なぜNFTアーティストは儲かるのか?結論:時給の外にいるから。

「NFTアーティストは、なぜあんなに儲かるんだ?」
「無名絵師の絵が1枚20万で売れるなんてオカシイんじゃないの?」

と疑問に思った事はありませんか?

特に、あなたが時給いくら、1枚絵いくらで稼いでいる人の場合、NFTの法外な値段と、それが売れてしまう環境に怒りと疑問を抱いていると思います。NFTなんてうさんくさい、詐欺だ、一過性のブームだ…そんな風に思考ロックして、NFTやWeb3.0の世界から目をそらしている人も多いともいます。

しかし、NFTが活発に売買されている理由、コミュニティが活発な理由、そして本題である「儲かる理由」を知ることは、次世代の消費活動を知りマーケティングの知識を深めるという点でも、非常に重要だと思ったので今回長文で書かせていただきます。

「NFTが儲かる!」みたいな切り口は、NFTやってる人からすればあまり良い話じゃない(投機として見られる!)みたいな反感を覚えるかもしれませんが、一般層をNFTの世界に呼び込むためには、下世話なマネー話からはいった方がフックが強いと思ったので、今回の表題にしました。

さて本題。なぜNFTアーティストは儲かるのか? 結論から言ってしまうと、NFTアーティストは「時給の概念の外」にいるからです。

今回はNFTアーティストが儲かる理由と、その背景を説明します。

はじめに:時給労働には見えない天井がある

まず最初に知っておいて欲しいのは「時給いくら」で商売をしている人は得てして儲からないという事です。儲からないというのは言い過ぎですが、少なくとも『法外な値段での大儲け』は出来ない…という意味です。

例えば、絵を1枚いくらで販売している人は、ある程度、相場というものに影響を受けますよね。そして、その相場は概ね絵を完成させるまでの時給から逆算して形成されています。

例えばSNS用アイコンを描くのに1枚30分かかるなら1枚1000円(時給2000円)が相場かな~とか。こんな風に、各々が自分の時給を考えて相場が形成されていきます。ココナラやランサーズで市場をチェックすると、良く分かると思います。

しかし、大儲けしようと相場を超えた金額で市場に出すと、単純に価格で比較され、受注が相場価格のライバルに流れてしまう。かといって相場より低く出しすぎると、割に合わないから継続できない。このバランスが相場を作り、アーティストの報酬額を決定するのです。

私はこれを「見えない天井」と呼んでいます。どんなに腕を鍛えても、天井を超えた報酬額を貰おうとすると上手くいかない。

1枚いくら、時給いくら…という相場基準が、買い手の心にアンカーとして強く刺さっているから、そこを起点に計算されてしまうのです。

NFTには相場がない

一方、NFTには相場なんてあってないようなものです。「複製できない一点もの」という触れ込みですので、一人欲しいと言ってくれる人がいるならば、例えば1枚10万円だろうと100万円だろうと、それこそ1000万、1億だろうと売れるのです。

売ってるものは絵なので、普通に考えれば1枚絵を売るのと相場が変わらないはずなのですが、これは文化の違いであり、文脈の違い、世界観の違い、見ている視点の違いが大きいのだと思います。

そもそもNFTは仮想通貨、メタバース、Web3.0という超自由主義、超未来主義の文脈で生まれたアートなので「ただ1枚絵を売っている」という文脈じゃないんですよね。

「Web3.0を支持している」「未来技術にワクワクしている」「うさんくせーと言われても、なお未来を信じる価値観を持っている」という強い価値観が付与されているのです。NFTには。

そもそもNFTを買うにも売るにも、仮想通貨やウォレットが必要で、ぶっちゃけ求められるリテラシーは高いです。非常に面倒くさいし、ガス代(手数料)も高いし、非効率の極みです。クレカでサクッと買うことも出来ません。

じゃあ、なんでこんな面倒くさい取引を好んでやる人がいるのかというと、前述したように「Web3.0を支持しているか?」という踏み絵なんですよ。

NFTはWeb3.0コミュニティに入るための儀式

よく宗教や信仰で「儀式」というものがありますが、仮想通貨を使って売買するのは、まさにWeb3.0の踏み絵の一つなのです。これすら出来ない奴はいらないよ。でも頑張って勉強して飛び込んできたら、仲間として歓迎するよ…というクローズドコミュニティの入隊試験なのです。

「これからインターネットはクローズド化していく」と多くの人が予想していますが、私はWeb3.0もといNFTの世界では既に起こっていると思っていて、そしてクローズドであればあるほどカルト的に仲間意識が強くなり、世界観は強化され、相場という概念が壊れていくのです。悪く言えば集団幻想とも言えますが、良くいえば強力なコミュニティのつながりです。

