他社発行の暗号資産に関する条件が波紋、国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」改訂

「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」の改訂版

国税庁が、「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を改訂し、12月25日公表した。このFAQは、暗号資産及び電子決済手段に関する税務上の取扱いについて、税目ごとに寄せられた一般的な質問等を取りまとめたものである。

今回更新および追加された項目として、法人税の暗号資産関係で11項目、同じく法人税で電子決済手段関係で4項目、消費税関係で2項目、法定調書関係で2項目だ(以下参照)。

なお今回、この中でも法人税・暗号資産関係の項目「暗号資産の期末時価評価」について、SNSを中心に物議を醸している。

法人における暗号資産の期末時価評価課税については、今年6月に自社発行分は対象外になっている。そして今年12月に、他社発行分についても、一定の要件下で「期末時価評価課税」の対象外とすることが令和6年度税制改正大綱に盛り込まれ、閣議決定した。

ただし、この税制大綱に記されている課税対象外となる他社発行の暗号資産は「譲渡についての制限やその他の条件が付されている暗号資産」とされている。

そして、この課税対象外となる他社発行の暗号資産についての定義は以下のように今回のFAQの35Pおよび、令和6年度税制改正大綱の72pに以下のように記載されている。

(注1)上記の「譲渡についての制限その他の条件が付されている暗号資産」とは、次の要件に該当する暗号資産をいう。

①他の者に移転できないようにする技術的措置がとられていること等その暗号資産の譲渡についての一定の制限が付されていること。

②上記①の制限が付されていることを認定資金決済事業者協会において公表させるため、その暗号資産を有する者等が上記①の制限が付されている旨の暗号資産交換業者に対する通知等をしていること。

この内容から「他者に移転できないようにする技術的措置がとられていること等、該当の暗号資産の譲渡について一定の制限が付され」かつ、それを暗号資産を有する者等が前述の「制限が付されている旨の暗号資産交換業者に対する通知等をしていること」、その2つの条件を満たす必要があると読み取れる。

確かにこの条件に該当する暗号資産は事実上少なく、期末時価評価の対象外になるのは法改正後も限定的であると考えられる。その点がSNS上で物議となっている。

更新・追加があった項目

●法人税・暗号資産関係

暗号資産の譲渡損益の計上時期(更新)

暗号資産の期末時価評価(更新)

活発な市場が存在する暗号資産(追加)

DEXにおいて取引される暗号資産(追加)

ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価(追加)

貸付けをした暗号資産の期末時価評価(追加)

借入れをした暗号資産の期末時価評価(追加)

特定自己発行暗号資産に該当する暗号資産(追加)

複数の事業者が共同発行する暗号資産(追加)

暗号資産信用取引を行った場合(更新)

暗号資産信用取引に係るみなし決済損益額(更新)

●法人税・電子決済手段関係

電子決済手段の取得時の課税関係(追加)

電子決済手段の譲渡時の課税関係(追加)

電子決済手段の期末時の課税関係(追加)

外貨建電子決済手段の期末時の課税関係(追加)

●消費税関係

暗号資産を譲渡した場合の消費税(更新)

暗号資産の貸付けにおける利用料(更新)

●法定調書関係

財産債務調書への記載の要否(更新)

財産債務調書への暗号資産の価額の記載方法(更新)

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参考:国税庁
images:iStocks/maybeiii

参照元:ニュース – あたらしい経済

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