【pNounsとは】あの「Nouns」を共同保有できるかもしれないプロジェクト
pNounsとは?
NFTコレクションの中で他コレクションとの大きな差別化に成功し、独自の人気を誇っているNounsについては以前、当メディア記事で紹介をしました。
▼NounsDAOとは
今回、そのNounsを共同保有することを目的としたpNounsというプロジェクトがスタートしています。
本記事では、そのプロジェクトのスタートから現状までをレポートします。
そもそも「NFTの共同保有」とは?ApeDAOの事例
高価すぎてなかなかひとりでは購入・保有することが難しいNFTを複数人で共同保有する、というアイディア自体は目新しいものではありません。
高名なものではBored Ape Yacht Club(以下、BAYC)を共同保有するために設立されたApeDAOというDAOが過去に存在していました。2021年夏に設立されたこのApeDAOは一時期はBAYCを81体保有し、その時点での保有量が第二位となる大口保有者でした。しかしこちらのApeDAO、結果としてDAOメンバーの話し合いの結果、解散となりました。
■参照記事
NFTを複数人で保有するには?NFTコレクターDAO「ApeDAO」の解散劇(金融投資メディア「HEDGE GUIDE」より)
https://hedge.guide/feature/apdao-dissolution-bc202203.html
端的にどのようなことが発生したかというと、このApeDAOは「APED」という独自トークンを発行し、この保有量によってDAOの方向性を決議するDAOでした。
理論上は優良NFTであるBAYCを共同保有し、保有していることの証明になるトークンAPEDは価値が上がるはずです。しかし実情は、保有しているBAYCの価値以上にAPEDが価値を持つことはありませんでした。
APEDが解散するかどうかという協議が行われていた2022年3月の時点で、DAOが保有するBAYCの合計時価総額は約13,000ETHであり、ここから算出すれば1APEDは16ドルになっていてもおかしくないはずです。しかしその時点での1APEDの市場価格は8ドルと理論値の半額となってしまっていました。つまり、DAOとしてBAYCを保有しその価値を担保するトークンを発行するよりも、組織を持たず各人が通常通りBAYCを保有していたほうが2倍の価値があった、ということになります。
結果として、ApeDAOはDAOがメンバーによる決議により解散、保有していたBAYCはオークションに掛けられ収益はAPEDホルダーに分配という運びになりました。
SharkDAOとLil Nouns
一方でNounsに関しては共同保有に成功しているDAOもあります。
SharkDAO
そのひとつはSharkDAOです。
Sharkというトークンを発行しNounsの共同保有を目的にしたDAOであり、現時点でNounsを6体保有しています。
Lil Nouns
15分に一度、Lil Nounsを発行しオークションを行ういわば「Nounsの子ども版」といえるLil Nounsも本家Nounsを10体保有しています。
▼Lil Nounsが保有するNouns一覧
https://opensea.io/0xd5f279ff9EB21c6D40C8f345a66f2751C4eeA1fB/nouns?tab=collected
こちらはNounsを保有することを目的としているわけではありませんが「Nounsの共同保有」に成功しているDAOであるといえます。
この2つの共同保有の成功は「NounsNFTが1票となりホルダーによる投票で資金の使い道が決められる」というNounsDAOの特性によるものも大きいと考えられます。
LowEffortNounsの事例
しかし、もちろんNounsの共同保有であればすべてのプロジェクトが成功するというわけではありません。
Nounsを保有することを目的とする「LowEffortNouns」というプロジェクトもありますが、こちらは現時点で共同保有、Nounsの購入に至っていません。このプロジェクトはLow Effort(低い努力・ヘタウマ)な手描きでNounsを再現したNFTを販売し、その収益で本家Nounsを購入することを目指しています。
しかしこちらのプロジェクトは5,635体の発売に対して現時点で2,556枚の販売に留まっており、本家Nounsの購入には至っていません。
これらのことから「NFTの共同保有」は不可能ではないが、簡単なことでもないということが言えます。それを目指すのが今回ご紹介するpNounsです。
