「ステーブルコインは魅力的なデジタル商品」法整備の必要性を主張|パウエルFRB議長
FRBパウエル議長「ステーブルコイン規制は不可欠」
連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は2025年4月16日に、シカゴ経済クラブの講演で「ステーブルコインは魅力的なデジタル商品」と述べた上で、その規制に向けた法整備の必要性を強調しました。
パウエル議長は講演の中で「ステーブルコイン市場はここ数年で数兆ドル(数百兆円)規模にまで急成長している。この市場拡大に法規制が追いついておらず、取引の透明性と安全性を確保する法的な枠組みづくりが急務だ」と述べました。
米議会では現在、ステーブルコインに関する包括的な規制法案が審議中であり、パウエル議長は議会のこの取り組みを支持すると表明しています。
同氏は、米国内で急速に広がるステーブルコイン市場の実情を見据え「消費者保護と金融システムの安定には適切な規制が欠かせない」との考えを改めて示しました。
ステーブルコイン規制の転換点に
パウエル議長が示すステーブルコイン規制の方向性
パウエル議長は、これまでFRBが銀行に対し仮想通貨(暗号資産)関連業務への参入に対して厳格な規制を課してきた点に言及しました。
その一方で「今後は規制を多少緩める余地もある」と述べ、銀行の健全性を保ちながらも、技術革新を後押しする姿勢も示しました。
パウエル議長は「ここ数年、仮想通貨業界では取引所の倒産や不正事件が続いたため、最初は警戒的な態度をとらざるを得なかった」と振り返りつつも、現在は市場の状況が変わってきていると指摘しています。
さらにパウエル議長はステーブルコインについて具体的な見解を述べました。
ステーブルコインについては「今後、社会に広く浸透していく可能性が高い」と評価し、消費者保護や透明性といった一般的な金融商品と同等の措置を取るべきとの見解を示しました。
さらに、現在米議会で検討されているステーブルコイン規制法案への支持も表明しました。パウエル議長は同法案を後押しする立場を明らかにし、トランプ大統領も法案の早期成立に意欲を示していることにも言及しました。
ステーブルコイン規制整備に意欲
米国でステーブルコイン規制整備が加速
2025年4月現在、米国の上院と下院それぞれに提出されたステーブルコイン規制法案の調整・一本化が進められており、8月の議会休会前までに成立する可能性が高まっています。
トランプ大統領は2025年3月、ホワイトハウスで行われた仮想通貨サミットで、ステーブルコイン法案の策定に尽力する議員たちを「全面的に支持する」と述べ「8月までには法案に署名したい」と意気込みを語りました。
同サミットでスコット・ベセント財務長官も「ステーブルコインをドルの基軸通貨としての地位強化に役立てたい」と発言し、米国政府がステーブルコイン制度の確立に本腰を入れる方針を明確にしています。
一方、SEC(米国証券取引委員会)は4月4日、米ドルと価値を連動させたステーブルコインについて「証券とは見なさない」との公式見解を発表しました。これにより、長年曖昧だったステーブルコインの法的位置付けが明確になりました。
ステーブルコインの規制枠組み作りは今や世界共通の課題となっており、パウエル議長の今回の発言は、そうした国際的な流れの中で米国の立場を明確にしたものと言えます。
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Source:シカゴ経済クラブYouTube
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像