シンガポールが中国や香港に代わってアジアの仮想通貨金融センターに
アジアの暗号資産(仮想通貨)市場は、中国が全面禁止、韓国は取り締まりを強化、香港が新たな規制に乗り出したことで、今後の代替選択肢として人口わずかに550万人のシンガポールが有力視され始めています。決して大国ではないシンガポールですが、GDP3400億ドル(約38兆円)を誇り、アジアにおける世界的な金融センターとして東京や香港に対等に競争する力を付けています。
シンガポールは仮想通貨を受け入れる包容力を備える
シンガポール金融の包容力は、伝統的な銀行サービスを阻害するだろうフィンテックに手を差し伸べるまで広がっています。社会的に保守的なシンガポールでありながら、専門家らは仮想通貨の潜在的な有用性を賞賛するとともに法制でそれを支持しようとしています。
シンガポールは2020年1月以来、決済サービス法(Payment Service Act)を施行しています。これにより仮想通貨企業は、ビットコイン(BTC)などのトークンの交換取引を扱うワークライセンスを申請、取得する選択肢があります。
シンガポール金融管理局(MAS)のルー・シュー・イー(Loo Siew Yee)氏は「仮想通貨製品とデジタルトークンを支えるテクノロジーは、新世代の金融サービスを推進する可能性を秘めている」と語ります。
仮想通貨産業の振興に向けてシンガポール政策立案者のクールな判断
シンガポールの開放性の下には、政策立案者らの冷静な目算があります。急増する仮想通貨産業に対するシンガポールの対応は、同国がアジアの主要な金融センターになり、最終的には世界中で対処される金融センターの1つになるための武器を備えることになります。
いずれにしても中国や韓国、香港が仮想通貨に対する厳しい政策を進める中で、その方法論にともなうリスクが高まっています。 このことが最も明確になっているのは、世界最大手の取引所であるバイナンス(Binance)の経営です。
同社は今年、消費者保護やマネーロンダリング防止規則の順守などの問題につい、いくつかの規制当局から非難の対象になっています。バイナンスはコンプライアンス義務を真剣に受け止めており、顧客検証要件の一部を強化しています。
またバイナンスは9月27日、シンガポールのユーザーに対して「法定通貨の入金」や「法定通貨による暗号資産の購入」などのを利用制限を発表しています。
参考
・Cryptocurrency industry Seized upon Singapore as an Unlikely Asian Alternative
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参照元:CoinChoice