米SEC、仮想通貨取引所Krakenに対し「今年2度目の提訴」クラーケン側は反論
「未登録運営・顧客資産の混同」などの指摘
米国証券取引委員会(SEC)が2023年11月20日に暗号資産取引所Kraken(クラーケン)を運営している「Payward Inc.」を提訴したことが明らかになりました。
米SECは「KrakenはSECに登録せずに証券取引所・仲介業者・ディーラー・クリアリング機関として運営を行なっていた」と主張している他、「Krakenは顧客資産と自社資産を混同し、重大な損失リスクをもたらした」とも指摘されています。
また、米SECは「Krakenは複数の暗号資産証券を取引できるようにしていた」とも指摘しており、証券に該当する仮想通貨として以下の16銘柄を挙げています。
- カルダノ(ADA)
- アクシーインフィニティ(AXS)
- アルゴランド(ALGO)
- コスモス(ATOM)
- チリーズ(CHZ)
- コティ(COTI)
- ダッシュ(DASH)
- ファイルコイン(FIL)
- フロウ(FLOW)
- インターネットコンピューター(ICP)
- ディセントラランド(MANA)
- ポリゴン(MATIC)
- ニアプロトコル(NEAR)
- オーエムジー(OMG)
- ザ・サンドボックス(SAND)
- ソラナ(SOL)
米SECの執行部門ディレクターであるグルビル・グレワル氏は『Krakenは証券取引法を遵守する代わりに、投資家から数億ドルの利益を得るための決断を下した』と主張しており、これによって利益相反に満ちたビジネスモデルが生まれ、投資家の資金を危険に晒していると指摘しています。
このように主張する米SECは「Krakenは1934年証券取引法の登録規定に違反した」と主張しており、罰金・差止命令・不当な利益の返還を求めています。
なお、米SECは今年2月に「登録なしでステーキングサービスを提供した」と理由でもKrakenを起訴しており、Krakenはこの主張を認めも否定もせずに3,000万ドルの罰金支払いに同意し、米顧客向けのステーキングサービスを停止しています。
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Krakenは法廷で立ち向かう姿勢
Kraken(クラーケン)は2023年11月20日の公式発表で米SECの主張に反論しており、「米SECの主張に同意せず法廷で立ち向かい、自社サービスも中断することなく提供し続ける」との方針を語っています。
米SECが仮想通貨を証券に分類して登録を求めていることについては「これは法律・事実として誤りである」と反論されており、仮想通貨XRPの有価証券性をめぐる裁判でXRPが証券と認められなかったことから、今回のケースでも同様の理由でKrakenが勝つだろうとの見解が示されています。
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また、顧客資産と自社資産の混同については「米SECは顧客資産の紛失や損失が発生したとは主張していない」と反論し、顧客資産を不当に扱った証拠がないことなどを指摘しています。
さらに、Krakenは「米SECが仮想通貨規制関連の適切なガイドラインを公表していないこと」も指摘しており、米SECは存在しない制度の遵守を要求していると反論しています。
米SECは以前から仮想通貨関連企業を提訴し続けていますが、米国では仮想通貨企業が守るべきルールやガイドラインがはっきりと定められていないため、ルールが不明確な状態で「執行による規制」を進めるSECには批判の声が上がっています。
今月9日には「米SECの過剰な取り締まりから仮想通貨業界を保護するための予算修正案が反対なしで下院を通過したこと」が報告されており、仮想通貨擁護派の米下院議員であるトム・エマー氏は、米SECの委員長であるゲーリー・ゲンスラー氏を「役立たずの無能」だと批判しています。