SEC、仮想通貨カストディに関する円卓会議を開催へ|議題・パネリスト発表

SEC、仮想通貨カストディに関する円卓会議を開催へ|議題・パネリスト発表(SEC to hold roundtable on crypto custody | agenda and panelists revealed)

カストディ問題めぐり仮想通貨円卓会議を開催

SEC(米国証券取引委員会)の仮想通貨タスクフォースは2025年4月16日に、同月26日に開催予定の仮想通貨のカストディ(保管管理)に関する円卓会議について、その議題と参加者リストを公表しました。

今回の円卓会議は「カストディアンを知る:仮想通貨保管の重要ポイント」というテーマで、SEC内の仮想通貨タスクフォースが進める取り組みの一環として実施されます​。

SECは今回の会議で仮想通貨のカストディに関する重要な論点について話し合う予定で、この分野の専門家が多数招待されています。

会議は米ワシントンD.C.のSEC本部で日本時間4月26日午前2時から6時まで開催され、一般にも公開されるほか、SEC公式サイトでライブ配信される予定です。

ヘスター・ピアース委員が主導する同タスクフォースは、仮想通貨(暗号資産)規制の課題解決に向けて今年春から一連の討論会を開催しており、今回はその3回目となります。

制度改革の鍵握る2つの議題

今回の円卓会議は、仮想通貨業界の健全な発展と投資家保護を両立させるという課題に取り組む場として位置づけられており、主に以下の2つの議題が設定されています。

第一部:ブローカーディーラーを通じた保管と拡張

第一部「証券会社を通じた資産保管とその発展」では、証券会社(ブローカー・ディーラー)などの従来型金融機関による仮想通貨の保管管理について議論される見通しです​。

この議論では、仮想通貨取引所や保管業者が証券規制のもとでどう顧客資産を管理すべきか、また仮想通貨専門の証券会社免許として注目を集める特別目的証券会社制度など、現行の金融規制を仮想通貨市場に当てはめる際の問題点が検討される予定です。

SECはこれまで証券会社を通じた顧客資産保護の仕組み(カストディ規則)を仮想通貨にも適用する姿勢を示してきましたが、仮想通貨特有のリスク対策や技術的課題に対処するには現在のルールを見直す必要があるとの声も上がっています。

ピアース委員も「仮想通貨の保管問題は非常に難しい課題だ」と認めており、まずは証券会社など既存の金融機関による資産保管のあり方について専門家による議論が行われると見られています。

第二部:投資顧問および投資会社における保管

第二部「投資顧問と投資会社における資産保管」では、資産運用業界での顧客資産の管理と保護に関する規制が議題となります。

この部では、ヘッジファンドや投資信託を扱う投資顧問・投資会社が、顧客の仮想通貨を安全に適切に保管するための指針について詳しく議論されると期待されています。

現在の制度では、投資顧問業者は顧客の資産を「認定保管機関(適格カストディアン)」に預ける必要があり、コインベースなどの仮想通貨企業がこの認定保管機関として認められるかどうかが争点となっています。以前のSEC体制では、仮想通貨を含むすべての資産を厳しく外部管理する規則の強化が検討されましたが、業界からは「現実的でない」という強い反対意見が出ました。

第二部の討論では、投資家の資産を守りつつ利便性も高める方法について、法律専門家や運用会社の観点から実践的な対策が検討される見通しです。特に、仮想通貨を従来の証券と同じように扱うべきか、それとも独自の性質を踏まえた新しい保管基準が必要か、といった問題について活発な議論が交わされると見られています。

仮想通貨カストディ議論の主要パネリスト

今回の円卓会議には、仮想通貨の保管業務や取引システムに詳しい業界の専門家や弁護士が数多く参加します。

第一部には、Fireblocks(保管技術会社)のジェイソン・アレグランテ氏、米国初の仮想通貨銀行であるAnchorage Digital Bankのレイチェル・アンデリカ氏、Fidelity Digital Asset Servicesのテレンス・デンプシー氏、大手取引所クラーケンのマーク・グリーンバーグ氏らがパネリストとして名を連ねています​。

このほか、Exodus Movementのヴェロニカ・マクレガー氏、Etana Custodyのブランドン・ラッセル氏、Copper Technologiesのタミー・ワインリブ氏など、仮想通貨の保管サービスを提供する企業の責任者も参加します。

第二部には、法律や金融の専門家が多数参加する予定です。

有名法律事務所シンプソン・サッチャー&バートレットのジャスティン・ブラウダー氏や、シュルテ・ロス&ツァベルのマイク・ディディック氏など法律の専門家に加え、大手運用会社WisdomTreeの法務責任者ライアン・ロウヴァー氏、投資ファンド1kxのラリー・フローリオ氏、分散型投資会社Distributed Globalのエリオット・フランク氏らが参加する予定です。

また研究者からも、ジョージタウン大学法科大学院のアダム・レヴィテン教授やペンシルベニア大学法科大学院のチャールズ・ムーニー教授が議論に参加します。

今回の円卓会議の司会進行は、米国の法律事務所デイビス・ポークに所属するザック・ツヴァイホーン氏が担当します。

SECが進める仮想通貨規制の枠組み作り

SEC仮想通貨タスクフォースは「わかりやすい規制の境界線」「実現可能な登録手続きの整備」「適切な情報開示基準の設計」「監視・取締り資源の効果的な配分」を目指しており、こうした公開討論を通じてその達成に取り組んでいます。

今後は5月12日に「トークンの証券化とブロックチェーン上での取引(従来の金融とDeFiの接点)」、6月6日には「分散型金融(DeFi)と米国の精神」をテーマとした円卓会議も予定されています。

SECはこれらの議論を踏まえ、年内にも仮想通貨規制の方針について何らかの指針を示すと予想されます。ピアース委員は「仮想通貨タスクフォースの円卓会議は、私たちが規制課題を理解し解決策を探るための重要な意見交換の場だ」と述べています。

業界の専門家たちの議論がどんな成果や提案をもたらすのか、そしてそれが今後のSECの規則づくりや指針にどのように活かされるのか、国内外の市場参加者が注目しています。

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Source:SEC公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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