国内2大NFTレンタルサービス事例
はじめに
現在、NFTはコンテンツと紐づいて活用されています。具体的にはアート、コレクション、ゲーム、不動産などです。つまりNFTを購入するとそのコンテンツから生まれる体験・ユーティリティ(実用的な特典)を得ることができます。
しかし、多くのNFTの発行量には上限があります。また、希少なNFTには投機的な価値も生まれるため一部の投資家による買い占めも起きています。それによりNFTの運営側の思惑とは異なり、一部のNFTホルダーにしかユーティリティが行き渡らないという新たな課題が起きています。
この課題を解決しようとしているのが、NFTレンタルサービスです。
NFTレンタルサービスでは、借り手は、流通する市場価格よりも安価にNFTのユーティリティ体験が可能となり、貸し手は保有するNFTを売ることなくレンタル料による新たな収益源を獲得できるという双方へのメリットがあります。
今回はそんな今後のNFTとの新しい関わり方を提唱している、国内のNFTレンタルサービスの事例と共に、海外の撤退してしまったNFTレンタルサービスについても紹介します。
NFTレンタルサービス事例
RentaFi(レンタファイ)
引用:NFTレンタルサービス『RentaFi』が本リリース開始。NFTを利用したゲームアイテム、NFT会員証などの貸し借りを実現。
運営会社:synschismo株式会社
サービスURL:https://rentafi.org/
公式Twitter:https://twitter.com/synschismo
リリース時期:2022年10月
RentaFi(レンタファイ)は、NFTの貸し借りを行える国内発のプラットフォームとして2022年8月にβ版リリース、同年10月から正式リリース版がローンチされました。
特徴として、貸し借りの取引はサービス内で自動で処理するため、NFTを貸し出す際の盗難のリスクや借りる際の返却忘れのリスクを回避することができます。また、レンタルに対応できるNFTを拡大するため、GameFiやNFTを会員権とする実店舗、NFTのコレクションなどと提携しています。
EXA(エクサ)
引用:Exa
運営会社:Tavern株式会社
サービスURL:https://exaw.io/
リリース時期:2022年10月
EXA(エクサ)は、NFTをワンクリックで簡単かつ安全にレンタルできる国内発のNFTレンタルプラットフォームです。
スカラーシップ(※1)を実施する際には、借り手・貸し手双方で頻繁にメッセージをやり取りする手間や貸し手から秘密鍵を取得してウォレットごと盗まれるリスク、手数料を貸し手に返さずに持ち逃げされるリスクなどがありました。EXAはこれらの問題を解決をするプラットフォームです。
EXAは、EXA for Scholarships(スカラーシップ)とEXA for Rentals(レンタル)の2バージョンがあり、EXA for Scholarships β版及び、EXA for Rentals テストネット版が一般公開されています。
初期利用ユーザーは東南アジア(例えばフィリピン)等で今までNFTが高価で購入できなかった人を想定しています。
運営会社であるTavern株式会社は2020年12月に設立された企業で、EXAの他にAIによるイラスト自動生成アプリ「うちの子」やグループ通話をアーカイブできる「Tavern」を展開しています。
また、2022年8月にはプレシードラウンドとしてクオンタムリープベンチャーズ(QXLV)や個人投資家7名より3,450万円の資金調達を実施しています。
※1 スカラーシップ:NFTゲームで遊ぶために必要なNFT(アイテム等)を貸出する制度の事。
NFTレンタルサービス撤退事例
Rentable(レンタブル)
リリース時期:2022年6月
Rentable(レンタブル)は、特定のプラットフォームに依存するのではなく、どのようなDAppでもユーザーにレンタルを提供できる世界を実現した海外発のNFTレンタルサービスです。
NFTレンタルサービスとして2022年6月に正式リリースされましたが、わずか4ヶ月後の同年10月に全てのサービスを停止、NFTレンタルサービス事業から撤退しました。
Rentableは、2021年の夏に企画が立ち上がり、2022年1月にベータ版のローンチを経てリリースされたものでしたが、テストをしたもののトラクションを得られず(ユーザーが増えず)、このタイミングでの成長は残念ながら見込めないと判断したようです。
編集部考察
NFTは、今までは「安く買って高く売る」というキャピタルゲインが主な収益の獲得方法でした。
しかし、このNFTレンタルサービスの台頭によりNFTを「貸す」とインカムゲインとして収益が期待できるようになりました。
とはいえ、編集部としてはNFTのマーケットサイズそのものがまだまだ小さい中で、NFTのレンタルマーケットとなるとさらに小さいものであると感じています。
ビジネスはタイミングが命です。NFTレンタルのサービスは、BG(ブロックチェーンゲーム)やNFT会員権などが市民権を得ない限り、現段階では苦しい戦いになるのではないでしょうか。
とはいえ、NFTのさらなる可能性を見出してくれる仕組みの一つとして、編集部は今後も注目を続けます。
参照元:NFT Media