他ブロックチェーンへのセキュリティ提供で収益化、カルダノ創設者による予算関連の提案
カルダノのセキュリティ活用で新たな収益源
カルダノ(Cardano/ADA)の共同創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏は2025年2月14日に行われたライブ配信の中で、カルダノの堅牢なセキュリティ基盤を他のブロックチェーンに提供することによって収益化を図る計画を明らかにしました。
今回の動画はカルダノコミュニティで頻繁に話題になる「予算」に関するもので、多くの人が質問・意見・懸念を持っているのでここで明確にしておきたいとコメントされています。
ホスキンソン氏は「予算項目を読んでいる際にパートナーチェーン、非カルダノ関連の研究、有用なプルーフ・オブ・ワーク、マルチリソース・コンセンサスなどに関する内容が気に入らなかった」と述べており、その理由について「カルダノの予算をカルダノ以外のことに使うもののように感じたからだ」と説明しています。
カルダノはOuroboros(ウロボロス)と呼ばれるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)のコンセンサスプロトコルを採用していますが、ホスキンソン氏はこのPoSシステムは業界で特に高いセキュリティを誇っていると説明した上で、これをサービスとして提供することで新たな収益源を生み出せる可能性があると述べています。
AVSを通じてカルダノのセキュリティで収益化
ホスキンソン氏の提案の中心にはAVS(Actively Validated Services)と呼ばれる概念があります。
これは「既存のPoSのセキュリティを活用して外部ネットワークを支援する」という仮想通貨業界で注目されている新しい仕組みの1つであり、現在はKarak(カラク)やEigenLayer(アイゲンレイヤー)など様々なプロジェクトが登場しています。
ホスキンソン氏は「カルダノのセキュリティを構築するためには250億ドル(約3兆8,000億円)相当のコストがかかると見積もられているため、AVSを通じてカルダノのセキュリティを他ブロックチェーンに提供することで新たな収益を生み出すことができる」と説明しています。
基本的な考え方はこうです。「カルダノのPoSは非常に安全である。我々はこのセキュリティを他のネットワークに販売できるのではないか?」
実際、カルダノのセキュリティを構築するには250億ドル(約3.7兆円)相当のコストがかかると見積もられています。これは非常に高価なものです。そのため、AVSを通じて他のブロックチェーンにセキュリティを提供することで、収益を生み出すことができるのです。
パートナーチェーンは、まさにこのAVSの概念を活用する取り組みです。例えば、カルダノ上にネイティブアセット(トークン)を発行し、それと連携する別の台帳上に独立したネイティブアセットを持たせることで、セキュリティを提供する構造を作ります。
そして、ステークプール・オペレーターは、複数の収益源を得ることができます。実際「Karak」はすでにCoinbase、Lightspeed、DCG(Digital Currency Group)などの大手投資家から支援を受けています。同様のAVSシステムが複数存在し、莫大な市場価値を生み出しています。我々が最も安全なPoSプロトコルを持っている以上、これを活用しない理由はありません。
マルチリソース・コンセンサスの導入
ホスキンソン氏は今回の動画の中で「マルチリソース・コンセンサスの導入」についても説明を行なっています。
これは「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)やプルーフ・オブ・ワーク(PoW)など、複数のコンセンサス・アルゴリズムを並行して動作させることによって、ネットワークの耐障害性や包括性を向上させる」というものです。
マルチリソース・コンセンサスの導入は、PoSネットワークが攻撃を受ける可能性への懸念に基づくもので、「この方向へ進むことでカルダノは複数のリソースを活用できるようになり、それらのリソースはネットワークの利用状況や必要なセキュリティレベルに応じて選択できるため、新たな収益源が生まれるだけでなく、ネットワークの包括性が向上し、耐障害性も高まる」と説明されています。
数年前に「Minotaur」というプロトコルを開発し、マルチリソース・コンセンサスの仕組みを考えるためのフレームワークを作りました。
「Leios」の次にどこへ向かうのか?という疑問がある中で、この方向へ進むことで、カルダノは複数のリソースを活用できるようになります。そして、それらのリソースは、ネットワークの利用状況や必要なセキュリティレベルに応じて選択できます。
これにより、新たな収益源が生まれるだけでなく、ネットワークの包括性が向上します。つまり、より多くの人がコンセンサスの一部となれるのです。また、耐障害性も高まります。
例えば「米国政府がADAを大量購入して51%攻撃を仕掛けたらどうするか?」という懸念があるとします。その場合、ハッシュパワーやその他の手法で補強することで、攻撃を防ぐことが可能になります。
このように、「プルーフ・オブ・ユースフル・ワーク」や「Minotaur」は、新しい技術の可能性を広げるものです。これは、R&D(研究開発)サイクルではよくあることです。
2015年にウロボロスの研究を始めた際、多くのアイデアがありましたが、それらが実際のプロトコルに組み込まれるまでには、2019~2020年頃までかかりました。同様に、「Leios」の本格的な研究は2020年に開始されましたが、並行チェーンの試験を行うなど、数多くの試行錯誤を経て、ようやく現在の段階に至っています。
AVSの流れに乗るか、停滞するか、
ホスキンソン氏は「このような提案に対して”これはカルダノの本来の目的と違う”と思う人もいるかもしれないが、業界全体がAVSの方向へ進んでいるのは明らかだ」と述べており、カルダノがこの流れに乗るか、停滞するのかが重要なポイントになると語っています。
同氏は「カルダノのコンセンサス・サービスを販売することによってADA保有者やステークプール・オペレーターも利益を得ることができるが、もしも現在のウロボロスをそのまま維持して何も変更を加えないのであれば、それがビットコインのような”ネットワーク効果”を確立できるほどの影響力があるかどうかを考える必要がある」と説明しています。
また、同氏は今月中にロードマップの詳細に関するさらに多くの動画を公開する予定であることも語っていて「最終的な決定は、カルダノのコミュニティ次第です。どの方向に進むべきか、皆さんがよく考え、議論することを願っています」とコメントしています。
ホスキンソン氏が公開した動画は「ホスキンソン氏の公式YouTubeチャンネル」で視聴することができます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.33円)
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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