【イベントレポート】第1回ツーリズム×NFTフォーラム
8 月24日に、ツーリズム業界におけるNFTの普及を通した業界課題の解決や新たな市場創出を目指す、日本NFTツーリズム協会主催で、「第1回ツーリズム×NFTフォーラム」がオンラインにて開催されました。
イベント概要
本フォーラムは、観光地における地域経営者(自治体、観光協会、DMO)を主な対象とした構成となっており、「NFTやWeb3を活用した地方創生」、「NFTによるデジタルコミュニティの創出」、「海外のNFTによる誘客プロモーション事例」、「メタバース×ツーリズム」、「NFTによる顧客体験の向上」、「ふるさと納税NFT」の計6つのNFT活用モデルが発信されました。第1回ながら、事前の申込者数は110名に達し、当日は、DMO、自治体、ツーリズム関連事業者、ブロックチェーン関連企業、法律事務所、大学教授、マスメディア等多くの分野から参加があったとのことです。
本フォーラムイベント主催について
■団体概要
名称:一般社団法人日本NFTツーリズム協会
設立:2022年4月
代表:岩下 拓
住所:東京都新宿区高田馬場3-25-27
事業内容:NFT×ツーリズムの研究、知識の普及、ネットワーキング・マッチング、調査、PR等
会員例:上場旅行会社、上場鉄道会社、DMO、観光協会、NFTソリューション関連会社、観光マーケティング会社、弁護士、大学教授、NFTプロデューサー、外資系旅行会社顧問等
登壇者一覧
1,「リアルな体験価値と NFT を結びつけた CX 向上施策 ニセコスキーNFT」
東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット ホテル・リゾート開発企画本部 白倉弘規
<プロフィール>
本社のWeb3への取組みにより、NFTプロジェクトの担当に抜擢。スマートリゾートを推進するニセコの国内初のスキーNFT「ニセコパウダートークン」の実証実験を担当。株式会社HashPaletteとリアルな体験価値とNFTを結びつけ新しい体験価値を提供するとともに、NFTを活用した日本の観光資源と不動産の価値向上に取り組んでいる。
2,「世界最速で少子高齢化が進む街を世界一豊かさを誇れる街に」
株式会社MetaAkita CMO 白幡雄大
<プロフィール>
北海道大学卒業。出版社、コンサルティング会社を経て、香港大学でMBAを取得(米国 コロンビア大学MBAへのExchangeも経験)。卒業後は香港のテックアクセサリーブランドに勤務するかたわら、2022年にメタ秋田を起業。現在は香港で起業した自身の会社と合わせて2社を経営している。
3,「メタバースはツーリズム業界に必要か?」
未来創世塾 代表社員 岩田光洋
<プロフィール>
地方行政や商工会議所の支援の他、メタバースの活用研修や構築の支援等を行っている。東海地方のWEB3(NFT、メタバース)研修の第一人者であり、全国初の商工会議所のメタバース展示会の開催、行政、商工会議所や、販売士、税理士の士業組合や大手通信キャリアなどでも研修をしており、専門用語をなるべく使わない初心者でも分かりやい講義に定評がある。
4,「デジタルコミュニティを活用した関係人口の増やし方」
大学教員/日本マーケティング学会理事 小谷恵子
<プロフィール>
明海大学経済学部専任講師、青山学院大学大学院および東海大学非常勤講師。森・濱田松本法律事務所でリーガルマーケティングに従事したのち、青山学院大学大学院で、MBA、DBAを取得。研究領域は、プロフェッショナル・サービス・マーケティング、ファン・マーケティング、地域マーケティングなど。NFTコレクター。
5,「「ふるさと納税 × NFT」で挑む少し未来の地方創生」
株式会社あるやうむ 広報 コミュニティマネージャー たーなー(田中文彬)
<プロフィール>
2021年Web3・NFTと出会い、Web3時代の生き方を模索。NFTコミュニティ運営やWeb3音声配信活動中に、札幌発のNFTスタートアップ「あるやうむ」の活動に共感。2023年4月よりあるやうむの広報・コミュニティマネージャーとして活動開始。今年8月にあるやうむNFTコミュニティ「シン地方DAO」を立ち上げ、「少し未来の地方創生」を推進中。
6,「海外4か国での観光組織による誘客NFT活用事例」
一般社団法人日本NFTツーリズム協会 代表 岩下拓
<プロフィール>
上海、東京での広告会社等勤務を経て、株式会社JTBに入社。法人事業部に所属し、8年間勤務。「トップセールス賞」「サービスイノベーション賞」等を受賞。国内ツーリズム業界の振興に大きく寄与出来る事業を見極めるため、約4か月の全国視察を実施。結果、最もメリットと変革をもたらすツールが「NFT」との考えに 至り、2022年4月に同協会を設立。
登壇者のお話
ツーリズム業界において、NFTの活用事例はまだ少ない。そんな中で先行事例として、NFTのポテンシャルが感じられる多くの情報が共有された。
例えば、東急不動産による「ニセコスキー場リフト券NFT」の取組では、NFTにしたことによる認知拡大の成功、顧客接点の多様化のポテンシャルは高い等の検証結果にいたった。黎明期だからこその認知拡大メリットや、既存顧客とは異なる「NFT保有者層」への訴求に活用出来る、と言う側面を見ることができた。
日本NFTツーリズム協会の「海外4か国でのプロモーション活用事例」では、スロベニア、タイ、中国、ジョージアでの事例が紹介された。中国の世界遺産「莫高窟」の壁画NFTでは、プロモーション、遺産保護に向けた寄付金の募集、文化財のデジタル保存を同時に実現出来るツールである事が紹介された。
また、NFTとこれまでのプロモーションツール(例:SNS、パンフレット、ガイドブック、クーポン券、イベント等)との違いとして、NFTの特性、例えば「保存性」「流動性」「自己顕示性」「証明性」「資産性」等を捉える事が大事ではという話もあった。
参加者アンケートの結果
参加者アンケートでは、「事例が多くて非常に参考になった」「実際にプロジェクトに取り組まれた実務者の方の生の感想が聞けた」「NFT、DAOコミュティで離れた地元に貢献できることを知れた」等、大変満足と満足が83%以上を占めた。
まとめ
ツーリズム業界は、今後自動車産業を抜き、国内最大の外貨獲得市場(年間15兆円市場)と期待されている成長市場でもあり、訪日外国人の来訪が全国各地に恩恵を与える、地方創生にとっても欠かせない業界である。
そのツーリズム業界の中で、DXツールとして、最も汎用性が高いものがNFTであると日本NFTツーリズム協会は考えているようであった。
具体的なツーリズムへのNFT活用案としては、誘客プロモーション、リピーターとしての関係人口づくり、新しいデジタル経済の創出や、組織改革(DAO、コミュニティづくり)、観光コンテンツ開発のための資金調達等に使えると考えられる。
今回、ツーリズム業界における様々な課題や広い分野にてNFTが活用できることをフォーラム参加者と共有していたように思う。
ツーリズム業界の企業は本フォーラムに参加し、情報を発信・収集してはいかがだろうか。
参照元:NFT Media