「蚊帳の外」状態の米ドル/円、当面は 122円台前半-118円台前半で推移か ブログ

「蚊帳の外」状態の米ドル/円、当面は 122円台前半-118円台前半で推移か

■米ドル/円は2014年年初から8月末までボックス相場を形成 今回は、米ドル/円の分析を行なう。まず、日足チャートをご覧いただきたい。

 相場を振り返ってみると、2013年の年末(2013年12月27日)に、米ドル/円は105円台に上昇した。  

米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、2013年年末は、105.00円近辺を中心とした高値保ち合いで引けたのだが、昨年(2014年)の年初の相場では、調整下落している。

 昨年(2014年)の年初の相場では、新興国通貨が下落し、それを引鉄(ひきがね)に、避難通貨としての「円買い」が起こった。

 米ドル/円は、105円台から100円台にまで下落したが、100円台は底堅く推移した。

 その結果として、米ドル/円は、「赤の破線」で表示した「下値100円台ミドル-上値105円台ミドルの約5円幅のボックス相場」を形成した、と考える。 

米ドル/円 日足(クリックで拡大) (出所:米国FXCM)

■ボックス相場の上限とウェッジを抜け上昇 米ドル/円の下値である100円台が非常に底堅かったので、明確な「売りシグナル」は、ボックス相場「赤の破線」の下限(100.80円近辺)を、明確に、割り込む場合、と考えた。

 つまり、「米ドル売り・円買い」でついて行くとしたら、そのポイントは、ボックス相場「赤の破線」を下に抜ける場合だ、と考えたわけだ。

 日足チャートを見てのとおりに、結局のところ、米ドル/円は、ボックス相場「赤の破線」の下限(100.80円)を割り込まなかった、と考える。  

米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大) (出所:米国FXCM)

 レジスタンス・ライン「ピンクの破線」と、ボックス相場「赤の破線」の下限(100.80円近辺)の水平線で、「三角保ち合い(ウェッジ)」を形成した、と考える。

 「三角保ち合い」の上限であるレジスタンス・ライン「ピンクの破線」を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。

■ボックス相場の上値ターゲットを達成し、調整局面へ そして、米ドル/円は、ボックス相場「赤の破線」の上限(105円台ミドル)を上に抜けて、さらに「買いシグナル」を発した、と考える。米ドル/円は、105円台で発せられた「買いシグナル」に従い、110円台に急上昇した。

 「下値100円台ミドル-上値105円台ミドルの約5円幅のボックス相場」(赤の破線)を基準に、ボックス相場のセオリーで考えると、その上値のターゲットは110円台ミドル程度になる。 

米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大) (出所:米国FXCM)

 105円台から110円台に乗せたことで、ターゲットを達成した、と考える。

 そして、米ドル/円は、110円台から105円台にまで急落し、その後、反転した。

 そして、日足チャートに表示したように、「紫の破線」で示したボックス相場を形成していた、と考える。

 つまり、105円台から110円台程度で保ち合いが続けば、「時間的な調整」の可能性がある、と考えたわけだ。

■2014年10月31日の日銀の追加緩和で急上昇 こういった状況だったが、2014年10月31日(金)に発表された予想外の「日銀の追加緩和策」を材料に、ボックス相場「紫の破線」の上限(110円台前半)を上に抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。 

米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大) (出所:米国FXCM)

 この「買いシグナル」で、「調整局面」の終了が確認された、と考える。

 105円台から110円台程度での保ち合いが短時間で終わったので、「時間的な調整」ではなく、「値幅での調整」である可能性が高くなった。

 セオリーでは、ボックス相場を上抜けする場合、ボックス相場の上限から、そのボックスの値幅分上昇したところがターゲットになる。

 このボックス相場「紫の破線」の値幅は約5円だから、115円台前半程度がターゲットになる。

 日足チャートを見てのとおりに、早々にターゲットを達成した、と考える。

 米ドル/円が急騰した際には、「窓(Gap)」を空けて上昇している。この「窓(Gap)」は、「買いシグナル」だ。112.50円近辺のこの「窓(Gap)」は、「窓埋め」をしていないが、今後のチャート・ポイントになると考える。

