香港、暗号資産のデリバティブ検討。デジタル資産の中核拠点化推進
香港が暗号資産デリバティブを検討
香港証券先物委員会(SFC)の最高経営責任者である梁鳳儀(ジュリア・リョン)は2月19日、暗号資産の新たな商品をデリバティブ(金融派生商品)として承認し、投資家を限定して信用取引ができるようにすることを検討していると明らかにした。香港はアジアにおけるデジタル資産サービスの中核拠点(ハブ)となることを目指している。
梁氏は、香港で開かれた米コインデスク(CoinDesk)主催の会合で、デジタル資産について「プロの投資家向けのデリバティブ商品、特定の投資家向けの信用取引について検討している」と述べた。
香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は2月19日、当局が9社のデジタル資産取引プラットフォームの免許を交付したと明らかにした。梁氏によると、さらに8社が申請しており審査中という。
陳氏は、ステーブルコインに関する規制にも取り組んでいると説明した。
中国は2021年に本土での暗号資産取引を全面的に禁止した。2022年、香港は暗号資産のアジア・ハブ化計画を打ち出し、アジア初の現物暗号資産の上場投資信託(ETF)を提供するなどしている。シンガポールやドバイも暗号資産の国際的ハブになることを目指している。
「ASPIReロードマップ」を発表
またSFCは2月19日、暗号資産の国際的ハブを目指す香港の戦略的イニシアティブを概説した「ASPIReロードマップ」を発表した。
このロードマップは、「アクセス(Access)」、「保護(Safeguards)」、「商品(Products)」、「インフラ(Infrastructure)」、「関係(Relationships)」の5つの柱で構成されている。
「アクセス」は、店頭取引とカストディアン向けの新たなライセンス枠組みを導入することで、市場参入を合理化することを目的としている。
「保護」は、洗練された業務要件とコンプライアンス対策により、投資家保護の強化に重点を置く。
また「商品」は、新たなトークンの上場やデリバティブを含む暗号資産の提供拡大を目的としている。
「インフラ」は、先進技術を活用して市場の完全性を確保しながら、市場監視を近代化することを目指す。
また「関係」は、継続的な対話と規制の改善を通じて、業界の利害関係者との協力を推進することを目的とする。また、政策決定プロセスにおける透明性の重要性を強調することで、業界の利害関係者が規制の進展に建設的に貢献できるようにする。
また12のイニシアティブからなるこのロードマップでは、合理化された市場アクセス、適応性のあるコンプライアンスと商品のフレームワーク、TradFiの信頼性とブロックチェーンの効率性を橋渡しするインフラのアップグレードが目標とされている。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
香港、暗号資産のデリバティブ検討 デジタル資産の中核拠点化推進
(ロイター/Tyrone Siu)
参考:ロードマップ
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済