黒/赤/紫イーサとは

世界最大のNFTプラットフォーム「OpenSea」で使われるイーサリアム(イーサ・ETH)には3つの種類があります。黒/赤/紫と色によって変わるそれぞれの特徴と注意すべきことについて紹介します。

黒/赤/紫イーサとは

NFTを売買する際に「黒イーサ/赤イーサ/紫イーサ」という言葉を耳にします。同じイーサでありながら色や呼び名が違うため最初は非常に戸惑います。この記事ではそれらの違いや特徴を解説します。

黒/赤/紫はOpenSeaだけ!

まず重要なことはETH(イーサ)をこの色で表現しているのはあくまで「OpenSea独自の色分け」ということです。黒イーサ/赤イーサ/紫イーサという暗号資産は存在せず、あくまでOpenSeaが、見分けやすいように「ETHを黒ダイヤマーク、WETHを赤ダイヤマーク、Polygon上のETHを紫ダイヤマーク」で表示しているだけです。

例えばNFTマーケットプレイスMaginEdenではPolygon上のETHも黒ダイヤマークで表示しています。

MaginEdenではPolygon上のETHも黒ダイヤマーク

MaginEdenではPolygon上のETHも黒ダイヤマーク

重要なことは、OpenSeaを始めとするNFTマーケットプレイスにおいてよく使われる暗号資産として、

Ethereumネットワーク上のETH
Ethereumネットワーク上のWETH
Polygonネットワーク上のETH

の3種類がある、ということです。

この3種類をOpenSeaでは見分けやすいようにそれぞれ黒/赤/紫で示しているのです。

ひとつずつ特徴を解説していきます。

Ethereumネットワーク上のETH

これは非常にシンプルです。Ethereumネットワークにおいて基軸通貨となる通貨「ETH」です。「イーサ/ETH」といえば普通、このETHを指します。NFTを買うのに使用したり、またEthereumネットワーク上で何かを行うための手数料(ガス代)として支払われたりするのがこのETHです。

Ethereumネットワーク上のWETH

こちらはOpensea上では主に「オークションの入札」に使われるものです。ETHとWETHは同じネットワーク上にあり、価格も同じですがETHをWETHにする、また逆にWETHをETHにするためには手数料を支払って交換する必要があります。

例えるなら、日本円とゲームセンターのコインのような関係です。ゲームセンターで遊ぶためには日本円はそのままでは使用できず、そのセンター内のコインに交換する必要があります。またそのコインは通常のお店では使用できないため、使用したければ再度日本円に交換する必要がある、ということです。

WETHのWは「Wrapped」、「包まれた」という意味です。

OpenSeaでオークションに参加するためにはいわばオークション用のコイン(WETH)が必要なので、本来のETHを交換所で「包んで」もらい「WETH」にしてもらう必要がある、ということです。

少し専門的にいえばETHとWETHは「規格」が違います。そのためWETHはETHとくらべて手数料が安く抑えられ、OpenSeaにおけるオークションのみならずDeFiと呼ばれる金融サービスなどでも使用されています。

Polygonネットワーク上のETH

OpenSea上では紫で表示されているのがPolygon上のETHです。こちらも「Polygonのために包まれた(Wrapされた)ETH」なので正確には「Polygon上の、Wrapped-ETH/WETH」です。

しかし、紛らわしいため本記事では「Polygon上のETH」と表記します。

ETH/WETHは同じEthereum上の通貨でしたがこちらはEthereum/Polygonとネットワークが異なっています。そのため、いくらETHを持っていてもPolygonネットワークでは使うことが出来ませんし、Polygon上のETHをEthereumネットワークで使用することも出来ません。

例えるなら同じ「ドル」だが、アメリカのドル(USD)と香港ドル(HKD)は違う、ということになります。(ただし、ETH/WETH/Polygon上のETH、はどれも価格は同じ)

アメリカで香港ドルを使いたければ交換所にいって香港ドルを米ドルに交換して貰う必要があるように、Polygon上のETHが欲しければ何らかの暗号資産を交換所でPolygon上のETHに交換してもらう必要があるのです。

3種類のETHを取り扱う際に注意すべきこと!!

これらの違いで最も注意すべきは、所有するETHを日本円に換金しようと思いネットワーク上から「取引所」に送るときです。

ほぼすべての暗号資産取引所は、「ETH」しか扱っていません。ですから取引所の自分の口座のアドレスに「WETH/Polygon上のETH」を送ってしまうとほぼ高い確率でその暗号資産が見えなくなってしまう、場合によってはどこに行ったかわからなくなり、永久に取り出せなくなってしまう、ということが起こります。これが俗にいう「セルフ・ゴックス(*1)」です。

こういった事態にならないよう、取引所に送るときにはどの暗号資産に対応しているかを必ず確認してください。(多くの場合、ETHのみ対応しています)そしてETHを送る必要がある場合にはWETHであればスワップ、Polygon上のETHであればブリッジ、と呼ばれる「交換」を行いETHにしてから送るようにしてください。

まとめ:

  • Opensea上のNFTの取引で主に使用される「ETH」は3種類
    • Ethereum上のETH
    • Ethereum上のWETH
    • Polygon上のETH

  • それぞれOpenseaでは「黒/赤/紫」で表示されているがこれはOpensea独自の仕様、単なるサイトデザイン。黒イーサ/赤イーサ/紫イーサという仮想通貨は存在しない。

  • ほぼすべての取引所で対応しているのは「Ethereum上のETH」のみ。取引所にWETH/Polygon上のETHを送りたければスワップ/ブリッジが必要。

*1 2014年に当時最大の仮想通貨交換業者であった「マウントゴックス社」の資金が大量流出してしまった「マウントゴックス事件」から、暗号資産が不正に失なわれていることを俗に「ゴックス」という。その中でも自分の不注意やミスによって暗号資産を失ってしまう、取り出せなくなってしまうことを「セルフ・ゴックス」という。

参照元:NFT Media

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