リーバイス、ブロックチェーンで綿花調達の透明性を確保

リーバイス、ブロックチェーンで綿花調達の透明性を確保

綿花のサプライチェーン透明性に取り組むUSコットン・トラスト・プロトコル(U.S. Cotton Trust Protocol 以下、トラストプロトコル)が、リーバイ・ストラウス(Levi Strauss & Co)と同社が保有するブランド、リーバイス(Levi’s)、ドッカーズ(Dockers)、カジュアルラインのデニゼン(Denizen by Levi’s)、シグネイチャー(Signature by Levi Strauss & Co.)が新たにネットワークメンバーに加入したことを7月7日に発表した。

トラストプロトコルは綿花生産における持続可能性に関する課題に取り組むプログラムだ。このプログラムではインドと香港に拠点を持つブロックチェーン企業テキスタイル・ジェネシス(TextileGenesis)のプラットフォームを統合したプロトコル・クレジット・マネジメント・システム(PCMS)を通じてサプライチェーン全体の透明性を提供し、米国産綿花繊維のすべての動きを記録・検証する。

またブロックチェーンによりサプライチェーンの参加者間の取引を商品レベルで把握できるという。これによりメンバーは責任を持って生産された高品質の繊維を調達でき、サプライチェーンにおける環境・社会的リスクの低減を確保できる。

なおトラストプロトコルには2020年の発足以来、450社以上のブランド、小売業者、工場、メーカーをメンバーを迎えており、ギャップ(Gap)、バナナ・リパブリック(Banana Republic)、アスレタ(Athleta)、GILDAN(ギルダン)など参加をしている。またテキスタイル・ジェネシスのプラットフォームはH&Mグループが導入している。

今後トラストプロトコルはリーバイスに米国の綿花生産者の持続可能性に関する検証済みデータを提供し、水使用量、温室効果ガス排出量、エネルギー使用量、土壌炭素、土壌損失、土地利用効率などの重要な指標に関する前年比の集計データにアクセスすることで取り組みを支援する。

リーバイ・ストラウスのチーフ・サステナビリティー・オフィサーであるジェフリー・ホーグ(Jeffrey Hogue)氏は「リーバイ・ストラウスにとって、使用する綿花の品質と持続可能性は、当社のビジネスにとって重要であり、お客様にとっても重要です。トラストプロトコルへの加盟は、100%持続可能な方法で栽培された綿花を調達するという当社の取り組みにおいて、重要なステップであり、重要なパートナーシップとなります」とリリースにてコメントしている。

トラストプロトコルの社長であるゲイリー・アダムス(Gary Adams)氏はリリースにて「過去35年間、米国の綿花産業は環境への影響を減らすために大きな進歩を遂げてきました。トラストプロトコルは、これらの改善をさらに進めるための2025年の国家目標と一致しています。 メンバーであるリーバイ・ストラウスは農場から始まるデータを受け取ることで、サステナビリティへの取り組みを進め、綿花調達の目標を達成することができます」とコメントしている。

編集部のコメント

世界の綿生産量の2割を占める新疆綿を生産する中国新疆ウイグル自治区での人権問題を巡り、今月7月1日にフランス当局は人道に対する罪の隠匿の疑いで、衣料品店「ユニクロ」のフランス法人やZARAを運営するスペインのインディテックスらを含む4社の捜査が始まっています。

これに対しユニクロを運営するファーストリテイリングは、取引先の縫製・紡績工場では強制労働がなく人権が守られていると確認した綿のみを使っていると説明しています。

事実関係は現在捜査中であるため、その真意は不明ではありますが、捜査対象となった企業がトラストプロトコルが展開するようなブロックチェーンを活用したトレーサビリティプラットフォームを導入していれば、このような事態は免れた可能性は高いと思います。

持続可能な社会が求められる中、アパレル企業のブロックチェーントレーサビリティプラットフォーム導入はますます進んでいくと思われます。

参考:US Cotton Trust Protocol
デザイン:一本寿和
images:iStocks/maybefalse

参照元:ニュース – あたらしい経済

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