NFTアートは、かつてメディアを賑わせ、数十億円で取引される作品も登場するなど、大きな注目を集めました。

しかし、最近では「もうオワコンでは？」という声も多く、NFTに対する関心の温度差も広がっています。

そこで本記事では、NFTアートが「オワコン」と言われるようになった理由を整理しつつ、現在のリアルな使い道や注目プロジェクト、そして将来性について具体的に解説します。

後半ではNFTアートの今後の将来性や展望についても触れているので、これからNFTアートを始めたい方はぜひご参考にしてください。

NFTアートはオワコンなのかー結論

NFTアートは現在、一部のプロジェクトが無価値になっていることは事実です。
多くの投機的なプロジェクトが淘汰され、短期的な利益を求める人々が市場から離れたことで「オワコン」という印象を持たれがちです。

しかし実際には、NFTアートは終わったわけではありません。

むしろ現在は「次のフェーズ」に移行しており、アートの真正性証明やファンとのコミュニケーション、リアルと連動した体験の提供など、実用的な活用が進んでいます。

特に、NFTはゲームやファッション、音楽、不動産などの幅広い分野と結びつき、新しい価値を生み出しつつあります。

またメルカリや楽天、LINEなどの大手企業がNFT市場に参入しており、これによりNFTの信頼性と普及が進んでいくでしょう。

これからは単なるNFTは注目されにくくなっていますが「NFT+α」が重要視されるようになっています。

NFTは今後ますます成長が期待される市場であり、注目すべき分野であるといえます。

NFTアートがオワコンと言われる3つの理由

NFTアートが「オワコン」と言われる背景には、以下の3つの要因があります。

それぞれの理由を詳しく解説します。

取引量や価格の下落

NFTアートが「オワコン」と言われる理由のひとつは、取引量や価格の大幅な下落にあります。

以下は、2018年から2025年までのNFT売上高の推移を示したチャートです。

特に2021〜2022年は市場が過熱し、多くのNFTアートが取引されました。

当時は「将来値上がりしそうだから買う」といった投機的な動機で参入する人が多く、アートの価値そのものではなく、価格の上昇を期待した購入が目立ちました。

しかし、ピークを過ぎると取引量が減少し、NFTの価格も大幅に下落。利益確定の売却が相次ぎ、価格が崩れたことで市場は急速に冷え込みました。

注目されていたプロジェクトの売買も落ち着き、全体的な取引量が低下していきます。
こうした流れから「NFTアートは終わった」と見なされ、「オワコン」と呼ばれるようになったのです。

話題性のピークが過ぎた

NFTアートが「オワコン」と言われるもうひとつの理由は、話題性のピークを過ぎたことです。

2021年ごろには、海外セレブや国内外のインフルエンサーがNFTを購入し、大きな話題になっていました。SNSやメディアでも連日のようにNFT関連のニュースが取り上げられていた時期です。

しかし現在では、インフルエンサーやメディアの関心が他のトピックへ移り、NFTアートに関する露出は大きく減少しました。

その結果、一般層の関心も次第に薄れていき、「以前ほど話題にならない＝オワコン」という印象を持たれるようになったといえるでしょう。

詐欺・スキャム案件の増加

NFTアートの信頼性を損なう要因として、詐欺やスキャム（詐欺的なプロジェクト）の増加も大きな問題です。

ラグプル（運営が突然逃亡する詐欺）や不正アクセスなどが多発しており、ユーザーや投資家の信頼が揺らいでいます。

実際、2025年第一四半期のWeb3市場における詐欺被害額は、20億ドルを超えました。以下はその一部の事例です。

このような事例が相次いだことで、多くのユーザーが損失を被り、NFT市場全体の信頼が大きく損なわれました。「危険な市場」というイメージが定着したことも、オワコンと言われる要因のひとつです。

NFTアートを買ってどうする？5つの使い道を紹介

NFTアートには、単なるデジタルデータにとどまらない実用的な価値があります。
ここでは、代表的な5つの使い道を紹介します。

購入する目的を明確にしておくことで、NFTアートをより納得感のある形で楽しむことができます。
それぞれの使い道について詳しく見ていきましょう。

デジタルコレクションとして所有する

NFTアートの最も基本的な使い道は、コレクションとして所有することです。

NFTはブロックチェーン上で発行・管理されるため、所有履歴や真正性が保証され、ただの画像データとは異なる「本物」としての価値を持ちます。

美しさやコンセプト、作家性などを味わうために、長期的に保有する人も多く、実際の美術品のように「所有すること自体」が体験価値になっています。

さらに、物理的な保管場所が不要なため、自分だけのデジタルギャラリーを自由に構築できる点も、現代的なコレクションのあり方として注目されています。

SNSやメタバースでプロフィールや空間に飾る

NFTアートは、デジタル上での自己表現ツールとしても活用されています。
X（旧Twitter）やInstagramでは、NFTをプロフィール画像として設定することで、自分のセンスや価値観を視覚的にアピールできます。