 115円台前半程度のターゲット達成後も、米ドル/円は急上昇を続けて、今のところ、121円台後半の高値をつけている(この時点での高値は、121.80-85円水準)。

 121円台後半の高値をつけてからは、上昇のスピードが激しかったので、その調整局面に入った、と考える。

 121円台後半から115円台に急落し、そして、115円台からは120円台に急上昇している。

 米ドル/円は、「緑の破線」で表示した約6円幅のボックス相場を…
浜田氏の購買力平価論は本当に正しいか? ドル/円の流れ、見極めポイントは118.70円 ブログ

浜田氏の購買力平価論は本当に正しいか? ドル/円の流れ、見極めポイントは118.70円

■ドルインデックスはスピード調整しやすい構造にあった 先週(4月6日~)の米ドル高から一転、今週(4月13日~)は米ドル安基調になった。ドルインデックスは4月13日(月)に100の節目にいったんトライして失敗。これが足元の反落につながったようにみえる。 

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 もっとも、先週(4月6日~)、米ドルは一本調子に上昇、4月13日(月)の陽線を加えると日足では「6連陽」を形成し、スピード調整しやすい構造にあったと言える。

 それを証左するように、今週(4月13日~)に入ってから米経済指標が総じて市場予想を下回ったことで、早期利上げ観測の一段後退がもたらされ、米ドルの調整幅を拡大させた側面が大きい。ちなみに、昨日(4月16日)のドルインデックスの下落幅は、4月以降最大だった。

■本日のドルインデックスが陽線引けか否かに注目 この意味では、今晩(4月17日)の米インフレ関連指標が一層注目されるだろう。利上げ時期に関する思惑が米ドルの高安を左右しているだけに、インフレ見通しが重要な手掛かりとなる。

 テクニカルの視点では、ドルインデックスが4月14日(火)から「3連陰」を形成しているのが4月1日(水)~3日(金)のパターンと似ており、本日(4月17日)、陽線引けするか否かが、来週(4月20日~)、米ドル高トレンドへ復帰できるかどうかを示唆してくれるだろう。 

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 というのは、2014年5月から始まった今回の米ドル強気相場において、本格的な「3連陰」は2015年4月に入ってから初めて形成され、「4連陰」はこれまでなかったからだ。本日(4月17日)、陽線で引けた場合はスピード調整が一服し、ブル(上昇)トレンドへ復帰する公算が高まる。

 反面、本日(4月17日)も陰線引けで「4連陰」を形成するなら、調整波の進行はより長いスパンとなり、値幅もより大きくなる恐れがあるから、要注意である。

■反落しても、米ドルの優位性に何ら変わりはない ところで、軟調な米経済指標や米利上げ時期に関する思惑が米ドルの反落をもたらしたとしても、利上げ周期や経済成長の格差をみると、米ドルの優位性は変わっていないとみる。

 米ドル高のスピード調整を、そのまま米ドルロングポジションの調整と見なした場合、反落自体がむしろブルトレンドを健在化させる側面があるから、米ドル高基調の強化につながる。

 ポジション調整の視点から外貨サイドの反騰をみると、積み上げすぎたショートポジションの整理という意味合いが大きく、外貨サイドのベア(下落)トレンド自体を修正するには力不足だ。ファンメンタルズ上の思惑が存在する以上、トレンドが転換したという判断は時期尚早であろう。

 豪3月雇用統計の好調が豪ドルのショートポジションを踏み上げているが、豪州に利下げ余地がある以上、豪ドルの切り返し余地は限定されるといった見方と同じく、EU(欧州連合)のギリシャ問題、英国の選挙問題や日本の追加緩和の思惑などは、引き続きユーロや英ポンド、円の圧迫要素として効いてくる見通しだ。

豪ドル/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)

 今週(4月13日~)の外貨の反騰は、総じてベアトレンドにおけるスピード調整と見なしたほうが妥当であろう。

 円サイドでは、4月13日(月)に浜田内閣官房参与の発言で… 
「ポンド危機」を招いた張本人がギリシャは ユーロ圏をたぶん離脱すると発言! ブログ

「ポンド危機」を招いた張本人がギリシャは ユーロ圏をたぶん離脱すると発言!

