市場に影響与えそうな2つの懸念事項とは? 米ドル/円は110~113円程度のレンジ相場に
2018-09-06
1つ目は、トランプ米大統領の通商交渉です。現在、トランプ米大統領が各国、地域に対して、関税等について厳しい要求を突きつけているのは、周知のとおりです。その状況を、簡単におさらいしてみます。
日本に対しては、2国間での貿易協議が開始されましたが、今のところ、具体的なものは何も出てきていません。今後の動向に注視しておく必要があります。
金融市場に大きな影響を与えそうな懸念事項の1つが、トランプ大統領の通商交渉。8月には日米通商協議が開催されたが、今のところ、具体的なものは何も出てきていない。写真は2018年4月の日米首脳会談時のもの (C)Joe Raedle/Getty Images
■米国とカナダの溝は埋まらない状況… 次に、対EU(欧州連合)です。こちらは、自動車を除く工業製品の関税撤廃、米国産大豆、LNG(液化天然ガス)の対EU輸出に関して、交渉を開始することになりました。
自動車を除いたと言う点がポイントで、とりあえず、深刻な対立は避けることができそうな状況となっています。
次に、NAFTA(北米自由貿易協定)。米国は、メキシコとは合意にたどり着いたものの、カナダとは依然として、溝が埋まらないままです。米国としては、今月(9月)中に片をつけたいと考えているようですが、カナダ側は慎重な姿勢を崩していません。
昨日(9月5日)から再協議が再開されていますが、今後、交渉が難航すれば、金融市場にも影響が出てくる可能性があります。
■対中国で2000億ドル相当の追加関税発動が間近に!? そして、もっとも注目されるのは、対中国です。
これまで、2度にわたって中国に対して関税措置を講じてきましたが、トランプ大統領は3度目の措置を講じようとしていると報じられています。
今回は、2000億ドル相当の中国製品に対する関税措置を、9月6日(木)中にも発表するのでないかと言われています。さらなる措置が講じられると、益々、貿易戦争に突入する可能性が出てくるので、その動向からは目が離せません。
【参考記事】
●米国の対中関税第3弾が今週にも発動!? 米ドル安に誘導したいトランプはどう動く?(9月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米中間選挙前の米ドル/円は下がりやすい! 2000億ドルの対中関税は米国にも悪影響!?(9月4日、バカラ村)
トランプ大統領は早ければ9月6日(木)中にも中国に対して2000億ドル規模の追加関税発動を発表するのではと言われている。そうなると、益々、貿易戦争に突入していくことになりそう… (C)Bloomberg/Getty Images
ただし、3度目ということで、これまでの2回よりは、金融市場は冷静に対応するでしょう。
■アルゼンチンは政策金利60%でも通貨安が止まらない 2つ目の懸念事項は、新興国での通貨下落です。
米国の利上げによって新興国から資金が流出し、新興国通貨が下落する(米ドル高)という展開が続いていますが、ここにきて、その流れがさらに鮮明になってきています。
アルゼンチンは、アルゼンチンペソの急落を止めるために、8月30日(木)に政策金利を45%から60%に引き上げました。
※アルゼンチン中央銀行のデータを基にザイFX!が作成
しかし、アルゼンチンペソの下落は、歯止めがかからない状況にあります。
米ドル/アルゼンチンペソ 日足(出所:Bloomberg)
トルコは、エルドアン大統領が中央銀行に利上げをさせないように…