米当局、ハッキング責任を仮想通貨ウォレットに負わせる提案|MetaMaskが反発
CFPBがEFTAをウォレットに拡大することを提案
米規制当局であるCFPB(米消費者金融保護局)が、2025年1月10日に公式サイトで、EFTAを仮想通貨ウォレットに拡大適用する提案を行いました。
EFTA(電子資金移転法)は、米国において金融機関などを対象とした法律です。主に消費者保護を目的としたもので、既存の金融サービスなどが適用範囲になっています。
規制当局であるCFPBはEFTAの新たな解釈を導入することで、仮想通貨ウォレットに適用することを提案しました。ステーブルコインやその他のデジタル決済において、既存の銀行業務・電子送金と同じ消費者保護を提供することを目指しています。
実際に導入された場合は、仮想通貨ウォレットの利用者は不正な送金や取引の異議を申し立てることが可能になり、エラーに対する責任が制限される権利を持ちます。
一方で、ウォレットを提供する主体は、詐欺・ハッキング・エラーなどに伴う責任が生じる可能性があります。
あくまで提案のため、CFPBは業界などからの意見を3月31日まで求めており、現時点で最終的な導入や決定は行われていません。集められた意見は、実際に意思決定をする際に参考にする方針となっています。
Consensysの法律家が反発
CFPBの提案に対して、いくつか仮想通貨業界から反発が見られています。仮想通貨ウォレットMetaMask(メタマスク)を提供するConsensysの法務責任者は、行き過ぎた消費者保護であるという認識を明らかにし、複数の観点から批判的な意見を述べました。
Biden Administration 11:59 PM interpretive rule drop:
TLDR: in order to protect consumers and to avoid a competitive advantage to new forms of electronic fund transfers over traditional ones, the Electronic Funds Transfer Act (EFTA) should be reinterpreted to apply to… pic.twitter.com/RjLT2PZ9zX
— Bill Hughes : wchughes.eth (@BillHughesDC) January 10, 2025
(中略)シードフレーズをツイートしたり、メールで送信したためにハッキングされたり、詐欺に遭ったがために損失を負った場合、ウォレットプロバイダーが補填する必要が出てくる可能性があります。
利用者が初めて製品を使用する際に、利用規約と開示情報を提供することになります。(EFTAが適用された場合)これには、さまざまな権利の概要から責任の範囲、種類、エラーの解決手順が必要です。また、定期的な明細書と利用規約の変更通知も含まれます。
今回の件に限らず、規制当局の一連の動きを「消費者保護の名の下での仮想通貨市場への過剰な介入」と批判しています。そのうえで、誰かが止める必要があると主張し、トランプ次期政権へ期待する旨を明らかにしました。
CFPBは、2022年4月にフィンテックおよび仮想通貨企業といった銀行以外の金融機関を対象に、監視を強化する方針を発表していました。
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Souce:CFPB
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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