徹底解説!イベント業界の未来を担う【NFTチケット】とは?
今回の記事では、参入する企業が増えている「NFTチケット」について、ご紹介します。
初めてNFTチケットが登場したときは、市場で注目されることはありませんでしたが、技術革新により、NFTチケットは日常におけるNFTの実用性を示す役割を果たすとともに、注目の的となっています。
▼NFTについて詳しく知りたい方はこちらから
従来のチケット以上の機能を持つ
NFTチケットは、ライブや、イベントへのアクセスパスとして機能します。バーコードやQRコードの従来のデジタルチケットとは異なり、ブロックチェーンに登録されていることが大きな特徴です。
ブロックチェーンを活用することで、より詳細な入場者数の記録を残すことができ、チケット保有者との間に新たな繋がりを生むことが可能です。これにより、NFTチケット保有者に関連するデータを照合することで、最新情報の配信、トークンベースの認証、新たなサービスの提供を行うことができます。
また、NFTチケット保有者は、単にチケットを受け取るだけでなく、保有者限定のイベントへの参加や、ファンクラブに入会できる機会など、特別な体験を味わうことができます。
▼従来のチケットはもう古い?最新の【NFT チケット】とは
イベント参加に特典を上乗せする
さらにNFTチケットを理解するために、SNS等で使われるPFPとNFTチケットを比較します。
PFP
・コミュニティへのメンバーパスとして機能
・希少性が高いため時間経過とともにその価値を高めることができる
・PFPは販売対象者が限定的であるため、金銭的なリスクを伴うものがある
NFTチケット
・すでに存在するコンサートやライブイベントなどが販売元
・PFPのプロジェクトに似た特典を提供するが、デジタルアイテムを保有して報酬を得るのではなく、実際にイベントなど、すでにある体験に特典が上乗せされている
このように、NFTチケットは、実際に存在するイベントに基づいて展開されているのが特徴です。
▼PFPについて詳しく知りたい方はこちらから
アーティストとNFTチケット
Web3のイベントが本格的に広がりを見せたのは2021年頃で、その数年前からNFTチケットは存在していたものの、それほど広まりませんでした。そこから、今のNFTの存在が確立したのは、技術やノウハウが確立されていない時代であっても、トークン化した体験を作りたいというクリエーターたちの思いが強くあったからでしょう。
2018年、有名プロデューサー兼DJであり、ブロックチェーン音楽のパイオニアである3LAU氏は、1日限定コンサート「Our Music Festival」で、ブロックチェーン搭載イベントを開催しました。しかし、NFTチケットは導入されませんでした。当時は、NFTに触れる機会が少なかったことを考慮すると、NFTの導入は困難であったと思われます。
もし、3LAU氏がNFTチケットを発行していたら、彼は間違いなく初のイベントの開催者となっていたでしょう。今もなお3LAU氏は、音楽業界に新たな革命を起こそうとしており、他のアーティストにも影響を与えています。
3LAU Twitter:https://twitter.com/3LAU
スタートアップ企業による技術革新
もともと、NFTチケットの開発はスタートアップから始まっています。2020年当時、爆発的な人気を見せるほどの注目を集めていませんでした。しかし、開発者たちは音楽業界に目を向け、技術の潜在的な価値を掘り下げていたのです。
当初、NFTには以下の2つ機能が音楽業界で活用できないか提案されていました。
・チケットと紐づけて、認証可能な身分証明書として使い、スキャルピングやbot活動を削減する
・参加者へのリマーケティングを行い、イベント後のコミュニティへの参加に誘導する
GUTS Ticketsのようなスタートアップ企業は、NFT技術の構築に取り組み、チケットと個人の口座やIDを結びつけることでスキャルピングを抑制し、同時にアーティストへの二次市場の収益を提供することに成功しました。しかし、このような企業はしばしば障害を起こし、サービスを他の組織へ引き継がなければならない課題と直面していました。
そんな中、NFTチケット販売業界を再び盛り上げているのが、音楽関連チケット販売を手がけるマーケットプレイスYellow Heartです。2022年10月、Yellow HeartはNFTチケットを広めていく広告塔として登場し、急激な価格変化、詐欺、アーティストの再販収益が見込めない状態などを回避できる独自のメタバースを導入しました。
Yellow Heartのメタバースでは、アーティストが、NFTを用いた特典(カスタムレコード、フルアルバム、限定グッズ、ビジュアルアートなど)をチケットにプログラムし、ファンに配布することができます。
Yellow Heart:https://yh.io/
企業によるNFTチケットへの参入は増加の一方
GUTSや、Yellow Heartだけでなく、イベントチケットプラットフォームを提供するGroovooなどのベンチャー企業もこぞって、NFTチケット事業を加速させるべく業界に参入し始めています。
例えば、tokenproofはトークンゲートによるユーティリティを全面的に推進することを目標としています。tokenproofを利用すると、イベント主催者はトークンゲートの基準を満たした、複合型の商品を販売するワンストップショップにアクセスができ、ユーザーはトークンを使用してイベントに参加したり、買い物をすることができます。
tokenproofの使い方は、イベントだけにとどまりません。このプラットフォームでは、ライブ配信、ブログ記事、ポッドキャスト、音楽配信など、より幅広いコンテンツの提供が可能です。
今後、NFTチケットの導入に踏み切る企業はさらに増える見込みです。
また、スタートアップだけでなく、他業界でもイノベーションが起こることを期待しています。
tokenproof:https://tokenproof.xyz/
NFTを活用したフェス
・Coachella