■イースター休暇明けはユーロ/米ドルが急落 みなさん、こんにちは。

 前回コラムのとおり、イースターホリデー明けのマーケットでは、ユーロ/米ドルの軟調な展開が続き、わずか1週間で、約470ポイントも急落。

【参考記事】

●ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開!(4月9日、西原宏一)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)も続落し、ユーロ/円は、一時、126.09円まで急落しました。

ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

■米ドル/円は120円台では確実に当局からコメント 今週(4月13日~)に入ってからのユーロ/円下落の要因は、米ドル/円の下落が大きく影響しています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

 以前、コラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円は122円でトップアウトして調整局面入りしています。

【参考記事】

●米当局から米ドル高牽制コメント相次ぐ!米ドル/円は115円に向けて下落開始か(3月26日、西原宏一)

 今週(4月13日~)に入って、浜田内閣官房参与が円安の限界についてコメントしていることも、米ドル/円の120円台が重たくなっている要因。

【参考記事】

●浜田参与の発言もあり円安は調整局面。ドル/円よりユーロ/円の売りに妙味?(4月14日、西原宏一&松崎美子)

「円安は徐々に限界に近づいている。125円、130円になるだろうと思っている人はある程度本当かなと注意してみなくちゃいけないんでしょうね」

出所:Bloomberg

 ただ、このコメントは以下のロイターのインタビューで一部修正されています。

「米ドル/円、120円程度は許容範囲」

「125~130円は購買力平価と乖離している」

「需給ギャップ改善遅れれば追加緩和必要」

「(日銀の追加緩和について)4月末でも反対はしない」

「次回消費増税で景気落ち込み懸念なら、その前に金融緩和を全開にする必要」

「金融政策は国内需給を重視、短期的な円安は仕方ない」

出所:ロイター

 修正されたとはいえ、米ドル/円が120円台に入ると、本邦当局からのコメントが確実に入ることで、米系短期筋も米ドル/円での米ドル買いには消極的…。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 加えて、現時点(4月16日)での為替相場の… 
4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がる? しかし、その可能性は低いとみる理由は? ブログ

4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がる? しかし、その可能性は低いとみる理由は?

■山本発言や浜田発言で右往左往する相場 前回のコラムでは、当面レンジ相場は続くと予想しました。

【参考記事】

●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)

 その後の相場展開をみると、やはり、米ドル相場も、円相場も上がったり、下がったりという展開が続いています。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 リフレ派(※)の代表格である自民党の山本幸三議員が、「日銀は、追加緩和をするなら4月30日が良いタイミング」と発言したことで、市場に追加緩和への期待感が高まり、一時的に円安に振れる状況もありました。

(※編集部注:「リフレ派」とは、緩やかなインフレを継続させることで、経済の安定をはかる金融政策などを推進する人々のこと)

 しかし、逆に内閣府官房参与で安倍総理の経済政策ブレーンである浜田エール大学名誉教授が、「購買力平価で見ると、米ドル/円は105円程度が妥当であり、現在は円安に行き過ぎている」との見解を示しました。

 この発言を受けて、円高が進行する局面もありました。

 なかなか方向が定まらないので、こうした発言に右往左往してしまっているという状況になっているのだと思います。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■4月日銀追加緩和説は、なぜ盛り上がっているのか? さて、前回のコラムでもお話ししましたが、私は、4月30日(木)に、日銀が追加緩和をする可能性は非常に低いと考えています。

【参考記事】

●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)

 そもそも、4月追加緩和説が盛り上がっている理由は、2つあります。まず、1つ目を見ていきましょう。

 前回の追加緩和は、2014年の10月31日でした。この日は、半年に一度の「経済物価情勢の展望」(展望レポート)を日銀が発表する目的での金融政策決定会合でしたが、そこで物価見通しを下方修正し、それをもって追加緩和を実施するのだというストーリーを作り出しました。

