるを考えられています。

米国の税制合同委員会(JCT)は「新規則導入で正確な所得報告が実現して脱税が減ることによって、10年間で約280億ドル(約4兆円)の税収増加につながる」と見積もっているとのことです。

なお、米財務省とIRSは今回の規則案についてのコメントを2023年10月30日まで受け付けており、2023年11月7日には公聴会が予定されているとも説明されています。

「ウォレット・DEXなどのKYC必須化」を懸念する声も

今回発表された規則案に対しては反対の声が多数あがっており、「自己管理型ウォレットや分散型取引所(DEX)で本人確認手続き(KYC)が必須化される可能性がある」との懸念も出ています。

仮想通貨は「誰もが手軽にウォレットを作成して管理・取引できること」が大きな利点の一つで、ウォレット分散型取引所(DEX)は本人確認なしで簡単に利用できる点が魅力の1つとなっています。

しかし、今回の税制案が採用されると「MetaMask」や「Uniswap」などを含む様々なサービスでKYCが必須化される可能性があるとのことで、仮想通貨業界全体に深刻な影響がもたらされる可能性があると懸念されています。

新しい税制案を要約すると、次のようになります。

MetaMaskはブローカーであり、スワップ機能を削除しない限り全ユーザーが本人確認して報告する必要がある。

Uniswapはブローカーであり、UIを新しいKYCバージョンに更新する必要がある。

マルチシグを持つものは全てブローカーであり、KYCを追加する必要がある。

KYC関連の噂に便乗した詐欺には要注意

なお、今回の提案は現時点で意見募集段階であり、メタマスクなどのサービスでも今のところ本人確認手続き(KYC)は必須化されていません。

メタマスクは記事執筆時点で、2022年3月に投稿された「KYC規制準拠のためといって、ウォレット認証を求めるフィッシング詐欺に注意するように」という内容の投稿をXで固定しているため、KYC関連の噂に便乗したフィッシング詐欺には十分注意する必要があります。

「KYC規制やその他の認証義務に準拠するためとして、ユーザーにウォレットを”認証”するように求めるEメールのフィッシング詐欺が行われている」という報告を受け取り続けています。これらのメールは詐欺です!MetaMaskのウォレットは、ユーザーのEメールアドレスに関連付けられていません!

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米財務省発表

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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