貿易DX推進へ、大手7社共同出資のトレードワルツが9億円調達し、累計調達資金30億円に
貿易DX推進へ、大手7社共同出資のトレードワルツが9億円調達し、累計調達資金30億円に
ブロックチェーンを活用した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®」を運営の株式会社トレードワルツが、9億円の資金調達を8月26日に発表した。
出資したのは東京大学協創プラットフォーム開発、三井倉庫ホールディングス、日新、W Linkの4社で、今回の調達でトレードワルツの資金調達累計は30億円となった。なお出資先のTW Linkはトレードワルツの既存株主である総合商社の兼松が川西倉庫、鈴江コーポレーション、大東港運、富士倉庫らと7月に設立したジョイントベンチャーだ。
トレードワルツは2020年11月にNTTデータや三菱商事ら7社の共同出資で事業を開始しており、現在は「TradeWaltz®」の国内普及を政府と連携して進めている。
リリースによると今回の調達で「三井倉庫HD、日新、TW Linkといった物流会社を新たな株主として迎え、国内物流会社への普及と新たな物流DXサービスの検討へ着手すると共に、東大IPCを新たな株主として迎え、TradeWaltzに蓄積・許諾を頂いたデータを活用し、どのような付加価値サービスを生み出せるか、東京大学と検討」するとのことだ。
トレードワルツ代表取締役社長の小島裕久氏は資金調達に関してリリースで次のようにコメントしている。
「アカデミアから東大IPC様、物流業界から三井倉庫HD様、日新様、TW Link様に出資参画頂けたことに心より感謝申し上げます。今回迎え入れた新しい株主の皆様と共に、国内でのサービス普及に努めると共に、アカデミアの皆様と産学官ALL JAPANで貿易の未来やサービス構想を深めていければと思います」
トレードワルツのこれまで
トレードワルツはNTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンの大手7社の共同出資によって貿易のデジタル化、DXを目標に2020年4月1日に設立された企業だ。
2021年4月には三菱商事、三菱商事プラスチック、三菱UFJ銀行が「TradeWaltz®」とのシステム連携を完了させ、本番商流を用いたサービス利用を開始している。
また富士フィルムとトレードワルツが、4月1日より「TradeWaltz®」のトライアルを開始しており、富士フイルムグループの物流協力会社である商船三井ロジスティクスと丸全昭和運輸も参加している。
あたらしい経済が7月9日に三菱商事に取材した際、同社デジタル戦略部担当者はトレードワルツの取り組みについて、「ブロックチェーンは商社と非常に相性の良い技術です。商社が関わっている様々な業界のバリューチェーンにはそれぞれに固有の複雑な商取引、商習慣が介在しており、これらの履行にかかっている膨大なコストをブロックチェーンによって自動化、効率化し、業界全体にイノベーションを起こすことができるからです」と話していた。
なお今後トレードワルツは「TradeWaltz®」のASEAN地域への輸出も検討しているとのこと。日本の大手企業による貿易DXが世界に進出していくことを期待したい。
参考:トレードワルツ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/BadBrother・OstapenkoOlena
参照元:ニュース – あたらしい経済