【参考記事】

●金融市場に衝撃が走った3つの要因とは?ドル/円は年内に120円まで上昇の可能性(204年11月6日、今井雅人)

 次の「展望レポート」が出るのが、4月30日(木)。

 現在の消費者物価指数の推移を見ると、直近は、消費税の引き上げ分の影響を除くとゼロとなっていて、黒田日銀総裁は、短期的にはマイナスになる可能性もあることを認めています。

 そうなると、4月30日(木)の展望レポートは、また下方修正される可能性が出てきているわけです。それと同時に、また追加緩和をするという見方があるということです。

■某大手国内証券会社による予想で海外勢の思惑高まる… 2つ目は、前回のコラムもご紹介した、某大手国内証券会社の予想です。

【参考記事】

●かなり弱い数字が出た雇用統計だったのにさほど悪くないと解釈されている理由とは?(4月9日、今井雅人)

 この会社は、2014年10月の追加緩和を予想した数少ない会社であり、その会社が、「4月30日(木)に追加緩和をする可能性が高い」という予想をしたことで、海外勢を中心とした思惑が高まっています。

 しかし、最近の黒田日銀総裁の発言を聞いていると、「短期的には、物価は上昇しないかもしれないが、長期的には上昇基調になっていて、特に問題は感じていない」という発言をしています。

 また、日銀の月次金融レポートを見ても、同様の記述が見受けられます。こういう言い方をしていて、また追加緩和をするということに、私は違和感を覚えます。

 また、4月15日(水)の日経新聞には…
ユーロ/円は目先リバウンドしたものの、 引き続き118円近辺まで下落の可能性あり ブログ

ユーロ/円は目先リバウンドしたものの、 引き続き118円近辺まで下落の可能性あり

■ユーロ/円は月足で上昇・下落トレンドを繰り返している 今回はユーロ/円の分析を行なう。まずは、月足チャートからご覧いただきたい。

 ユーロ/円は、2008年に約170円(正確には、169.95円)の高値をつけてから、下落に転じた。 

ユーロ/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 そして、月足チャートで見ると、2012年3月に2008年の高値を起点としたレジスタンス・ライン「ピンクの破線(細線)」を上に抜けたのだ が、この時点では、結局、トレンド転換が起こらなかった、と判断したので、2012年4月の高値に合わせて、新たなレジスタンス・ライン「緑の破線」を表 示した。

 つまり、レジスタンス・ライン「ピンクの破線」を上に抜けた時には、ユーロ/円は、下落トレンドのままで、上昇トレンドに転換していない、と判断した。

 しかし、改めて引き直した一番右の中長期のレジスタンス・ライン「緑の破線」を明確に上に抜ける場合は、「買いシグナル」なので、要注意と考えていた。

 2012年の11月に、中長期のレジスタンス・ライン「緑の破線」を、明確に上に抜け、「買いシグナル」を発した、と考える。 

ユーロ/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 安値94.00円近辺からの上昇で、中長期のサポート・ライン「紫の破線」を表示した。

 このサポート・ライン「紫の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 詳しくは、後出の週足チャートをご覧いただきたい。

■2015年1月に下落トレンドに転換した可能性あり 昨年(2014年)の10月31日(金)に、日銀が追加の金融緩和策を発表したことを材料に、ユーロ/円が急騰した。

 それで、その時点での直前の安値(134円台前半)に合わせて、サポート・ライン「赤の破線」を表示した。

 今年(2015年)の1月中旬(1月15日木曜日)の急落で、このサポート・ライン「赤の破線」を割り込んだ。この月足チャートを見る限りでは、「売りシグナル」を発した、と考える。 

ユーロ/円 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 しかし、1月15日(木)の時点は、スイス中央銀行(SNB)が、「ユーロ買い・スイスフラン売り介入」をやめたことによる混乱で、マーケット(外国為替市場)が、特殊な値動きをした可能性がある、と考えた。

