コインベストが関東財務局から行政処分、IEO業務態勢の改善命令で

コインベストが関東財務局から行政処分

国内暗号資産(仮想通貨)交換業者CoinBest(コインベスト)が、関東財務局より行政処分を受けたことを6月14日発表した。

同社には行政処分により、IEO業務について業務停止命令が下された。その他各種サービス及び顧客資産への影響はないとのこと。日本円の入出金、暗号資産の入出庫、販売所の取引・機能について通常どおりサービスは利用可能となっている。

なおコインベストは昨年3月、同社のIEO事業の第一弾として、分散型台帳技術を用いたデジタルライツマネジメントシステムの構築事業などを手掛けるDART’s(ダーツ)株式会社が発行するDARトークン(デジタルアセットライトトークン)のIEO実施に向けた契約を締結していた。

IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)とは、企業等のブロックチェーンプロジェクト発行のトークンによる資金調達を暗号資産取引所が支援し、具体的には主体となって発行体のトークンを販売するモデルのことだ。

行政処分について

関東財務局によると、コインベストの経営管理態勢、内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売態勢)、内部監査態勢及びマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢について、重大な問題が認められたとのこと。

・経営管理態勢について

経営管理態勢についてコインベストは、IEO業務の早期実現による収益獲得を優先し、経営上重要な事項であるIEO業務への参入について取締役会に付議せず、経営資源の配分や経営上のリスクに関する議論を行わないまま、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)への新規暗号資産の販売に係る審査の申請を承認していたという。

また同社の取締役会で決議すべきとされている取締役の利益相反取引や、内部管理部長及び内部監査部長等の選任・解任等を付議していないなど、取締役会は形骸化し、業務意思決定機関としての機能を発揮していないと報告されている。

・内部管理態勢について

内部管理態勢についてコインベストは、2線機能を担う内部管理部門の担当役員等が相次いで退職・休職したことにより、IEO審査担当役員やマネロン・テロ資金供与対策に係る統括管理者が不在となる中、内部管理態勢を構築することなく、IEO業務による収益獲得を優先し、同業務に必要な態勢の整備や人員の確保、同業務を行うことにより生じ得る経営上のリスクへの対応について、十分な検討を行わないまま、IEOの申請等を行っていると指摘を受けている。

またIEO業務について同社は、IEO審査担当役員に限らず、当該業務に取り組むための専門的な人材を配置していないなど、IEO業務への参入に係る必要な審査体制を整備していないと報告されている。

そしてこのような中、IEO審査を開始した結果、コインベストは発行体及び事業内容を審査する立場にあるにもかかわらず、アレンジャー兼発行体のアドバイザーとして同事業を推進する立場にある事業者及び発行体と一体となって、IEOに係るJVCEAへの審査の申請を行っているほか、退職した役員を担当役員とした事実と異なる記載をして、申請を行うといった不適切な実態が認められており、IEO業務を適正かつ確実に遂行するための内部管理態勢に著しい不備が認められると指摘を受けている。

・内部監査態勢について

コインベストの内部監査態勢については、3線機能を担う内部監査部門の部長や職員も相次いで退職しており 、第3線として実効性のある内部監査態勢を構築していないことから、2020年12月の業務開始以降、規則等に則った内部監査が実施されていないとのこと。

・マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢について

マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢についてコインベストは、統括管理者である担当役員、部長、主要な職員が相次いで退職・休職する中、役員の中から新たな統括管理者を選任していないなど、実効性のあるマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の構築を行っていないとのこと。

このため、マネロン・テロ資金供与やなりすましの疑いのある取引が認められるにもかかわらず、これらの取引の実態を把握・検証せず、疑わしい取引に該当するか検討を行っていないなど、取引モニタリングを適切に実施する態勢や、疑わしい取引の該当性について適切な検討・判断を行う態勢を整備しておらず、ガイドラインにおいて対応が求められる事項に係る措置が不十分となっているとのことだ。

当局は、コインベストのこうした現状は、金融庁が2021年4月28日付「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」において要請した「ガイドラインで対応を求めている事項について、令和6年3月末までに対応を完了させ、態勢を整備すること」に対して、適切に対応していないと認められると指摘。

加えて、犯収法施行規則第20条第1項第24号に基づく実質的支配者の確認結果の記録を保存しておらず、犯収法に違反していると、コインベストについて当局は報告している。

行政処分をうけて

上記の理由によりコインベストは、6月14日から12月13日までの期間、IEO業務を停止するよう命じられている。

また業務改善命令として、経営管理態勢の構築、内部管理態勢及び内部監査態勢の構築、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスク管理態勢等の構築が下されている。

そしてコインベストは、これら業務改善命令に関して業務改善計画を7月16日までに提出することが当局より命じられている。

さらに同社は、業務改善計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに報告することが義務付けられた。

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参考:関東財務局
images:iStocks/Anastasiia-Makarevich

参照元:ニュース – あたらしい経済

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