世界最高峰音楽フェスのCoachellaは、ブロックチェーン技術をAPIに統合しようと試みるフェスティバルとして、今後最も注目される企業として知られています。
記録に残り、かつ生涯使えるパスとして「Coachllea Collectible NFT」が発表されましたが、FTXの破綻により中止となりました。
Coachella:https://coachella.com/
・Afterparty
Soinは、今まで音楽フェスティバルの典型を覆すことを目標に、2022年3月に行われたAfterpartyのアクセスパスとして1,500個のNFTを提供しました。
Afterparty:https://afterparty.ai/festival
・Way Out West
スウェーデンで開催されるフェスであるWay Out Westでは、参加者がフェスティバルの記録をかたちにできるNFTが発行されました。(パスとしては機能しない)
Way Out West:https://www.wayoutwest.se/
・Rolling Loud
世界最大のヒップホップフェスティバルであるRolling Loudが2023年に開始した大規模PFPプロジェクト「Loudpunx」では、チケット保有者は継続的なインセンティブが与えられます。LoudpunxのPFPを保有者は、今後開催されるすべてのRolling Loudの音楽イベントへの参加が可能です。
Rolling Loud:https://www.rollingloud.com/
NFTチケットが最も有効に活用されたWeb3サミット「CONSENSUS」
これまでのところ、NFTチケットが一番有効に使われた事例は、音楽関連のイベントではなく、Coindeskが毎年開催するWeb3サミット「Consensus」です。
Art Blocks Engine、tokenptoof、Passage Protocolの3社とCoindeskが連携し、NFTコレクション「Microcosms」を立ち上げ、保有者にサミットへのプロパスアクセスを3年間保証し、2023年から2025年にかけて展開が計画されている報酬システムを提供しました。
Microcosmsは、ブルックリンを拠点とするアーティストのFahad Karim氏が制作した1,000枚の個性豊かなジェネレーティブアートから構成され、長期的な実用性を備えたチケットコレクションです。
このチケットのユースケースが、NFTチケットを生み出すビジュアルアーティストなしには成立しないように、チケット自体も、アーティストが生み出すプロジェクトがなければ存在できません。
Consensus:
https://consensus.coindesk.com/
大規模イベントのみならず個人のアーティストもNFTを活用
大規模なプロジェクトにとどまらず、個人で活動するミュージシャンやアーティストにもNFTチケットが浸透しつつあります。
パンデミック期間に、多くのアーティストがファンベースの活動を強化するためにNFTとブロックチェーンを導入しはじめ、NFTは急速に音楽業界へ取り込まれていきました。そのため、NFTチケットは、急成長する音楽NFTのエコシステムに欠かせない一部分になりつつあります。
例えば、ポップアーティストのPip氏は、個人のクラウドファンディングの一環として発売したCotton Candy NFTで注目を集めました。Cotton Candy NFTを購入すると、会員制プラットフォームへの参加ができるほか、Pip氏のヘッドライナー公演に上限なしで参加できる権利が与えられるなど、様々な特典が用意されています。
このようなシステムは、大規模なフェスティバルで使われるものと同じですが、より小規模で、個人に沿った大きさが存在します。このような小規模のものも人気が高まっており、The Cool Kidsや、Steve Aokiなどのアーティストは、NFT保有者にコンサートへ無料で参加できるチケットを提供しています。
Pip Twitter:https://twitter.com/Pipmusic_
イベント参加者を巻き込むプロトコル「POAP」
アテンダンス・プロトコル(POAP)は、ブロックチェーン技術を利用して、利用者がNFT証明を作成できるようにするプロトコルです。
POAPは、イベント運営側が、熱狂的な参加者に報酬を与えることを可能にします。POAPは、Devconなどのブロックチェーンを活用したイベントや、イーサリアムやビットコインの各種イベントに関わっています。
そして、POAPは、イベント参加者、Twitterスペース参加者、NFT購入者、Discordイベント参加者などにブロックチェーンをベースとした記録を提供する手段として急速に普及しました。
これらは、ステータスシンボルとしての有用性を持ち始め、保有者がOpenSeaでPOAPを取引し、特典を得るきっかけとなりました。
多くのアーティストや開発者がPOAPを使用して、保有者をホワイトリスト化しています。
POAP:https://poap.xyz/
より使いやすく多くの層に浸透させる
今後、NFTチケットがより一般的になり、普及していくには、「使いやすさ」が大きな鍵になってくることでしょう。
音楽業界では、コレクションや、クラウドファンディング、フェスティバルのライフタイムパスなど、NFTのアイデアを取り入れ始めてはいますが、大多数の音楽ファンはNFTに消極的な姿勢を見せています。
3LAU、Steve Aoki、BT、Snoop Doggなどデジタルネイティブなコミュニティでは、NFTチケットについて理解を示していますが、NFTに馴染みがないファンにとっては、従来のチケットの方が使いやすいのが現状です。
音楽とNFTのギャップを埋め、より多くの音楽ファンをNFTの世界へどう引き込むかが重要です。
▼【NFT×音楽】国内外のアーティストによるNFT活用事例18選
元記事:https://nftnow.com/features/nft-tickets-are-the-future-of-live-music/
参照元:NFT Media