「Amazon総資産の5%をビットコインに」米シンクタンクがBTC財務戦略の株主提案
Amazonに「ビットコイン投資の検討」を提案
米シンクタンクの全米公共政策研究センター(NCPPR)が2024年12月6日に、Amazon(アマゾン)に対して「ビットコイン(BTC)を財務資産に組み込むことを検討すべき」と提案する株主提案を提出したことが明らかになりました。
今回の株主提案では「資産を賢明に運用する企業は、そうでない企業よりも株主価値を高める可能性が高い」と説明した上で「インフレが進む時期には企業収益を増やすだけでなく、価値の低下から資産を保護して株主価値を最大化する必要がある」と主張されています。
NCPPRの公式発表によると、Amazonの総資産は2024年9月30日時点で5,850億ドルあるとのことで、その中の880億ドルは現金・現金同等物・売却可能な有価証券(米国債・外国政府債券・企業債券を含む)で保有されているが、現金は価値が継続的に下がっていて、債権の利回りも実際のインフレ率を下回っているため、これらの資産を保有しているだけでは株主価値を十分に保護できないと指摘されています。
ビットコインへの投資提案は、このような状況下でAmazonの資産を保護するためのものであり、ビットコインの価格上昇が続いていることを説明して「Amazonは短期的に価格変動が激しい資産であったとしても、債権よりも価値が上昇している資産を財務に加えることを検討する責任があるのではないか?」と提案されています。
米国の消費者物価指数(CPI)によると、過去4年間の平均インフレ率は4.95%であり、2022年6月には9.1%に達しました。しかし、CPIはインフレを測る指標としては不十分であり、実際のインフレ率はそれよりもかなり高いとされています。
一部の研究では、実際のインフレ率がCPIの2倍近くに達することもあると見積もられています。このため、企業資産はこれらの水準で価値を上昇させる必要があり、最低限価値を維持するために必要です。
(中略)
Amazonは、より短期的に変動が激しい資産であっても、債券よりも価値が上昇する資産を財務に加えることを検討する責任があるのではないでしょうか。
2024年12月6日時点で、ビットコインの価格は前年から131%上昇しており、企業債券を平均126%上回っています。過去5年間で、ビットコインの価格は1246%上昇し、企業債券を平均1242%上回りました。
NCPPRはマイクロソフトにも提案
ビットコイン採用は一般化しつつあるとも説明
今回の提案では「ビットコイン投資を続けているマイクロストラテジーの株価が前年にアマゾン株を537%上回るパフォーマンスを記録していること」も指摘されていて、仮想通貨投資戦略を採用する企業は増えていて、機関投資家が企業の間でビットコイン採用が一般化しつつあるとも説明されています。
具体的には「TeslaやBlockなどの上場企業がビットコインを財務資産に組み込んでいること」が説明されているほか、「Amazonの第2位・第4位の主要機関投資家であるBlackRockとFidelityはクライアントにビットコインETFを提供、2025年には米政府がビットコイン備蓄を開始する可能性もある」と記載されています。
実際に仮想通貨投資戦略を採用する動きは急速に拡大しており、この数週間だけでも非常に多くの上場企業が「仮想通貨投資戦略の採用」や「仮想通貨決済への対応」を発表しています。
ビットコイン採用の一例
「アマゾンの全資産の5%をビットコインに」
今回の提案では、ビットコインの価格変動が激しいことはリスクとして認められていますが、Amazon株もこれまでの歴史で同様の局面を経験しているとも説明されていて、「企業には短期的な利益だけでなく、長期的な株主価値を最大化する責任がある」と指摘されています。
ビットコインをバランスシートの一部に組み込むと、そのような課題を解決して、過度な価格変動リスクを避けつつリスクを軽減できると期待されるため、「Amazonは少なくとも全資産の5%をビットコインで保有するメリットについて評価を行うべき」との提案がなされています。
なお、今回の提案ではAmazonの総資産は2024年9月30日時点で5,850億ドルとされているため、この中の5%は292.5億ドル(約4兆3,860億円)に相当します。
今回の提案は2025年4月の株主総会で議題にすることを求めるもので、実際にAmazonがビットコイン投資戦略を採用するかは現時点で不明であるものの、もしもこれが実現した場合にはビットコイン採用の動きがさらに加速する可能性があるとして注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.95円)
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Souce:NCPPR提案
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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