米SECとウィンクルボス兄弟のジェミナイ、「Gemini Earn」めぐる訴訟を解決する可能性
「Gemini Earn」めぐる訴訟が解決する可能性
タイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏とキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏が運営する米暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミナイ(Gemini)が、米証券取引委員会(SEC)から提起された訴訟をまもなく解決する可能性がある。この訴訟では、同氏らが暗号資産のレンディング(貸付)プログラム「ジェミナイ・アーン(Gemini Earn)」を一般投資家に提供する前に登録を怠ったとSECが主張している。
4月1日にマンハッタンの連邦地裁に提出された共同書簡の中で、ジェミナイ運営元のジェミナイ・トラスト(Gemini Trust)社とSECは、「ジェミナイ・アーン」を巡る民事訴訟のすべての手続き期限を60日間凍結し、和解の可能性を探る時間を確保するよう要請した。
ただしこの書簡では、和解が成立するか、SECが訴訟を取り下げるのか、あるいは他の結果になるのかについては明言されていない。
ジェミナイの弁護士もSECも、コメント要請に対して直ちに回答しなかった。
SECは2023年1月、ジェミナイおよび暗号資産貸付業者ジェネシス・グローバル・キャピタル(Genesis Global Capital)を提訴した。対象となったのは、ビットコインなどの暗号資産を顧客がジェネシスに貸し出し、金利を受け取れる仕組み「ジェミナイ・アーン」であり、ジェミナイは最大4.29%の手数料を徴収していた。
ジェネシスは2022年11月に出金を停止した。しかし同月にはサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)氏の暗号資産取引所FTXが破綻しており、その2か月後にジェネシスは破産申請を行った。当時、「ジェミナイ・アーン」には顧客約34万人が9億ドルの資産を預けていた。
・SECは、「ジェミナイ・アーン」の設計においてジェネシスおよびジェミナイが投資家保護のための開示義務を回避したと主張している。
ジェネシスは2024年3月、チャプター11(Chapter 11)の破産手続きにおける請求解決を条件として、不正行為を認めないまま2,100万ドルの制裁金を支払うことで和解に合意した。一方、ジェミナイは不正行為を否定している。
SECは、2025年1月にドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が大統領に就任して以降、暗号資産業界に対する監督を緩和しており、バイデン政権下に比べて業界に友好的な姿勢を保つと広く見られている。
ここ数週間でSECは、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)およびクラーケン(Kraken)に対する民事訴訟を取り下げ、未登録証券の販売を巡る暗号資産企業リップル・ラボ(Ripple Labs)との訴訟でも和解に応じている。
フォーブス誌によると、タイラー・ウィンクルボス氏およびキャメロン・ウィンクルボス氏のそれぞれの資産は30億ドルとされている。
なお本件の訴訟名は「SEC対ジェミナイ・トラストほか(SEC v Gemini Trust Co et al)」であり、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所、番号は23-00287である。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
SEC, billionaire Winklevoss twins may resolve lawsuit over Gemini Earn
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Editing by Richard Chang)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済