ノースカロライナ州、仮想通貨納税を認める法案を提出|対象銘柄の具体的条件も明記
州税納付に仮想通貨導入を検討
米国ノースカロライナ州の下院議員ニール・ジャクソン氏は2025年4月10日に、州税の支払い手段として仮想通貨を認める「ノースカロライナ州デジタル資産自由法(下院法案920号)」を提出しました。
この法案が成立すれば、特定の条件を満たす仮想通貨が州法で正式な支払い手段として認められ、住民はこれらの仮想通貨で州税を納められるようになります。
納税者が仮想通貨で州税を納める場合は、支払い時点での米ドル換算額を州税務当局(歳入局)に申告する必要があります。法案が可決されれば、仮想通貨による納税は2026年1月1日から始まる見込みです。
オハイオ州でも仮想通貨納税の法案提出
法案が示す仮想通貨納税の要件
今回提出された法案は、公的に認める仮想通貨について厳しい基準を設けています。法案が定める「適格なデジタル資産」の条件は、実質的にビットコイン(BTC)を想定したものと見られています。
- 長期運用実績
10年以上の運用実績があり、プロトコルレベルでのハッキングやデータの巻き戻しがなく、安全性が証明されていること - 大規模な市場規模
時価総額が7,500億ドル(約105兆円)を超え、1日の取引額が少なくとも100億ドル(約1.4兆円)に達していること - 非中央集権型の運営
中中央の管理者がおらず、自発的な分散型の仕組みで合意形成が行われ、システム変更に単独で影響を与えられる組織や個人がいないこと - 技術的要件
電力を消費するプルーフ・オブ・ワーク(PoW)方式で安全性を担保し、発行総量に上限が設定された非インフレ型の通貨であること
このように、ビットコインが満たす条件を具体的に挙げることで、法案は名指しせずにビットコインを対象にしているものと解釈されています。
法案には「中央の機関に管理されない分散型のデジタル資産は、発行量が限られているためインフレに強く、取引の安全性と透明性が高い」と記されており、ビットコインのインフレ対策機能や支払い手段としての有効性を評価する州議会の姿勢が示されています。
また、利用者を守るため、仮想通貨ATM(キオスク)の利用についても規制が盛り込まれています。初めて利用する人は、利用開始から72時間以内の送金額が1日2,000ドル(約30万円)までに制限され、詐欺被害に遭った場合は全額返金される仕組みになっています。
州税務当局は仮想通貨と米ドルの交換レートを日々更新して公開し、納税時の正確な換算額を計算できる体制を整える方針です。
ネブラスカ州の仮想通貨ATM法案
ノースカロライナ州のビットコイン・仮想通貨戦略
ノースカロライナ州は近年、デジタル通貨に関する政策で国家管理型と分散型を明確に区別する姿勢を示しています。
2024年には州の公的機関での中央銀行デジタル通貨(CBDC)使用を禁止する法案が下院・上院の両方でほぼ全会一致で承認されました。なお、この法案に関しては成立前の州知事署名で知事による拒否権が行使され、最終的には法制化されていない状態となっています。
現在ノースカロライナ州では、州上院では公的資金の1割までをビットコインに投資し、州の戦略的な資産として保有する「ビットコイン準備・投資法案」の審議も進んでいます。
こうした一連の取り組みから、ノースカロライナ州が仮想通貨を州の財政政策に積極的に組み込もうとする総合的な戦略を推進しているものと見られています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.06円)
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Source:The Block報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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