シンガポール金融管理局、ステーブルコインを「主要決済手段」に|規制枠組みの整備を進行中
ステーブルコイン規制の目的と必要性
シンガポール金融管理局(MAS)のチア・ダー・ジウン専務理事は2024年12月29日に、ステーブルコインが広く利用される決済手段となる可能性について言及しました。
シンガポールの地元メディア「The Business Times」によるインタビューの中で、チア氏は「ステーブルコインがその価値の安定性を通じて信頼される決済手段になると評価している」と述べています。ただし、そのためには厳格な規制が必要と指摘していることも明らかにしました。
MASは、適切に規制され、価値の安定性が高い場合、ステーブルコインには大きな可能性があると考えています。
このため、MASは単一通貨ステーブルコインの価値安定性のリスクに焦点を当てた規制のアプローチを採用しました。
現在、このステーブルコインフレームワークを実施するために、PS(決済サービス)法の必要な法改正に取り組んでいます。
MASが特に重要視しているのは、米ドルに連動しているUSDTなどの「単一通貨ステーブルコイン」の価値安定性リスクです。このリスクに対応するため、MASは発行者に対して、資産の裏付けや運営の透明性を求める規制枠組みを策定しています。
規制を満たした発行者のみが「MAS規制のステーブルコイン」として認定されるため、今後の動向に注目が集まっています。
規制の実施とシンガポールの展望
また、シンガポールでは2023年に、中国の中央銀行と協力して両国の旅行者が両国でデジタル人民元を使用できるようにする計画を発表していました。
しかし、既存の電子決済システムが効率的であることから、シンガポールドルに連動した小売用の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を当面見送る方針であることも報じられています。
2023年12月に発表された中国とシンガポール間の越境e-CNYパイロット計画は、両国の旅行者が観光支出にe-CNYを使用できるようにすることを目的としていた。
一方、MAS(シンガポール金融管理局)は、シンガポールドルの小売向けCBDCを発行する計画はありません。
現在、法改正を含む枠組みの整備が進められており、具体的な基準を満たしたステーブルコイン発行者の間で競争が生まれると見られています。また、世界的には米国や欧州連合(EU)がステーブルコインの規制を推進する中、シンガポールの取り組みはアジア地域でのモデルケースとして注目されています。
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Souce:The Business Times報道
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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