以下は、CryptoPunksを保有する人のアカウントです。

また、メタバースでは、自分の所有するバーチャル空間にNFTアートを展示することが可能です。
好きな作品を飾ることで、センスを共有したり、共通の興味を持つ人と自然にコミュニケーションが生まれたりするなど、交流のきっかけにもなります。

このように、NFTアートは「見る」「持つ」だけでなく、「飾る」「語る」ことでコミュニティとの接点をつくるツールとしても機能します。

アーティスト支援・コミュニティ参加の証明に使う

NFTアートを購入することは、アーティストへの直接的な支援にもつながります。

従来の作品販売と違い、NFTの販売利益は、仲介業者を介さずに直接還元できるため、クリエイターの活動をよりダイレクトに応援できます。

さらに、多くのNFTプロジェクトでは、保有者限定のDiscordチャンネルやオンラインイベントが開催され、NFTがコミュニティの「会員証」としての役割を果たしています。

たとえば、CryptoNinja Partners（CNP）では、NFTを持っている人だけが参加できる限定コミュニティが存在し、ファン同士のつながりを深める場として機能しています。

中長期的な視点での投資対象とする

NFTアートは、将来的な価格上昇を期待して投資目的で保有されることもあります。

特に発行数が限られたNFTや、今後の成長が期待される新鋭アーティストの作品は、希少性やストーリー性が評価されやすく、価値が高まりやすい傾向があります。

ただし、短期的な利益を狙った売買ではなく、プロジェクトの方向性やアーティストの活動、コミュニティの継続性などを総合的に見極めることが重要です。

NFTアートは「買って終わり」ではなく、価値を共に育てていくプロセスも含めて楽しむもの。
その意味で、投資というより「伴走するアート体験」として捉えるのが現代的なスタイルです。

実物アートとの連動や特典付きNFT

近年は、NFTがリアルと連動する“ユーティリティ型”の使い道にも注目が集まっています。

たとえば、株式会社Digittleが展開する「スマホ de おみやげ」では、観光地での体験をNFT化し、取得したNFTを通じて地域のイベント情報や特典を継続的に受け取れる仕組みを提供しています。

さらに、ZoomARTでは、日本刀の所有権をNFTとしてトークン化する試みが進行中です。
RWA（Real World Asset）型NFTとして、物理資産のデジタル化・分散管理を可能にし、新たな所有体験を提供しています。

このように、NFTはデジタル上にとどまらず、現実世界との連動や特典提供を通じて、その活用範囲を広げています。

NFTアートで注目のプロジェクト・マーケットプレイス

NFTのマーケットプレイスは、それぞれ独自の特徴を持っています。

NFTアートを購入する際は、自分の目的に合ったプロジェクトやマーケットプレイスを選ぶことが重要です。

注目のプロジェクトと主要のマーケットプレイスをそれぞれ見ていきましょう。

主要マーケットプレイス

NFTアートで主要なマーケットプレイスは以下の通りです。

それぞれ特徴を見ていきましょう。

関連：NFTマーケットプレイスおすすめランキング一覧｜選び方や使い方、出品方法を紹介

OpenSea

OpenSeaは、世界最大規模のNFTマーケットプレイスであり、ユーザーはNFTの作成、購入、販売、オークションを行うことができます。​

このプラットフォームは、イーサリアムやポリゴンなど複数のブロックチェーンに対応しており、アート作品、音楽、ゲームアイテム、トレーディングカードなど多様なNFTを取り扱っています。​

2024年11月には「OS2」という名の新たなプラットフォームを発表したことで話題に。
今後も期待できるマーケットプレイスの一つです。

Magic Eden

Magic Edenは、Solanaチェーン上で始まったNFTマーケットプレイスで、現在ではビットコインやAbstract、Berachainなど複数のチェーンに対応しています。

