NFTを進化させる?ERC-6551の機能と影響を解説
ERC-6551という新たなトークン規格が注目されています。ガス代の節約やエアドロップへの適用、ゲームアイテムの一元管理などの利便性が大幅に向上することが期待される一方で、セキュリティや対応プラットフォームの課題も存在するようです。
この記事ではERC-6551の機能と影響を詳しく紹介します。
ERCについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ERC-6551とは何か
ERC-6551は、今年の2月に提唱され始めた新しいトークン規格です。ERC-721のNFTにスマートコントラクトアカウント(アドレス)を与え、Token Bound Account(TBA)に変換するシステムです。
TBAは、ERC-721トークンが所有するコントラクトアカウントのデータ保管庫であり、コントラクトアカウントとそれを所有するNFTをリンクさせることができます。
簡単にまとめると、ERC-6551を使うことで、NFT自体にウォレットのような機能を持たせられるようになりました。
つまり、NFT自体を使ってNFTやトークンを保管したり、取引したりできるようになるということです。
ERC-6551の仕組み
現在NFTの規格として有名なERC-721は、他のオンチェーンNFTとの関連付け・紐付けやエージェントとして機能できないという欠点があり、NFT活用の幅が狭まっていました。
ERC-721の課題である拡張性・汎用性が限られてしまっている点を改善するため、新たに開発されたのがERC-6551です。
ERC-721 NFTにTBAを与えることでERC-6551 NFTになり、拡張性・汎用性が格段に高くなります。
TBAはスマートコントラクトウォレットで、技術的にはERC721 NFTが所有していますが、TBAのコントロールはそのNFTのオーナーに委譲されます。つまり、NFTの所有権が移動したと同時に新しい所有者にコントロール権限が移るということです。
オーナーは、TBAを使用してオンチェーンアクションを開始できます。
ERC-6551は、ゲーム分野などでの活用が期待されています。NFT自体にウォレット機能を持たせられることで、装備品やアイテム、スキンなどを一括で管理できるようになるでしょう。
ERC-6551の利用状況
コミュニティで議論されているERC-6551のユースケースを4つ解説していきます。
まず1つ目のユースケースとして、NFT移動時の活用です。ERC-721の場合、複数のNFTをまとめて移動させることは困難であり、手間とガス代が掛かるという問題がありました。ERC-6551を活用すると、複数のNFTやトークンを含んだNFTを移動させることで、一括で送付できるようになります。また、ガス代の節約にもなります。
2つ目は、エアドロップ時の活用です。従来のエアドロップは、メタマスクなどの暗号資産ウォレットのアドレス宛に送付していました。ERC-6551を活用すると、NFTのアドレスに直接エアドロップが可能になります。
3つ目は、ゲームアイテムへの活用です。ERC-6551では、NFTにウォレット機能を持たせることができるため、それを用いてゲーム内キャラクター装備品やアイテムを一括で管理できるようになります。キャラクターNFTに対してアイテムや装備を付与するイメージを持てば、メリットが理解しやすいかもしれません。
4つ目は、会員カードの特典としての活用です。会員カードNFTを発行することで、カード自体に特典やポイントをダイレクトに付与できるようになります。また、ウォレットを持っていなくても会員カードNFTに特典をエアドロップすることも可能です。
ERC-721よりも格段に利便性が向上しているERC-6551ですが、セキュリティの問題やプラットフォームの対応率の低さなどの課題があります。
これから課題を改善しながら、幅広く活用されていくことが期待されています。
参照元:NFT Media