 1月15日(木)の時点では、明確な判断ができない、と考えた(時間が経過することで、判断ができるようになるだろう、と考えた)。

 時間が経過してユーロ/円を考察すると、スイス中央銀行(SNB)の介入停止による影響は考えなくても良い、と判断する。

 だから、通常どおりに(普通に、素直に)、ユーロ/円そのもので判断して良い、と考える。

 つまり、サポート・ライン「赤の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 このサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考えると、ユーロ/円はトレンド転換した可能性がある。

 つまり、ユーロ/円の94円台から150円近辺まで上昇した期間が、「上昇トレンド」であり、150円近辺がピーク(最高値)で、すでに「下落トレンド」に転換している可能性がある、ということだ。

■週足ではボックス相場を上抜けして145円台まで上昇 続いて、週足チャートをご覧いただきたい。下の週足チャートに、「94.00円-112.00円のボックス相場」(赤の破線)を表示した。 

ユーロ/円 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ユーロ/円は、この「94.00円-112.00円のボックス相場」の上限を抜けて、「買いシグナル」を発した、と考える。

 いわゆる「ダブル・ボトム」を作り、その上限(ネック・ライン)を上抜けして「買いシグナル」を発した、と言える。

 ユーロ/円の上昇は、大局で見れば、当初はサポート・ライン(1)「ピンクの破線」に従っていた、と考える。

 そしてユーロ/円は、139円台ミドルを上に抜けた時点で、2009年の高値を更新した。2009年の高値を更新したことで、「買いシグナル」を発した、と考える。

 この「買いシグナル」に従い、ユーロ/円は上昇して高値145円台をつけている。

 この高値(145円台)をつけてからの…
米雇用統計が悪かったのにドル全面高は なぜ再開?中国株はなぜバブルと言える? ブログ

米雇用統計が悪かったのにドル全面高は なぜ再開?中国株はなぜバブルと言える?

■悪い米雇用統計の影響は一時的、再び米ドル全面高へ 今週(4月6日~)に入ってから、米ドル全体は強い。リンクした値動きで、米ドル/円の強さも確認されている。

 先週末(4月3日)の米雇用統計がもたらした米ドル全体の売り圧力が一掃され、先週(4月3日)のコラムで指摘したとおり、米ドル/円が深押しを避けたことで再度高値トライの気運が高まっているとみる。

【参考記事】

●日銀追加緩和への思惑が消えない限り、米ドル/円は深押し回避、高値トライもある(2014年4月10日、陳満咲杜)

 テクニカルの視点では、ドルインデックスがすでにブル(上昇)トレンドへ復帰した公算は高い。下に掲載したチャートが示しているように、先週末(4月3日)の米雇用統計がもたらした影響は限定的だった。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 先週末(4月3日)の米雇用統計を受け、ドルインデックスは急落したが、3月末の安値を更新できなかったことで底堅さを暗示。ドルインデックスは今週(4月6日~)に入ってから一貫して上昇し、3月31日(火)高値を更新したことで逆にダブルボトムといったフォーメーションの形成可能性を示唆。ブル基調の再開につながっていると思う。

■米ドル/円、ユーロ/米ドルも元のトレンドへ復帰 米ドル/円も然り。基本的にドルインデックスとリンクした値動きだが、より強かったところをあえて指摘するならば、それは今週月曜(4月6日)の安値が先週末(4月3日)安値を下回らなかったところだと思う。

 その上、ドルインデックスに比べ、米ドル/円の方が、短期スパンにおいて「逆三尊(※)」のフォーメーションをより鮮明に描けたところも、テクニカル上、強気の解釈につながっているから、見逃せない。このあたりの詳説は、筆者のブログに書いてあるから、ここでは省く。

(※編集部注:「逆三尊」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。ヘッド&ショルダーズ・ボトムとも呼ばれる。また、「逆三尊」の逆で、天井を示す典型的な形が「三尊」(ヘッド&ショルダーズ))

米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 反面、ユーロ/米ドルは頭打ちのサインが、3月31日(火)安値の割り込みをもって点灯した模様。

 3月高値と今週4月6日(月)の高値が相俟って、トリプルトップのフォーメーションが成立しているから、ユーロはすでにベア(下落)トレンドを再開したとみるほうが無難であろう。当然のように、近々の安値更新も視野に入る。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 ところで、先週末(4月3日)の米雇用統計…
ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開! ブログ

ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開!