低い取引手数料と高速な処理性能を特徴とし、NFT初心者からコレクター、クリエイターまで幅広い層に支持されています。​

また、独自のウォレット「Magic Eden Wallet」を提供しており、利便性の高さが際立っています。

メルカリNFT

メルカリNFTは、日本のフリマアプリ「メルカリ」が提供するNFTマーケットプレイスです。

日本語に対応し、日本円での取引が可能なため「NFTが難しそう」と感じている方でも安心して始められます。

通常、NFTマーケットプレイスを利用するには、ウォレットや暗号資産が必要ですが、メルカリNFTではそれらが不要。普段お使いのメルカリアカウントをそのまま利用できます。

イラスト作品やアニメ、音楽など、さまざまなジャンルのNFTが出品されており、どなたでも気軽に参加できるプラットフォームです。

注目プロジェクト

NFTアートの注目プロジェクトは以下の通りです。

一つひとつ確認しておきましょう。

Pudgy Penguins

Pudgy Penguinsは、2021年にイーサリアム上でローンチされた、8,888体のユニークなペンギンキャラクターを特徴とするNFTコレクションです。

各ペンギンは、目、口、服装、アクセサリーなどが異なり、独自のデザインを持っています。​

このプロジェクトは、コミュニティ主導のアプローチと、物理的な商品展開（ぬいぐるみやアパレルなど）によって、NFTの枠を超えたブランド化を進めています。​

また、Solanaチェーン上で独自トークン「PENGU」を導入し、エコシステムの拡大を図っています。

Crypto Punks

CryptoPunksは、2017年6月にLarva Labsによってイーサリアム上で発行された、10,000体の24×24ピクセルのユニークなキャラクターからなるNFTコレクションです。​

このプロジェクトは、NFTアートムーブメントの先駆けとして知られ、ERC-721標準のインスピレーションとなりました。​

各キャラクターは、髪型や服装、アクセサリーなどが異なり、希少性の高いものは高額で取引されています。​

現在、CryptoPunksのIPはYuga Labsによって所有されており、商業利用の権利が保有者に付与されています。

Doodles

Doodlesは、2021年10月にリリースされた、10,000体のカラフルでユニークなキャラクターを特徴とするNFTコレクションです。​

各個体は、髪型、服装、アクセサリーなどの属性が異なり、個性豊かなデザインが魅力です。​

このプロジェクトは、NFTを購入することでDAOに参加できる点が特徴で、保有者はプロジェクトの意思決定に関与したり、イベントに参加したりすることができます。​

また、Doodlesはエンターテインメント企業として、音楽イベントやアニメーション制作など、NFTを活用した多様な展開を進めています。

過去には、G-SHOCKやマクドナルドなど世界的に有名なブランドとコラボしたこともあり、今後の動向にも注目が集まるプロジェクトの一つです。

関連：【カシオチームのインタビューあり】DoodlesがG-SHOCKとコラボしオリジナルモデル発売が決定！日本での先行販売も。

NFTアートの将来性・今後の展望

NFTアートは、単なるデジタル資産を超えた文化・経済活動として発展を続けています。
今後の成長のカギを握るのは、以下の4つの動きです。

それぞれの展望を知っておくことで、将来的に価値を伸ばすNFTプロジェクトを見極めやすくなるでしょう。

DAOやコミュニティ活用の拡大

NFTアートの今後を語る上で欠かせないのが、DAOやコミュニティ主導型プロジェクトの拡大です。

NFTの所有は、単なるコレクションではなく、「プロジェクトの一員になる」ことを意味する時代に移行しつつあります。
たとえば、上述したCryptoNinja Partners（CNP）では、保有者が次回コレクションの方向性を投票で決めたり、イベントを企画したりと、ユーザー参加型の運営が進んでいます。

今後は「アートを買う＝運営に関与する」ことが一般化し、NFTアートはファンとアーティストの共同体験の場へと進化していく可能性があるのです。

リアルイベントやフィジカルアートとの融合

NFTアートは今後、リアル空間と結びつくことで、新たなアート体験へと進化していきます。

たとえば、NFT作品が実際のギャラリーで展示され、来場者がその場で購入や鑑賞を楽しめるなど、リアルなアート体験との融合が進行中です。

2025年3月には、ソニーグループのSNFT株式会社が「SNFTデジタルフィジカルアート」プロジェクトを始動。
NFTアートとフィジカル（実物）を一体化させ、より直感的に“本物の所有”を感じられる仕組みを構築しています。

このような取り組みは、NFTに馴染みのない層にもリーチしやすく、今後さらに広がっていくと予想されます。

企業やブランドによる商業利用の拡大

NFTアートは、企業やブランドによるマーケティングツールとしても急速に注目を集めています。
NFTを通じて、顧客とのエンゲージメントを深めたり、限定体験を提供したりといった取り組みが各地で進んでいます。