pNounsプロジェクトの概略
始まりはpaji氏のツイートから
pNounsの始まりはpaji氏によるこちらのツイートからでした。
paji氏はTokyo Otaku Mode共同創業者兼COOであり、web3におけるインフルエンサーの一人です。更に、CryptoNinjaを一番最初に購入したことでも知られています。
もともとpaji氏はNounsに強い関心を寄せており、paji氏によるAIアート・コレクション「dシリーズ」にもNounsをAIによって再現した「dNouns」があります。
氏が運営するdシリーズ保有者向けのDiscordコミュニティ「d_」において上記、始まりのツイートが貼られたことからコミュニティメンバー内での議論が始まり、自律分散的にプロジェクトがスタートしています。
中島聡氏の参画
このプロジェクトが注目される理由の一つが、開発面での中島聡氏の参画です。
エンジニア・起業家として知られる氏は、過去にマイクロソフトにおいてWindows95やインターネット・エクスプローラーの開発に携わられたことで高名です。氏は本家NounsのNFTを所有しておりWeb3分野においても様々な活動をされています。氏がもともとpaji氏と交流があったことから今回のpNounsにも参画に至りました。
すでにフルオンチェーン・ジェネラティブアートを発表されていた氏は、今回のpNounsNFTを発行するにあたり、フォントが必要となったため、このフォントを降るオンチェーンにするための「On-Chain Alphabet」を発表しました。
こちらのコレクションもリリース後、まもなく完売となりました。こちらのプロジェクトによってブロックチェーンに書き込まれたフォントはオープンソースであり、誰でもブロックチェーン上で活用できる形になっています。このプロジェクトの売上の一部もpNounsプロジェクトの資金として提供される予定です。
pNounsの目標とは?
多くのプロジェクトメンバーとNounsに関心を持つ方々によって注目されているこのプロジェクトですが、そもそもの目標は何なのでしょうか?
公式サイトによると、リリースしたNFTの売上によってNounsNFTを購入し、それによりNounsDAOの一員となることとあります。Nounsは毎日行われるオークションによってNFTが売買されており、その売上のすべてはトレジャリーと言われるウォレットに蓄積されます。そのトレジャリー内の資金(現時点で約50億円)の使い道をNounsDAOメンバー(NounsNFTホルダー)の投票によって決められます。共同とはいえNounsを保有することはこの50億円のトレジャリーに対して自分の意思や意向を反映させられる可能性がある、ということになります。
pNounsのロードマップ
現在発表されているロードマップの概略は下記のとおりです。
フェーズ01:1,000いいねチャレンジ
フェーズ02:NounsNFT1体目の購入
フェーズ03:NounsNFT2体目の購入
フェーズ04:NounsNFT3体目の購入
フェーズ05:本物のDAO作る
フェーズ06:本家NounsDAO提案
これから想定するに、pNounsNFTによって集めた資金によって3体のNounsNFT購入が検討されており、その3体を持って本家NounsDAOに提案をする、ということ目標されていると考えられます。
※NounsDAOの提案に対する「投票」はNounsNFT1体が1票と換算されます。しかし自ら提案を発議するためには現状2体以上が必要となるため、複数の購入を検討されていると考えられます。
pNounsNFT販売情報
現状発表されているpNounsNFTの販売情報は以下のとおりです。
発売日:2022年12月16日金曜日(日本時間)
販売枚数:2100枚
販売価格:0.05ETH
pNounsの返金システム
今回のプロジェクトの特徴として「返金システム」が実装されています。例えば、pNounsを販売して資金を集めたとしても、NounsNFT自体が顕著に値上がりし購入できない、という可能性も考えられます。このように「集めたけど何らかの理由によりNounsが買えずに資金が運営側で止まってしまっている」という状態を避けるための返金システムです。公式サイトによればフェーズ01「1体目のNouns購入」の段階で購入できなかった場合、購入者には必要経費(かかったガス代など)を除いた全額が返金されるとのことです。これは購入者側のリスク軽減の仕組みと言えます。
まとめ
多くの人に知られ注目されている巨大DAO「NounsDAO」の共同購入・保有は実現するのかどうか。16日の発売が注目されます。
参照元:NFT Media