■イースター休暇明けの焦点は再びユーロに みなさん、こんにちは。

 先週(3月30日~)末は、欧州や米国勢がイースター休暇でした。

 特に英国勢にとっては、昨年(2014年)のクリスマス以降、初めての長い休暇がやってきたということで、2015年最初の休暇を謳歌したといったところ。

 今年(2015年)、もっとも注目を集めていたユーロ/米ドルも、イースター休暇を控えてポジション調整が進み、1.10ドル台まで反発しました。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 他の通貨ペアも調整モードに入り、方向感なく推移していました。

 そして、イースターマンデーが明けて、欧州勢や米国勢がマーケットに帰還。

 そこで、再び注目されたのがユーロ。ユーロが下落を再開した要因は、ギリシャ問題の深刻化でした。

【参考記事】

●ギリシャが5月中旬以降、ヤバい理由とは? 鉄鉱石価格暴落で豪ドルはまだまだ下がる(4月7日、西原宏一&松崎美子)

ユーロVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)

■ギリシャのユーロ圏離脱、「Grexit」の可能性高まる まず、イースター休暇前に、米大手ゴールドマン・サックスが「Grexit」(ギリシャのユーロ圏離脱)のリスクが高まっているという記事を、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿。

 そして、今週(4月6日~)に入って、ギリシャの動きが加速しました。

 4月7日(火)には、まとまらないギリシャ問題に、米国政府は、ギリシャ政府と債権者との協議が合意に至るよう、仲介役になることを示唆。

 そして、4月8日(水)には、ギリシャとロシアによる首脳会談が行われました。この会談では、ギリシャはロシアに支援要請はしなかった模様。

ギリシャ、ロシアに支援要請せず 提携強化は確約

ギリシャのチプラス首相は8日、訪問先のモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、ロシアによる提携強化に向けた確約を取り付けた。

ただ、両首脳ともにギリシャはロシアに金融支援を要請していないと言明。プーチン大統領は欧州連合(EU)の対ロシア制裁への対抗措置の一環として導入している農産品の禁輸措置について、ギリシャのみを例外として解除しない方針を示した。

出所:ロイター

 ギリシャがロシアに接近することで、欧州諸国は神経質な展開。

  そして、ギリシャの財務次官は…
かなり弱い数字が出た雇用統計だったのに さほど悪くないと解釈されている理由とは? ブログ

かなり弱い数字が出た雇用統計だったのに さほど悪くないと解釈されている理由とは?

■4月3日(金)の弱い雇用統計で米ドルは急落したが… 今週(4月6日~)は、先週末、4月3日(金)に公表された3月米雇用統計を受けて、米ドルが急落したものの、一転買い戻しの動きとなりました。

 NFP(非農業部門雇用者数)が、12.6万人と市場予想の24.5万人を大幅に下回る弱い数字となったほか、過去2カ月分の数字も大幅に下方修正されており、米ドル/円は米長期金利の急低下とともに下落。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)

米10年債利回り 1時間足(出所:CQG)

 指標発表直前には、思惑的な買いから、一時119.99円まで値を上げる場面も見られたものの、一気に118.71円まで売り込まれることになりました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 ユーロ/米ドルも、一時、1.1027ドルまで買い上げられています。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

■米雇用統計、「それほど悪い数字ではなかった」との観測も 最近、非常に重要視されている平均時給は、前月比0.3%と市場予想の0.2%を上回ったものの、それを上回る予想外の悪い数字に、ネガティブサプライズの動きとなりました。

 グッドフライデーの休日と重なったことで、欧米市場の参加者が限定されるなか、値動きもそれだけ大きくなったと言えます。

【参考記事】

●主要市場休場の中で発表される雇用統計。過去3回の同一ケースで為替はどう動いた?

