左ききのエレンNFT漫画事件簿【NFTアートの正しい理解に向けて】

人気漫画「左ききのエレン」のNFTアートオークションの販促漫画として公開された特別編「THROW UP THE DEUCE」(以下、左ききのエレンNFT漫画) でNFTアートの説明が大きく間違っていて問題視する声が数多く上がり問題になりました。結果的にバーチャル美少女ねむが監修させて頂き、現在は表現を修正頂きました。今後の健全化に向けた注意喚起として、作者のかっぴー先生了承のもと、本記事で顛末を公開します。

NFTアートは価格操作等の為にありもしない機能が吹聴されがちで、大手メディアも平気でめちゃくちゃな誤情報を流しており現在世界的に大きな社会問題になっています。本件は単なる確認ミスかと思いますが、NFT関連企業が運営している有名コンテンツを扱った企画でもこういったことが起こってしまったのは非常に残念です。今回かっぴー先生が誤情報が広まるリスクを理解し辛抱強く対応してくれて、適切に修正が行われたのは本当によかったですし、今後NFT業界の健全な発展のためにも正しい理解が広まっていくように願っています。

左ききのエレンNFT漫画【公開時】

2022年4月14日10:13に公開された漫画の該当部分p9~12がこちらです。

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左利きのエレンNFT漫画【公開時】p9
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左利きのエレンNFT漫画【公開時】p10
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左利きのエレンNFT漫画【公開時】p11
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左利きのエレンNFT漫画【公開時】p12

NFTアートはアート自体が「複製不可能」(コピーガード) になるわけでも「世界に一つ」(唯一性の証明) になるわけでもない

これはよくある誤解なのですが、NFTアートは紐づけたアート自体が「複製不可能」(コピーガード) になるわけでもないし、「世界に一つ」(唯一性の証明) になるわけでもありません。こちらTwitter上で問題視する声が数多く上がり、私も誤情報について指摘させて頂きました。

特に本件はNFTアートを「販売」するオークションのキャンペーン漫画であり、そういう意味でもかなりリスクが高いと思いました。

左ききのエレンNFT漫画【修正版】

それを受けて、2022年4月14日23:47に修正版が公開されたのですが…

左利きのエレンNFT漫画【修正版】p12
左利きのエレンNFT漫画【修正版】p12

NFTであれば「アート作者が作ったことが証明される」わけではない

修正されたこと自体は良かったのですが、残念ながらNFT自体には「アート作者が作ったことを証明する機能」も一切ないのでこれも誤りです。実際に他人が勝手にNFTを発行して多数の訴訟問題が発生しています。再度Twitter上で問題視する声が上がり、私からも改めて指摘させて頂きました。

これを受けて、作者かっぴー先生からの依頼で、今回私が漫画の中でのNFTアートの表現について監修させて頂くことになりました。

作者かっぴー先生および運営企業さまからヒアリングを行った上で、私から修正案をまとめてお送りしました。(2パターン提案して先生に選んでもらう形にしました) 念のため私以外のNFT関係者数名にも読み込んでもらって内容のダブルチェックを行いました。

※修正案の詳細資料も公開:こちらに私の考察が詳しくまとまっています

https://docs.google.com/document/d/1w1OZzMKP3hMWzUDPd36-kwXJBUHeG0rVdMQRKe_Teqo/edit#

左ききのエレンNFT漫画【再修正版=ねむ監修版】

これを受けて、2022年4月22日19:15に再修正版=ねむ監修版が公開されました。これで誤情報もなく、なおかつ誤解されずらい、問題ない表現になったかのではないかと思います。改めて、誤情報が広まるリスクを理解し辛抱強く対応してくれたかっぴー先生、本当にありがとうございました。

左ききのエレンNFT漫画【再修正版=ねむ監修版】p11
左ききのエレンNFT漫画【再修正版=ねむ監修版】p11
左ききのエレンNFT漫画【再修正版=ねむ監修版】p12
左ききのエレンNFT漫画【再修正版=ねむ監修版】p12

まとめ:NFTアートのよくある誤解

NFTアートに関するよくある誤解については以下のようなものがあります。
・NFTを所有してもアート自体を所有したことにはならない
・NFTにはアートの複製防止機能はない(コピーガードではない)
・NFTアートは他人が発行できてしまう(アート作者を証明するものではない)

NFTアートは価格操作等の為にありもしない機能が吹聴されがちで、大手メディアも平気でめちゃくちゃな誤情報を流しており現在世界的に大きな社会問題になっています。

私が作成に協力した文化庁のNFTの報告書(文化審議会文化経済部会 基盤・制度ワーキンググループ報告書)でも、NFTに関する誤解やトラブルについて懸念事項として以下のように挙げられています。

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文化審議会文化経済部会 基盤・制度ワーキンググループ報告書

NFTアートはアート作者とファンの間の新たなコミュニケーション手段として、私自身も大きな可能性を感じていますが、誤情報で販売してしまったら詐欺に該当する場合もあると思いますし、誤解が広まるとせっかく育っているコミュニティが残念な結果になりかねません。今後NFT業界の健全な発展のためにも正しい理解が広まっていくように願っています。

個人的には、例えばNFTアート関係企業が集まって業界団体を作るなど、NFTアートへの正しい理解を広める動きがNFTアート業界内から起こってほしいと思います。(こういうの↓ではなく)

「日本メタバース協会」の違和感 “当事者不在”の団体が生まれる背景12月7日に設立が発表された「一般社団法人日本メタバース協会」。設立したのは4社の暗号資産(仮想通貨)取引業者であることかwww.itmedia.co.jp

こらら誤解について、詳しくはこちらの記事にわかりやすくまとめていますのでぜひご覧ください。
https://note.com/nemchan_nel/n/n14485904820f

転載元:https://note.com/nemchan_nel/n/nb52c49e60920
作者:https://twitter.com/nemchan_nel

※本記事は、作者様に許可を取り転載しております。

参照元:NFT Media

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