たとえば、丸井グループは2025年2月に、「NFTアートをクレジットカードの券面に使用できる仕組み」を開発しました。

自分が所有するNFTがリアルなアイテムになることで、作品への愛着やコミュニティ意識がさらに高まります。

今後、国内外のさまざまな企業がNFTアートを軸にした新しいブランディングや顧客体験の提供に乗り出していくでしょう。

法整備・規制による信頼性向上

NFTアートの市場が今後さらに拡大していくには、法整備や制度の整備も欠かせません。

現時点ではグレーゾーンも多いNFTですが、規制の明確化によって、怪しいプロジェクトや詐欺的な動きが排除されやすくなり、市場全体の信頼性が向上します。

2025年現在、自民党のNFT政策検討チームが市場健全化に向けた議論を進めており、同年の税制改正では「暗号資産」の扱いも主要議題として取り上げられました。

今後、著作権や税制などのルールが明確になることで、クリエイターや投資家にとっても安心して参加できる環境が整い、NFTアートは「安全で持続可能な資産」として定着していくと見られています。

NFTアートに関するQ&A

NFTアートについてよくある質問をピックアップしました。初心者が抱きやすい疑問を解消しておくことで、安心してNFTに触れることができます。

以下の4つの質問を一つずつ見ていきましょう。

よくある質問を理解しておけば、NFTアートに関する疑問や不明点が解消されます。

一つひとつチェックしていきましょう。

NFTアートはもう儲からないの？

「NFTアートを出せば誰でも儲かる」という時代は終わりつつありますが、今でも稼げるチャンスは存在します。

これまでのように話題性だけで高値がつくケースは少なくなり、現在は価値ある作品や信頼できるプロジェクトに対して、資金が集まる傾向にあります。

ポイントとなるのは以下の要素です。

NFTアートで利益を得るためには、投機目的ではなくプロジェクトの中身を理解し、自分自身も楽しめるかどうかが重要です。

NFTアートの購入は初心者にもおすすめ？

はい。NFTアートは、ブロックチェーンを初めて体験する入り口としておすすめです。

たとえば、自分だけのアートをブロックチェーン上で所有できるという体験は、多くの人にとって新鮮かつ特別なものです。
現在では、数十円〜数百円から購入できるNFTも増えており、気軽に始めることができます。

ただし、価格が必ず上昇するわけではありません。
投資というよりも、「アートを楽しむ」「コミュニティに参加する」目的で始めるのが安心です。

NFTアートに興味のある方は「OpenSeaでのNFTの買い方」の記事をご参考にしてください。

NFTアートって実際にどう活用されてるの？

NFTアートは、デジタルデータに唯一性をもたせる技術を活用し、以下のような多彩な用途で活用されています。

• コレクションや鑑賞目的の所有
• SNSのプロフィール画像としての活用
• 限定イベントやコミュニティへの参加証
• ゲーム内キャラクター・アイテムとしての利用
• アート作品の分割所有や証明書としての活用
• アーティストの収益化ツールとしての利用
• 限定商品の販売や会員証としての展開

今後もメタバースや音楽、スポーツ、教育などの分野と連動し、NFTの活用シーンはますます広がっていくと考えられます。

NFTアートで利益がでたら税金や確定申告はどうするの？

NFTアートで利益が出た場合、多くの場合は「雑所得」として課税対象となり、確定申告が必要です。

NFTや暗号資産の取引履歴は複雑になりやすいため、定期的な記録と保存が大切です。
取引量が多い場合や不安がある場合は、NFTに詳しい税理士へ相談するのがおすすめです。

参考：Web3/NFTに強い税理士おすすめ一覧｜選び方や費用相場も紹介

まとめ｜NFTアートはオワコンではない

NFTアートは決して“オワコン”になったわけではありません。ファッションや不動産、音楽、ゲームなど多様な領域と掛け合わされながら、新たな価値を生む余地を十分に残しています。

デジタルアートという枠を超え、ゲーム内アイテムや限定グッズ、イベントチケット、証明書などユーティリティも着実に広がっています。

もっとも、短期の値上がりだけを狙う手法はリスクが高いのも事実です。

ホワイトペーパーやコミュニティの活動実態を確認した上で、自分の目的や興味に合ったプロジェクトを選び、長期視点で「楽しみながら持つ」。これがこれからのNFTアートとの付き合い方と言えるでしょう。

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参照元：NFT Media