 ところが、今週に入ってからは、一転して米ドルが買い戻されています。

 この要因の1つは、あまりにも弱かった米雇用統計の数字に対して、「港湾労働者のストライキや悪天候の影響が、20万人程度NFPを減少させた可能性」が指摘されたことにあります。

 また、平均時給の上昇など、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ開始時期を決定するにあたり重要視している、賃金上昇が鮮明となっていることから、一部では、「それほど悪い数字ではなかった」との観測も出てきたことは確か。

 思ったほど、米ドルが下落しなかったこともあり、さっそく、ファンド勢からの買い戻しの動きが観測されました。

 また、4月7日(火)には…
豪ドル/ドルは引き続き下落傾向とみるが、 ショートは0.76ドル台でいったん利食っても ブログ

豪ドル/ドルは引き続き下落傾向とみるが、 ショートは0.76ドル台でいったん利食っても

■月足の「高値圏での乱高下」が後々の下落を示唆 今回は豪ドル/米ドルの分析を行なう。まず、月足チャートからご覧いただきたい。

 月足チャートを見ると、豪ドル/米ドルは一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」を割り込み、その時点で「売りシグナル」を発したと考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 上のチャートでは、一番右の中長期のサポート・ライン「太い緑の破線」の傾きを緩やかにして、実際の相場に合わせ調整している。

 豪ドル/米ドルは高値圏で「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」を形成していたと考える。

 そして、ボックス相場「紫の破線」の下限を割り込み、さらなる「売りシグナル」を発したと考える。「紫の破線」で示した「下値0.9400ドル近辺-上値1.1100ドル近辺のボックス相場」は、「高値圏での乱高下」と考えることができる。

 「高値圏での乱高下」は、後々の下落を示唆するケースが多々ある。

このボックス相場「紫の破線」の下限を割り込んだことで、大きく下落する可能性を示唆していると考える。

■ボックス相場下抜け後も乱高下を続ける 豪ドル/米ドルは0.9400ドルを割り込み発せられた「売りシグナル」に従い、0.88ドル台にまで下落したが、0.88ドル台から急反発して、0.97ドル台にまでリバウンド(反転上昇)した。 

豪ドル/米ドル 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 しかし、2013年12月18日(木)のFOMCで、「テーパリング(量的緩和策の縮小)実施」が発表されたことを材料に、豪ドルは再度大きく下落し、0.86ドル台の安値をつけている。

 しかし、0.86ドル台の安値から今度は大きく急騰し、戻り高値は0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)をつけている。

 戻り高値の0.9500ドル近辺(0.9500-05ドルレベル)から、再び大きく下落している。

 豪ドル/米ドルは、「ピンクの破線」で示した「上値0.9800ドル程度-下値0.8600ドル程度」のボックス相場を形成していた、と考える。 

豪ドル/米ドル 月足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 このボックス相場「ピンクの破線」の下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 この「売りシグナル」に従い、豪ドル/米ドルは、大きく下落した。それで、一番右のレジスタンス・ライン「緑の破線」を表示した。

 月足チャートには、ボックス相場「赤の破線」とボックス相場「ピンクの破線」を表示している。これは、後で掲載する週足チャートに表示したボックス相場と同じものだ。

 0.8600ドル近辺を下に抜けたことで、ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。

 ボックス相場「ピンクの破線」下限を割り込んだ時点で、新たに安値を更新したので、「売りシグナル」を発した、と考えることもできる。

 この「売りシグナル」に従い、相場は下落して今のところ、0.75ドル台の安値をつけている。

 すでに大きく下落したが、まだ底打ちしたとは言えない、と考える。

 安値を更新する場合は、その時点で、さらなる「売りシグナル」点灯になる状況が続いている、と考える。

■週足では、ボックス相場を上抜けし、ターゲットを達成 次に、週足チャートをご覧いただきたい。

 豪ドル/米ドルは、0.6000ドル近辺から、1.1000ドル近辺に大きく上昇したが、その上昇過程では、サポート・ライン「緑の破線」に従っていたと考える。 

豪ドル/米ドル 週足(クリックで拡大)(出所:米国FXCM)