こういった背景を加味すれば、1枚10万、1枚100万でNFTが売れる理由が分かると思います。

「奴らはラーメンを食ってるんじゃない、情報を食ってるんだ」とラーメンハゲが言ってましたが、まさに同じことがNFTで起こっているのです。奴らは絵を食ってるんじゃない、Web3.0の未来を食ってるんだ…的な。

そして、NFTの文化として

「NFTは意味ない、デジタル所有権なんて無意味という人がいるけど、我々が信じているなら、それは事実だよね。つーかそれも含めて全部アートだよね。アートって買い手が買いたいと思ったらそれでいいんだよね」

という価値観もあいまって、外の世界と断絶しつつ、新たな相場…もとい相場破壊が起こっているのです。もちろん外の世界との文化衝突も起こりやすいので、まぁ荒れたり色々話題になったりしてる訳です。

話を戻しますが、これがNFTアーティストが儲かる、もとい『時給という概念の外にいる』という事なのです。

NFTはプロセスエコノミーが付加価値になっている

もう一つNFTが相場の外に出ている、時給概念を超えている理由としてプロセスエコノミーがあります。

プロセスエコノミーとは、クリエイターが作品を作るまでの過程を公開して、そのストーリーを含めて作品とする価値観です。例えばNFTで借金返済するぞー!という人がその過程を4コマで公開しながら実際にNFTを出したら、速攻で高値で売れて借金返済できちゃった…という話が直近でありました。

これは「NFTで借金返済」という面白い企画にノッた人が、そいやそいやと神輿をあげて祭りにしたケースですね。普通に考えれば、始めたばかりの無名の絵師がいきなり高値で絵が売れるなんて考えられない事です。しかし、NFTのプロセスエコノミー、つまり「こいつ面白い」というアンテナに引っかかり、祭りが始まった結果、その過程も含めて高値がついた…という事なのです。

NFTで借金返済したぴぴぴさん↓

これがプロセスエコノミーであり、相場が簡単に破壊され無名であっても売れる真理です。「応援したい」「なんかオモロイから金投げたい」という価値観であり、役に立つからとか、実用性があるとか、そういうのは一切ないです。推しに投げ銭するようなものです。

で、物があふれた現代では、こういったプロセスエコノミー的な消費はますます拡大するし(コロナでエンタメが封じられてるのもあいまって)さらにNFTの文化、仮想通貨の文化(すぐ投げれる)と相性が良く、相場ビッグバンが起こりNFTアーティストが稼げる…というタイトルに戻ってくるのです。おかえりなさい。

ただし、逆に言えば「応援したい」「こいつのストーリーおもろい」と思ってもらえなければ、有名な絵師でもあまり高値はつきません。

例えば、NFTよくわからんし仮想通貨もダルいけど、儲かるから俺様が絵を出品してやるよ的な態度で出したら、まあ高値では売れないと思います。一方で先程のNFTで借金返済みたいなおもしろストーリー+NFTへの愛が深い、つまりコミュニティに属している無名の絵師であれば、ガツンと高値で売れる。

面白いですよね。絵そのもののクオリティではなく、出品する過程やアーティストの価値観まで含めて評価される。コミュニティとの距離感なども相場に関わってくるので、まさしく初期の同人誌的な世界観がある訳です。

長々と書きましたが、NFTアーティストが儲かる理由は「時給という概念の外にいるから」であり、その裏には「Web3.0の価値観と、プロセスエコノミーなどが面白いくらいマッチしてシナジーを生み出してる」という背景があるというのが結論になります。

まあ私はNFTを少し出した事があるだけのニワカマンなので、解釈が間違ってる部分もあると思いますが、そこはおのおの補填して頂ければと思います。NFTに興味を持った方は、とりあえずNFT専用アカを作って出品してみる事をおすすめします。実際に出品すると、NFTの世界が分かるんじゃないかなと思いますよ。

私がNFT出品したときの話はこちら↓

https://moonpower2020.net/2021/11/04/kasounft/

VoicyでもNFT出品したときの話について喋ってます↓

https://voicy.jp/embed/channel/1625/232104

余談:イケハヤ先生は分かってる

プロセスエコノミー、感情や体験への消費、コミュニティの価値…

こういった消費行動が今後は当たり前になり、NFTはその一手になり得るという事をイケハヤさんは早い段階で予想してて、NFT界隈に全力振りをしたんですね。恐ろしい人です。NFT情報を知りたい方は、とりあえずイケハヤさんのVoicyを聞いたりコミュニティに入るのが一番早いかなと思います。

転載元:https://note.com/kuronekoyagogo/n/nfef8f2d61088
作者:https://twitter.com/NINJAkusokuso

※本記事は、作者様に許可を取り転載しております。

参照元:NFT Media

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