 豪ドル/米ドルは、「赤の破線」で示した「下値0.8000ドル-上値0.9400ドルのボックス相場」を上に抜けたことで、「買いシグナル」を発して上昇した。

 そして、ボックス相場のセオリーどおりに、ボックスの値幅分(1400ポイント)上昇してターゲットを達成したと考える。

 「赤の破線」で示したボックス相場を上抜けしてからは…
日銀追加緩和への思惑が消えない限り、 米ドル/円は深押し回避、高値トライもある ブログ

日銀追加緩和への思惑が消えない限り、 米ドル/円は深押し回避、高値トライもある

■足元のドルインデックスは再度反落 マーケットは横ばい状態を継続している。ドルインデックスは、先週後半(3月26日)の「反転サイン」に支えられた形で、今週火曜日(3月31日)まで切り返しを継続したものの、足元は再度反落し、週初来の上昇分をほぼ帳消しにする勢いだ。 

ドルインデックス 1時間足(出所:米国FXCM)

 一方、米ドル/円はいったん120円台前半へトライしてから反落しているものの、119円台前半のサポートを維持し、前回のコラムで指摘したように、3月26日(木)の安値打診をもって、3月高値を起点とした調整を完了させた公算が強まりつつある。

【参考記事】

●米ドル全体の調整はもう終わったのか?イエメン空爆後の今が相場の正念場!(2015年3月27日、陳満咲杜)

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 総合的に見ると、足元ではおおむね前回の見方を継承する。すなわち

「米ドル全体はなお調整の余地あり、と同時に米ドル/円は底堅さを発揮し、ユーロ/円を中心とするクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のベア(下落)トレンドは変わらないものの、スピード調整を先行させる可能性がある」

 といったシナリオだ。

【参考記事】

●米ドル全体の調整はもう終わったのか?イエメン空爆後の今が相場の正念場!(2015年3月27日、陳満咲杜)

■本日の雇用統計の市場への影響は来週以降に出るか 本日(4月3日)は米雇用統計のリリースがあり、マーケットの一波乱も想定されるが、イースター休暇のため、薄商いとも見られ、よほどのサプライズがない限り、マーケットへの影響は来週(4月6日~)以降に反映されるのではないかと思う。

 薄商いで大波乱といったシナリオも念頭におきたいが、株式、債券市場ともにお休みの中、為替市場のみ変動率を高めていくのもやや難しい話だと思う。

【参考記事】

●主要市場休場の中で発表される雇用統計。過去3回の同一ケースで為替はどう動いた?

 もっとも、4月1日(水)夜に発表された米3月ADP雇用統計とISM製造業景況指数は芳しくなかった。前者は今晩(4月3日)の米雇用統計が市場の想定を下回る可能性を示し、後者は米ドル高が米企業収益を圧迫していることを示唆。

 イエレンFRB議長が米ドル高を懸念材料として挙げていただけに、あとを追う形でそれが証左されたわけで、当面、米ドル高のスピード調整が継続しやすいと思われる。今晩(4月3日)はよほど良い数字にならない限り、たちまち米ドル全面高につながる、ということはないとみる。

■日本のファンダメンタルズの悪化はどう影響する? ところで、利上げ前夜の米サイドと違って、量的緩和途中の日本サイドでは、ファンダメンタルズの悪化はむしろ追加量的緩和観測につながるから、市場関係者にとって必ずしもマイナスの材料とは限らない。

 4月1日(水)に発表された3月日銀短観は、その典型であろう。

 市場センチメントに比べ、明らかに横ばい状況に留まった今回の日銀短観は、景気の先行きに対する企業の慎重姿勢をうかがわせるもので、3月CPI(消費者物価指数)の実質ゼロ成長と相俟って、デフレに逆戻りするリスクを示唆している。

 自民党の山本幸三議員が「4月にも追加緩和が必要」と主張したのも、こういった危機感の表れだと思う。

【参考記事】

●山本幸三議員発言があっても4月緩和の可能性は低い。ドル/円の調整に要注意!(4月2日、西原宏一)

 原油安は想定外というのを理由に、日銀総裁の黒田さんはある程度の進捗の遅れを認めているものの、なお2%のインフレターゲットを堅持し、それが達成可能だと主張している。

 しかし、異次元緩和に続き、2014年10月末の…